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岩田正美氏著『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-1:本シリーズ方針

『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-1

 昨年12月下中旬から読み始め、2022年1月第1週になんとか駆け足で、なぞる形で読み終えた岩田正美氏に拠る新刊書『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』(2021/11/5刊:岩波書店)。
 生活保護制度の解体・再編をテーマとした本書を取り上げて、当サイトで提案のベーシック・ペンションを再確認し、より深堀りすることを当初からの目標・目的にしていました。

 本稿は、シリーズを開始するに当たっての方針・計画を整理するための、実質的には準備・序論に当りますが、一応通算する形で、第1回目のものとします。

 まず初めに、同書の目次を以下に整理しました。

『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』 構成-1

序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
2.誤解とマイナスイメージ
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋

第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
3.運営の二重原則
4.具体例で考えてみると
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか

第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
2.国民皆保険と「低所得者対策」
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
5. 低所得基準と生活保護基準

第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題

第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
2.住宅手当の新設
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
6.多様な方法での最低生活保障を

終章  生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
4.ベーシック・インカムのほうが早い?



次に、本書の著者である岩田正美氏のプロフィールを、同書から引用します。

著者・岩田正美氏プロフィール

・1947年生。日本女子大名誉教授
・中央大学大学院経済研究科修了、日本女子大学博士(社会福祉学)
・東京都立大学人文学部助教授・教授を経て、1988年日本女子大学人間社会学部教授、2015年定年退職
・2001年~2011年厚生労働省社会保障審議会委員、2011年~同審議会生活保護基準部会臨時委員等歴任
・主な著書:『現代の貧困ーワーキングプア/ホームレス/生活保護』(ちくま新書・2007年)、『社会福祉のトポスー社会福祉の新たな解釈を求めて』(有斐閣・2016年)、『貧困の戦後史ー貧困の「かたち」はどう変わったのか』(筑摩書房・2017年)等

次に、上記の章と節からなる目次構成に、各節ごとに具体論として展開されるすべての<項>を抽出し、本書がどのように展開されていくかが分かるようにしました。

『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』 構成-2

序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
・都内バス停にて ーホームレス女性殺人事件
・パンデミック下の生活保護利用と特別定額給付金
・「現金一律給付」と生活保護制度
2.誤解とマイナスイメージ
・社会扶助としての生活保護
・生活保護が増えると国の底が抜ける?
・高齢・単身利用者の急増
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
・生活保護が「必要な人」とは?
・ 生活保護は捕捉率が大事
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
・近年の危機と第二のセーフティネット
・なぜ「最後のセーフティネット」であることにこだわるのか?
・生活保護の八つの扶助は、異なった生活ニーズに対応している
・「低所得者対策」と生活保護の関係を解きほぐす
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋
・生活保護改革案
・全国知事会・全国市長会の新たなセーフティネット案
・全国知事会・全国市長会提案と「わたしは、ダニエル・ブレイク」
・なぜ自治体は生活保護を押さえ込みたいのか
・提案にあたっての二つの原則
・カテゴリー別「制限扶助」の弊害
・ 本書の構成

第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
・生活保護の目的と責任
・「誰」が利用できるか ー無差別平等
・必要な生活費をどう計算しているか
・資産調査(ミーンズテスト)と他の要件
・「親族扶養」はマストなのか?
・日本的特徴 ー新しい考えと古い考え
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
・「生活困窮者」への「全一的」保障という設計
・貧困の原因を区別する
・社会保障と社会福祉のあいだで
3.運営の二重原則
・申請保護/職権保護
・世帯単位/個人単位(世帯分離)
・ 基準表/必要即応
・非現実的な「すべて現物給付」
4.具体例で考えてみると
・A子さんの保護申請と要否の判定
・医療・介護の計上の仕方と収入充当順位
・生活保護は「差額」の支給にすぎない
・貧困の大きなファクターとしての医療費
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
・生活扶助と加算
・年金・手当に連動した加算の再配置
・「特殊需要」というロジックのあいまいさ
・障害者加算の複層構造と「その場限りの需要」
・さらに不思議な住宅扶助基準
・住宅の特別な位置
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか

第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
・ベヴァリッジ報告と社会保険中心主義
・奇跡か、冒険か
2.国民皆保険と「低所得者対策」
・生活保護利用者の国保「適用除外」
・国民健康保険の基本問題 ー三重の均質性の欠落
・低所得層への保険料の軽減・減免策と高齢者医療無料化
・国保加入世帯の半数以上が保険料軽減対象
・高額療養費「特例該当」と医療扶助単給
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
・「基礎年金」は「最低生活費」を意味していない
・国民年金の低所得者対策 ー福祉年金としてのスタート
・二つの福祉年金
・国民年金の保険料免除・軽減策
・「皆保険・皆年金」内部の低所得者対策の意味
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
・生活保護への移行を防止する「境界層措置」
・「ボーダーライン層」への貸付制度と第二のセーフティネット
5. 低所得基準と生活保護基準
・多様な「低所得者」の定義
・「基礎控除」と「非課税限度額」 ー何が違うのか?
・ 基礎控除、「非課税限度額」、生活保護基準はどのような関係にあるのか
・低所得基準は保護基準より上でなければおかしい

第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
・義務教育なのに生ずる教育費用
・社会生活の基盤としての住宅扶助と、情報インフラの重要性
・医療・介護はなぜ現物給付か
・「妊娠・分娩・産褥・新生児管理」と出産扶助
・出産期の女性を支える包括的な施策が必要
・「死後の保障」としての葬祭扶助
・増加する葬祭扶助
・自立助長のための生業扶助
・一歩手前での対応が可能な制度設計に
・日本の既存の制度体系の中に溶け込ませる
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
・社会保険と社会扶助の教科書的整理
・公助・共助・自助
・保険と扶助は共に「互恵的」なもの
・社会保険は「対価的」というより、はじめから「社会的賃金」
・保険料を税的に使う ー社会保険における支援金
・社会保険は「共助」で税による生活保障は「公助」なのか?
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
・目標はあくまでも問題解決
・普遍主義の枠組みの中に選別政策を配置する
・「選別的普遍主義」というありかた
・国民皆保険・皆年金の低所得者対策と選別的普遍主義
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題
・「多様な働き方」に中立的な社会保険の改革を
・対象は国民限定か ー国際的な相互関係のなかで

第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
・生活保護費のほぼ半分は医療扶助
・医療や介護サービスはなぜ「標準化」されるのか
・二つの編みなおし案
・医療扶助と国保合体への反対論
・「無料低額診療制度」「行旅病人死亡人法」
・医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
2.住宅手当の新設
・住宅手当のない国・日本
・住宅手当こそ全世代型社会保障の代表だ
・施設や宿泊所の問題
・一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない
・英国の住宅手当と施設
・「住居確保給付金」を拡張し、恒久化する
・ 公正家賃という考え方
・国交省か厚労省か、財源をどう考えるか
・住宅手当創設の提案のイメージ
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
・就学援助支援制度を発展させる
・一元化にあたっての三つの課題
・高校・大学も視野に
・子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当
・「ひとり親」による子の養育への支援に
・ 遺族基礎年金を「ひとり親世帯等基礎年金」へ
・ ひとり親世帯等基礎年金の提案のイメージ
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
■ 高齢期の場合
・個人単位+夫婦(ペア)単位で設計する
・高齢世帯の資産の考え方
・高齢期における生活扶助のイメージ
■ 障害のあるとき
・障害年金で「なんとかなる」のか?
・日本の障害年金認定の特徴は
・所得保障の確立が意味すること
・障害者加算分を「福祉手当」に
・保護の決定状況からみた不足額
・障害のあるときの最低生活保障のイメージ
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
・失業=貧困とならないために
・失業給付の中心 ー「求職者給付」の基本手当
・保護行政の「ねじれた反応」
・二つのハロトレくんと生活保護
・求職者支援法の給付金を、「求職者支援給付へ」
・求職者支援制度における求職者支援給付の提案
6.多様な方法での最低生活保障を
・「生計維持給付」としての「一般扶助」の存続と一時扶助
・利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に

終章  生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
・残された問題
・妥当な「公的貧困線」として機能する制度 ー政府のMIS
・G-MISとしての生活保護
・生活扶助基準改定の「妥当性」とその変遷
・最低生活は相対的なもの
・格差縮小への合意の時代から「水準均衡」の確認へ
・「格差の時代」の扶助基準の引き下げ圧力
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
・新たなマーケット・バスケット方式による算定
・日本での取り組み
・別のアプローチ ー主観的生活費の研究
・低所得単身世帯の把握と家計実態アプローチの可能性
・複数の基準から生活保護基準を検証
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
・資力調査か、課税資料か
・個人単位を原則に
・世帯認定と扶養問題
・人間の生活にそくした家計の見方を
・家計における「運転資金」の意味
・破産法における自由財産の考え方を参考に
・資産は「プラス思考」で
・社会扶助の効果を高めるという発想
4.ベーシック・インカムのほうが早い?
・パンデミック以後のリアリティ
・所得保障は完璧な手法ではない ー方法がすべてを解決するわけではない
・公共財としての所得保障
・「共同財源」と「私の家計」をリンクさせていくことが重要
・時代は変化している



 上記の構成で、生活保護制度をどのように解体するのかのアプローチと手順がおぼろげに分かるかと思います。
 では、なぜ本書を利用するか、その主な目的を簡単にメモしました。

『生活保護解体論』 を用いる目的及び方針

 当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金(以下、BP)が、究極的には、現状の生活保護制度のレベルの社会保障機能を上回る質・内容を持つものとし、さまざまな制度上の問題・課題を抱える生活保護制度を必要のないものとすることを目的としています。
 但し、生活保護制度を廃止することが目的ではなく、社会保障制度全体を改革することを目的及び方針としています。
 岩田氏の本書は、現状の生活保護制度が持つ多様な目的・機能を再編・再構築することで、生活保護制度を解体してしまう提案です。
 そこでのアプローチ方法や提案される新しいさまざまな制度内容は、ベーシック・ペンションとはまったく異なるものですが、個々の関連制度が帰結するところには種々の共通点があります。
 従い、当シリーズは、以下の3つの方針を元にして取り組んでいきます。

1.生活保護制度の理解
2.岩田氏主張の生活保護制度解体論の理解
3.これと対比させてのベーシック・ペンション論の再確認及び必要に応じての修正及び深堀り

最後に、本書に沿って進める当シリーズの現状での展開計画案を以下に整理しました。

<『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション>シリーズ展開計画(案)

第1回:本シリーズ方針
第2回:<序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち>より
第3回:<第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界>より
第4回:<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」>より
第5回:<第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する>よりー1
第6回:<第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する>よりー2
第7回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-1:医療制度・介護制度課題
第8回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-2:住宅手当制度問題
第9回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-3:教育制度・子ども制度課題
第10回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-4:高齢者・障害者制度課題
第11回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-5:失業及び就労関連課題
第12回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-6:第Ⅳ章総括
第13回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-1 :最低限生活課題
第14回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-2:ベーシック・インカム
第15回:『生活保護制度解体』総括評価
第16回:ベーシック・ペンションと『生活保護制度解体』 との比較総括


 途中、他のテーマでの記事を差し挟むこともあるかと思います。
 しかし、何とか、2月一杯までに当シリーズは完結させ、3月末までには、昨年来予定していた、今年2022年版ベーシック・ペンションの取りまとめに持ち込みたいと考えています。

 なお、本書の内容と関連する事項についてこれまで当サイト及び親サイトhttps://2050society.com で投稿してきた関連記事を、都度本シリーズ記事で紹介していきます。
 一応、以下に、ベーシック・ペンションとは何か、どういうものか、基本的な事項について知って頂くためのベーシックな記事を挙げています。
 確認頂ければと思います。

 長く、飛び飛びになりますが、本シリーズにお付き合いください。 

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参考:ベーシック・ペンションの基礎知識としての5記事

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)(2021/5/20)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)

(参考):専用デジタル通貨によるベーシック・ペンション給付について、デジタル通貨視点から考えたシリーズ記事
⇒ 野口悠紀雄氏著『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』から:2021年発刊新書考察シリーズ振り返り

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