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2022・23年考察

2022年2月生活保護受給164万世帯、現役世代も増加:ベーシック・ペンション導入が望まれる社会-1

少しずつ、よくなる社会に・・・

今年3月掲載の日経<経済教室>での「社会保障 次のビジョン」というテーマでの3人の学者による小論を参考にして、以下の3つの記事を投稿してから、かなり時間が経ちました。

【日経経済教室「社会保障 次のビジョンから」シリーズ】

<第1回>:紋切り型<社会保障の経済・財政との一体改革>論から脱却してベーシック・ペンションを:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-1(2022/3/11)
<第2回>:鈴木亘氏による非常時対応可能既存社会保障制度改定提案:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-2(2022/3/26)
<第3回>:真のユニバーサル型セーフティネットとは:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-3(2022/4/1)

それ以前の2月には、今年2022年におけるベーシック・ペンションとして整理・改訂して、以下の4つの提案をまとめています。

【日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金2022年案】

ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1(2022/2/16)
少子化・高齢化社会対策優先でベーシック・ペンション実現へ:2022年ベーシック・ペンション案-2(2022/2/17)
マイナポイントでベーシック・ペンション暫定支給時の管理運用方法と発行額:2022年ベーシック・ペンション案-3(2022/2/18)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

現在は、6月に考察・提案を予定しているテーマに関するいくつかの書を読み始め、その準備をしている状況です。
しかし、5月に入って、こういう時、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金があれば良いのに、と思わせられる新聞記事をよくみかけます。
なので、今月は今月で、そうした思いを強く抱かせられているいくつかの記事を取り上げてみることにしました。
今回は、昨日2022/5/15に日経に掲載された記事を参考に整理し、ベーシック・ペンションがあれば、という思いです。

生活保護、現役世代も増加 コロナ禍に高水準続く
2月164万世帯、就労支援の強化急務


2022/5/15付日経に「生活保護、現役世代も増加 コロナ禍に高水準続く 2月164万世帯、就労支援の強化急務」と題した記事が掲載されました。
⇒ 生活保護、現役世代も増加 コロナ禍に高水準続く 2月164万世帯、就労支援の強化急務 :日本経済新聞 (nikkei.com)

これは、5月11日厚生労働省公表の、今年2月時点の生活保護受給世帯数・速報値に基づくもの。
その世帯数は、前年同月比4499世帯(0.3%増)の164万1640世帯。受給者数が200万人超で過去最多水準が続く。
(参考)⇒ 被保護者調査(令和4年2月分概数)

生活保護受給世帯数の動向

・生活保護受給世帯は2005年度に初めて月平均で100万世帯を超える。
・2008年のリーマン・ショック以降急増し、2010年度140万世帯、2014年度160万世帯、2017年度月平均で過去最多の164万854世帯に。
・2018、2019年度は数万世帯減少。
・2020年度はコロナの感染拡大による緊急事態宣言の影響が大きく、申請件数が前年度比2.3%増の約22万8000世帯となり、受給者増加は11年ぶり。
・2021年度は2月までに21万世帯を超える。
・一方、生活保護対象外(廃止)となった世帯は、2020年4月~22年2月の間、月平均約1万6400世帯。保護開始数をやや下回る状態が続き、過去最多水準で高止まっている。

増える現役世代の受給者

その内訳の特徴が、新型コロナウイルス禍で現役世代の受給者が増えていること。
現役世代を含む「その他世帯」は2月時点で約25万世帯で、全体の15%を占める。
無論、コロナによる失業・雇用機会の喪失に原因があるとみられ、第1波の後の2020年6月に前年同月比0.5%増と増加に転じ、2回目の緊急事態宣言が出た後の2021年3月には2.7%増、そして2022年2月まで21カ月連続で増え続けている。
当然、65歳以上の高齢者世帯が最も多く約90万世帯で、ほとんどが年金で生活できない一人暮らしの高齢者が55%を占めている。


コロナによる失業・雇用機会喪失による受給非稼働世帯の増加、稼働世帯受給者の減少

コロナによる緊急事態宣言やまん延防止法などにより、多くの中小・零細事業所が倒産・廃業、営業時間短縮に追い込まれたことで、失業・雇い止め、労働機会の減少が発生。
そのために、「稼働世帯」の受給世帯数は、コロナ前の約25万世帯から23万世帯前後に減少し、反対に「非稼働世帯」の受給世帯数が、137万世帯前後からほぼ140万世帯に増えたとされる。

しかし、率直なところ、「その他の世帯」が、「現役世帯」であることを証明する事項は示されておらず、
加えて、よくよく見ると、2020年、2021年、2022年のそれぞれ2月の世帯類型別の受給世帯数の変化で目立つのが、母子家庭受給世帯数の減少であり、高齢者のそれの変化がほとんど見られないことです。


紋切り型に、就労支援を主張する日経

こうした状況を踏まえ、日経は、
「支え手側となるはずの現役世代の受給が長引くと、社会に対する影響は深刻に。コロナ禍で変化した需要に合わせ現役世代が新たな職種で就労できるようにするなど受給世帯への支援強化が重要。」
と結んでいます。
いわゆる「ワークフェア」主義の社会福祉・社会保障を堅く守ろうといういうものです。

記事中用いられた数字には、当然ですが、現行生活保護制度において問題視されている捕捉率の低さや、受給要件を満たしていても、ミーンズテストなどを嫌って申請しない世帯・人々について触れることはありません。
長引くコロナ禍と、求められる人材・能力の変化、エセンシャル・ワークの低賃金等雇用・労働環境の変化等により、希望する仕事に出会う機会が限られてきている状況などは、この厚労省調査からは、何も見えてきません。
そうしたなかでの、紋切り型の「就労支援」政策の「喫緊」での要求が、現実的で有効な政策を導き出すとは思えません。

ベーシック・ペンションがあれば、生活保護制度問題を解消し、同制度が不要に

「ワークフェア」を前提とせず、基本的人権に根ざした、無条件・無拠出のベーシックインカム。
問題多き生活保護制度を廃止し、高齢者も、低所得者も、種々の事情で働くことができない人々も、すべて安心して生活できる、「生活基礎年金」ベーシック・ペンション。
これがあれば、とつくづく思います。
こうした基本的な考えに基づく提案は、以下で行ってきています。

ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)
ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)
生活保護制度を超克するベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-2(2021/6/15)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

なお、ご承知頂いているかもしれませんが、生活保護制度を解体して、関連する社会保障制度・社会福祉制度との編み直しによる「生活保護の解体」を提案した岩田正美氏著『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』(2021/11/5刊:岩波書店)を元にして、生活保護制度とベーシック・ペンションを論じた記事集もあります。
以下から、確認することができますので、時間がありましたらご覧ください。
⇒ 「『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション」シリーズ:2022年シリーズ記事紹介-2(2022/2/2)

                       少しずつ、よくなる社会に・・・

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