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2020・21年考察

ベーシックインカム導入によるインフレリスク対策-2:ベーシックインカム現実的実現法考察-6

真のベーシックインカム実現を政策とする政党ゼロから取り組むべき現状と今後(2021/7/16)
という基本認識から始めた<ベーシックインカム現実的実現法考察>シリーズ

全員月額7万円で始める:ベーシックインカム現実的実現法考察-1(2021/7/17)
月額7万円ベーシックインカムの条件と期待効果:ベーシックインカム現実的実現法考察-2(2021/7/18)
無理なく、漸進的・段階的に導入するベーシックインカム:ベーシックインカム現実的実現法考察-3 (2021/7/19)
7万円現金給付ベーシックインカムの次にデジタル通貨ベーシック・ペンションを:ベーシックインカム現実的実現法考察-4 (2021/7/28)

と進めて来ました。

 当サイトが提案する、日銀発行のデジタル専用通貨でのベーシック・ペンション(JBPC)年間総額200兆円超の支給という金額の大きさがインフレ、あるいはハイパーインフレを発生させる。
 「インフレ」懸念をどう克服するか、あるいはできるか。
 この問題意識から、前回、当シリーズの5回目として、
ベーシック・ペンション導入によるインフレリスク対策-1:ベーシックインカム現実的実現法考察-5 (2021/8/2)
を投稿しました。

 今回はその続編として、Facebook上で関心を持っているWJ氏の発言と、それに対して発言するIN氏のやり取りを紹介し、ベーシックインカムとインフレについて、考えてみることにします。

過剰な政府債務による通貨発行とインフレとの関連議論


 7月30日と31日に、WJ氏がご自身のアカウントに投稿された内容と、これに対して論述されたIN氏等の内容を、極力原文のまま転載紹介し、ベーシックインカム、もしくは当サイト提案のベーシック・ペンションが持つ代表的な根本的な問題点についてまず確認します。

<MJ氏>

MMT(現代貨幣理論)や通貨の本質をとらえた議論では、「政府に経済的余裕はない。」は虚偽であることが明らかである。
どの国でも自国通貨があれば、その通貨だけは、必要なだけ発行し増加することができる。
通貨とは、単なる数値であるから、制限を加えるのは、人の頭脳だけである。
人々が、平和で安全に働き続ける環境では、十分な供給がなされるため、悪いインフレは起きない
つまり、政府は、高齢者の年金の減額も、医療費・介護料負担を増す必要も、全くない
政府に借金が多ければ、通貨高権(デジタル通貨の発行権など)を政府に持たせて、政府が通貨発行すれば、瞬時に返済できる。
つまり、政府に借金が多いように見えるのは、政府が通貨を発行しないという標準の通貨制度に起因しているためである。

2019年、政府が消費税率を上げて、10%にした日本に対して、さらにIMFは、増税を提言した。
元々、国の王様の戦争への意欲を削ぐための、中央銀行制度であるが、日本の場合は、戦争をしない国にするための制限であった。
経済学は、あたかもそれを絶対の制限要素であるかのように説明してきた。
その誤った論理を活用して、IMFは、国々の経済困難を深め、彼らの影響力を、世界中で増加してきている。
(IMFにとり、経済困難の国々が多い方が、仕事になる。)
日本のどの経済学者も、来日したIMFのこの発言にかみついた形跡を知らないが、これは、日本人の主張力のなさに起因している。
世界で、これほど急速に高齢化と経済の停滞が、長く継続している特徴ある日本経済において、日本の経済学者は、有効な提言を政治に示してきていないのである。

私自身も、IMFを含む戦後形成された種々の国際的組織の改革が行われるべき時代にあると思ってます。
もちろん国連やWHOなども含んでの話です。
ここでの話から逸れますが。


<IN氏>

経済政策として、過度なインフレになるまでの政府財政出動には賛成
(しかし)自国通貨を発行できる国では財政破綻はありえないので、必要な社会保障捻出は可能という考えには懐疑的
インフレが生じる程、大量に通貨を発行しないので、インフレは大丈夫といっておられますが、定量的説明ではありません。
年金だけをとっても、2020年度予算ベースで約58兆円です。
GDP約500兆円、国家予算約100兆円に対し、毎年、これだけの年金額を継続的に給付し、税金で吸収出来なければ、市場での通貨額は蓄積され続けます
法人税だけの吸収額では無理です。
蓄積され続ける円通貨に対し、海外からは円安の動きがでます。
又、蓄積される円は海外への株式投資を初めとする円投資を招き、円安を加速化させます。
円安が進めば、資源や食料を輸入に頼る日本では、輸入物価上昇に起因するインフレが起きます。

特に、供給が有限なエネルギー資源、鉱物資源、食料はインフレを招きやすいです。
通貨増の結果の株や土地取引に関する資産家達の損得には関心はありません。
懸念しているのは、土地や株の高騰によるインフレで国民が困る問題だけです。
以上が、経済を本格的に学んでいない私のMMT理論経済論者達への素朴な疑問です。
これは、多くの国民が持つ疑問であろうかと思います。
まして、ベーシックインカムは国民一人当り毎月10万円給付として、約156兆円の巨額です。
社会保障に対し、自国通貨を発行出来る日本のような国は財政破綻がないので、心配ないというMMT論者は、私の素朴なインフレに対する懸念を払拭できる説明が必須です


 NI氏のインフレ懸念については、同様の内容を後述するため、ここでは触れませんが、インフレ懸念を払拭することなど、いかなる経済学者をもってしても不可能であり、ないものねだりと感じることだけ、ここで申し上げておくことにします。

<WJ氏>

インフレは、人が起こすものです。
皆が仕事をせず、モノやサービスを供給しなければ、インフレになります
定量的な説明は、無用です。
インフレが起きないように、皆が、きちんと働けば、問題は起きないのです。
政府は、必要なところに、必要な金額の予算化を行い、経済的底辺を支えるために、通貨を供給するべきです。
インフレが起きれば、国民を責めれば良い
のです。
政治は、「皆さん、国民一人一人、企業各々が、インフレを起こすのですから、起こさないように供給をしっかりしなさい!」と言うだけで良いのです。
他の懸念は、株価の暴落や急上昇でしょう。
こんなもの、何の問題でもないのです。
個々人の生活とは、無縁の金ですから。下がれば上がり、上がれば、下がる。上下動があるほど、儲かるチャンスというだけです。

 もちろん、とてもとてもNI氏を納得・満足せしうる回答でないことは明らかですね。
 理論派のWJ氏の開き直りとも思える答えには思わず笑ってしまいます。

 ただ、ベーシック・ペンションが意図している国内での自給自足体制、すなわち需要供給体制を構築するということドンピシャリであること、肝ですので、記憶にとどめて頂きたいとも思います。


<NI氏>

需要に対する供給力不足によるインフレは現在の技術力と製造設備能力からおこりえないことは理解しております
只、供給は海外からも可能で、国内は働きたくても、仕事がないという状況がありえます
株や土地の変動による金持ちの損得は懸念しておらず、変動によるインフレが一般国民に与える影響を懸念しております。
只、今後の日本では、特定地域を除けば、土地余りで土地バブルは起きないと思ってます。


海外勤務経験の長いNI氏の最大の懸念は、海外取引、外為問題にあることは、明らかです。



<WJ氏>

NI氏 の指摘「蓄積され続ける円通貨に対し、海外からは円安の動きがでます。」に対して
円安は、良いことです国内に産業が戻るでしょう
グローバライゼーションは、遣り過ぎなのです。
もっと、国内で農林業、漁業、畜産業など、投資を行い、コンピューター制御を活用し、楽に従事できる産業に変換すべきです。
日本の食料自給率も、少なくとも、毎年7割以上にすべきです。
大切なのは、お金ではないのです。
モノとサービスが、定常に健全に流れ続けるように通貨を使うのです。
有り余る通貨は、歴史の必然でしょう。
お金持ちは、どんどんと増加し、さらに資金量を増やし続けます。
しかし、彼らを罰する必要はないのです。
通貨を使って、困っている人たちを助けるだけです。

この内容は、当サイトが提案する専用デジタル通貨方式ベーシック・ペンションが意図し、めざすものと一部共通しています。

<IN氏>

円安は輸出競争力を増やす面があり、国内に産業が戻ってくるとの理屈でしょうが、そう、都合良く、いくのでしょうか?
世界には、日本より、労働単価の安い国は多くあり、産業は余り、戻らず、輸入品物価上昇によるインフレの悪影響の方が遙かに深刻と言うことがありうるのでは。
MMT理論がうまくいくのなら、世界中の国が社会保障をどんどん、やっていけばよいというパラダイスですが?
私は、世界の主要国が協調しながらという条件でないと、無理だろうと思っております。
このような懸念に対する説明が出来なければ、多くの人の理解は得られないような気がします。


 これだけ円安が継続し、賃金・所得も生活レベルも上がらない状況が続くこと自体、日本の産業構造の再転換を図るべき段階にあると、国も財界も強く認識し、国内回帰を真剣に考えるべきことは、長引くコロナ禍で十分思い知らされたはずです。
 すべての領域においての安全保障体制を再考、再構築すべき。
 そういう認識から、親サイト https://2050society.com で、先月から以下問題提起しています。

(参考)
◆ 異常な祭りの後に正常なまつりごとを:2021年起点に構築する2050年国家ビジョンと長期政治行政改革計画1ー2021年衆院選各党公約注視から(2021/7/21)
◆ 当サイト2050society.com の2021年下期カテゴリー変更:コロナ禍で構築すべき国家ビジョンと長期政治行政改革計画-2(2021/7/26)
◆ 国土・資源政策、社会政策、経済政策、国政政策4区分での長期ビジョン重点戦略試案 (2021/7/27)
◆ 国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題 (2021/8/1)
社会政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題 (2021/8/3)

<WJ氏>

やがて、多くの人々は、億単位の資産を持つようになり、皆が、お金などどうでも良いと考えるようになるでしょう。
人類の知恵と真価が試されるのは、それからです。
(現在でも、現金通貨の70-80倍の、資産価値が、日本経済にはあります。経済評価の中では、どうでも良い資産です。横で寝ているだけですから。)


閑話休題:円高・円安論

以下は、本題から外れますが、同投稿のやり取りにあった、<SS氏>と<WJ氏>との円高・円安をめぐる相反する意見のやり取りを、面白いので参考までに転載しておきました。

<SS氏>
将来不安は、商品を預金に変え経済を停滞させている日本経済であり、そして、プラザ合意以降は、国内産出を海外産出へ移行し、商品を外貨預金に変え国内のGDP成長を停滞させてます。
国家経営の抜本的な変更を希望してます。
1.国債費(返済)の概念を払拭すること。 政府 財政出動+国債費(返済)T 発行国債+税金から、下記の財源概念へ変遷させる 政府 財政出動 T 発行国債+減数国債+税金ー
2.海外出稼ぎ産出は外貨を増やし、国内経済に還元されず対外純資産は360兆円を超え増え続ける矛盾があり、海外産出を国内産出へ移行させる国家経営を望む。

<WJ氏>
海外からの収益は、日銀や財務省が、買い入れて、円通貨に替えて持っておれば良いのです。
どんなに多くもつようになっても、市場に出てこない限りインフレには、なりませんから。

<SS氏>
海外で産出した利益(外貨)はその産出したところでその外貨は消費します。
従って、海外生産した商品を日本に持って帰ることになります。
だったら、国内で産出することがベストになります。 
外貨を日銀や財務省が買入すれは円高になり、難しいでしょう。
そこで国家経営は外人労働者(出稼)を受け入れ、対外純資産(360兆円越え)を消費することを進めているはずです。

<WJ氏>
外貨を買い入れを続けると、円安圧力ですから、役立つのです。

<SS氏>
海外産出によって外貨が増え、日銀、財務省の外貨買入は国内に外貨が増えるだけです。
その結果が対外純資産360兆円を超えてます。
対処療法は円高を招き続けます。


NI氏のインフレ懸念論に関するWJ氏回答

 次に、NI氏の最大の懸念、インフレについてのお二人のやりとりを紹介しつつ、私の考えるところを加えていきます。

<NI氏>

過去の経済政策が他国に比較しても、日本の経済停滞の要因かと思います。
政府は、緊縮財政政策から財政出動政策に変更すべきかと思います。
インフレが実際に発生すれば、経済政策を柔軟に変更すれば良いかと考えます。
しかしながら、社会保障政策は継続性が必要です。
インフレになったから、、社会保障支給額を減らすでは困ります。
通貨を自国で発行出来る国は財政破綻は心配ないは理解出来ます

問題は、インフレです。
インフレになる要因毎に、皆が理解出来る説明が大事です
要因としては、
1.需要と供給関係によるインフレ、
2.通貨の大量発行に起因する外国からの信用不安による円安、その結果、輸入資源の価格高騰によるインフレ。
3.供給が限られる資源、土地等が高騰することによるインフレ


1項のインフレについては、生産能力の観点から、需要が増えても、供給力があり、インフレは起きないは理解できます。
2,3項の要因によるインフレはありうると思いますが。


 NI氏も稀有なご経験をお持ちな方で、真摯に物事をお考えになる方です。
 しかし、「定量的に示す」ことを要求されるのですが、果たして、インフレ発生に、要因ごとに何かしらの基準があるのでしょうか。
 過去の歴史を振り返ればそうであった、という程度のことで、それも後理屈を付けて、なんとか合理性を見出し、経験として活かそうという姿勢に過ぎないような気がしているのは私だけでしょうか。
 

 なお、ここでNI氏が提示しているインフレ要因については、一部違いはありますが、先述した記事
ベーシック・ペンション導入によるインフレリスク対策-1:ベーシックインカム現実的実現法考察-5 (2021/8/2)
のなかでも触れました。

 当サイトで提案するベーシック・ペンションは、社会政策の軸として導入することを提案しています。
(参考)
社会政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題(2021/8/3)

 

<WJ氏>

2.通貨の大量発行に起因する信用不安 は、信用不安が起こるほど、通貨発行しないのです。
例えば、年金金額は、65歳超で退職したら、男女にかかわらず全員月額20万円として、従来の年金積立は各個人に返済します。
高齢者は、皆安心し、無茶に使う人はいないでしょう。
積み立てられた預金は、世代の信用になる。
大切なことは、高齢者が安心すると、若者世代が安心することです。
すると、好循環が生まれます。

3.土地、株などの価格上昇も下落も、儲けのチャンスというだけです。
暴落で損するのは、金持ちで、無用な金融資産で損しても、誰も困りません。
実は、3についての不安が最終の問題ですが、リーマンショックで1000-2000万円の損を出した資産家は、多くいますが、誰も困っていません。
世界で金は、余りに余っていますから、今後も、貴金属、石油、株式、他の金融資産、土地・・・などで、上がったり下がったりしますが、金融資産の数字遊びしているだけで、金持ちが損をしても、困らないのです。


高齢者の話が出ましたので、同氏の投稿に、年金についての記述がありましたので、以下に整理して挿入しました。

WJ氏の年金論

日本の年金制度は、
1.少しづつ、年金手取りを減らすばかりか、後期高齢者になると介護料などを増加し、年金の手取りを減らしており、これが、GDPの減少に貢献してきている。
2.社会には、お金があると感じている人と、ないと感じている人があるが、高齢者の中、お金がないと感じている人の割合は、非常に多い。その理由として
3.貯蓄(Stock)は、病気療養、災害などの非常時経費として貯蓄してきたものであるため、自分の経済力とは認識していないためである。
4.老若男女に関わらず、月々の収入(Flow)の多寡が人々の消費性向を決める。
5.どの環境でどの遺伝的特質をもって生まれたかで、仕事・収入が大きく変わるように、人生は、平等・公正なものではなく、運・不運に左右される要素が圧倒的に大きい。ー高齢になり退職したり、病気や障害で働かない人は、経済の中、消費者の役割を認識すべき。消費だけで経済貢献しているのだ。ー (消費が供給を生むため
6.そのため、高齢になって財力がないと感じている人々は、自己責任論で自らを恥じる必要はない。
7.退職した高齢者が十分な年金を得て暮らすことができれば、日本のGDP、若者世代の収入を支え、将来の貧困層の減少につながる。
8.政府が、経済運営で第一に着目すべきは、GDPの大きさであり、それは、人々の活動(Flow)である。
9.高齢者層を安心させる年金制度を作れば、高齢者層に消費する役割が与えられ、GDPの減少(デフレ)を止めることができる。
10.その予算化で重要な方法は、公的債務(国債)を発生しない、政府による通貨の発行である

<NI氏>


経済政策として、過度なインフレになるまでは、政府財政出動は賛成です。
社会保障に対し、自国通貨を発行できる国は財政破綻はありえないので、出来る,、には懐疑的です。
インフレが生じる程、大量に通貨を発行しないので、インフレは大丈夫といっておられますが、定量的判断ではありません。

 高齢者の安心は大切なことですが、現役世代、若者世代にも現在や将来への大きな不安を抱えている多くの人々がいます。
 WJ氏は、そちらの方への関心や問題意識はさほど高くないのが残念に思われます。
 現役世代や若者への支援や不安を取り除く社会保障政策の拡充があれば、一層望ましい好循環が生まれると思うのですが。
 まして、政府債務の心配は無用というロジックでいけば、それもたやすいことと思えますし、何より現役世代の方が需要レベルが高いですし、彼ら自身が供給主体にもなるわけで、一層経済の活性化を促すことになると思います。

 なお当サイトで提案する、ベーシック・ペンションは、以下のように年齢・年代に応じて専用デジタル通貨で生活基礎年金を支給するものです。

・児童基礎年金 (学齢15歳以下)   一人月 8万円、年間 96万円 
・学生等基礎年金(学齢16~18歳)     月10万円、年間120万円
・生活基礎年金(学齢19歳以上満80歳未満) 月15万円、年間180万円
・生活基礎年金(満80歳以上)       月12万円、年間144万円


2021年8月2日投稿紹介

 これまでの流れでまとめる予定でしたが、一昨日、WJ氏も気になったのか、NI氏に向けて以下投稿しましたので、一部繰り返しになりますが、これも転載しました。

<WJ氏> 


どうも、私の考えている通貨制度について、疑問が続くようなので

例えば、日露戦争の頃の日本政府の予算は、数億円であった。
当時、日本の人口は、4千万人程度であったが、我国を欧米列強諸国、特にロシア帝国から守るため、日本政府は、英国から軍艦を買い、ユダヤ系金融業者からお金を借り、ぎりぎりで知恵を絞り、必死だったのである。ところで、現在の政府の一般予算は、100兆円である。単純に約100年で5億円が100兆円になったとすれば、20,000倍である。では、現在の我々日本国民は、2万倍、豊かに、或いは、より幸福になっているだろうか。答えは、多分、「否」であろう。では、なぜ、こんなに数字がクレージーに増加したのかと言えば、これは、数字の魔術が働いたためというだけである。この地球上、空気、水、あらゆる物資には、限度があるにもかかわらず、人が考え出した数値には、限度がない。最近は、4Gが5Gになるので、通信料が100~1000倍になると騒がれているが、通信速度(波長を1/2・1/2・1/2・・と限りなく短くできる)も数字の遊びで、雑音除去の技術が発達すれば、通信量を無限に増加できる。

一般に文系エコノミストは、数に弱く、多次元空間とか、無限の概念で思考する力がない。
そのため、国債累積額が増加するだけで、警告を賢いそぶりで発信するのだが、通貨は、数の性格が、本質である。
未来において、通貨も債務も無限に増加するが、その対策は、デノミすることとなるだろう。


(単純に言えば、債務は、経済価値がどこから出たかの記録であり、資産は、現状である。
債務ができたとたんに、同額の資産ができて、その資産を使う人の労力が、さらに資産を生み、どこまで行っても、地球全体では、債務超過にならない。)つまり、デノミでは、これまでの1000円を1円に数えなおす。
円と言う単位が同じで嫌なら、「大円」との新たな通貨単位にしても良い。
そうすれば、預金通帳の印字の桁が少なくて済む。
地球全体での経済的な資産価値を20京円として、うち、5京円が自由に動き回る金融資産としよう。
日本の株式市場価値が、700兆円であるが、世界の株式市場全体では、1京円である。
これら数値は、今後も限りなく増加していくだろう。
しかも、その価値評価の方法は、日々、市場で取引される(全体の1%?)価値で全体を評価する。

誰でも「本当?」と尋ねたくなるような数値:便宜上だけのいい加減さだ。
私の提案は、こんないい加減な数値の遊び;全体評価額にかまうことは、無意味であり、考える必要がないということだ。

そのアナロジーとして日本人に分かり易いのは、「水」である。通貨を地球上の「水」のように考えるということである。
私たちは、毎日、水を飲み、使っているが、その総量を気にしているだろうか。
私は、政治家に福島原発からのリチウムを含む汚染水の放流対策を提案した時、太平洋の平均深さが、3.6kmであることを知ったが、我々は、目の前にある太平洋の水量を、気にしていない。
我々の認識の中、それは、ほぼ無限に多いというだけである。

各国通貨量も金融資産量も全体としては、数字の性格上、今後も限りなく多くなる。

と言っても、地球上には、水が不十分の地域もある。その地域には、無限に広がる海洋水を浸透膜技術で純水にして、配布すれば良いのだ。
(技術的に、必要に応じて通貨さえ供給すれば、全て解決していく愉快さ)通貨も困っている経済弱者がいれば、働く意欲や人としてのプライドが傷つけられないような仕組みで、支援し、補助してやれば、良い。

 WJ氏は、稀有な経験をお持ちで博識の方とお見受けしているのですが、意外に?、時々乱暴な意見を発する傾向、危うさもあるのが特徴です。
 ご自身の経験と能力に裏打ちされた主張ですが、重要な提案・主張の内容の多くは、実際に行った経験や、行われた事例からというものが殆どないことで、説得力を欠くことが多いのも特徴と言えます。
 文系をバカにしている様子が窺えるのですが、理系脳の同氏のロジック、理論には、絶対的な証明が欠落もしているので、文系の私は、どっこいどっこいのような気がしています。

<NI氏>


ご説明の要旨を私なりに理解すると、物価とはその時々の価値基準であり、米一升を明治時代はいくらで、買え、現代はいくらで買えるかの違いに過ぎない。
政府が財政支出をいくらしても、通貨量が増え、その比率で物価が上がり、国の債務はその分、減少するので、気にする必要はない。
物価が1割増加すれば、国の債務は1割減ると考えれば良い。
これがデノミであり、自国通貨を発行出来る国では財政破綻はありえない。
このようなことが成立するための前提条件が抜け落ちている気がしてなりません

例に出している水で考えますと、水が不足する国にたいし、海洋水は浸透膜技術で真水を造り、供給すれば済むと単純に言われておりますが、その為にはコストがかかり、そのコストを他国が負担してくれるのでしょうか。

円の大量発行により、円安になっても、日本での価格競争力があがり、国内に工業産業が戻る。
又、輸入食料に対し、国内生産食料価格が有利になり、食料自給率が上がると簡単に言われます
低レベル技術産業は更に労働単価の安い後進国との競争に晒され、先端技術産業では技術開発力や開発資金で経済力が落ちた国は競争に勝てず、円安が進行しても、国内産業の復興が出来る保証はありません
日本は、円の大量発行で、円安となり、食糧自給率は上がるが、鉱物資源やエネルギー資源の輸入額は大幅に上昇し、工業製品の輸出は伸びず、外貨保有高は減少し、経済弱小国で農業国への道を歩んでいく気がします。
政府は必要なだけの財政支出をしても大丈夫との説明が成立するのは、日本単独では無理で有り、世界の経済主要国が国の枠を越え、同じ考えに立って、協調し、同じ財政政策を展開していくことが必須だと思います。
水の例では、海水から浸透膜技術を使い真水を造り、そのコストは全世界で負担するような仕組みであれば、成立するかと思います。

 博識なWJ氏は、よく種々の例え話を引き出して、持論の妥当性を補強・補完します。
 それらが、本当にそこで適当・妥当な例なのか、疑問に思うことが多いのですが、今回もその例に洩れません。
 NI氏が、真面目にそれを受けて自説を返すのが、微笑ましく、望ましくも思うのですが、どちらもピンときません。

過剰発行通貨、蓄積政府債務の天文学的数値の行く末は?

 インフレと外為市場の激変の行き着く先の一つが「デノミ」。
 久しぶりに聞く用語ですが、ここまでの議論が果たしてここで必要・必然のものか。
 これもどうもピンとこない話です。
 水に例えての話となれば、なおさらのことです。

インフレリスク、外為リスクを想定してのベーシック・ペンションのベーシックな配慮

 
 さて、現実的に、ベーシックインカム、あるいはベーシック・ペンションの厖大な通貨発行で懸念されるインフレに確実に効く方策はあるか。
 正直、やってみないとわからない、起きるかもしれないし、大したインフレにならないかもしれない。

 そもそも、特にベーシック・ペンションでは、現金ではなく、ベーシック・ペンション専用のデジタル通貨(JBPC)での支給です。
 発行されたJBPC(Japanese Basic Pension Currency)は、一定期間内にすべて回収され、消却され発行残高から消去されます。
 また、ベーシック・ペンションは、国内における自給自足経済基盤を形成し、生活基礎物品とサービスの需要供給バランスを実現することを目標とした経済政策を一体化した社会政策の基軸とするものです。
 その目標と期限を定め、持続した取り組みを、国策として進めようというものです。

 NI氏が懸念するインフレや円安・円高外為上の不安・リスクは、今回の紹介にあるように考え方は分かれます。
 どちらかに絶対的に帰結すると断定することは不可能と考えます。
 そして、やはりインフレは、複合的要因がもたらすものであり、ベーシックインカム、ベーシック・ペンション以外の要因が引き金になる可能性も多々あると思っています。

 また、インフレリスクを最小限に留めるべく、影響度を確認しながら導入するという目的では、先の記事で述べたように、支給額を年次ごとに徐々に増やしていく方法も選択肢としてあります。
(参考)
無理なく、漸進的・段階的に導入するベーシックインカム:ベーシックインカム現実的実現法考察-3 (2021/7/19)

 また、回収されたデジタル通貨JBPCの一部は、どうしても現金化され、民間企業により、あるいは政府支出として市中に出回ります。
 それにより一部は、海外取引にも充てられます。
 それは、NI氏が懸念する要因の一部ですが、その及ぼす影響度は、全額現金給付と比較するとかなり低いものとなるに違いありません。

 実は、NI氏のお考えについては、これまでの私の提案に対しても頂いており、それを元にして対論の形式で、以下の記事を投稿しています。
ベーシックインカム財源に関するNI氏論とのWEB対論(2021/4/13)

 結論を申し上げると、今回の記事内容は、それを超えるものではありません。
 しかし、NI氏が、国際的な理解が必要という点についても、私も、ベーシック・ペンションが、日本独自のベーシックインカムであり、その基本的な思想、システムを対外的にしっかり説明し、このある意味ドメスティックな取り組みを成功させ、その考え方と方法をノウハウ、システムとしてグローバル展開できることをめざすべきとも提起しています。

 他の例を上げれば、100%再生可能エネルギーによる水素社会実現で化石燃料の輸入は不要になります。
 提案している食料自給自足や生活基礎物品の国内需要供給体制整備を推し進めることで、逆に円の信任性を高める方向に向ける政策化を後押しするのでは、とも考えます。
 そうした種々のインフレ対策を組み入れたベーシック・ペンションの仕掛け、意図については、前回の記事で提示しましたが、今回、以下に再掲しました。

1.国内経済の安定化、自給自足経済システム、需要供給バランス形成のためのJBPC
 ・国内でのみ利用可能な専用デジタル通貨
 ・基礎的な生活を送るためにのみ利用できる、使途限定専用デジタル通貨
 ・認可された国内事業者に対してのみ利用できる、使途限定専用デジタル通貨
 ・基礎的生活を送るための安定的な国内及び地域内需要・供給バランスを維持・形成することに寄与する専用デジタル通貨経済を実現

2.過剰通貨発行によるインフレ抑制を意図したJBPC
 ・利用期限が設定され、未利用分は自動的に発行元である日銀に回収され、期限内に消却される。(残高はゼロとなる。)
 ・利用消費されたJBPCの一部は、民間事業者の請求に基づき日銀が現金に換金する。(一定の交換手数料を設定することも可能)
  回収されたJBPCは、日銀勘定の資産と相殺され消却される。
  民間事業者に渡った現金のみ、自由に利用されることになる。
 ・消費税や健康保険・介護保険利用時の自己負担分として利用されたJBPCは、政府及び保険所管の請求に基づき現金に換金し、回収されたJBPCは、同様消却される。
 ・民間事業者からの自由な利用可能な現金への転換を抑制するために、一定の条件を付して、法定福利費のJBPCでの納付、保有JBPCの損金処理による日銀への返還なども選択可能。
 ・支給された本人だけが、設定された期限内でのみ利用可能であり、他人への譲渡や相続ができない、資産性を持たないデジタル専用通貨
 ・毎年発行されるJBPCだが、デジタル化により、発行年次・回収消却年次管理が確実に行われ、無限に発行残高が積み上がることはなく、自ずと上限が定まっており、かつ、常に利用状況・残高状況が、日銀専用口座方式であるため把握できる。

 以上、前回・今回と、ベーシックインカムもしくはベーシック・ペンション導入で懸念されるインフレ発生リスク対策について考えてみました。
 無論、満足・納得できる考察を提示できるとは考えておらず、部分部分の継ぎ接ぎレベルかもしれませんが、素人なりの考えの再確認作業にはなったと思っています。
 
 皆さんのご意見、助言を頂けるとありがたく存じます。

参考:ベーシック・ペンションについて知っておきたい基礎知識としての5つの記事

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)(2021/5/20)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)


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