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2023年BP財源財政・経済・インフレ論

ベーシック・ペンション財源論は現代貨幣理論MMTが参考に。インフレ論は?:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー8

20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書)を参考にしての【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ

<第1回>:リベラリズム批判と米国追随日本のグローバリゼーション終焉リスク:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー1(2023/1/17)
<第2回>:TPP批判・安倍首相批判による食料・エネルギー安保失政を考える:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー2(2023/1/18)
<第3回>:デマンドプル・インフレ、コストプッシュ・インフレ、貨幣供給過剰インフレを知る:『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー3(2023/1/22)
<第4回>:ベーシック・ペンション、インフレ懸念への基本認識:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー4(2023/1/24)
<第5回>:主流派経済学におけるケインズ派と新自由主義派の異なるインフレ政策と課題:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー5(2023/1/26)
<第6回>:ベーシック・ペンション起因のインフレ対策は利上げのみか。新たな視点へ:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー6(2023/1/28)
<第7回>:主流派経済学派からポスト・ケインズ派のインフレ論へ転換を:【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー7(2023/1/29)

最後に示している全編の目次に従い、第1章から第4章まで進み、今回が、第4章のまとめに当たります。
前回は、この章の1回目で、本章「インフレの経済学」の内容の整理・理解に取り組みました。
今回は、それらの内容を参考にして、ベーシック・ペンションと関係づけてまとめます。

4.「第4章 インフレの経済学」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション

 第4章 インフレの経済学
  主流派経済学の物価理論と貨幣理論
  貨幣供給量の制御から中央銀行による金利操作へ
  コストプッシュ・インフレを想定していない政策判断
  問題の根源は、貨幣に対する致命的な誤解
 ・注目すべき「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」
 ・財政支出に税による財源確保は必要ない
  政府が財政赤字を計上しているのは正常な状態
 ・政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない
 ・財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ・ポスト・ケインズ派は「需要が供給を生む」と考える
 「矛盾しているのは理論ではなく、資本主義経済である」
  経済成長には財政支出の継続的な拡大が必要
  ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 ・コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない 

前回は、上記の本章の構成を私なりに編集し、逆に項目数が増えてしまいましたが、以下のように整理し、確認作業を行いました。

4-1 財政政策がもたらす需要・供給と経済成長循環と国家財政の基本
1)主流派経済学の貨幣理論・物価理論と同派内における変化、そしてその課題
 ・主流派経済学と一般均衡理論
 ・主流派経済学における貨幣理論
 ・外生的貨幣供給理論と銀行の役割
 ・ミルトン・フリードマンのインフレ論、その経済理論としてのマネタリズム
 ・マネタリズムの欠点と限界、ニュー・コンセンサスの登場
 ・ニュー・コンセンサス及び主流派経済学の誤り
2)アンチ主流派としてのポスト・ケインズ派による「内生的貨幣供給理論」
 ・主流派経済学の貨幣・金融理論の根拠「貸付資金説」の致命的な誤解
 ・「信用創造」という銀行金融システム
 ・ポスト・ケインズ派の台頭と「内生的貨幣供給理論」
3)ポスト・ケインズ学派が導き出した「貨幣循環理論」と「現代貨幣理論」
 ・「貨幣循環理論」(Monetary Circuit Theory)とは
 ・政府と中央銀行間における貨幣循環
 ・政府による貨幣供給の貨幣循環の特性・強み
 ・民間経済及び政府両方の貨幣循環を統合すると
 ・「現代貨幣理論」(Modern Monetary Theory)とは
4)ポスト・ケインズ学派の「現代貨幣理論」がもたらす、自国通貨発行政府・中央銀行の財政概念の大転換
 ・政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しないというロジックと財政支出・徴税・国債発行の基準
 ・財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ・経済成長に必要な、財政支出の継続的な拡大
 ・ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 ・コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない

今回は、それらを受けて参考にし、ベーシック・ペンション導入において課題となる財源問題とインフレ問題について、これまで幾度となく書き記してきているのですが、確認を含めてメモすることにします。

4-2「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」から考えるベーシック・ペンションの財源論およびインフレ論

現状のベーシック・ペンションの財源

現在提案しているベーシック・ペンションでは、
・その財源は、税金や保険料等の徴収でまかなわず、
・日本銀行が持つ通貨発行権を用い、国の方針及び(新しい)法律に基づいて、一般の法定通貨とは別に、専用のデジタル通貨(仮称BPDC, Basic Pension Degital Currency)を発行し
・全員に、年齢に応じたBPDCを、個人ごとにマイナンバーカード番号と紐付けして開設した日本銀行専用口座に、無条件で、毎月、生涯給付する
としています。
ただし、一般の法定通貨自体、現状、デジタル通貨化の実証実験中であり、いつ導入可能になるか不明ですが、いずれ導入されると思われ、そのための技術とインフラ整備に目処がついた後の取り組みになるわけです。
また、BPDCの給付は、給付対象に優先順位を付け、一部限定して、少しづつ給付額を増やしていくことを想定しています。
加えて、BPDCの実現には相当の年数も必要と考えられ、政策上早期導入が必要と考えられる場合、マイナポイントあるいは現金で支給し、BPDCが可能になり次第、転換する方法を選択すべきとも考えています。
すなわち、一般的にベーシックインカムの財源としては、基本的には、所得の再分配を方針として、富裕層からより多くの所得税徴税、あるいは相続税負担を義務付ける等が提案されています。
他、法人税に炭素税・環境税等を加え、企業負担を一層強めることもほぼ当然のように考えられています。
そして何よりも驚かされるのが、リベラルを自称する人からは、消費増税を、ベーシックインカムにとどまらず、社会保障財源として提案している例さえ見受けられるのです。
前者では富裕層から、後者では中低所得者からの反対は免れることはできず、いずれにしても、所得再分配方式は、言うほど簡単ではなく、後述するもう一つの問題、主流派経済学派の「財政規律主義」、財政赤字反対主義の非生産性的な議論で、前に進まなくなること必定です。

MMTから考えるベーシック・ペンションの財源

こうした不毛の議論から脱し、光明・解決策となるのがMMT現代貨幣理論。
こう断言したい思いはありますが、諸手を上げて賛成、無条件で賛成というわけではありません。
元々ベーシック・ペンションを提案した時点では、MMTのことは知りませんでした。
ただ、単純に、国が紙幣を刷れば刷るだけ発行できるわけで、どういう理由をつけて、ベーシックインカムに結びつけるか、あるいはそれで懸念される問題にどう対処・対応すればよいか考えればよい。
そこからの出発でした。
その単純な発想・考え方を後押ししてくれるのが、MMT「現代貨幣理論」となる。
そうも言えるのでしょうが、それが理論と言えるものかどうか、素人としての単純な疑問は、本書を読んだ後も払拭できていません。

発行されたベーシック・ペンションの利用・流通、回収・返還、消却の循環

本題を戻して、ベーシック・ペンションの流れを以下提示します。
・BPDCは日本国内のみで使用・流通し、一定期限内に使用・消費(一次利用)されたあと最終的には発行元の日本銀行に回収され、消却され、ゼロとなる。
・BPDCを利用でき、売上・手数料等として受け取ることができる事業者は、政府・自治体の承認を受けた(個人事業主を含め)法人格をもつものに限る。
・給付を受けた国民が使用・消費したBPDCを受け取った事業者は、原材料等の仕入れ・調達に、決済手段として二次利用できる。
・一次利用・二次利用BPDCを受け取った事業者は、BPDCの処理方法として、以下の中から選択できる。
①消費税分の納付 ②政府・自治体への諸税・法定福利費等公的納付 ③自社財務管理上のみなし利益処分としての雑損処理 ④政府・自治体への一般法定通貨への交換(但しBPDCでの一定手数料納付義務)
以上は例であり、今後他の方法も検討・提案可能と思っています。
・①②④で国自治体が受け取ったBPDCは、それぞれの財務会計上の判断で、一般会計に組み入れる場合は日銀に法定通貨との交換を要請するか、そのまま日銀に返還するかを選択
・③を選択した事業者は、BPDCを日銀に返還
・⑤期限内に利用されなかった個人が保有するBPDCは、自動的に日銀に回収される
・以上により日銀に回収・返還されたBPDCは、期限に達した時点で日銀が消却(破壊)する。

中野氏が前章で述べた「破壊」がここでの「消却」に当たります。
日銀と政府の関係ですが、このベーシック・ペンション制度においては、同様中野氏が用いた「統合政府」としての機能を(国民から)付託され、行使していると言えます。

なお、こうして利用・費消され、回収されたBPDCの流れと内容は、すべてデジタル・データ化されます。
そして、利用業種・利用商品サービス分析、物価やインフレへの影響、需要供給バランス分析、地域経済及び国内経済加えてグローバル経済への影響分析など多岐に渡って活用され、より望ましい給付の方法、利用方法等基準などの改正やベーシック・ペンション制度自体の改善・改正に用いられることは言うまでもありません。
これは非常に重要な要素です。

ベーシック・ペンションの財源不要の基本的な考え方

再度、財源問題に戻ると、ベーシック・ペンションは、財源は税に求めず、国の方針として、日銀の通貨発行権を利用して、専用デジタル通貨BPDC財源を規定額発行し給付し、ずべての日本人が権利として受け取る、財源不要の生涯年金制度です。
そして、一定期間内に、一定の規定に従って利用されたBPDCは、日銀に還流し、消却されゼロになる。
これがMMTと同様の性質を持つともいうことができる所以です。

しかし、本書で提示された「政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない」というMMT理論をそっくりそのまま拝借しようとすると、やはり、無尽蔵にそれが可能になり、税金の負担も社会保険料の負担も不要になるという極論に至ります。
ポスト・ケインズ派もそこまでは無責任でなく「機能的財政」という考え方のもと、徴税の必要性を掲げ続けてはいます。
ベーシック・ペンション提案においても、専用デジタル通貨BPDCが、全国民平等に行き渡り、利用されるものであることを最大の理由として、採用するのです。
他の政府及び自治体の財政財源として、現状の諸税制度は改善・改革を伴いつつ継続されますし、新たな税を創設することもありえ、ベーシック・ペンションでもその考えを組み入れています。
この件との関連は、次章「恒久戦時経済」でも取り上げます。



次に、財源問題からインフレ問題に移ります。

主流派経済学派視点でのベーシック・ペンションのインフレ懸念と対策

中野氏が『世界インフレと戦争』において最も主張する重要政策の一つが、コストプッシュ・インフレを抑制し、経済成長を持続的に可能にする財政政策を国が取ることにあります。
そしてそれを可能にするのが、貨幣循環理論・現代貨幣理論を掲げるポスト・ケンズ学派の主張です。
当然それは、従来の主流派経済学に基づく財政金融政策批判から起きています。
そこでは、インフレ抑制策は専ら「利上げ」とし、財政出動や過剰流動性を要因とする、主にデマンドプッシュ・インフレ対策としてのものと評価。
そしてそれは、コストプッシュ・インフレを想定しておらず、インフレの多くがコストプッシュ・インフレ型であることを無視した間違った政策と批判するのです。
ここから分かるように、また、昨今のアメリカのFRBの政策をみれば分かるように、利上げという金融政策への依存しか選択肢がない状況を中野氏は強く批判しています。
日本でも、財政赤字を強く戒め、世代型社会保障制度の議論では、高齢者等受益者負担の拡大、所得税の累進課税強化等による所得再分配など、財政規律主義を頑なに守ろうという主流派経済学の観点からの政策一辺倒の状況に変化はまったくありません。
従い、日本のベーシックインカム導入の議論に関しては、導入支持派も、導入反対派も、どちらもこの主流派経済学の考え方の土俵の上で行っており、ゆえに、どちらにおいても導入不可能という状況から前進がみられない状況にあります。

ポスト・ケインズ派視点でのベーシック・ペンションのインフレ懸念と対策

そこでポスト・ケインズ派のMMTが広く理解されるようになればよいのですが、そのスピードが極めて鈍いのです。
中野氏が本章で紹介し、説明している現代貨幣理論MMTが、財務省・財務大臣に理解され、かつ首相にも理解されれば、一大転換というより革命が起きるに等しい状況になるかもしれません。
国の財政あり方が根源的に変化・変革する可能性があるためかどうか分かりませんが、そんな動きも情報もありません。
ならば、野党勢力がベーシックインカムの導入がMMTを根拠として財政とは無関係に可能と政策を掲げれば、大論争に発展する可能性もあるのですが、れいわ新選組のやまもと太郎氏の訴え方が悪いのか、その内容が信用できないものとみなされているためか分かりませんが、状況に変化をもたらすには程遠い状況です。
私からみると小手先の政策提案に過ぎず、単なるバラマキに終わってしまうのではと感じられます。

さて、ベーシックインカムあるいはベーシック・ペンションが厳しいインフレをもたらすか、否か。
まず第一に、給付される額の大きさによってインフレ度は異なると想定されます。
その対策としては、物価などへの影響度を分析しながら、少しずつ支給額を増やし調整する。
金額そのものを調整するか、支給対象者を当初絞り、少しずつ増やしていく等考えられます。

適度なインフレ、適度な値上げにとどめる仕掛け・仕組みを持つベーシック・ペンション

こうしたインフレ抑制のための給付金額の調整とは別に、ベーシック・ペンションで重視しているのは、万一インフレが発生したとしても、適度なインフレにとどまるように、あるいは値上げも適度な値上げにとどまるように、調整機能が働く仕掛け・仕組みを用意しておくことです。
中野氏が主張するように「需要が供給をもたらす」のは正しい。
供給力が高められれば需要を満たし、経済成長がゆるやかにでも進むことが期待できます。
ベーシック・ペンションは、生活基礎年金と呼ぶように、衣食住・健康医療等、安心安全安定的な生活をおくる上での商品やサービスに消費・利用に限定しての年金給付です。
その多くは、スーパーやドラッグストア、コンビニ、病院・介護施設等で用いられ、食料・衣料・日用品・家賃・保育教育費・介護費等に充てられます。
その多くは地域経済の循環と安定基盤形成に寄与すると考えられます。
万一その消費において、需要を満たすことができない供給力不足が生じるケースとしては、その消費財を海外からの輸入に依存する率が高く、調達が困難になる場合が挙げられます。
平時には問題がなくても、パンデミックやウクライナ戦争によるインフレは、日本にその影響の大きさを実感させました。
経済安保の名のもとに、グローバルなサプライチェーンの見直し・再構築を課題としつつ、自国内での供給体制・システム構築に長期的に取り組むべきことを理解させたわけです。
ベーシック・ペンションは、国民の生活安保のための給付ですが、関連させて、国内の供給体制の整備をも求め、仕掛け、仕組みとしていくことをも企図しています。
それは、製造業のみならず、農林・畜産水産業の第一次産業の再整備・再構築を当然含みます。
従い、多種多様な国内に不足する必需の財の調達・供給上のリスクについては、長期的に、自給力の向上や代替品開発などを進め、改善・解消していくことをめざして利用条件を設定しているのです。
それらは新たな雇用や起業家・事業主を生み出す可能性があることも想像・想定できるでしょう。
またこうした計画や現実例が具体的に示すことができれば、先行きでのインフレ不安は軽減され、物価の抑制に有効に働くと期待ができます。

しかし、物価の値上げ・値上がり、そしてインフレは、いついかなる時に、いかなる要因で発生するか。
そしてそれぞれの的確な処方箋はどういうものか。
それらは、中野氏が本章の最後に示したように、絶対的にこれと一律に断定・断言できるものはなく、それぞれに対処・対応すべきと言えるでしょう。

ベーシック・ペンションの総合的・俯瞰的基本方針・基本政策に着目を

もう一つ、前提として申し上げておくべきことがあります。
ベーシック・ペンションの支給により、生活必需品やサービスにBPDCが専ら利用されるようになると、通常の賃金所得や労働所得以外の収入が、以前よりも消費に充てられ、供給が追いつかない製品・サービス価格が大きく値上がりし、インフレを生起させるというリスクは、確かに高まる可能性があります。
しかし、それらは、いわば不要不急の類のモノ・サービスとも言うことができ、BPDCの消費領域に及ばなければ、大きな問題は生じません。
むしろ国内での供給力を高めるために企業が投資し、経済成長に直結することが可能になります。
また、すべてが消費に回されるわけではなく、貯蓄や株式投資、起業のための準備や投資、自己への教育など、利用用途と利用額が拡大するわけです。
今回は問題提起しませんでしたが、エネルギー・電力料金問題も、今時のパンデミック・ウクライナ戦争で最もわが国の弱点であることが確認できたことで、同問題への取り組みが、今後加速することが期待されます。
そこでも、ベーシック・ペンション導入と合わせて長期的な取り組みと対応が不可欠です。
ここでの上記の種々の課題は、最終章「第5章 恒久的戦時経済」において提示・提起される内容とも直接・間接に繋がっています。
それらの内容は、恒久的と名がつくことで想像できるように、いずれも長期的な視点・俯瞰からの問題提起であり、問題解決策の提示です。
ベーシック・ペンションに共通な、総合的・長期的・俯瞰的方針、方策の確認ともなる次回からの3回、最終章に次回から臨みます。

【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ展開計画(案)

1.「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題
 1-1 地政学・政治体制リスクと国家安保をめぐるコンセンサス形成ニーズ
 1-2 グローバリゼーション終焉の現実としての食料・エネルギー安保政策
2.「第2章 二つのインフレーション」から考えるベーシック・ペンションとインフレリスク
 2-1 デマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレ、それぞれの特徴
 2-2 ベーシック・ペンションにおけるインフレ懸念の性質とリスク回避の可能性
3.「第3章 よみがえったスタグフレーション」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 3-1 過去のインフレ、スタグフレーションの要因・実態と金融政策経済安保
 3-2 インフレ対策としての利上げ政策の誤りとベーシック・ペンションにおける想定対策
4.「第4章 インフレの経済学」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 4-1 財政政策がもたらす需要・供給と経済成長循環と国家財政の基本
 4-2「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」から考えるベーシック・ペンションの財源論
5.「第5章 恒久戦時経済」から考える21世紀の総合的・体系的・恒久的安保とベーシック・ペンションモデル
 5-1 恒久経済システム確立のための新しい資本主義及び金融システム改革構想
 5-2 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的基礎生活及び社会保障安保
 5-3 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的社会経済システム安保

世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』目次

はじめに 物価高騰が示す世界の歴史的変化
第1章 グローバリゼーションの終焉
  ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
  終わりの始まりは2008年の金融危機
  最初から破綻していた、リベラリズムという論理
 「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
  東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
  ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 ・金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 ・物価高騰は一時的な現象では終わらない

  防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
  世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 ・TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 ・エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 ・電力システム改革が電力不安を不安定化した

  中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 
第2章 二つのインフレーション
  グローバリゼーションが終わったからインフレが起きた
  先進国ではインフレにならないことが問題だった
 ・デマンドプル・インフレ ー 需要過剰で物価が上昇
 ・コストプッシュ・インフレ ー 供給減少で物価が上昇

  コストプッシュで持続的な物価上昇が起こる経緯
  一時的な物価上昇も「インフレ」か
 ・原因も結果も対策も大きく異なる二つのインフレ
  ノーベル経済学者十七人が長期のインフレ対策として積極財政を支持
 ・資本主義経済の正常な状態はマイルドなデマンドプル・インフレ
  コストプッシュ・インフレの言い換え
第3章 よみがえったスタグフレーション
  第二次世界大戦後に起きた六回のインフレ
  過去六回と比較し、今回のインフレをどう見るか
  2022年2月以降はコストプッシュ・インフレ
  FRBによる利上げは誤った政策
  IMFは利上げによる世界的景気後退懸念
 ・コストプッシュ・インフレ対策としては利上げは逆効果
 ・1970年代よりはるかに複雑で深刻な事態

  世界的な少子高齢化から生じるインフレ圧力
  気候変動、軍事需要、長期的投資の減速
 ・「金融化」がもたらした株主重視の企業統治
 ・企業が賃金上昇を抑制する仕組みの完成
  なぜ四十年前と同じ失敗が繰り返されるのか
  インフレ政策をめぐる資本家と労働者の階級闘争
  七〇年代のインフレが新自由主義の台頭をもたらした
 ・ケインズ主義の復活か新自由主義の隆盛か 
第4章 インフレの経済学
  主流派経済学の物価理論と貨幣理論
  貨幣供給量の制御から中央銀行による金利操作へ
  コストプッシュ・インフレを想定していない政策判断
  問題の根源は、貨幣に対する致命的な誤解
 ・注目すべき「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」
 ・財政支出に税による財源確保は必要ない
  政府が財政赤字を計上しているのは正常な状態
 ・政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない
 ・財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ・ポスト・ケインズ派は「需要が供給を生む」と考える
 「矛盾しているのは理論ではなく、資本主義経済である」
  経済成長には財政支出の継続的な拡大が必要
  ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 ・コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない 
第5章 恒久戦時経済
  第五波インフレで、世界は政治的危機へ
  中世ヨーロッパ文明に終焉をもたらした第一波インフレ
  格差拡大、反乱、革命、戦争を引き起こした第二波・第三波
  冷戦の終結をもたらした第四波インフレ
  すでに危険な状態にあった世界を襲った第五波
  内戦が勃発する可能性が高まっているアメリカ
  債務危機のリスクが高まりナショナリズムが先鋭化するEU
  成長モデルの根本的な変更を余儀なくされている中国
  中国の行き詰まりから東アジア全体で地政学的危機勃発か
  日本は最優先で何に取り組むべきか
 ・安全保障を強化し、内需を拡大させる産業政策を
 ・国内秩序を維持するための「大きな政府」
 ・特定の財に限定した「戦略的価格統制」の有効性
 ・世界秩序の危機は長期化し、戦時経済体制も長期化
  「恒久戦時経済」構築以外に生き残る道はない 
おわりに 悲観的積極主義

20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

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