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2020年blog&考察

不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム:BI導入シアン-6(2020/7/3)

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 これまで
現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの
公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ
働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム
というテーマでシアンを進めてきた。
 今回も引き続き、人の生活に視点を当てて、想定外という想定内の出来事への対処・対策に有効なベーシック・インカムについて考えてみたい。

被災、感染症等想定外の事態で、就労や日常生活が困難になった時

 コロナウイルス感染症の拡大・パンデミックという想像を絶する厄災が、想定外の、非常に大きな影響を日本とグローバル社会に及ぼすこととなった。
 生きているうちに、こんな経験をすることなどまったく想像できなかった。
 緊急事態宣言により、移動や事業活動の停止を余儀なくされ、学校・保育所、介護施設、病院なども活動休止や利用制限に追い込まれた。
 仕事に従事して賃金など収入を得る機会を奪われる人々も多く、すべての国民が日常生活に不安を持ちつつ不自由な日々を送らざるを得なかった。
 このコロナ禍において、無条件に一人一律10万円特別定額給付金が支給される経験を日本人はした。
 一時金ではあったが、これが毎月行われればベーシック・インカムとなる。
 多くの問題があったが、事業持続化給付金も現実化された。
 ベーシック・インカムをイメージしやすくなる機会を得たわけだ。
 コロナのみならず、日本は自然災害国で、阪神・神戸大震災、東日本大震災などの地震被災や、このところ毎年のように起きている、何十年に一度の集中豪雨に伴う河川の氾濫・土砂崩れなどによる被災。
 こうした厄災により仕事や日常生活が困難になることは、想定内のこととすべき時代と言える。
 このような事態が起きた場合、毎月定額のベーシック・インカムが支給される制度が導入されていれば、なんとか最低限の生活を維持できる望みを持ち続けることができる。
 住まいを災害対策や社会的連係などで確保する必要はあるが。

倒産や解雇などで失業した時

 多くの国民・住民が被る自然災害や感染症などとは別に、個々人のレベルで、不測の事態が発生することは、ある意味日常的なことと考えるべきかもしれない。
 働いている企業・事業所が倒産した。
 突然解雇された。
 希望退職者の募集があり、選択すべきと考えた。
 あるいは、現在の企業・職場になじめず、あるいは別に転職したい企業や仕事があり、自身の都合で退職することにした。
 独立を考え、しばらく準備に専念するため離職した。
 こういう場合もある。
 こうした場合、雇用保険である程度カバーされるが、手続きも必要であり、やめた翌日からすぐに失 業手当がもらえるわけではない。
 すぐに別の仕事が見つかるとは限らない。
 こうした場合にも、ベーシック・インカムがあると助かる。
 落ち着いて自分に適した、希望する次の仕事を選ぶ時間を持つことができるし、起業の準備もできる。

病気・事故等で就労困難や減収になった時

 業務中の事故などにより就労が困難になれば、労災保険で給料などが保障されるが、業務外での病気や事故によるケガで、就労が不可能になることはままありうることだ。
 業務中の事故の原因が、自身の故意・過失・不注意などの場合は、その一部または全部が支払われないこともある。
 健康保険等で一部保障・補てんされるが、全額ではない。
 会社が一部支払ってくれる場合もあるが、多くの中小企業では制度が整っていない。
 こうした時に、ベーシック・インカムが導入されていれば、病気やけがで働けなくなった時の不安・心配は、一応しなくて済むか、軽減されるだろう。
 企業の福利厚生制度や社会保険・労働保険制度による収入補てんがあれば、ベーシック・インカムに加えて得ることができわけで、より不安感は解消されることになる。

妊娠・出産による休業・減収時や、仕事と介護・育児等の両立が困難になった時

 妊娠時や出産時とその前後の就労ができない期間、あるいは法律でしてはいけない、させてはいけない期間については、健康保険制度や企業の独自制度などで、一定レベルの賃金・祝い金等が保障される。
 またその期間の身分・処遇なども、一時金の支給や休業補償、保険料の減免などの支援がある。
 こういう状況を迎えたり、状態にあるとき、ベーシック・インカム(生活基礎年金)があれば、安心して入院・出産・産後ケアなどができる。
 しかも、生まれた子どもには、生まれた月からベーシック・インカム(児童基礎年金)が支給されるので、生まれたばかりの乳児の生活費用は、それで賄うことができるわけだ。
 希望する保育所や幼稚園などに入所・入園できない保活や待機児童問題は、なかなか解消される気配もない。
 仕事と育児を両立させるための親の不安・苦労の原因が、世帯収入等経済的要因にあるケースが多い。
 家族の介護をしなければならない状況においても、仕事とうまく折り合いをつけることが難しい場合が多い。
 その要因として、介護を必要とする家族の収入や貯蓄などの経済的問題や、介護する自身あるいは配偶者の仕事や収入などの状況がある。
 介護の対象である家族が、ベーシック・インカムを受けている場合、その不安の一部は解消できる。
 自身がもらっているベーシック・インカムを、一定条件を満たせば、介護費用に転用できるかもしれない。
 介護離職は、できれば避けるべきで、ベーシック・インカムが手助けの一部になるだろう。
 ベーシック・インカムは、育児や介護を外部に委ねる場合の費用に充てることができる。
 また、やむを得ず、介護離職や育児離職をしなければならなくなった場合、自身の生活費をまかなうために利用することにもできる。
 すなわち、さまざまな非常時・想定外時における生き方・働き方・生活の備えになり、その必要時には、選択肢を提供しつつ、必要な資金として機能するベーシック・インカムというわけだ。

 次回は、「夢のある人、夢の実現をめざす人のためのベーシック・インカム」というテーマで考えてみたい。

<BI導入シアン>シリーズ紹介

 肩肘張らずにベーシック・インカムについて考えてみる。
 自由に発想・思案してみる。
 そうしながら、実現可能な、現実的な方策を私案化する。
 それらをある程度批判に耐えられるようなレベルに、整理し、まとめて、当サイトのカテゴリー<BASIC INCOME>の該当する項目に試案として提起する。
 そういう流れをイメージして、<BI導入シアン>シリーズ。
 今回までのラインアップは、以下。

1.所得がある個人を別人格とみなす社会経済システム
2.現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの
3.中国がベーシック・インカム制を導入したら
4.公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ
5.働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム
6.不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年7月3日投稿記事 2050society.com/?p=883 を転載したものです。
当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から、冒頭のWEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を開始。
同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記のリンクから確認頂けます。

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