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井上智洋氏ベーシックインカム論総括とベーシック・ペンション2022提案に向けて:『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考えるー1

 最近のベーシックインカム論の展開の中で、最も精力的に活動している研究者が、井上智洋駒澤大学経済学部准教授です。
 現状、手元に、同氏執筆図書として以下があります。

・『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』(2016/7/20刊・文藝新書)
AI時代の新・ベーシックインカム論 (2018/4/30・光文社新書)
・『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(2021/1/21刊・扶桑社、小野盛司氏共著)
・『資本主義から脱却せよ 貨幣を人びとの手に取り戻す』(2021/3/30刊・ 光文社新書、松尾匡・高橋真矢氏共著)
・『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』(2021/5/10刊・NHK出版新書)

井上氏著書における同氏BI論に関する考察

 上記書のうち、
1)AI時代の新・ベーシックインカム論 については以下の記事で
ベーシック・インカムとは-3:AIによる脱労働社会論から学ぶベーシック・インカム (2020/6/16)

2)『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』は、以下で
小野盛司氏の経済復活狙いのみのベーシックインカム案? (2021/2/25)
 そして、

3)『資本主義から脱却せよ~貨幣を人びとの手に取り戻す~』は、以下のシリーズの中で取り上げ、紹介し、考えることろを述べてきました。
資本主義リアリズム、加速主義、閉塞状態にある資本主義の正し方:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-1(2021/5/7)
知らなかった、民間銀行の濡れ手で粟の信用創造:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-2(2021/5/9)
信用創造廃止と貨幣発行公有化で、資本主義と社会はどうなるのか:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-3(2021/5/11)
資本主義脱却でも描けぬ理想社会:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-4(2021/5/13)

著書以外の活動から

 また、執筆活動以外でも多様な活動を展開している井上氏。
 昨年コロナ禍で給付された<特別定額給付金>の給付実現のためにグループを形成し、率先して提言・請願活動を主導して取り組み。
 左派グループと共に「薔薇マーク・キャンペーン」に参加し、その中で「99%のためのベーシックインカム構想」をグループメンバーと共に提言行動しており、そこでの構想について、当サイトの以下の記事内で紹介しています。

朴勝俊・山森亮・井上智洋氏提案の「99%のためのベーシックインカム構想」ー1(紹介編)(2021/4/8)
朴勝俊・山森亮・井上智洋氏提案の「99%のためのベーシックインカム構想」ー2(評価編)その意義と課題 (2021/4/9)

⇒ 薔薇マークキャンペーン (rosemark.jp)

最も井上氏BI論に着目する理由

 こうした種々の井上氏の論述に関しては、他のどの研究者のBI論よりも、身近なものとして捉えています。
 但し、当サイトが提案する<日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金>とは、大きく異なり、多くの違いや問題点が厳として存在します。
 ただそれは、井上氏論が問題だというものでもなく、私の提案自体にまだまだ問題・課題が多いことにも原因があるゆえです。

 特に、井上論では、現実論として、一度にではなく段階を踏んで導入することと、支給額を調整することが可能なシステムを採用することなどを提起。
 これが、2050年における理想の形を描いて提案しているベーシック・ペンションにおいて、検討・参考・採用する必要がある要素・条件になると考えています。

<ベーシック・ペンション2022>提案準備の一つとしての井上氏新刊 『「現金給付」の経済学』 紹介と考察シリーズを



 そこで、まだ当サイトで紹介していない前出の近著 『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』(2021/5/10刊・NHK出版新書)を用いて、井上BI論とベーシック・ペンション(BP)との違いの確認、その違いを埋めるあるいは近づける方法の検討、場合によっては双方の考え方・方法を融合させる方法の検討などを、シリーズ化して行おうと考えたわけです。
 また、ちょうど今月10月31日に衆議院選の投開票が行われ、翌11月初めには新しい政治体制が決まります。
 残念ながら、現状井上BI案はどの既成政党の理解・支持も受けていません。
 また、当サイトで記事として取り上げているように、真のベーシックインカムの実現を政策に位置付ける政党もありません。
 従い、提案するベーシックインカムの内容と実現のための政治的アプローチ、手法についても、2022年以降に向けて新たに検討し、なんらかの考え方のまとめ作業も行う必要もあります。

 従い、今回の井上BI論再確認と活用方法を検討・考察する作業は、その他のこれまで重ねてきた論考の再確認作業も含めて、ベーシック・ペンション案の2022年バージョン、ベーシック・ペンション2022(Basic Pension 2022)を年内に立案するためのものです。


「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる 』の構成


 次回からそのシリーズを始めるに当たり、同書の構成を以下に整理しました。

第1章 コロナ不況と経済政策
1.大切なのは経済か、命か

 ・「経済か命か?」
 ・長期不況の始まりかもしれない
 ・問題は生産性ではない
 ・一次的不況と二次的不況
 ・長期デフレ不況と就職氷河期の再来
2.コロナ危機下の経済政策 ー コールドスリープせよ
 ・ターゲットを絞った支援の難しさ
 ・事業体をコールドスリープさせる
 ・現状の支援制度の問題点
 ・支援制度をいかに整えるべきか
3.Gotoキャンペーンの是非を問う
 ・GoToキャンペーンには安全宣言が必要だった
 ・GoToキャンペーンの問題点①
 ・GoToキャンペーンの問題点②
 ・GoToキャンペーンのほうが効果が高いか?
4.反緊縮で日本はよみがえる

 ・政府の「借金」を増やすなという批判
 ・反緊縮とはどのような思想か
 ・アベノミクスの最大の失敗
 ・必要なのはヘリコプター・マネー
第2章 なぜ、ベーシックインカムが必要か
1.現状と歴史はどうなっているか

 ・コロナ危機とベーシックインカム
 ・ベーシックインカムはネオリベ的か?
 ・社会保障制度とベーシックインカムの起源
 ・20世紀のベーシックインカム論
 ・実現に向けた取り組み
2.ベーシックインカムの「自助・共助・公助」

 ・ITによる格差の拡大
 ・物流の完全無人化は可能か
 ・クリエイティブ系の仕事は増えるけれど
 ・コロナ危機が時代を10年早送りした
 「自助・共助・公助」は何を意味するか?
 ・ベーシックインカムは「 自助・共助・公助」 に反する
3.生活保護は廃止してもよいのか

 ・生活保護には欠点がある
 ・ベーシックインカムと負の所得税
 ・生活保護は廃止すべきか
 ・制度はもっとシンプルであるべきだ
 ・「理由なき困窮者」を見捨てない
4.二階建てベーシックインカムへの道

 ・当面は追加型BIしかない
 ・貨幣制度の大きな欠陥
 ・ヘリコプター・マネーの具体案
 ・二階建てべーシックインカムとは何か?
 ・インフレ率目標が達成できない理由
 ・変動ベーシックインカムで景気をどう調整するか?
 ・実現に向けた三つのフェーズ
 ・財源はどうするべきなのか?
第3章 政府の「借金」はどこまで可能か
1.財政赤字をめぐる三つの立場

 ・コロナ増税を警戒せよ
 ・税制健全化は必要か?
 ・政府が「借金」して何が悪い?
 ・ケインズ主義とは何が違うのか?
 ・財政ハト派のケインズ主義の問題点
2.現代の貨幣制度とMMT

 ・モズラーの名刺の逸話
 ・お金を使うとお金が増える
 ・マネーストックとマネタリーベースの違い
3.お金はいつ生まれ、いつ消えるのか

 ・財政支出と徴税の際のお金の動き
 ・日本を衰退に導いた大いなる勘違い
 ・お金を増やすには「借金」しかない
 ・なぜ税金は財源ではないのか?
4.政府の「借金」はなぜ問題ないのか

 ・「借金」を増やしても良い理由
 ・国債を貨幣化するとどうなるか?
補論 ドーマー条件と横断性条件

 ・ドーマー条件とは何か?
 ・横断性条件とはなにか?
 ・ノン・ポンジ・ゲーム条件
 ・マネタイゼーションした場合はどうなるか?
第4章 脱成長の不都合な真実
1.完全雇用が達成されればよいのか

 ・雇用保障プログラムとは何か?
 ・雇用保障プログラムの問題点
 ・本当に完全雇用を実現できるのか?
2.デフレマインドが日本を滅ぼす
 ・完全雇用で満足してはならない理由
 ・労働者と企業経営者のデフレマインド
 ・デフレマインドで科学技術も衰える
 ・出版不況の原因は何か?
 ・新国立競技場のザハ案が却下されたのはなぜか?
3.脱成長論とグリーン・マルクス主義
 ・脱成長論とは何か?
 ・グリーン・マルクス主義
 ・地球温暖化は本当に害悪か?
 ・グリーン・ケインズ主義
 ・経済成長と二酸化炭素排出のデカップリング
 ・すでに物欲は減退し始めている
 ・反緊縮主義とは何か?
4.なぜ経済成長が必要なのか
 ・経済成長と幸福の関係
 ・近代世界システムから考える
 ・日本の衰退と中国の勃興
 ・「日本人」と「香港人」の意外な共通点
 ・私たちはもっと豊かになっていい
おわりに


 ここでは、井上氏が提起するベーシックインカムに関する直接の章に限定せず、通してその思想的・社会的・政治的背景などに関する記述部分にも焦点を当て、私の考え、ベーシック・ペンションにおけるそれらとの違い、認めうるならば共通点も抽出しながら、少し丁寧に、そうですね、回数を今回を含めて8回ほどのシリーズを想定して進めていくことにします。

 では、次回 <第1章 コロナ不況と経済政策>からスタートします。

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