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働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム:BI導入シアン-5(2020/7/2)

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 前回は、
公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ:BI導入シアン-4
と題して、公務員がベーシック・インカムを受け取ることを想定して思案したことをメモした。
 今回は、やはりベーシック・インカム制の導入目的となる対象として適切と考えられる人について、続けて考えてみたい。

保育職・介護職等公共的社会福祉・社会保障関係職の方々へのベーシック・インカム

 前稿の中で、公共的・社会保障関連業務に就く保育職や介護職も公務員的な立ち場的な人々として取り上げた。
 だが、教員と違って、給与は他の民間企業の業種・職種と比べても非常に低いレベルのままで、今後も大きく改善する期待がもてないように思われる。
 こういう職業・職種の低賃金には、不合理な理由がある。
 企業論理では利益を目的として、経営効率や労働生産性を高める必要があるが、こうした労働集約型の公的サービス事業では、その実現は非常に難しい。
 かといって、義務教育の教職が、生産性が高い職種かというと、けっしてそうではない。
 ほとんどが公務員である教職員は、生産性自体が問われない職業と社会経済的にみなされているのである。
 比率としては少ない私学の教職員も、公務員教職員の処遇レベルで雇用される形が歴史的にも定着しているのだ。
 その違いは大きい。
 低賃金と厳しい労働条件・労働環境は、保育・介護現場の人手不足を長引かせ、それがまた現場での就労を一層厳しくさせている。
 必要とされるスタッフ数を満たすことがなく、専門職資格を持っていても現場に復帰・参加してくれない潜在保育士・潜在介護士は数多くいる。
 そこで、戦力として頼りにされるのが、専門資格を持たない非正規職員となる。
 また、自治体に補助金を申請・受給することで、地域社会の福祉に貢献してくださっているNPO法人参画者やボランティアの方々も。
 こうした方々すべてに、ベーシック・インカムが支給されれば・・・。
経済的不安の幾ばくかは解消され、以前よりも安心して社会保障や社会福祉の仕事で一層の生きがいを感じて頂けるようになるかもしれない。
 潜在保育士・潜在介護士の方々の何割かの人たちも、現場に戻ってくれるかもしれない。
 自分の経験・スキルと適性を活かすために。
 やりがいも求めて。
 因みに、2025年に必要な介護士数は245万人で、現状34万人不足しているという。
 一方、少し古い数字だが2013年に保育士として働いている人の数は約43万人。
 この年の潜在保育士数は約76万人とされている。
 少子化が進んではいるが、就労女性の増加、幼保無償化による保育ニーズの増加他多様な要因により保育士の求人は増すばかりで、待機児童問題がその証左の一つでもある。
 私もそのひとりだが、支持する人が増えている保育義務教育化が実現すれば、一気に必要人数が増えるが、ベーシック・インカムが導入されていれば、現場に戻ってくれる人の目途も立つだろう。

 このように、社会福祉・社会保障に関する仕事に携わる人たちが生活していく上での経済的な不安が、ベーシック・インカムで解消されることで、社会全体が安定化し、現場で働く人々も、保育・介護サービスを受ける人々も、多くの人々が希望をもって暮らしていくことが可能になるだろう。

非正規被用者や収入が不安定な個人事業主へのベーシック・インカム

 正規被(雇)用者との賃金その他の処遇・労働条件の格差が問題となっている。
 その改善・解決策の一つとして同一労働・同一賃金制の導入・適用が法制化されたが、果たして有効に機能するか。
 それは、どちらかというと「ジョブ型」の雇用方式への転換が主張されることと並行して、一部の正規被用者の賃金の抑制・低下の方向に向かうのではないかと予想する。
 ところで、非正規になった理由・背景は多様、ひとそれぞれだろう。
 家庭・個人の事情でみずから選択した人がある。
 子育てや介護のためや、自分の夢の実現のための生き方・働き方としてなど。
 希望通りの就職ができず、一時退避、一時我慢でという人もいる。
 配偶者控除のメリットを手放したくないので、選択した人も。
 正規を希望したが、採用されず、やむなく、非正規になった人。
 こうした非正規被用者の人々にベーシック・インカムが支給されたら。
 やはり、多くの非正規の人々が抱える、根本的な経済的不安・ニーズの改善・解消がもたらされ、これからの働き方・生き方に影響を与えるだろう。
 やむなく非正規被用者として働いている人の何割かは、ベーシック・インカムを受給することで、その仕事をやめるかもしれない。
 それはそれでいいことで、そのうちの何割かは、在宅介護・家族介護に専念できるようになったり、子どもの育児や教育のために時間を使ったり、自己実現のために時間とおカネを使うようになるだろう。
 それも、ある種の安心と豊かさの表れと言えよう。
 何割かの人は、その安心をもとに、一層の豊かさの実現、めざす職業への就労や独立起業、家族のための生き方・働き方、社会貢献や自己実現を目標とした生き方・働き方などを考え、選択し、チャレンジするかもしれない。
 望ましいことだ。
 一方、ベーシック・インカムだけで暮らしていくことを選択する人も、当然想定される。
 脱労働を指向し、脱労働社会の一人の生き方の象徴の一つとなるかもしれない。
 但し、社会的・基本的な規範を守ることは、最低限の義務・責任となる。

困窮する母子世帯・父子世帯へのベーシック・インカム

 また、現状では、ワークフェア主義として、現金での直接給付よりも、仕事を斡旋することや職業訓練を受けることで就労を促す方向に流れているひとり親世帯の福祉政策が問題となっている。
 そうした状況下のひとり親は、子どもの事情に応じた働く機会や条件が満たされることなく、ムリ・フリな働き方を半ば強制されている。
 夜の仕事や、長時間労働、あるいは反対に短時間労働などだ。
 そのことで、一層格差や貧困が助長される結果になっている。
 その一部は、生活保護を受ける条件を満たしてはいるが、世間体を考えたり、役所の態度への不安・不信から申請しなかったり、申請するすべを知らないことで、受けていない。
 こうした母子世帯・父子世帯の親と子に、無条件でベーシック・インカムを支給する。
 間違いなく、経済的な不安により毎日を不安に生きている親子世帯には、大きな助けになる。
 希望を持つことができる明日、将来が見えてくる。
 子どもにも、親にも。

生活保護制度をベーシック・インカム制に切り替える

 現状の生活保護給付制度には、多くが共通して認識している問題がある。
 生活保護や社会保障・社会福祉を扱った書には必ず取り上げられている問題だ。
 生活保護水準以下の所得で暮らしている人は、人口の約13%いると推計されるが、実際に生活保護を受給しているのは、なんと1.2%しかいない(2006年)というのだ。
 世帯換算で簡単に言いかえると、全部で100世帯あるとして、そのうち生活保護を受ける条件にあるのは10世帯だが、実際に受けているのは2世帯だけで、2割捕捉にとどまる。
 しかも、その審査は、できるだけ受給者を抑制しようという役所サイドの意向が働くこともあり、安心・信頼して相談・申請することを抑圧する懸念があるとされているのだ。
 もし、ベーシック・インカムを導入し、現状の生活保護レベル以下の所得の人々に支給すれば。
 もちろん、この不評の生活保護制度を廃止し、その代わりの制度として、条件も申請も要らない、安心の制度となるわけだ。
 生活保護を受給する人の多くは、働きたくても働くことができない事情を抱えている。
 それらの人を含め、今回は、働いてはいるが、種々の事情で、自身や家族の生活に充分な収入を得ることができなかったり、本来受け取ることができるはずの賃金などを得ることができず、貧困や格差に身を委ねざるを得ない人々がベーシック・インカムを受け取ることを想定してみた。
 そこでの意味・意義は十分理解することができると思われる。

 次回も、やはりどういう人々が、ベーシック・インカムを支給されることで安心や救済を受けることができるか、「不測の事態に遭遇したときの備えとして機能するベーシック・インカム」というテーマで考えてみたい。

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年7月2日投稿記事 2050society.com/?p=887 を転載したものです。
当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から、冒頭のWEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を開始。
同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記のリンクから確認頂けます。

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