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コロナ禍の「生活福祉資金の特例貸付」利用者が返済不能に:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-4

少しずつ、よくなる社会に・・・

5月に入って、こういう時、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金があれば良いのに、と思わせられる新聞記事をよくみかけます。
6月から検討しているテーマに入る前に、こうした思いを強く抱かせられているいくつかの記事を取り上げてみることにしました。
これまでに以下の3ブログを投稿。
2022年2月生活保護受給164万世帯、現役世代も増加:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-1(2022/5/16)
生活保護世帯の子どもの進学率に地域格差:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-2(2022/5/17)
コロナ禍、目立つ低所得層の子どもの医療機関受診減少:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-3(2022/5/18)

今回は、4回目で、2022/5/2付け中日新聞の以下の記事を取り上げます。
⇒ 生活困窮者救済のはずが… コロナ対策貸付金、相次ぐ返済不能:中日新聞Web (chunichi.co.jp)

「生活福祉資金の特例貸付」とは

 この制度は2020年3月にスタートした、無子・保証人不要の貸付金制度で、元来あった「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸し付け条件を大幅に緩和。
 社会福祉協議会(社協)職員が面談して収入や返済計画を確認していたものが、この特例により、原則、コロナ禍で収入が減ったと自己申告すれば借りることが可能になった。
 借り入れなので、当然返済が必要になる。
 「緊急小口資金」は、一時的な生活費確保のために最大20万円を融資。
 「総合支援資金」は、減収が比較的長期に及びそうな場合に最大60万円を融資。
 前制度の後者では、「延長」と「再貸し付け」両方で最大計200万円利用できた。

コロナ禍で急増した「生活福祉資金の特例貸付」利用者の多くが返済不能状況

既に、2019年には、一人当り特別定額給付金10万円が支給されましたが、それ移行は、所得制限・年齢制限がある給付金に支給されるにとどまっています。

長引くコロナ禍、生活に困窮する人々の多くが、改善する見通しを持つことなく、返済が必要なこの特例貸付制度を利用したと思われます。
一昨年3月に制度施行と同時に、窓口となった全国の市町村社協に申請が殺到。
集計では、2年後の今年2022年4月2日現在、緊急小口資金は153万件、総合支援資金は167万件、貸し付け(含、再貸し付け)、総額1兆3726億円の貸付が行われています。

愛知県での貸付金利用者の現状

実際に利用に伴う返済開始時期は来年1月以降。
愛知県全体の今年2月末時点の貸付件数は両資金で約14万7千件、計約456億75百万円)。
そのうち、社協に利用者側からの「自己破産」通知のあった貸付が、3月末時点で約400件に。
双方の資金を利用した人もおり、実際に自己破産したのは200人以上とみられる。 
カードローンでも借り入れし、持ちこたえられず、自己破産に至ったという理由が目立つという。
周辺の各県の市町村でも同様の事例が報告されています。

社協、自治体の現状

まさに、「生活困窮者救済のはずが・・・」です。
同記事では、現状の一端をレポートしています。

素早い資金供給が優先された一方、コロナ禍が長引く中で借金が適切な生活再建策になっているのか。 
国は、所得減が続く住民税非課税の世帯には返済を免除する方針。
しかし、苦境から抜け出したり、自立できないまま返済期間が始まれば、困窮者がさらに増える。 
社協担当者の言として「窓口職員が貸し付け業務に追われ、利用者への本来のきめ細かな相談事業が行えず、別の方法で支援するべきなのに借りる必要のない人にまで貸している」と伝えている。

また、ある研究者の以下の発言も紹介しています。

生活福祉資金の特例貸付は、迅速な資金提供が必要だったコロナ禍初期の対応としては妥当な方法だったが、本来は一時的な生活費の不足を補う制度。
収入が回復する見通しのない低所得者が多額の借金を背負っており、強硬に返済を迫ればさらに困窮し、地域経済にも悪影響を及ぼす。
生活保護の改革を含め別の制度での対応をもっと早く検討するべきだった。

では、この研究者は、適切な方法としてどんな案があったか、できたか?

あるシングルマザーのケース

加えて、同制度を利用し、無利息で計200万円の借金を背負った50歳代のシングルマザーをレポート。
年収は150万円程度で、借りた金は、当時娘と2人で暮らしていたアパートの家賃や食費などに費消。 
月々1万数千円の返済計画で、完済予定は10年後の60代。
「余裕はないが、働くしかない」 
女性が新型コロナの影響で正社員の仕事を失ったのは2020年春。パートとして昼は事業所、夜は居酒屋で働くことになったが、居酒屋は休業に追い込まれ、同年末に特例貸付を申請した。
ただ、という。
自己破産などはせず、返済を続けながら何とか自立していこうと考えている。だが、複雑な思いもある。現在より年収が数十万円減れば住民税の非課税世帯となり、返済は免除される可能性がある。
「まじめに働けば損をする。福祉としてどうなのかなと思う」

機能していない2015年施行の「生活困窮者自立支援法」

実は、この特例貸付制度施行よりも5年前に遡って、2015年4月に「生活困窮者自立支援法」が施行されています。

その<基本理念>は、
1.生活困窮者に対する自立の支援は、生活困窮者の尊厳の保持を図りつつ、生活困窮者の就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況その他の状況に応じて、包括的かつ早期に行われなければならない。
2 生活困窮者に対する自立の支援は、地域における福祉、就労、教育、住宅その他の生活困窮者に対する支援に関する業務を行う関係機関
(以下単に「関係機関」という。)及び民間団体との緊密な連携その他必要な支援体制の整備に配慮して行われなければならない。
とあります。
そしてそこでは「生活困窮者自立相談支援事業」、「認定生活困窮者就労訓練事業」、「生活困窮者住居確保給付金」、「生活困窮者就労準備支援事業」、「生活困窮者家計改善支援事業」、「生活困窮者一時生活支援事業」、「子どもの学習・生活支援事業」などの事業を自治体が担うことを規定しています。

この列記された種々の事業の延長線上に「生活福祉資金の特例貸付」事業があると思われるのですが、それは、この「生活困窮者支援法」に基づく事業が、有効に機能してこなかったことを示していると考えています。
コロナ禍で多くが生活困窮状態に至ったわけで、それは、宮本太郎氏が曰く「新しい生活困難層」にあたるわけです。
同氏が提起している社会保障、困窮者支援について、その著『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(2021/4/9刊)を題材にして、同氏が提案する「ベーシックアセット」の評価を含めて、これまで種々考察してきています。
貧困政治での生活保護制度と困窮者自立支援制度の取り扱いに疑問:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー3(2021/9/7)
貧困政治とベーシックインカム、ベーシックアセット:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-3(2021/9/8)

また最近の論述からは、
真のユニバーサル型セーフティネットとは:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-3(2022/4/1)
で取り上げています。

宮本氏は、こうした「困窮者生活支援制度」を有効に活用することで、問題に対応できる、すべき、としているのですが、一方で、市独自の「ベーシックアセット」も必要としているのです。
その記事から一部紹介したのが、上記の<基本理念>以降の記述です。

しかし、その事業も、今回の特例貸付制度も、基本的には「ワークフェア」、働いて返すことを基本とする制度には、より大きな問題・苦難が持ち越されることを示しているわけです。
先述書ではまたこのように付言しています。

 誤解のないように予め強調しておけば生活保護費の削減とこの制度は連動しているのではなく、むしろ逆方向を向いている。
 本制度は、保護受給者の就労を強要するワークフェアではない。
 保護を受けていない「新しい生活困窮者層」を主な対象として、多様な支援を行う仕組みである。
 必要な場合は生活保護につなぐこともこの制度の役割である

結局、ミーンズテストやスティグマ等問題の多い生活保護に委ねることになることも示しています。

こうした状況・事態がいつどんなことで発生するか予測不能な状況下、いつでも安心して対処・対応できるのが、無条件・無拠出の、働いて返済する必要のない生活基礎年金、ベーシック・ペンションが導入されているべき、と一層強く感じるのです。

【日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金2022年案】

ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1(2022/2/16)
少子化・高齢化社会対策優先でベーシック・ペンション実現へ:2022年ベーシック・ペンション案-2(2022/2/17)
マイナポイントでベーシック・ペンション暫定支給時の管理運用方法と発行額:2022年ベーシック・ペンション案-3(2022/2/18)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

                       少しずつ、よくなる社会に・・・

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