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2020・21年考察

7万円現金給付ベーシックインカムの次にデジタル通貨ベーシック・ペンションを:ベーシックインカム現実的実現法考察-4


真のベーシックインカム実現を政策とする政党ゼロから取り組むべき現状と今後(2021/7/16)
という基本認識から始めた<ベーシックインカム現実的実現法考察>シリーズ

 まず早期に実現可能と思われる給付額として、全員一律毎月7万円を設定し、何段階かに(2段階が理想)分けて導入することを提案する以下の3つの記事を投稿しました。
全員月額7万円で始める:ベーシックインカム現実的実現法考察-1(2021/7/17)
月額7万円ベーシックインカムの条件と期待効果:ベーシックインカム現実的実現法考察-2(2021/7/18)
無理なく、漸進的・段階的に導入するベーシックインカム:ベーシックインカム現実的実現法考察-3 (2021/7/19)

 今回は、予定になかったのですが、結果的には前回を受ける形での投稿になります。
 それは、今日2021年7月28日付日経記事、
「キャッシュレス新世紀(下)揺らぐ国家の通貨主権 勝者は中銀か民間か」
から感じたことというわけで。

 当記事は、デジタル通貨に関する主要国等の取り組みについてのものですが、これまでも、
なぜベーシック・ペンションは現金ではなくデジタル通貨なのか:DX時代の必然としてのJBPC (2021/2/17)
という記事で触れています。

 当サイトのその記事では、今年2月の同紙<経済教室>欄での「動き出す中銀デジタル通貨」というテーマでの
民間通貨との相互依存続く 動き出す中銀デジタル通貨(2021/2/9)
銀行の果たす役割変わらず 動き出す中銀デジタル通貨(2021/2/10)
元の国際地位向上は限定的 動き出す中銀デジタル通貨(2021/2/11)
の3回にわたっての小論と
中銀デジタル通貨、6割が実験 1年で20ポイント増 新興国で先行 日米欧は実用化に慎重
というテーマの記事を紹介しています。

先行する中国の中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の実用化実験


 2月の記事も統合して要約すると。
 中国の中央銀行、中国人民銀行が2020年から本格的に実験を始めて発行しているデジタル通貨(CBDC)、デジタル人民元 。
 現在の取引総額は345億元(約5900億円)で、利用者がスマホに取り込んだデジタル人民元の「財布」は2087万個あるという。
 例えば、 北京市内のマックで、スマホアプリでハンバーガーを「デジタル人民元」で簡単に購入できる。
 2022年2月の「北京冬季五輪」でデジタル人民元を本格始動させ、日米欧に先駆けて正式に、法定通貨のデジタル化が実現することになるのです。

デジタル通貨化をめざす主な理由・背景


 一般的に、ここへきて各国政府がデジタル通貨化を真剣に検討し始めているのは、通貨の「主権」が民間に移り、通貨とデータが一体になるキャッシュレス新時代は通貨を巡る「国家対民間」の主権争いの様相を呈し、金融政策などの有効性が失われるリスクに対応するため。
 私たちの日常では、現金に替わる決済手段として、ポイント還元によるプロモーションも支持を受け、すでに種々の電子マネーが用いられ、浸透・拡大しています。
 これは、発行主体による顧客の囲い込み策でもあり、その利用履歴が再利用されるなど、法定通貨の圏外での経済活動の主体になっているわけでもあります。
 また仮想通貨なども含めるとデジタル通貨のメリットは、送金手数料の安さと速さにもあります。

 Facebookがリブラを発行することに対する各国の警戒感は、半端ではないですし、GAFAの持つ影響力は、法定通貨の存在意義・存在価値を次第に低下させていくリスクを増大させつつある現実があります。

 今月7月には、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は「ギアを上げて『デジタルユーロ』の研究を開始する」と、ユーロ圏も国家主導のCBDCに打って出る考えを表明。
 米国では、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、CBDCの主導役を果たすべく、9月にも「デジタルドル」構想の論点を示すとしています。

ベーシック・ペンションは、日銀発行の専用デジタル通貨(JBPC)で支給する

 当サイトが提案している日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金は、日本の中央銀行日銀が発行する、ベーシック・ペンション専用デジタル通貨(JBPC)で、すべての個人に対して、日銀に開設するJBPC専用口座に振り込むものとしています。

 しかし、日本では、日銀が4月から「デジタル円」の実証実験を始めたばかりで、法定通貨のデジタル通貨化は、まだまだ先の話。
 それも想定し、他の要因も加えて、ベーシック・ペンションの実現は、10年がかりのこととしています。

(参考)
ベーシック・ペンション実現は10年がかりの夢、団塊の世代から次世代へのレガシーとして(2021/2/8)
ベーシック・ペンション実現に10年を想定する4つの理由(わけ) (2021/3/4)

 それでは、種々の社会問題の改善・解消にますます遅れが生じるため、それらの対策の一部でも早期に寄与できるようにということで、以下の記事で述べたように、先行してまず全員一律毎月7万円を設定して、現金で支給することを提案しました。
全員月額7万円で始める:ベーシックインカム現実的実現法考察-1(2021/7/17)
月額7万円ベーシックインカムの条件と期待効果:ベーシックインカム現実的実現法考察-2(2021/7/18)
無理なく、漸進的・段階的に導入するベーシックインカム:ベーシックインカム現実的実現法考察-3 (2021/7/19)



 ベーシック・ペンションを一般的なベーシックインカム論者が提案する現金給付ではなく、デジタル通貨での支給を提案することには、もちろん確固とした理由があります。
 その内容については、以下の記事で確認頂ければと思います。

(参考)
なぜ日本銀行が、デジタル通貨でベーシック・ペンションを発行・支給・管理するのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-3(2021/1/22)
なぜ循環し、回収消却され、再生し、世代を継承していくベーシック・ペンションなのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-6~10(2021/1/24)
なぜベーシック・ペンションは現金ではなくデジタル通貨なのか:DX時代の必然としてのJBPC (2021/2/17)

現金支給ベーシックインカムからスタートし、第2段階から専用デジタル通貨によるベーシック・ペンションに統合する

 今回、主要国等の中銀による法定通貨のデジタル通貨化が、既定の路線のことと認識することで、ベーシックインカム、ベーシックペンションも、いくら現金で支給すべきと導入論者が主張したところで、BIもデジタル通貨で支給すべきとなるのは必然であることは明らかです。
 但し、従来の法定通貨とは異なり、ベーシック・ペンション用専用通貨としての法定デジタル通貨通貨であり、となると法定通貨が2種類存在することになります。
 その区分・使い分けは、デジタル通貨ゆえできるのです。

 ということで、現実的な実現論として、初めは毎月7万円現金支給からスタートし、種々のデータを収集・分析を重ね、10年後のベーシック・ペンション全額支給段階に至った折には、現金から、デジタル通貨に全面的に切り替えることを決めておくことが望ましいと考えています。
 従い、第1段階での現金支給プロセスにおいて、デジタル通貨への切り替えを前提として、開始方法・導入方法を検討し、第2段階での導入に活かすことが重要と考えています。

 しかしながら、未だに現金支給方式には、不安と懸念を私は抱いています。
 とりわけ不安を感じるのは、子どもに支給される現金です。
 デジタル通貨ならば、どのように利用されるかのデータ分析が可能ですが、現金ではまったく分かりません。
 両親、親の都合で好きなように使われ、子どもの教育機会格差や貧困問題の改善には結びつかない。
 十分ありうることではないでしょうか。

ベーシック・ペンションについて知っておきたい基礎知識としての5つの記事

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)(2021/5/20)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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