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ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止

先般、1月30日に投稿した以下の記事を受けて、何回かに分けて、ベーシック・ペンション導入に伴って改正すべき社会保障・社会福祉関連制度等を取り上げ、その内容や課題などを提起・提案していきます。
ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系

第1回目は、ベーシック・ペンション導入の最大の意義・目的とも言える「生活保護制度」の取り扱いついて、現制度内容を確認しながら、説明します。

生活保護制度の実態

なぜ国がベーシック・ペンションを支給するのか?憲法の基本的人権を保障・実現するため:ベーシック・ペンション10のなぜ?-1(2021/1/20)
において、「基本的人権」「生存権」をキーワードにして、ベーシック・ペンション導入の意義・目的を述べました。

現状の生活保護法に規定する生活保護は、憲法第25条の「生存権」に基づいて社会福祉制度の一つとして制定されています。
しかし、その運用については、支給基準以下の所得しかない人の、ほぼ5人に1人しか受給していない捕捉率の低さが問題になっており、その法の目的どおり機能しているとは決して言えません。

生活保護制度の目的・概要と制度が抱える問題


そこでまず、その生活保護制度の目的と制度運用上の基準を、厚生労働省の資料で確認してみます。


最低生活を保障するに当たって「資産、能力等あらゆるものを活用することが保護の前提であり、扶養義務者による扶養などは、(生活)保護に優先する、とあります。

この運用に当たってのミーンズテスト(資力調査)等の審査の厳しさや裁量性などが引き起こすスティグマ(恥辱感)などが、不申請、否認などで低捕捉をもたらしているとされています。
日本人の精神特性がこうした行動と結果に示されているのですが、言うならばそれが「自助」努力の足りなさと指摘・指弾されることになっています。
国、所管官庁や自治体、そして一部の国民に、生活保護受給者・申請者を責める風潮があることもSNS等を通じて認められるのです。

しかし、ベーシック・ペンションの基本的な姿勢は、本人に押し付ける恥辱感としての「恥」ではなく、国や社会がこうした貧困を招き、生きることの苦、生活苦を強いていること自体を「恥」と感じるべきであり、その解消を図る責任を認め、実践するのです。

最低生活費の評価・算定基準


以下が、生活保護法で規定する、最低生活費として支給する額を決定するための体系と基準です。
上の図が体系項目を示し、下図3つが個々の項目の設定基準を示したものです。


生活保護受給額と内訳


以上の規定に従って、生活保護の各種扶助が算定・支給されますが、基本的に、これは世帯を構成する個人個人にではなく、世帯を一単位として支給されるものです。
その金額は、居住する地域の物価・地価、平均賃金などを考慮して、数種類に区分され、先述した別扶助や加算を行って、決定されます。
要は、細かい運用基準があり、一様ではないということです。

以下に、厚労省が提示したモデルがあります。
・3人世帯 ・高齢者単身世帯 ・高齢夫婦世帯 ・母子3人世帯 の4種類を挙げ、3つの地域区分をそれぞれ2種類に分けて、試算した例です。
生活扶助と住宅扶助の2種類の扶助だけが支給されるとしての事例です。
かなり地域によって金額に差があります。


ベーシック・ペンションの金額設定においては、例えば、この中の高齢者単身世帯の支給額が、一つの目安になります。
最高額は、133,250円となっています。
健康保険や介護保険を利用した場合の自己負担は、生活保護受給の場合ありません。
後述する15万円支給のベーシック・ペンションでは自己負担となりますが、負担率は、2割か1割ですし、高額療養費の規定で、一定額を超えると還付もありますから、ほとんどの場合、その支給額内で賄うことができるでしょう。

当然、夫婦や子どものある世帯では、個人個人に支給され、世帯合計額は、夫婦世帯で30万円、母子世帯で子ども一人の世帯は23万円。
家賃が高い地域では、厳しい世帯もあるかもしれませんが、他に、空き家活用なども含めた、厚生住宅制度などの住居・住宅政策を導入することでカバーすれば良いと考えます。

こちらのアプリで、いろいろな条件を加味した各地域の生活保護受給額の試算ができます。
試してみてください。
生活保護の金額、あなたはいくらもらえる?簡単な入力だけで保護費を自動計算します! (seikatsu-hogo.net)


生活保護受給者数及び支給総額:約210万人、総額1兆9千億円を受給

では、実際に生活保護を受けている人の状況を見てみます。
2018年12月の速報値では、約164万世帯、約210万人が、総額約1兆9千億円を受給しています。

ここ数年、受給者数が減少しているとされていますが、低い捕捉率の問題は厳然としてありますし、コロナ禍で、これから当分申請者・受給者が増加することが予想されます。
首相も厚労省も受給申請を呼びかけていますが、どう変化していくでしょうか。

生活保護事業全体への拠出実績と5割以上を占める医療・介護扶助


但し、この1兆9千億円は、公費いわゆる一般財源と地方自治体財源から支出され、生活扶助と住宅扶助及びその他扶助に充てられたものです。
実際の生活保護費として投入された負担金は、ほぼその倍の3兆8千億円。
その差の約1兆9千億円は、医療扶助として健康保険料から、及び介護扶助として介護保険料から充当されています。
その内訳を示しているのが下図です。

生活保護受給者は、健康保険による医療費と介護保険による介護費は本人負担はゼロです。
一般的にベーシックインカムを導入し、生活保護を廃止すると、医療・介護利用時の自己負担が発生し、相当の額を設定しないと、以前の生活が維持できなくなることが予想されます。
そのため、従来の生活保護にBIを上乗せすべきと主張する論者が存在し、まとまらない原因の一つになっています。

こうした問題の解消を意図して、ベーシック・ペンションは、月額15万円を設定しています。

世帯類型別保護世帯構成:高齢者世帯が5割超、障害者世帯、母子世帯も一定比で


もう一つ確認しておきたいのが、どんな世帯が生活保護を受けているかを示す、以下の、世帯類型別保護世帯構成です。

65歳以上の高齢者世帯の受給世帯数が年々増加し、54%を超えました。
超高齢化社会の進行で、増加数も、比率も当分増え、上がり続けることは間違いないでしょう。
その多くは、預貯金がなく、老齢基礎年金のみの受給者で、働くこともままならない高齢者と想像できます。
年金制度の欠陥を示しているわけです。

また、他の分類に、<母子世帯>と<傷病・障害者世帯>があります。
このことから、生活保護制度は、生活保護法で規定される他、「母子及び父子並びに寡婦世帯福祉法」、「身体障害者福祉法」「知的障害者法」とも関連して運用・管理されていることが分かります。
ベーシック・ペンションは、これらとも関連した目的・意図も持つのです。

ベーシック・ペンション支給額


ベーシック・ペンション、生活基礎年金は、以下の年代区分に分けて設定した金額の専用デジタル通貨JBPCで支給されます。

 
  1.0歳以上学齢15歳まで     児童基礎年金  毎月8万円
  2.学齢16歳以上学齢18歳まで  学生等基礎年金 毎月10万円
  3.学齢19歳以上満80歳未満まで  生活基礎年金  毎月15万円
  4.満80歳以上           高齢者基礎年金  毎月12万円


この内、児童基礎年金と学生等基礎年金の額には、以下の制度で規定された金額も反映しています。
1.児童手当法、児童扶養手当法による支給規定
2.生活保護法に基づく児童対象扶助及び加算支給規定
これについては、別に「児童基礎年金」と関係した制度改定として、別記事で扱うため、ここでは省略します。

ベーシック・ペンションにより生活保護制度は廃止へ


ベーシック・ペンションの導入で、生活保護制度は廃止します。
完全廃止することを意図した支給金額を設定しています。
仮に、捕捉率を2割、5人に1人が実際に受給しているとすれば、残りの約800万人も、従来の生活保護に当たるものが受給可能になるわけです。
合計、1千万人以上、1億2千万人の12分の1に当たります。
間違いなく、ベーシック・ペンションは、貧困対策への有効な政策となります。

生活保護審査事務等関連行政コストの削減が可能に

生活保護の申請先、審査・支給事務等は各地域の福祉事務所が担当しています。
その全国の事務所数と現業担当者数は、以下のとおりです。


福祉事務所は、生活保護行政だけでなく、障害者福祉、母子・父子・寡婦世帯福祉等他の福祉行政も担当しています。
そのため、生活保護制度が廃止されても、他の職務は残ります。
しかし、その中で生活保護業務が占める割合は高いでしょうし、その廃止に伴い、障害者福祉、母子世帯など福祉における生活保護関連業務はなくなります。
そのため人員削減に伴う配置転換や事務所の縮小が可能になり、行政コストの削減に結びつきます。
その削減分は、他の必要な行政に充てることができるようになります。

もちろん、ベーシック・ペンションで生活保護制度廃止で何も問題が起こらないと断言はできません。
先述したように、健康保険の自己負担発生や、高い住宅費に対応できないケースなども発生するかもしれません。
ベーシック・ペンション導入時の移行に当たっての手続き等、当然課題も予想されます。
ただ、その殆どは、事前の想定と準備・対策で解決・対応可能でしょう。

何より、受けることが恥ずかしいとされ、第三者からは、恥ずべきことと指摘されることさえあった生活保護という制度と概念が、日本という国においては消滅し、不要のモノ、コトになるのです。
グローバル社会において少子高齢化社会問題などと共に「課題先進国」と自ら称し、その解決のモデルを示すべきであったにもかかわらず、「課題解決後進国」として「恥じるべき国及び社会」のモデルに成り下がっていた「貧困問題」への解決策を示すことになるベーシック・ペンション。

その有効性は、この生活保護制度の廃止に始まり、より広範に、いや、全国民に及ぶことになるのです。

(過去参考関連記事リスト)
ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系(2021/1/30)
ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)
ベーシック・ペンションによる児童手当・児童扶養手当廃止と発生余剰財源の保育・教育分野への投入(2021/2/7)
ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)
ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に (2021/2/11)
ベーシック・ペンションによる雇用保険制度改革・労働政策改革:安心と希望を持って働くことができる就労保険制度と労働法制を(2021/2/13)
ベーシック・ペンションによる所得税各種控除の廃止と税収増:子どもへの投資、30年ビジョンへの投資へ(2021/2/14)

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