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『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション:シリーズ開始にあたって


2023年最初に読んだ、中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書)。
「グローバリゼーションの終焉」と題した第1章を皮切りにし、最終章を「恒久戦時経済」で結ぶ重いテーマです。
本書は、数年来、2つのWEBサイト、https://2050society.com , http://basicpension.jp で取り組んできている<2050年の望ましい社会創造>と、<日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金>導入と直接・間接に関連し、視点・考え方に共通する、あるいは示唆に富む内容が多く、刺激になるものでした。

グローバリゼーションの終焉とこれから:中野剛志氏著『世界インフレと戦争』を読む(2023/1/7)
を、一昨日 http:/ohnoharuo.com に投稿。
これを受け、まず当サイト http://basicpension.jp で、【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ開始における基本方針・計画を本稿にメモします。

【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ基本方針

同書は、元々は、ベーシック・ペンション導入時に懸念されるインフレに関する想定事項や原因・対策などを考察するために、先に読み終え、紹介・投稿もした、渡辺努氏著『世界インフレの謎』(2022/10/20刊・講談社現代新書)と重ね合わせ、関連付けて入手したものです。
<参考>
従来の経済理論が通用しなくなった物価・インフレ動向・要因とベーシックインカムとの関係:渡辺努氏の物価・インフレ論から考える-1(2022/12/24)
ベーシック・ペンションによる過剰流動性及び需給アンバランス要因でのインフレ対策:渡辺努氏の物価・インフレ論から考える-2(2022/12/30)

しかし同書は『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』というタイトルが示すように、元来、ロシアのウクライナ侵攻他、現状の地政学上の多様なリスクの要因から解きほぐし、現在とこれからのリスクにどう備えるべきかを主張・提案するもの。
そのテーマそのものが、ベーシック・ペンションのみならず、もう一つのサイトの方針としている2050年の望ましい社会創造と、そして同サイトで昨年第4四半期から重点テーマとしている、多面的・多様な社会経済<安心安全安定・保有保持確保>の「安保」政策課題と強く関連するものです。
その根拠は、最後に転載した、同書の目次で確認いただけると思います。

そこで、2つのWEBサイト共通で、今年第1四半期の主要テーマとして、【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズを設定し、取り組むことにしました。

1.2050年までに実現をめざす生活基礎・社会保障「安保」としてのベーシック・ペンション
2.2050年に向けて整備・構築すべき<安心安全安定・保有保持確保>の社会経済システム「安保」

この2つが、シリーズの目的・基本方針となります。

そして、そのシリーズを構成する各稿の案を、ひとまず次のように設定してみました。

【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ展開計画(案)

1.「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題
 1-1 地政学・政治体制リスクと国家安保をめぐるコンセンサス形成ニーズ
 1-2 グローバリゼーション終焉の現実としての食料・エネルギー安保政策
2.「第2章 二つのインフレーション」から考えるベーシック・ペンションとインフレリスク
 2-1 デマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレ、それぞれの特徴
 2-2 ベーシック・ペンションにおけるインフレ懸念の性質とリスク回避の可能性
3.「第3章 よみがえったスタグフレーション」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 3-1 過去のインフレ、スタグフレーションの要因・実態と金融政策経済安保
 3-2 インフレ対策としての利上げ政策の誤りとベーシック・ペンションにおける想定対策
4.「第4章 インフレの経済学」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 4-1 財政政策がもたらす需要・供給と経済成長循環と国家財政の基本
 4-2「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」から考えるベーシック・ペンションの財源論
5.「第5章 恒久戦時経済」から考える21世紀の総合的・体系的・恒久的安保とベーシック・ペンションモデル
 5-1 恒久経済システム確立のための新しい資本主義及び金融システム改革構想
 5-2 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的基礎生活及び社会保障安保
 5-3 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的社会経済システム安保


テーマを見ると、2つのWEBサイトをほぼ交互に入れ替わるようになっており、実際の記事投稿も当該テーマに応じて切り替えて行ってまいります。
なお、シリーズを進めるなかで、個別のテーマの変更修正や順序の入れ替え、回数の変更などもあるかと思います。
ご容赦ください。
なお、上記各稿テーマと本書の内容と強く関連している部分は、以下の目次において太字で示しています。
その目次に盛り込まれている以外のキーワードとして、
・内生的貨幣供給理論と外生的貨幣供給理論
・信用創造、預金準備
なども取り上げる必要があると考えています。

世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』目次

はじめに 物価高騰が示す世界の歴史的変化
第1章 グローバリゼーションの終焉
  ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
  終わりの始まりは2008年の金融危機
  最初から破綻していた、リベラリズムという論理
 「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
  東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
  ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 ・金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 ・物価高騰は一時的な現象では終わらない

  防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
  世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 ・TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 ・エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 ・電力システム改革が電力不安を不安定化した

  中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 
第2章 二つのインフレーション
  グローバリゼーションが終わったからインフレが起きた
  先進国ではインフレにならないことが問題だった
 ・デマンドプル・インフレ ー 需要過剰で物価が上昇
 ・コストプッシュ・インフレ ー 供給減少で物価が上昇

  コストプッシュで持続的な物価上昇が起こる経緯
  一時的な物価上昇も「インフレ」か
 ・原因も結果も対策も大きく異なる二つのインフレ
  ノーベル経済学者十七人が長期のインフレ対策として積極財政を支持
 ・資本主義経済の正常な状態はマイルドなデマンドプル・インフレ
  コストプッシュ・インフレの言い換え
第3章 よみがえったスタグフレーション
  第二次世界大戦後に起きた六回のインフレ
  過去六回と比較し、今回のインフレをどう見るか
  2022年2月以降はコストプッシュ・インフレ
  FRBによる利上げは誤った政策
  IMFは利上げによる世界的景気後退懸念
 ・コストプッシュ・インフレ対策としては利上げは逆効果
 ・1970年代よりはるかに複雑で深刻な事態

  世界的な少子高齢化から生じるインフレ圧力
  気候変動、軍事需要、長期的投資の減速
 ・「金融化」がもたらした株主重視の企業統治
 ・企業が賃金上昇を抑制する仕組みの完成
  なぜ四十年前と同じ失敗が繰り返されるのか
  インフレ政策をめぐる資本家と労働者の階級闘争
  七〇年代のインフレが新自由主義の台頭をもたらした
 ・ケインズ主義の復活か新自由主義の隆盛か 
第4章 インフレの経済学
  主流派経済学の物価理論と貨幣理論
  貨幣供給量の制御から中央銀行による金利操作へ
  コストプッシュ・インフレを想定していない政策判断
  問題の根源は、貨幣に対する致命的な誤解
 ・注目すべき「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」
 ・財政支出に税による財源確保は必要ない
  政府が財政赤字を計上しているのは正常な状態
 ・政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない
 ・財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ・ポスト・ケインズ派は「需要が供給を生む」と考える
 「矛盾しているのは理論ではなく、資本主義経済である」
  経済成長には財政支出の継続的な拡大が必要
  ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 ・コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない 
第5章 恒久戦時経済
  第五波インフレで、世界は政治的危機へ
  中世ヨーロッパ文明に終焉をもたらした第一波インフレ
  格差拡大、反乱、革命、戦争を引き起こした第二波・第三波
  冷戦の終結をもたらした第四波インフレ
  すでに危険な状態にあった世界を襲った第五波
  内戦が勃発する可能性が高まっているアメリカ
  債務危機のリスクが高まりナショナリズムが先鋭化するEU
  成長モデルの根本的な変更を余儀なくされている中国
  中国の行き詰まりから東アジア全体で地政学的危機勃発か
  日本は最優先で何に取り組むべきか
 ・安全保障を強化し、内需を拡大させる産業政策を
 ・国内秩序を維持するための「大きな政府」
 ・特定の財に限定した「戦略的価格統制」の有効性
 ・世界秩序の危機は長期化し、戦時経済体制も長期化
  「恒久戦時経済」構築以外に生き残る道はない 
おわりに 悲観的積極主義

20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

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