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ベーシック・ペンション実現のための近未来の年表を描く:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-7


前回記事
2022年の「ベーシック・ペンション導入が望まれる社会」シリーズを再開(2023/2/23)
でお知らせしたシリーズ再開。
その中で触れた同質の2つの記事もシリーズに加えて、今回を第7回として再開します。
今回参考にしたのが、
河合雅司氏著『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』(2022/12/20刊・講談社現代新書)。

本書は、同氏によるベストセラー『未来の年表』シリーズの第5巻に当たるもの。
私の手元には、以下の第1巻と第2巻がありますが、今回第1巻も少し活用します。

・『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(2017/6/20刊・講談社新書)
・『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』(2018/5/20刊・講談社新書)

未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』目次

はじめに 
序章 人口減少が日本にトドメを刺す前に
第1部 人口減少日本のリアル
 革新的ヒット商品が誕生しなくなるー製造業界に起きること
 整備士不足で事故を起こしても車が直らないー自動車産業に起きること
 IT人材80万人不足で銀行トラブル続出ー金融業界に起きること
 地方紙・ローカルテレビが消える日ー小売業界とご当地企業に起きること
 ドライバー不足で10億トンの荷物が運べないー物流業界に起きること
 みかんの主力産地が東北になる日ー農業と食品メーカーに起きること
 30代が減って新築住宅が売れなくなるー住宅業界に起きること
 老朽化した道路が直らず放置されるー建設業界に起きること
 駅が電車に乗るだけの場所ではなくなるー鉄道業界に起きること
 赤字は続くよどこまでもーローカル線に起きること
 地方に住むと水道代が高くつくー生活インフラに起きること
 2030年頃には「患者不足」に陥るー医療業界に起きること1
「開業医は儲かる」という神話の崩壊ー医療業界に起きること2
 多死社会なのに「寺院消滅」の危機ー寺院業界に起きること
 会葬者がいなくなり、「直葬」が一般化ー葬儀業界に起きること
「ごみ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加ー地方公務員に起きること
 60代の自衛官が80~90代の命を守るー安全を守る仕事に起こること
第2部 戦略的に縮むための「未来のトリセツ」(10のステップ)
 ステップ1 量的拡大モデルと決別する
 ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する
 ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める
 ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める
 ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる
 ステップ6 全従業員のスキルアップを図る
 ステップ7 年功序列の人事制度をやめる
 ステップ8 若者を分散させないようにする
 ステップ9「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する
 ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する
おわりに

書籍のタイトルに「業界大変化」と挿入されています。

上記の構成(目次)でも分かる通り、テーマとされている業界をすべて取り上げると・・・。
製造業界、自動車業界、金融業界、小売業界、物流業界、農業業界、食品メーカー業界、住宅業界、建設業界、鉄道業界、医療業界、寺院業界、葬儀業界、地方公務員、自衛官等。

人口減少がもたらす労働力人口減少、少子高齢化がもたらす就労者の高齢化と若手人材不足

本書の視点は、第2部で戦略視点からの「未来のトリセツ」を示すように、業種ごとの経営のあり方を提案するものです。
従い、そこではベーシック・ペンションとの接点はありません。

ただ、こうした業界のそれぞれの業種に応じての主要職種において、
・人口減少に伴う労働人口の減少及び人材不足
・少子化・高齢化に伴う企業・職場における就労者の高齢化と若手人材不足
という共通の問題・悩みが拡大していくわけです。
本書では、例として自動車整備士不足、ドライバー不足、建設現業人材不足などが挙げられています。
とりわけ目新しい問題ではないように思われますが、現業においては死活問題でしょう。
それぞれに予想される業界の大変化にどう備えるべきか。

人材不足を補い、解消する技術革新、イノベーション

トリセツに解を求めるまでもなく、これからの業界大変化をもたらす要素に、間違いなくイノベーション、技術革新があります。
自動運転システムとその実用化のための法制化、EVシェアの高まりによる自動車メンテナンス業務自体の変化、建設現場における無人化作業の拡張、そして何より、AI、IT領域におけるイノベーションと同領域人材ニーズの膨大な高まり。
トリセツでも求められた、高い「労働生産性」が実現されるでしょう。
そしてそこでは、不足する人材不足を、イノベーションが解消することになります。
ですが、そうした観点からの深掘りもみられません。

公務性の高いエセンシャル・ワークと行政をどう考えるのか

一方、介護士や保育士、看護師などのエセンシャル・ワークに従事する人材不足は、超高齢化の加速で一層厳しくなると考えられます。
いかにIT化やロボット化が進められても、人対人のサービス業務のほとんどは代替できません。
また地方公務員も、エセンシャル・ワーク同様の性質をもつ多種多様な職種を含む業種・業界と言え、いたずらに生産性向上や効率化を追求することにはムリがあります。
しかし、こうした将来の個々人の仕事・職業については、トリセツを示していません。
わずかに、山積する「ブル・シットジョブ」を減らすべきというトリセツがありますが、これがエセンシャル・ワークをイメージさせる可能性があることを筆者は気づいていないでしょうね。



ならば、ということで、2017年に発行されたシリーズ第1巻の『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の構成(目次)を転記してみました。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』目次

はじめに
第1部 人口減少カレンダー
 序 2016年、出生数は100万人を切った
 2017年 「おばあちゃん大国」に変化
 2018年 国立大学が倒産の危機へ
 2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
 2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
 2021年 介護離職が大量発生する
 2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
 2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
 2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
 2025年 ついに東京都も人口減少へ
 2026年 認知症患者が700万人規模に
 2027年 輸出用血液が不足する
 2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
 2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
 2035年 「未婚大国」が誕生する
 2039年 深刻な火葬場不足に陥る
 2040年 自治体の半数が消滅の危機に
 2042年 高齢者人口が約4,000万人とピークに
 2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
 2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる 
 2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する
第2部 日本を救う10の処方箋 ー 次世代のために、いま取り組むこと
 序 小さくとも輝く国になるための第5の選択肢
【戦略的に縮む】
 1.「高齢者」を削減
 2.24時間社会からの脱却
 3.非居住エリアを明確化
 4.都道府県を飛び地合併
 5.国際分業の徹底
【豊かさを維持する】
 6.「匠の技」活用
 7.国費留学制度で人材育成
【脱・東京一極集中】
 8.中高年の地方移住推進
 9.セカンド市民制度を創設
【少子化対策】
10.第3子以降に1000万円給付
おわりに 未来を担う君たちへ
結びにかえて


ざっと見渡しても、個々人の生き方・働き方という視点での提案は、あまり感じられません。
私にとって最も関心がある、社会保障や地方自治体の行政のあり方についても、ほとんど踏み込んでいません。
よくある、経済成長や国の財政に関する予測・問題点、対策などにも極めて部分的にさらっと触れる程度で、あまり言及していません。
昨日の段階では、この「未来の年表」から、示唆に富んだ、参考になる内容を紹介でき、ベーシック・ペンションと関係付けて考えることができる。
そうイメージしたのですが、残念ながら、あまり深刻にならずに、気軽に手に取り、気軽に読むことができる新書。
そんな確認を行った感覚です。

未来の年表は、人口減少社会、少子高齢化社会を広く浅くなぞった読み物

第1巻の発売は2017年で、コロナパンデミックもウクライナ侵攻を予想することなどできませんでした。
一方、新刊の方は、どちらも生起した後の発刊でしたが、その影響等からの論述も殊更には見当たりませんでした。
人口減少と少子高齢化から、近未来の年表の年次ごとに想定・予想されるトピックスをピックアップした書。
政策提言書としては内容的にもインパクトがなく、当然、未来予測が外れても何も責任はありません。
この象徴的トピックス抽出による「未来の年表」から、ベーシック・ペンション論になにを活かすことができるか。
内容がないままですが、総括作業に入ることにします。

日本社会の人口減少推移及び人口変化推計

継続して人口減少が続く日本社会が、どのような影響を生活や仕事や企業活動に、そして政治・行政活動に及ぼすか。
「未来の年表」は、人口減少の推移と推測を連ねることで、種々の観点から、予測や警鐘を提示するものです。
これまでの人口減少の推移とこれからの人口の変化の推測は、「国立社会保障・人口問題研究所」等が公開する資料で確認することができます。

総人口推移グラフ(1872年~2020年)

総人口将来推計(~2065年)

これらは、人口の推移と予測という視点でグラフ化した過去と未来の年表の1種と捉えることができます。
しかし、このグラフは、平成29年2017年の推計であり、コロナパンデミックもロシアのウクライナ侵攻も関係のない未来予測です。

人口グラフ(2020年~2065年)

次に、同様「社人研国立社会保障・人口問題研究所)」による<人口グラフ>を転載しました。


2020年以前のグラフもありますが、本稿は、未来の年表がテーマなので割愛しました。
当資料は、コロナもウクライナ戦争も未知の2017年推計であり、2022年に年間出生数が80万人割れすることは想定外のことで、この人口グラフには修正が必要になるわけです。

※(出典):国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/

2050年日本の人口1億人を想定してのベーシック・ペンション案と導入準備プロセス提案へ

上記のグラフに関するコメントは、まったく添えませんでした。
しかし、明確なのは、人口減少は止めようがないが、少子高齢化のうち高齢化は、間違いなく、2050年以降、急速に縮小するであろうということです。
そう考えると、人口グラフにおける<年少人口>の継続的な減少に、できるだけ早く終止符を打ち、増加に転じるようにできないか。
岸田首相は、「出生率低下を反転させる」として「異次元の少子化対策」を掲げました。
言うのは簡単ですが、これまでの少子化対策が、言葉だけの総花的政策の積み上げの繰り返しであり、それらがまったく機能しなかったことは明らかです。
出生率を上げること、出生数を増やすには、少子化対策という観点からの政策だけでは到底ムリなのです。
「異次元の社会システム改革」と「異次元の経済システム改革」に長期にわたって、計画的・継続的に取り組むことでようやく実現できることと考えるべきなのです。
これまでの人口推計グラフや人口グラフに、日本社会の根本的な課題が盛り込まれ、人口減少やデフレ経済、格差拡大などを発生させる要素・原因のほとんどが予想可能だった。
にも拘わらず、的確な社会政策も経済政策も、そして財政政策も打つことなく、徒に時間とコストを費やしてきた。
それらのやり方を抜本的に見直すべき状況にあると認識すべきです。
そしてその必要性・重要性が、コロナパンデミックとウクライナ戦争で一気に高まり、平時においてそうした想定外のリスクに備えるべきことを教えられたわけです。

その改革の基軸として、すべての国民に、無条件で、平等に、毎月基礎的な生活を送るための生活基礎年金を専用デジタル通貨で、個人のデジタル通貨専用口座に支給する、ベーシック・ペンション制度の導入を提案しているのです。
2050年の総人口を1億人と想定し、その年までにベーシック・ペンション制度が完成。
その実現までのプロセスを、近未来の年表方式で、総合的・体系的・計画的に示していく。
読みやすい書のようには、ベーシック・ペンションが実現しやすい未来年表を簡単には描くことはできません。
しかし、実現プロセス年表をなぞれば、実現した社会をイメージできるような内容、説得力のある内容の諸提案ができるように、と考えています。

次回は、野口悠紀雄氏著2040年の日本を取り上げて考えることにします。

「ベーシック・ペンション導入が望まれる社会」シリーズ記事リスト

<第1回>: 2022年2月生活保護受給164万世帯、現役世代も増加:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-1(2022/5/16)
<第2回>:生活保護世帯の子どもの進学率に地域格差:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-2(2022/5/17)
<第3回>:コロナ禍、目立つ低所得層の子どもの医療機関受診減少:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-3(2022/5/18)
<第4回>:コロナ禍の「生活福祉資金の特例貸付」利用者が返済不能に:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-4(2022/5/19)
<第5回>:平均年収443万円に含まれた多様な格差要因:全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ-1(ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-5)(2023/1/12)
<第6回>:突出する日本の生涯無子率が示す結婚困難要因:全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ-2(ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-6)(2023/1/14)

20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

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