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2022・23年考察

公共貨幣理論の原型であるシカゴプランの政治的実現可能性が奪われた謎:公共貨幣論から考える-12

少しずつ、よくなる社会に・・・

・山口薫氏著『公共貨幣』(2015/9/24刊・東洋経済新報社)
・山口薫氏・山口陽恵氏共著『公共貨幣入門』(2021/10/12刊・集英社インターナショナル新書)
を参考にして「公共貨幣」論のベーシック・ペンションへの組み込みの可能性と方法等を考える<「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ。

以下の構成で進めてきていますが、今回から【第3フェーズ】『公共貨幣』<第Ⅱ部 公共貨幣システム>第8章~第11章に入ります。
なお、これまでの【第1フェーズ】【第2フェーズ】の記事のラインアップは、今回の記事の最後に挿入しています。
確認頂ければと思います。

「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ構成

1.はじめに:<「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ開始にあたって
【第1フェーズ】:『公共貨幣』<第Ⅰ部 債務貨幣システム>第1章~第7章
 略.<第1章 経済学とは何か>から
 2.<第2章 お金とは何か>から
 3.<第3章 日本銀行は必要か>から
 4.<第4章 お金はなぜ無から創られるのか>から
 5.<第5章 お金はなぜ支配の手段となるのか>から
 6.<第6章 国の借金はなぜ増え続けるのか>から
 7.<第7章 債務貨幣システムはデット・エンドだ>から

【第2フェーズ】:『公共貨幣入門』第1章~第3章
 8.<第1章 債務貨幣システムと「失われた30年」>から
 9. 同上ー2
10.<第2章 主流派経済学の破綻>から
11.<第3章 MMTは債務貨幣のデザイン欠陥を隠蔽>から

【第3フェーズ】:『公共貨幣』<第Ⅱ部 公共貨幣システム>第8章~第11章
12.<第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何か>から
13.<第9章 公共貨幣システムの誕生>から
14.<第10章 国の借金は返済できる>から
15.<第11章 公共貨幣で輝く未来>から
【第4フェーズ】:『公共貨幣』<第Ⅲ部 公共貨幣システムへの移行>12章~13章/『公共貨幣入門』第4章
16.<第12章 公共貨幣システムへの移行モデリング>から
17.<第13章 日本国公共貨幣法>から 
18.<第4章 公共貨幣システムへの移行>から
【第5フェーズ】:『公共貨幣入門』第5章
19.<第5章 公共貨幣で新国生みイニシアティブ>から
20.総括:公共貨幣論のベーシック・ペンション構築及び社会経済システム改革への活かし方


<「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ-12:【第3フェーズ】『公共貨幣』「第Ⅱ部 公共貨幣システム」<第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何か>から

この【第3フェーズ】『公共貨幣』「第Ⅱ部 公共貨幣システム」では、山口氏が構築した公共貨幣理論の誕生までの経緯と、公共貨幣理論自体の内容を示しています。
その手始めが<第8章>で、その理論の基本的な考えに導かれたきっかけとなったステファン・ザーレンガ著『失われた貨幣の科学』に収められていた<米国貨幣法>という貨幣改革法案の紹介から、原型となった「シカゴプラン」の誕生及び内容、その特徴である「100%マネー」論の説明、そしてタブー視され、経済学と貨幣政策の議論・検討の場から闇に葬られるまでの流れが示されます。

『公共貨幣』「第Ⅱ部 公共貨幣システム」<第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何かより

その歴史をなぞる作業である<第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何か>は、以下の構成となっていますが、そのポイントを絞り、整理していくことにします。

第Ⅱ部 公共貨幣システム
第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何か

 1.レバレッジ・ポイントを探せ
 2.シカゴプランの誕生

  2.1 1929年の株価大暴落と銀行休日
  2.2 「銀行改革のためのシカゴプラン」
  2.3 フレデリック・ソディ(ノーベル化学賞)
  2.4 グラス・スティーガル法
 3.フィッシャーの「シカゴプラン」
  3.1 大恐慌の債務 ー デフレ理論
  3.2 100%準備システム
  3.3 100%準備システムがもたらす利点
  3.4 1935年改訂銀行法の攻防
  3.5 「貨幣改革のためのプログラム」
  3.6 フィッシャー晩年の挑戦
 4.ケインズの一般理論
  4.1 雇用・利子および貨幣の一般理論
  4.2 ケインズとシカゴプラン
 5.闇に葬られたシカゴプラン
  5.1 ミルトン・フリードマンのシカゴプラン
  5.2 タブーとなったシカゴプラン
  5.3 グラス・スティーガル法の廃案

債務貨幣システムの構造的欠陥を変革するためのレバレッジ・ポイントとなった<米国貨幣法>法案

債務危機や経済不況、世界大恐慌などの経済パターンは、現在の資本主義経済システム構造としての債務貨幣システムがもたらしたものと、システムダイナミックス手法を用いて導き出した。
従来の対症療法的政策ではその根本的な欠陥の解決に至らず、それを打破するレバレッジ・ポイント=梃子の必要性を認識し、その機能を持つものとして出会ったのが、ステファン・ザーレンガ著『失われた貨幣の科学』に収められていた<米国貨幣法>という貨幣改革法案だったといいます。
その法案をヒントに、会計SDマクロ経済モデルを用いてシミュレーションを開始し、公共貨幣理論形成に至るのですが、この<米国貨幣法>の目的である貨幣改革3条件のアイディアが、どのように出てきたのかを探ったことで行き着いたのが「シカゴプラン」というわけです。
⇒ AMERICAN MONETARY INSTITUTE

<米国貨幣法>の主たる3つの目的とは

1)連邦準備制度を米国財務省に統合して、全ての新貨幣を利付き債務ではなく、政府が貨幣として創造し、一般の厚生を促進させるために支出し流通させる。
2)銀行業や金融サービス産業ではなく、貨幣制度を国有化し、現在民間機関に付与されている貨幣を創造する権限を中止し、穏やかで気品のある方法で部分準備制度を廃止し、かつ過去に法貨となり未だに流通している民間の信用をすべて米国政府貨幣と換算する。
3)新貨幣を、社会の成長・向上のために必要となる教育や健康管理はもとより、21世紀の地球に優しいインフラやエネルギー資源のために支出し流通させる。

1929年世界大恐慌がもたらした銀行破綻と銀行改革のためのシカゴプランの誕生

まず、1929年10月に起こった24日の株価暴落に端を発した世界大恐慌で生起した未曾有の事態の説明が為されています。
取り付け騒ぎ、銀行休業、銀行閉鎖、銀行取引停止、モラトリアムと進むことで「社会主義革命」にまで至るかと懸念される事態に。
そこで、民主主義・自由主義崩壊を危惧したシカゴ大学の8人の経済学者が5ページからなる「銀行改革のためのシカゴプラン」” The Chicago Plan for Banking Reform ” という私的勧告・提案を作成。
このプランを、自分たちを変人(loony)と見なさないであろう、ウォーレス農務長官を含む40人に秘密裏に送付。
農務長官は、この提案をルーズベルト大統領宛書簡として送り、検討を嘆願した。

安定的な金融システムを志向する一般的な勧告、3つの要点
1)連邦政府は銀行預金を保証し、これ以上の流通手段(通貨)の減少を防止する。
2)この預金保証は、現在の銀行危機の再発を防止する銀行改革の一部とする。
3)長期的な通貨管理の基準を採用する想定で、卸売物価水準の緩やかな上昇をもたらし維持する政策を貨幣当局は公表し、実施する。
意図するところは、<銀行預金の保証>と<物価の安定>勧告である。

そして、その一般勧告を達成する具体的な提案が、loony と受け止められる危惧を抱かせる12項目として示されるが、その概要を、次の3点に整理。

<一般勧告達成のための主たる提案概要>
1)連邦政府は連邦準備銀行の所有と経営を直ちに接収し、連邦準備銀行は連邦準備銀行権を法貨として発行し、連邦準備制度加盟銀行、非加盟銀行の預金を保証する。
2)長期的な銀行改革として既存の商業銀行の持つ預金機能と貸出機能を、預金銀行と貸付会社の2つの異なる機関に分離
前者(Deposit-Bank)は、小切手による振り出し可能な預金及び要求払預金を受け入れ、100%の準備金を維持し、預金と資金の振替を行い、その手数料を収益源泉とする。
後者(Lending Company)は、預金者からの貯蓄預金や株主や社債権者による投資資金を受け入れ、貸出・投資に振り向ける。
3)金の自由鋳造や輸入の廃止、金輸出の禁止


確かに、社会主義革命から守るためとは言え、この提案自体が革命というべき内容であることは、明らかです。
なお、このアイディアは、実は、ノーベル化学賞受賞者であるオックスフォード大学のフレデリック・ソディ教授のアイディアに起源していることも付け加えられています。

しかし、ルーズベルト大統領に手渡されたシカゴプランは、日の目を見ることなく、反対に6ヶ月後、シカゴプランを骨抜きにした「1933年銀行法」別名「グラス・スティーガル法」が成立し、ここで一旦その目論見が頓挫することになりました。

フィッシャーの「シカゴプラン」及び「100%準備システム」とは

そのシカゴプランの構想を受け継ぎ、進化させたのがイェール大学の貨幣数量経済学者アーヴィング・フィッシャー。
当初、大恐慌を引き起こす好況・不況の景気変動の原因解明に関心をもち、その主要因は、過大な債務超過(銀行ローン)による「債務」病と、デフレ(ドルの価値上昇)による「ドル」病であると確信。
その考え方を「大恐慌の債務ーデフレ理論」と題した論文で発表。
斬新で重要であると評価され、彼も非常に自信をもっていたその内容は、ここでは省略します。

実はフィッシャーは1933年にシカゴプランを受け取っていたのですが、初めは関心がなかった。
しかし1934年頃からその貨幣改革に傾倒し、1935年には『100%マネー』を出版。
その中で、先の自身の理論による政策提案の欠陥に気づき、次のように認識の変化を表明しています。

リストアップしてきた経済事象は全て要求払預金の収縮を通じて発生していることに気づくべきである。(略)
大好況や大不況の根源的な原因(または前提条件)は10%システムそのものにあるのであり、たとえ私の(リフレーション)分析が正しいとしても、100%準備のもとではもっと確実に、早く、そして簡単に好況や不況が克服され、回避できるだろう。

「100%マネー」で提案の8つの利点

フィッシャーが100%マネーで得られる利点として、以下を示しています。
1)銀行の取り付け騒ぎがなくなる:預金者のお金は常に銀行にあるから
2)銀行倒産がより少なくなる:銀行を倒産に追い込む主要な債権者である預金者の預金は100%安全だから
3)利付き政府債務は大幅に減少する:出回っている政府国債の大部分は。貨幣委員会が銀行から引き取るから
4)現行の貨幣システムは簡素化される:現金(流通通貨)と要求払預金に本質的な違いがなくなり、流通している交換手段は100%全て本当の貨幣になるから
5)銀行業務も簡素化される:(理由、省略)
6)大幅なインフレやデフレは除去される:銀行は要求払預金を実質的に創造したり破壊したりする権利を奪われるから。(他省略)
7)好況や不況は大幅に軽減される:これらは大概インフレやデフレが原因だから
8)銀行家による産業の支配はほとんどなくなる:一般的には不況時のみ産業界は銀行家の手に落ちるから

こうして、1933年にシカゴ大学の経済学者から極秘に受け取ってから2年後に、フィッシャー版「シカゴプラン」が完成したとしています。

1935年改訂銀行法成立等実らなかったフィッシャー版シカゴプラン実現活動と動向

この間、そして1935年『100%マネー』初版出版以降、その実現のためにフィッシャーは精力的に活動した状況を詳しく報告しています。
しかし、関与し、理解し、協力してくれると目された上院議員や若手の経済学者の原因不明の死や、
またしても、グラス・スティーガル法で暗躍したグラス上院議員が提出した1935年銀行法修正案の成立による妨害などにより、結局実現せぬままに終わります。
その活動の中では、72歳の年1939年に行った「貨幣改革のためのプログラム」の新たな提案、1941年に再度ルーズベルト大統領への提案の送付、1936年『100%マネー』改訂第2版に続く、1945年同第3版の出版、亡くなるその年1947年にトルーマン大統領への書簡の送付など、80歳まで情熱を傾け続けたことがこの項で記されています。

ケインズ及び一般理論とフィッシャー及びシカゴプランとの関係

ところで、実はフィッシャーは、一般理論で代表する主流派経済学者のジョン・メーナード・ケインズと同時代に生きています。
従いフィッシャーが、シカゴプランを、英国を舞台としてたケインズに示したと考えることは自然なことで、実際40人の中にケインズは入っていました。
しかし、ケインズはそれに対して興味関心も賛意も示すことなく、100%準備プランが米国では不人気だったことも知っており、自身の理論形成と提案に邁進。
第二次世界大戦後の通貨・金融体制を協議するブレトン・ウッズ交渉には英国代表として参加。
同交渉で100%準備を非公式に取り上げるようにというフィッシャーの依頼に対して、拒否しています。

なおケインズ経済学における貨幣理論及び公共貨幣論との関係等について、第2フェーズ内の以下の記事で触れています。
確認頂ければと思います。
⇒ 新古典派経済学、ケインズ経済学の破綻とその要因:公共貨幣論から考える-10(2022/7/5)

タブー視され、闇に葬られたシカゴプラン

フィッシャー亡き後、積極的に貨幣改革を提唱する経済学者がいなくなり、徐々にシカゴプランがフェードアウトしつつあるなか、唯一存在した希望が、ミルトン・フリードマンだったとしています。
シカゴ大学大学院生時代に、オリジナル提案者からシカゴプランの銀行改革案を直接学んだ彼は、1960年に『貨幣安定のためのプログラム “A Program for Monetary Stability “』を出版し、シカゴプランの修正提案に積極的だったといいます。
しかし、ケネディ大統領が、米国社会は秘密結社により秘密裏に支配されていると警告し、連邦準備制度のよる貨幣発行権の独占のタブーに挑戦し1963年大統領行政府命令を発した後に暗殺された後、彼のシカゴプランへの情熱が失われていき、同時にシカゴプランは、経済の主流から完全に忘れさられてしまった、と。

この間のフリードマンの記述・述懐として、以下を山口氏は引用しています。

100%準備が達成できるという政治的可能性があるということに私は非常に懐疑的である。
このことはそれが望ましくないという意味ではない。
私がかつてどこかで100%準備に反対したことがあったということを意味していない。
(略)
不幸なことだたが、シカゴプランの提案は数十年間、完全に無視されてきた。(略)
シカゴプランに反対する政治的既得権者は余りにも強すぎる。
納税者や経済活動の参加者として便益を得ている市民は、シカゴプランから得られる便益を知らないし、その影響を行使するには余りにも組織化されていない。


こうして、シカゴプランは経済学の世界では無視されるのみではなくタブー視されることに。
そして山口氏自身が経験したように、シカゴプランの研究をすれば、大学の仕事がない、職場を追われるようになり、話さない、教えない、言えない時代に。
2012年出版のローマクラブEU支部への報告書では、シカゴクラブの有効性を高く評価しつつも、「シカゴプランのどのバージョンであろうとも、銀行システムによって死に至るまで殲滅されるであろうという脅迫まがいの表現を用い「政治的実現性がない」と断言したことを、この第8章の最後近くで示しています。
そしてシカゴプランの代案として1933年に成立したグラス・スティーガル法の1999年の廃案をもって、1933年に8名のシカゴ大学経済学者により極秘に提案されたシカゴプランが、完全に息の根を止められたと結んでいます。
その後の社会経済状況は、本書で山口氏が示した債務貨幣システムの欠陥を証明すべく取り上げた、第二次世界大恐慌ともいうべきリーマンショックによる金融恐慌や、失われた30年として問題となっている日本の経済状況などの歴史的現実を示しており、シカゴプランの再考と、公共貨幣理論の移行・実現を提案するに至るわけです。

本章からのベーシック・ペンション構想へのヒント・課題-12

いささかミステリーじみた仕立てになってきた感がある第8章でした。
いわゆる陰謀論・陰謀説が真実味を帯びてきそうな内容でもありますが、さもありなんと思うところもあります。

実は、本書を読み進めているうちに、私は、岸田首相が就任時に掲げた「新しい資本主義」の形が、この公共貨幣理論、遡って、シカゴプランや100%準備システム、そして<米国貨幣法>案にあるのでは、と感じたのです。
岸田氏にとってはとんでもないことでしょうが。

考えてみれば、先行して終えている【第2フェース】で山口氏がしゃかりきになって否定・批判したMMT現代貨幣理論の(誤りであっても)広がりは、公共貨幣論にとっては、プラスに働く要素と捉えてもよいのではと思っています。
山口氏にとっては似て非なもので許しがたい理論でしょうが、誤解を受けやすく、危険視されるという共通性を考えれば、利用価値があると思うのです。

ベーシック・ペンションを公共貨幣理論そのものを用いて構築・導入しようという目的は現状持っていません。
その考え方の一部を、実務的に、多々無理があるにしても、理解を得ることができるように、実現可能なようにアレンジし、ロジックを形成できるよう利用・反映させる。
そのように考えています。

ただいずれにしても、シカゴプランが、政治的実現性がないがために消し去られたとしても、それをめぐる歴史と記録は残っています。
安部元首相が銃撃に倒れ逝去した事件は、恐らく政治的な背景ではなく、個人的な恨みと思い込みによるものと推察していますが、政治状況自体を変革することの難しさは、いつの時代においても、変わらないと思います。
従い、公共貨幣的理論の普及は、経済学者の理論と思いで実現することは恐らく不可能でしょう。
それは、市民・国民の理解と賛同を得ずして実現できるものでは到底ありません。
公共貨幣理論を理解することだけが、当シリーズの目標・目的ではなく、多くの人々の理解を得、政治の場で議論検討できる内容・質を取りまとめることができること、そして、望ましい社会と社会経済システムの実現・構築に情熱を、政治活動を通じて傾けてくださる人々の賛意・賛同を広げていくこと。
併せて考え、問題提起し、提案していくことを目指しています。

次回は、<第9章 公共貨幣システムの誕生>を取り上げます。

「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ記事ラインアップ

【第1フェーズ】:『公共貨幣』<第Ⅰ部 債務貨幣システム>第1章~第7章
<第1回>:<「公共貨幣」論から考えるベーシック・ペンションと社会経済システム>シリーズ開始にあたって(2022/6/15)
<第2回>:4つの機能を持つ貨幣、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」「日本銀行法」:公共貨幣論から考える-2(2022/6/17)
<第3回>:政府55%出資の民間特殊法人・日本銀行が抱える不明朗性と存在意義:公共貨幣論から考える-3(2022/6/19)
<第4回>:廃すべき信用創造という民間銀行の利権と不平等:「公共貨幣」論から考える-4(2022/6/21)
<第5回>:権力の支配手段としてのお金の正体:公共貨幣論から考える-5(2022/6/23)
<第6回>:減らすことができない財政赤字・政府債務。これからどうなる、どうする?:公共貨幣論から考える-6(2022/6/25)
<第7回>:現状の債務貨幣システムの欠陥と宿命をどのように理解してもらうか:公共貨幣論から考える-7(2022/6/28)
【第2フェーズ】:『公共貨幣入門』第1章~第3章
<第8回>:債務貨幣システムはなぜ生まれたかを復習する:公共貨幣論から考える-8(2022/7/1)
<第9回>:失われた30年から、何を変革すべきと考えるか:公共貨幣論から考える-9(2022/7/3)
<第10回>:新古典派経済学、ケインズ経済学の破綻とその要因:公共貨幣論から考える-10(2022/7/5)
<第11回>:公共貨幣論よりも広まったMMTへの怨念はらむ批判が残念:公共貨幣論から考える-11(2022/7/7)

公共貨幣』の構成

はじめに
第Ⅰ部 債務貨幣システム
第1章 経済学とは何か

 1.3つの経済学:バークレーでの挑戦
 1.1 アロー・ドブルーモデル
 1.2 新古典派経済学のエッセンス
 1.3 経済思想のモデル
 2.「むらトピア経済」の誕生
 2.1 トフラー『第三の波』の衝撃
 2.2 むらトピア経済
 3.システムダイナミックスとの出会い
 3.1 会計システムダイナミックス
 3.2 バークレーからの再挑戦
 4.リーマンショック
 4.1 歴史は繰り返された
 4.2 ゾンビ経済学
 4.3 経営学のタブー
 4.4 孫悟空と釈迦の手 
第2章 お金とは何か
 1.ことわざに見るお金
 1.1 価値尺度情報
 1.2 交換手段
 1.3 価値保蔵
 1.4 権力の支配
 2.貨幣の定義
  2.1 ストック・フロー図でみるお金の流れ
2.2 教科書による定義
  2.3 アリストテレスの定義
3.法貨 Legal Tender
 3.1 政府貨幣⇒制限付き法貨
 3.2 日本銀行券⇒無制限法貨
 3.3 マネタリーベース=法貨
 3.4 米国の法貨
第3章 日本銀行は必要か
 1.日本銀行は民間会社
 2.日銀に出資するメリット
 3.日本銀行のビジネスモデル
  3.1 日銀の収入源
  3.2 税金から利息を収奪
 4.不可解な剰余金処分
  4.1 剰余金(利益)隠し
  4.2 国債利息計算の丸投げ
  4.3 民間出身者への剰余金配当
第4章 お金はなぜ無から創られるのか
 1.預金は法貨なのか
 1.1 日銀のマネーストック定義
 1.2 預金は通貨(法貨)ではない
 1.3 無から創られる預金
 2.信用創造のメカニズム
  2.1 教科書が教える部分準備銀行制度  
  2.2 銀行貸出が預金(信用)を創る
  2.3 預金は誰のもの
第5章 お金はなぜ支配の手段となるか
 1.「金が金を儲ける」
 2.複利計算の驚異と恐怖
  2.1 指数的成長と倍増(半減)時間
  2.2 借金地獄の恐怖
 3.権力の支配手段
  3.1 支配の質的構造変化
  3.2 「グローバル企業支配のネットワーク」
  3.3 支配の階層 Sphere of Influence
 4.債務貨幣・株式所有システムの振る舞い
第6章 国の借金はなぜ増え続けるのか
 1.借金地獄の日本
  1.1 ジャパンアズナンバーワンの難破
  1.2 消費増税8%でも借金は増大!
1.3 政府債務簡素SDモデル
  1.4 長期債務残高のシミュレーション
  1.5 消費増税で借金増大、なぜ?
  1.6 借金返済で金が消える!
  1.7 財政健全化のシミュレーション
 2.米国の債務危機
 3.OECDの債務危機
 4.3つの破局シナリオ
第7章 債務貨幣システムはデット・エンドだ
 1.債務危機回避のシミュレーション
 2.債務増大はストップできるが・・・
  2.1 歳出を10%削減
2.2 消費税を5%から10%に引き上げ
 3.「財政の崖」から転落する
 4.泣き面に蜂
第Ⅱ部 公共貨幣システム
第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何か

 1.レバレッジ・ポイントを探せ
 2.シカゴプランの誕生
 2.1 1929年の株価大暴落と銀行休日
 2.2 「銀行改革のためのシカゴプラン」
 2.3 フレデリック・ソディ(ノーベル化学賞)
 2.4 グラス・スティーガル法
 3.フィッシャーの「シカゴプラン」
 3.1 大恐慌の債務 ー デフレ理論
 3.2 100%準備システム
 3.3 100%準備システムがもたらす利点
 3.4 1935年改訂銀行法の攻防
 3.5 「貨幣改革のためのプログラム」
 3.6 フィッシャー晩年の挑戦
 4.ケインズの一般理論
 4.1 雇用・利子および貨幣の一般理論
 4.2 ケインズとシカゴプラン
 5.闇に葬られたシカゴプラン
 5.1 ミルトン・フリードマンのシカゴプラン
 5.2 タブーとなったシカゴプラン
 5.3 グラス・スティーガル法の廃案
第9章 公共貨幣システムの誕生
 1.システムデザイン
 1.1 米国貨幣法モデリング3部作
 1.2 「公共貨幣」の概念
 1.3 米国議会ブリーフィング
 2.「貨幣とマクロ経済ダイナミックス」の出版
 3.公共貨幣システムと貨幣の流通
 3.1 公共貨幣システムの特徴
 3.2 公共貨幣と銀行貸出
第10章 国の借金は完済できる
 1.債務完済のレバレッジ・ポイント
 2.債務完済のシミュレーション
 3.債務完済でインフレにならないの?
 4.万能薬ではないが
 5.公共貨幣政策
第11章 公共貨幣で輝く未来
 1.公共貨幣システムの構築
 2.公共貨幣vs.債務貨幣システム
 2.1 システム構築の比較
 2.2 システム構築の振る舞い比較
 3.政府債務完済の幸運を活かす
 3.1 デット・エンドの終焉
 3.2 民の活力を取り戻す
 3.3 経済基盤に活力を与える
 4.公共貨幣システムの応用
 4.1 寡占化は防げるのか
 4.2 女性にメリットはあるのか
 5.新生むらトピア経済
 6.レバレッジ・ポイントを誤るな!
第Ⅲ部 公共貨幣システムへの移行
第12章 公共貨幣システムへの移行モデリング

 1.貨幣改革タブーの崩壊
 1.1 ロン・ポール議員の連銀批判
 1.2 クシニッチ議員のNEED法案
 1.3 IMF論文「シカゴプラン再考」
 1.4 ターナー卿の公的貨幣ファイナンス(OMF)
 1.5 170年ぶりの英議会ディベート
 1.6 スイスの貨幣改革国民投票イニシアティブ
 2.債務貨幣システムから
 3.量的緩和(QE)の失敗を経て
 3.1 異次元の金融緩和
 3.2 マネーストックはなぜ増えない?
 3.3 現金をなぜばらまかないのか?
 4.公共貨幣システムへの移行
 4.1 移行(Transition)目標
 4.2 移行Transitionステップ
 5.120%のみんなが幸せに
 5.1 分割・支配統治の終焉
 5.2 100%のみんなを愛で包み
 5.3 大和の心で120%のみんなが幸せに
第13章 日本国公共貨幣法
 1.公共貨幣法の概観
 2.公共貨幣法メイキングのポイント
 3.日本国公共貨幣法
付録A 米国貨幣法
おわりに

公共貨幣入門』の構成

はじめに貨幣の定義ありき
第1章 債務貨幣システムと「失われた30年」
1.あなたのお金は誰かの借金
2.銀行貸出と預金創造
3.債務総額の内訳と日本経済の驚きの事実
4.日本経済の失われた30年
5.バブルの根本原因とその教訓
6.借金地獄と3つの破綻シナリオ
第2章 主流派経済学の破綻
1.市場原理主義の新古典派経済学
2.外生的債務貨幣を想定するケインズ経済学
3.主流派IS-LM理論の破綻
4.IS-LM理論のパラダイムシフト
第3章 MMTは債務貨幣のデザイン欠陥を隠蔽
1.貨幣理論を分類すれば4つしかない
2.MMTは虚偽の貨幣論
3.MMTの「就業保障プログラム」は対症療法
第4章 公共貨幣システムへの移行
1.システムの移行目標
2.移行の7プロセス
3.公共貨幣システムの新経済風景
第5章 公共貨幣で新国生みイニシアティブ
1.公共貨幣への移行:2つの登山道
2.新国生みイニシアティブの5大プログラム
3.プログラムのシステム思考

【日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金2022年案】

ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1(2022/2/16)
少子化・高齢化社会対策優先でベーシック・ペンション実現へ:2022年ベーシック・ペンション案-2(2022/2/17)
マイナポイントでベーシック・ペンション暫定支給時の管理運用方法と発行額:2022年ベーシック・ペンション案-3(2022/2/18)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

少しずつ、よくなる社会に・・・

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