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維新の会ベーシックインカム案は全政党中ベストの社会保障制度改革案

 10月31日の衆議院議員総選挙の投開票が迫ってきています。
 これまで、2021年7月16日に投稿した以下の記事で、日本には「ベーシックインカム」の導入を政策として提案する既存政党はないと指摘してきました。
真のベーシックインカム実現を政策とする政党ゼロから取り組むべき現状と今後

 その中でも紹介しましたが、これまで日本維新の会は一応ベーシックインカムについて検討はしていましたが、本気度は薄いと認識していました。
日本維新の会のベーシックインカム方針:本気で考えているとすれば稚拙で危うい曖昧BI(2021/4/26)

 しかし、先月9月23日に更新した「日本大改革プラン 経済成長と格差解消を実現するグレートリセット」において、まだまだ十分ではありませんが、現段階では、他党と社会保障制度改革における圧倒的な違いと真剣度を示した、日本で初めての具体的で本格的なベーシックインカム案が提示されました。

 その内容を当サイトでは一定のレベルで評価しており、今回は、その内容を同党がホームページで公開している資料<日本大改革プラン202109完成版.pdf>から抜粋した資料を用い、少し説明・感想を加えることにしました。

日本維新の会、「日本大改革プラン」とは

 日本維新の会の「日本大改革プラン」とは何か。
 以下の2つの図は同一内容を示すものですが、ひと目見て分かりやすいので、両方利用しました。
 すなわち、「税制改革」と「社会保障改革」に統合して取り組むことで「成長戦略」を推し進め、<経済成長>と<格差解消>と<可処分所得増加>を実現しようというものです。

大改革提言の前提としての現状の日本の問題認識

 ベーシックインカムが、その3本柱の一つである<社会保障改革>の基軸とされているのは、当サイトが提案する日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金と同様です。
 その具体論に入る前に、同党がこの大改革を提言する前提として示した基本認識を示す資料のうち、いくつかを以下に示します。

 
 この問題意識の中から日本国内、日本社会に目を向けた時、次の多種多様な格差問題の存在を提起しています。
 


 こうしたさまざまな社会的、経済的諸問題が連鎖して、以下の状況を長く継続させていることを、下図でイメージ化しています。
 

日本大改革三本柱「税制改革」「社会保障改革」「成長戦略」の概要


 そして、3つの改革それぞれについて、1枚の図で以下のように簡潔にその目的と実現方法などを示します。


 ここに組み込まれた政策群の意図するもの、狙いとすること等をグループ化したのが、以下です。
 異なる視点からのまとめで、比較的理解しやすいのではと思います。

ベーシックインカムとは? ベーシックインカムがもたらす効果とは?

 
 ベーシックインカムは、上図でみたように、「社会保障改革」の軸となるもの。
 そのベーシックインカム自体についての定義・要件・特徴と有効性の説明が、以下で行われます。


 一般的なベーシックインカムの定義と要件・条件と共に、その次に示された4つの<制度的長所>も、しっかり認識しておくべき事項です。
 そして、ベーシックインカムが導入されることで、どんな効果が期待できるのか。
 下図にある<平時>と<有事>双方に備えることができることを踏まえ、冒頭述べた<経済成長>と<格差解消>とが相互に機能して実現するという流れが示されています。
 そして「チャレンジのためのセーフティネット」としてのベーシックインカムというもう一つの決め台詞を導き出しています。

 こうした情報の処理・提示方法は、他の政党では意外にこれまで行っていません。
 そのことを考えただけでも、維新の取り組みの真剣さ、丁寧さは評価できると思います。


 以下のように、ベーシックインカムの提案には、思想的に異なるものがあることも丁寧に提示。
 維新が提案するBIは、そのいずれかに特定されるものかどうか。
 読み方によって異なるのではと思いますし、そのどれでもないようにも思えます。
 果たして・・・?
 私自身は、そうした固定概念にこだわるべきではないと思いますし、維新BIもそのスタンスではないかと。

ベーシックインカムの導入方法と財源について

 以前維新は、BI導入に関しては、所得の「給付付き税額控除」方式を採用するケースも想定していたのですが、この大改革構想では、以下の図を用いて、ベーシックインカムの方を採用したことを示しています。


 国民民主党は明確に給付付き税額控除方式によることを提案しており、所得税の累進性を高めることで税収増を図り、増加する社会保障費に充当しようという政党がほとんどなのに対して、維新は独自の提案をしているわけです。

 なお、ベーシック・ペンションを主張・提案する当サイトは、当然、給付付き税額控除方式には、端から反対しています。

 では、ベーシックインカムと決めたことで、その財源をどうするか?
 まず大まかなイメージでは、一部の現状の社会保障制度からの移管・転換、税制改革による財源確保に加え、下図のように「行財政改革」による財源捻出・確保も提示しています。

ベーシックインカム導入に伴い改善・改革される年金制度、生活保護制度等社会保障制度


 その一部の社会保障制度からの移管・転換として上げているのが、「年金制度」改革と「生活保護制度」改革です。
 年金制度は、現行の国民年金制度の問題を指摘し、BIによりそれが代替・転換され、伴っての行政改革に繋がります。
 ただ明確に、国民年金制度を廃止するとは断言しておらず、関連して厚生年金制度をどうするか、どうなるかについて、また関連して国費負担上具体的にいくらBI財源として転換・充当可能になるかなど、残念ですが、この資料中では踏み込んでいません。

 
 もう一つは、BI導入に拠る生活保護制度の改正についてです。
 しかし、以下の現状の生活保護制度の問題点の指摘はありますが、BIが充当されるのは、生活扶助部分に限ってのことで、同制度を継続するとしています。
 となると、低捕捉率問題や、ミーンズテスト、スティグマ問題も解決されることはなく、行政改革、行政コストの削減もさしたることはないことになります。
 維新BIに限らず、給付額が後述するレベルの金額のBI案の場合、すべてに共通する問題です。
 従い、本来ならば、維新BIも他のBIも、2段階での真のBI、完全ベーシックインカム実現の提案が必要なのですが、どこもその構想を持ち合わせていません。

 当サイトのベーシック・ペンション案は、現実的には、2段階または3段階での導入・実現を想定しています。

ベーシックインカム給付額と所得シミュレーション

 維新のベーシックインカムによる一人ひとりへの給付額は、月額6~10万円(全国民年間総額約100兆円)としていますが、下図で例示された金額は、65歳未満が6万円、65歳以上は8万円とされています。

 但し書きにあるように
・高齢者は2万円加算
・各種所得控除(基礎控除、配偶者(特別)控除の廃止、扶養控除等)の廃止
・生活保護制度の生活扶助部分のBIへの適用(同制度は継続)
・児童手当のBIへの転換
・現物支給社会保障制度の据え置き
がBI導入時の変更及び取り扱い上のポイントになっています。

ベーシックインカム導入と一体化しての所得税改革

 三本柱の一つとされている税制改革は、維新BIでは、所得税改革に絞られているのが特徴です。
 BI導入で、現状の所得税制の特徴である各種所得控除が、廃止されます。
 但し、BIは非課税なので、実質的には、BI分が全所得における基礎控除額になるわけです。
 また、株式配当や株式売買利益など賃金以外の所得も、賃金収入と合算され課税される、総合課税制に転換するとしています。
 

維新ベーシックインカムと改正所得税による手取り額の変化試算

 上記のフラットタックスという非常にシンプルに税率を設定した場合のベーシックインカムと給与所得との合算時に、実所得がどうなるかが、以下で示されています。
 但し、この表の例ではすべて年収700万円以下の適用所得税率は10%、900万円では20%で設定され計算されています。

 単身者は、賃金収入が高くなるとBIを支給されると逆に減収になることが分かります。
 また配偶者がいる場合、下表ではさほどBIを支給されても実所得が上がらない計算になっていますが、配偶者にも給与等の所得があれば、その分世帯合計所得は増えることになります。
 所得税率の設定の仕方を変えれば、最終の所得額が異なることは当然です。
 なお、この表では、社会保険料の金額と手取り収入からの控除については含まれていません。
 

その他の連携すべき改革課題

 その他、当サイトがこだわっているように、ベーシックインカム導入が、社会保障制度だけでなく、直接・間接に関連する労働・雇用政策、労働制度や社会政策、税制、金融・財政政策などの改善・改革が発生することに、この大改革プランでも以下のように言及し、方策を提示しています。

 詳細は省略しますが、これも好感をもって受け止めており、維新案を評価する要素・要因としています。
 これらに関する種々の意見・考察は、これまで当サイトに投稿していますので、ぜひチェックして頂ければと思います。

維新の会ベーシックインカム実現の暁には

 大改革プランによりベーシックインカムが実現されると、以下の図のような改善・改革も連動して実現していると想定して、<目指すべき社会像>として整理しています。
 こうしたコンパクトなまとめ方は、維新はうまいですね。

維新の会ベーシックインカム案の評価すべき点


 ここまで、維新の会が公開している資料を抜粋して、維新ベーシックインカムに絞って衆議院議員選挙に向けての政策・公約を、大雑把に見てきました。
 個人的には、いままで何かしらの胡散臭く維新の会を見ていたというか、正直あまり関心を持っていなかったのですが、今回のベーシックインカム提案で、少し見直すべきと感じています。

 ただ、細かく見ていくと、検討すると、まだまだ不十分な点が多く感じられます。
 その一部は、先に述べてきた中にほんの一部含んでいますが、選挙結果が出た後、総合的に政治・行政をテーマとしているhttps://2050society.com も併用して、評価と考察を行っていきます。
 また先述したように、当サイト内に、多面的に論じた記事を投稿していますので、サイト内検索を利用頂き、関心をお持ちの課題などをチェックして頂ければと思います。

 いずれにしても、維新BIは、ベーシック・ペンションを何段階かで導入・実現する上で、共通の視点・方法、参考になる内容・示唆を提示していました。
 うまく融合・統合できる点を見出すことができればとも考えています。


他政党の社会保障制度政策の実際と課題


 もう一つ個人的に、ですが、特に応援しているわけではありませんが、自民党の専横を戒めるためには、それなりの存在意義を持つべきと考える野党第一党の立憲民主党こそが、維新ベーシックインカムのレベルの提案を、真っ先に行うべきと考えるのです。
 機会があれば別の機にと思いますが、立民の政策・選挙公約には見るべきもの、インパクトがあるものは残念ながら、というか想定通りというべきか、ありません。

 他の政党も、マスコミ各社が指摘するとおり、また有権者自身も恐らく多くが不信感を持つと思われるように、多種多様な、しかし底の浅い、小手先の給付政策を公約に掲げています。
 それに比べると、やはり維新のBI案は、群を抜いています。
 これが、今後のベーシックインカム実現に向けての強いきっかけになることを切に願うものです。

 自民党が掲げる「新しい資本主義」や「成長と分配」政策も、本来野党が、国民が理解・納得できる具体性と有効性を添えて提案すべきものです。
 その自民党が、維新BIのように大改革を自らの課題とすることはありえないでしょうが、もしかしたら岸田氏は、それなりの思想と構想を持っているのかもしれないのです。
 
 ということは、現在の立民のトップとは異なる、真の、望ましいかつリベラル、そして望ましいベーシックインカム構想を、従来の概念にとらわれないものとして持っている政治家、議員・党員がいるかもしれない。

 そこで、立民も現状のトップの交替を含め、変わるべきなのですが、果たして選挙でどういう結果がでるか。
 さほど期待せずに、しかし、重大な関心を持ってその結果を待ちたいと思います。
 もちろん、維新BIがどれほど理解され、評価されうるのかも含めて。

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