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2020・21年考察

ベーシック・ペンションのデジタル通貨口座における社会保険料の取扱い:MOさんとのQ&A

前回、私が運営するFacebookグループ「ベーシック・ペンション、日本独自のBI実現をめざすクラウド・ミーティング」へのベーシック・ペンションに関する投稿に対してご意見をくださるNI氏との対論の形で、以下をアップしました。
ベーシックインカム財源に関するNI氏論とのWEB対論(2021/4/13)

今回は、同様私の投稿に種々基本的な疑問や質問をお寄せくださるMOさんへのQ&Aを行いたいと思います。
MOさんは、基本的には、無条件で、すべての人々に現金を支給するベーシックインカムに賛成する方です。

ベーシック・ペンションがデジタル通貨である理由

先日は、このような質問を頂きました。(原文のまま)

なんで 通帳でなくデジタル通貨なんですか?
高齢者や未成年、 認知症の家族、 老人ホーム等に預けてる家族だと通帳振込の方が管理しやすいと思うのですが?
口座引き落としが多いので必要な口座に振込されると助かります。


その回答は、同グループでお伝えしましたが、今回は少し手を加えて、以下再度お応えします。

どうして「デジタル通貨」か、というお尋ねについては、次の記事を参考にして頂けます。
なぜベーシック・ペンションは現金ではなくデジタル通貨なのか:DX時代の必然としてのJBPC(2021/2/17)

ただ、その記事の初めに記したように、デジタル通貨とはどういうもので、どういう意図・目的をもって考えたものかを知って頂く必要があります。
その理解の役に立つのが、次の記事です。
なぜ循環し、回収消却され、再生し、世代を継承していくベーシック・ペンションなのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-6~10(2021/1/24)

その中では、以下の<なぜ>に応える形で、デジタル通貨としてのベーシック・ペンションを説明しています。

・なぜ日本国内でしか使えず、利用期間が限られるのか:【国内限定】【期間限定】
・なぜ利用できる物やサービス、利用できる場所(事業所)が限定されるのか:【使途限定】【利用事業所限定】

なぜ利用された事業所が受け取った通貨を、無条件で現金に換えられないのか:【処理処分限定】
・なぜ、他人に譲り渡したり、相続したり、貯蓄用にしたりできないのか:【譲渡・相続・資産化禁止】

なぜ、最後に日本銀行に回収され、消却されるのか:【全額消却方式】

なお、こうしたシステムを可能にするためには、そのシステム開発と稼働化準備のために、相当の年数と費用とが必要になります。
コロナ禍により困窮が深まる中で、こうしたデジタル通貨によるベーシック・ペンションの実現を提案することは問題であること、逆に考えると問題外であることは自覚しています。
ただ、コロナを理由に導入を急ぐべきという提案とは、ベーシック・ペンションは一線を画していることは、何度も申し上げて来ています。
単にデフレ脱却、経済対策としてのベーシックインカム提案ではないことを、こうしたQ&Aを行うことの意味・意義をご理解頂く上で必要と思い、付け加えさせて頂きました。

日銀専用口座からの保険料等の自動引落システムについては、次の質問の中でお応えします。

各種保険料のベーシック・ペンション専用口座でのデジタル通貨処理についての質問

次に、以下の質問(原文のまま)を頂きました。

デジタル通貨は、分かりました。
そのデジタル通貨から普段引き落としする口座に手数料引かれた金額を振込するか 若しくは日銀の自分の口座から健康保険料、年金、保険料等を引き落としって事で良いのでしょうか?
そして日銀の口座は、一定期間使用しなければ 回収される って事ですよね?

こちらのご質問に、以下お応えします。

ベーシック・ペンション専用デジタル通貨口座について

まず、BP専用通貨(JBPC)用の銀行口座は、日本銀行にのみ開設され、他の市中の金融機関にJBPCを入出金できる講座は作ることができません。
その前提で、ご指摘の公的費用や家賃などを自動引き落としできるかどうか、になります。

前回、自動引き落としシステムは設定すべきと申し上げましたが、実は、まだ迷っているというか、公的保険料を除けば、できれば自動引き落としシステムは設定すべきではないと考える点もあります。

その理由は、口座名義の方や契約先(家主さん等)が自動設定を解除することがあり、そのタイミングが実際の引き落とす・引き落とさないの必要時とずれる可能性が多々発生するためです。
それにより、日銀口座での処理作業が利用者・管理者に発生する手数・手間が膨大になる可能性が出てくることが問題になると思うからです。

年金保険料の自動引き落としについて

MOさんが心配される、保険料のベーシック・ペンション専用口座からの引き落としについては、以下の記事を先ず確認頂ければと思います。
⇒ ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)
その内容を確認頂いたとして、以下要点をお伝えします。


国民年金とベーシック・ペンション

基本的には、ベーシック・ペンションの導入で、国民年金は廃止されますから、国民年金の保険料は支払う必要はなくなります。

厚生年金保険とベーシック・ペンション

企業などに雇用され給与所得を得る人は、一部の例外を除き、全員が厚生年金保険に加入します。
ベーシック・ペンションの実現に伴い前述のように制度改定が行われます。
その改定に基づいて設定された保険料が、給与などから差し引かれますから、ベーシック・ペンションでの保険料支払い、引き落としは発生しません。

⇒ ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)

健康保険の保険料の自動引き落としについて

MOさんがご心配のもう一つの保険、健康保険については、当サイトでは以下で既に触れています。
⇒ ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に(2021/2/11)
ただ、実際に健康保険料の負担とベーシック・ペンションの専用口座からの引き落としについてまでは及んでいません。
先に取り上げた年金とは異なり、健康保険料については、検討が必要です。

公的健康保険は、健康保険国民健康保険、及び後期高齢者医療の3種類があります。
以下順に取り上げていきます。

健康保険の保険料のベーシック・ペンションにおける取扱い


健康保険は、健康保険組合または協会けんぽを保険者とする保険です。
事業所に雇用される人が、厚生年金保険とセットで健康保険に加入しており、厚生年金保険料と同時に、賃金から健康保険料が差し引かれて、健保組合か協会けんぽに保険料を収めています。
そのため、当然、ベーシック・ペンションから保険料が引かれることはありません。

なお、現状給与所得者の扶養対象である配偶者や子どもの健康保険は、所得者の負担する健康保険料で被保険資格を持つことになっています。
ベーシック・ペンションは、すべての個人に支給されますが、健康保険の適用については、従来どおりの保険制度を引き継ぐこととしておきたいと現状では考えています。

国民健康保険の保険料のベーシック・ペンションにおける取扱い


問題は国民健康保険です。

ベーシック・ペンションはすべての国民に支給されますが、児童基礎年金と学生等基礎年金受給者の国民健康保険料は無料化することとします。
問題は、学齢18歳超の月額15万円の生活基礎年金受給の人のうち、先の健康保険に加入していない人の国民健康保険加入と保険料負担です。
満年齢85歳以上の高齢者基礎年金受給の人は、後述の後期高齢者医療の中で触れます。

国民健康保険の保険料は、都道府県及び市町村または国民健康保険組合が保険者となり、自治体や組合によって保険料が異なります。
ただベーシック・ペンション制においては、給与所得者は、士族など個人事業主を含め所得がある個人全員が法人格を持つとみなして、厚生年金保険制度に加入すべきと提案しています。
(参考)
⇒ ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)

そこで厚生年金保険制度に加入すると同時に健康保険への加入も義務付けるわけです。
これで、残るのは、給与所得がゼロの人だけに問題が絞られます。
給与所得がゼロであっても、配当所得など給与所得以外の有所得者については、保険料を徴収する制度を創設することも選択肢とするのも方法でしょう。

そこで、国民健康保険制度を残すかどうか。
ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に
で私は、2健保と後期高齢医療に加え、介護保険制度共々統合する案を提案しています。
従い、現状の国民健康保険制度は、自治体健保として、健康保険制度と統合し、無所得被保険者からは、ベーシック・ペンションから保険料を差し引く方式を提案したいと思います。
これは、自動引き落とし方式になるわけです、

もう一つの選択肢としては、保険料負担はゼロとし、医療給付サービスを受けた時の自己負担割合を高くする方式もあるかと思いますが、仮に高額医療制度でカバーできたとしても、自己負担率が複数あることでの煩雑さを考えると、やはり保険料を負担する方式が望ましいと考えます。

生活保護制度との医療保険関連課題


もう一つここで付け加えておくべきことがあります。
実は、生活保護法の適用を受けている人は、健康保険料の保険料を納付する必要はなく、診療を受けた場合の自己負担の必要もありません。
しかし、ベーシック・ペンションの支給で、生活保護制度を廃止することを提案しており、新たに健康保険料を負担する必要が生じます。(後述する介護保険料もです。)
一応、現状の生活保護制度における給付実態を考慮して、一人月額15万円給付としています。
しかし、この額でも医療費の一部でも自己負担すべきとなった場合、現状よりも生活が困難になるりスクがあるケースも考えられます。
単身生活者にはありうることと思われますが、こうした場合、かなりの人については、心身の障害を持つ方に限られるのではないかと思われます。
この場合は、新たに改定する障害者福祉制度を適用することで、経済的な問題を解消することを考えればと思います。
また、他に住む場所の確保・支援を目的とした「厚生住宅制度」の創設も検討に値すると考えています。
(参考)
⇒ ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)

後期高齢者医療の保険料及び自己負担のベーシック・ペンションにおける取扱い


また後期高齢者医療(高齢者医療確保法)も課題です。
後期高齢者医療は、運営主体が都道府県単位で全市町村が加入する「広域連合」です。
その運営にかかる費用の負担の内訳は、以下のようになっています。
1)公費 5割 (国12分の4、都道府県12分の1、市町村12分の1)
2)後期高齢者交付金(若年者=現役世代の医療保険料) 約4割
3)高齢者の保険料 約1割(※軽減措置等で実質7%程度)

この後期高齢者自身が負担する保険料を、どうするかです。
現状は、受給する老齢基礎年金から、保険料が控除されています。
この方式をそのまま引き継ぐと、ベーシック・ペンションの高齢者基礎年金月額12万円から保険料が差し引かれ、残りが日銀の専用口座に振り込まれることになります。
自動引き落とし方式です。


介護保険の保険料及び自己負担のベーシック・ペンションにおける取扱い

もう一つ、2健保、後期高齢者医療と統合を提案している介護保険制度。
この保険料も、給与所得者は、その給与から差し引かれているため問題ありません。
ただ、国民健康保険加入者、後期高齢者医療加入者については、前々項及び前項と同様の考え方で対処することを提案したいと思いますに。
(参考)
⇒ ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に(2021/2/11)


社会保険サービス給付に対する自己負担分のベーシック・ペンション(JBPC)での支払い

なお、健康保険や後期高齢者医療、介護保険を利用した場合必要になる自己負担は、ベーシック・ペンションJBPCで支払うことができます。
先に投稿した、以下の記事で、その旨触れています。
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)

(生活基礎年金の限定利用)
第11条 生活基礎年金は、日本国内に限って利用できる。
2.また、第3条の目的に沿い、主に以下の生活諸費用に限定して利用できる。
  1)食費・住居費(水道光熱費含む)・衣類日用品費等生活基礎費用
  2)交通費・国内旅行費、一部の娯楽費 
  3)入学金・授業料・受験料、教育費・図書費
  4)健康関連費・市販医薬品
  5)医療保険・介護保険等社会保険等給付サービス利用時の本人負担費用

未使用のJBPCの自動回収について

最後に、MO氏がお尋ねになった「回収」についてです。

仮に専用口座に振り込まれたJBPCをまったく使用せずに5年間経ってしまえば、その利用期限の翌日には、日銀に自動的に回収され、その金額分が残高からなくなります。
(参考)
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)

(利用有効期限)
第13条 発行・支給された通貨の有効利用期間は、発行日から5年間とする。
2.利用されずに有効利用期限を迎える通貨は、期限日の翌日に自動的に日本銀行に回収される。


まれに全く手を付けない人もいるかもしれませんが、利用時には、先に振り込まれたJBPCから引き落とされていきますから、日常生活でJBPCを利用する人の残高が回収されることはほとんどないと思われます。
よほどお金が有り余っていてベーシック・ペンションは要らないという富裕層や国の金には頼りたくない、という人は別ですが。

正しくは、日銀の自身の個人口座にある、JBPCのうち一定期間(発行年を含め4年間を想定)内に使用されないJBPCを自動的に日銀が回収します。
もちろん対象となるJBPCのうちが残っていてば、一定期間前にその旨自動的に通知されるシステムを備えているべきと考えています。

(参考)
なぜ循環し、回収消却され、再生し、世代を継承していくベーシック・ペンションなのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-6~10(2021/1/24)

最後に付け加えて、こちらの記事もぜひ確認頂ければと思います。
なぜ日本銀行が、デジタル通貨でベーシック・ペンションを発行・支給・管理するのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-3(2021/1/22)

以上で、MOさんの疑問・質問への回答になります。
中でも触れたように、まだ十分に検討していない課題もあり、継続して検討してまいります。
引き続き、ご質問・疑問に加え、提案などもお寄せ頂けると大変ありがたく存じます。

<ベーシック・ペンションをご理解頂くために最低限お読み頂きたい3つの記事>

⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
⇒ ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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  1. zoritoler imol

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