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非正規雇用者2千万人の不安・不安定を解消するベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-6


 当サイトで提案の日本独自のベーシックインカム、「ベーシック・ペンション生活基礎年金」法律案の前文に掲げた、同法制定の背景・目的(当記事最後に掲載)の各項目ごとに、補足・解説を行うシリーズを進めています。

 ここまで投稿したのが以下。
「生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文」解説、始めます(2021/6/2)
憲法の基本的人権に基づくベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-1(2021/6/12)
生活保護制度を超克するベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-2(2021/6/15)
少子化対策に必須のベーシック・ペンションと地方自治体の取り組み拡充:BP法の意義・背景を法前文から読む-3(2021/6/20)
子どもの貧困解消と幸福度の向上に寄与するベーシック・ペンション児童基礎年金:BP法の意義・背景を法前文から読む-4(2021/6/22)
母子・父子世帯の貧困と子育て家庭環境の改善をもたらすベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-5(2021/6/24)

 今回第6回目は、次のテーマです。

非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大及び格差拡大

 当該前文に記述した内容は、以下のとおりです。


非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大及び格差拡大
 経済成長の停滞が長く続くなか、企業は、経営リスクの抑制・回避のため、非正規雇用者の比率を高め続けてきています。
 雇用の安定が、経済成長の維持・実現に寄与することから、政府も非正規雇用者の正規雇用への転換を進める施策等に取り組んできていますが、企業の取り組みは大きくは改善されていません。
 そのため、非正規雇用で働く人の多くは、低賃金や長時間勤務など、自身が望む働き方とは異なる厳しい労働条件・環境で働くことを余儀なくされており、現在と将来に対する生活への不安を増幅させています。
 単身者の非正規労働者はもちろん、夫婦共働き世帯において、一方または双方が非正規雇用に甘んじている場合も同様です。
 こうした社会経済構造は、基本な生活レベルの維持はもとより、結婚への諦め・単身生活化、婚姻率の低下、子どもを持つことの断念・少子化、育児あるいは介護と仕事の両立などの困難化など、さまざまな負の影響をもたらしています。
 加えて、新型コロナウィルスのパンデミックの長期化で、もっとも影響を受けたのが、非正規労働者や零細自営業者です。
 こうした人々と正規雇用者や大企業労働者、そして富裕層との格差拡大は、社会を分断するリスクを内包するものであり、その改善・解決のための抜本的な対策が喫緊の課題となっています。

非正規雇用者数2090万人(37.1%)対正規雇用者数3529万人


 初めに、非正規雇用者数が実際何人いるか、総務省の<労働力調査>で確認します。

 2010年以降、非正規雇用者は増加を続けていましたが、2020年に久々に減少。
 いうまでもなく、コロナ禍で、非正規雇用者が職を失った結果が表れたものです。

 そういう状況ですが、しっかり確認しておくべきは、2020年ベースで、被雇用労働者数合計約5620万人中、約2090万人、約37.1%が非正規雇用という現実です。

 

非正規雇用者の低賃金の現実


 次に、非正規雇用者に関して最も問題視されている賃金の状況です。
 以下のグラフは、雇用形態別に年齢年代別の時間給ベースの違いを表したものです。
 着目すべきなのが、<正社員・正職員以外の一般労働者>及び<正社員・正職員以外の短時間労働者>のそれと<正社員・正職員の一般労働者>のそれとの違いです。
 相当の賃金格差があるのはひと目で分かりますが、特に年齢が高くなるほど差が大きくなり、50歳代では、ほぼ2倍近い格差が生じています。
 但し、60歳代になると正社員・正職員一般労働者も賃金形態が変わり賃金が下がる制度になっていることが分かります。
 この資料は、一般労働者に限ってのものであり、管理職・専門職との比較も用いると、より格差が拡大することが想像できます。

 当然、時間給レベルでの差は、総労働時間数の違いにより、実際の賃金所得額上の格差は拡大し、非正規雇用者の低所得問題、そして、経済的に生活上困窮する人々や世帯の問題が顕在化します。
 正社員・正職員以外の一般労働者すなわち、非正規雇用のフルタイム労働の場合、手取り月収が15万円~20万円程度、非正規雇用の短時間労働者の場合、月間労働時間が100時間程度ならば、手取り月収が10万円あるかないかということになります。

 格差の根源がここにあることが明らかです。

非正規雇用が増える要因

 先の正規・非正規雇用者数の推移を見ると、1994年の非正規雇用者比約20%が、2020年には約38%と2倍近く増加し、雇用者の5人に2人が非正規雇用者となっています。
 景気の悪化を理由に、各企業が非正規化を進めたこともありますが、基本的には、固定費であった人件費を抑制する企業サイドの雇用・賃金・経営政策の広がりが、非正規化を拡大させてきた最大の要因と言えます。

 そして、雇用されるサイドの弱さが、コロナ禍で一層拡大され、雇い止めや解雇などによる失業・労働機会の喪失、そして困窮をも招いている現状に表れています。
 一方、一部の中小零細企業においては、正規雇用であっても解雇や失業に遭うケースも見られますが、多くは、加入している雇用保険の適用(特別適用を含む)雇用調整助成金があることで、その難を免れている事例も多々あり、ここでも格差の一面が示されています。

望んでの非正規雇用か、望まない非正規雇用か


 総務省の調査では、以下のデータが示されています。

 
 正規雇用として働きたいけれども、やむなく非正規雇用として働かざるを得ない人の割合が11.5%。
 ということですが、これは、一面的な見方、質問の仕方で、バイアスが掛かっています。
 ここには、本当は、正規で働きたいが、配偶者控除を受けるために、敢えて非正規雇用を選択している人は入っていないと考えられるからです。

 これは、いわゆる「103万円の壁」とか「130万円の壁」などと言われる「年収の壁」を理由とする、主に女性が非正規雇用を選択する状況をいいます。
 扶養されている人(多くは妻)が働く場合、収入が一定以上になると扶養から外れてしまい、この扶養から外れる分岐点のことを俗に「年収の壁」と呼びます。
 扶養から外れてしまうと、税金や社会保険料がかかり、働き方によっては損になってしまうケースがあるため、その計算結果から、非正規雇用を選択する例が多くなるのです。

ベーシック・ペンションにより従来の被扶養者はいなくなり、働き方の選択は、個人の自由意志に任される


 しかし、こうした非正規雇用者の不安や心配、懸念は、以下のように支給されるベーシック・ペンションで、一切不要になります。
 但し、賃金収入があるすべての人は、老齢基礎年金部分は、ベーシック・ペンション生活基礎年金として無条件で給付されますが、健康保険料負担があり、所得税を所得に応じて負担することになります。
 厚生年金保険は、従来の現役世代が高齢者の年金を負担する賦課方式ではなくなり、自身の老後のために積み立てる老齢厚生年金制度に転換することを提案しています。

 ベーシック・ペンションは、フルタイムで働きたければ望む働き先を得ることができるまで活動すればよいですし、短時間労働を望めば、適切な就労先を探す努力をするか、自身が起業するか等、選択の自由度は広がります。

非正規雇用者の不安・懸念を解消するベーシック・ペンション、生活基礎年金支給額

 ベーシック・ペンション、生活基礎年金は、無条件で、以下の年齢に応じてすべての国民に支給されます。

・児童基礎年金 (学齢15歳以下)   一人月 8万円、年間 96万円 
・学生等基礎年金(学齢16~18歳)     月10万円、年間120万円
・生活基礎年金(学齢19歳以上満80歳未満) 月15万円、年間180万円
・高齢者基礎年金(満年齢80歳以上)    月12万円、年間144万円

 すべての国民ですから、正規雇用の人々にも支給されるわけですが、現状2000万人以上いる非正規雇用の人々は、その生活基礎年金で、間違いなく、非正規雇用のさまざまな不安や心配から解放されて、自身や家族の生き方や働き方を見直し、望む方法を考える、あるいは選択することが可能になります。
 もし、お子さんがいれば、児童基礎年金か学生等基礎年金もが子ども一人ひとりに支給され、子どもの保育や教育への経済的負担の不安からも解放され、望ましい家族環境を形成する可能性が高まるでしょう。

不可欠な労働政策・雇用政策上の法改正


 しかし、ベーシック・ペンションの提案に当たって、当サイトでは、生活基礎年金の支給で、雇用問題や労働保険制度を含む労働政策についての改善が必要なくなるとは考えていません。
 これまでも述べてきているように、ベーシック・ペンションは、憲法で規定するすべての国民の基本的人権の実現を基盤として、種々の社会保障・社会福祉制度に加え、雇用保険制度等労働保険関連法制など以下の図にあるような幅広い範囲での制度と法律等の改正・改革を行うことを想定しています。


 今回の非正規雇用者へのベーシック・ペンション支給で、雇用保険制度や各種関連労働法制に関して現在存在する種々の問題点の改善が免罪されるわけではなく、根本的な正規雇用者との不平等・格差などは改正する必要があります。
 すでに、
ベーシック・ペンションによる雇用保険制度改革・労働政策改革:安心と希望を持って働くことができる就労保険制度と労働法制を(2021/2/13)
でその一部は提起していますが、それらを整理したものが以下です。

1.「労働契約法」「労働者派遣法」「パートタイム・有期雇用労働法」等の改正(有期雇用契約、非正規雇用契約、派遣労働契約等、非正規雇用契約の一部制限)
 1)非正規雇用から正規雇用への転換を希望する人への企業への雇用契約変更義務化(一部条件あり)
 2)採用時正規雇用希望者への正規雇用契約義務化(但し、試用期間制度等一部条件あり)
 3)派遣労働適用職種の一部撤廃
2.労働基準法改正による解雇規制強化
3.最低賃金法の改正による最低賃金の引き上げ
4.雇用保険法に基づく失業保険支給基準の改定

 1)ベーシックペンション支給により、現状給付失業保険の一部廃止(BIが代替している)
 2)同じく、現状給付失業保険の支給期間の変更(延長)
 3)同じく、現状失業保険給付額の変更(増減額あり)
 4)雇用保険料の変更(減額)

 個々の事項について、またこれら以外にも必要となるであろう事項について、また別の機会により詳しく検討・提案したいと考えています。

参考:労働関連法律リスト(当サイト掲載分から)

労働基準法
雇用保険法
最低賃金法
労働者災害補償保険法
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

 次回は、以下の前文提起項目の7番目保育職・介護職等社会保障分野の労働条件等を要因とする慢性的人材不足がテーマとなります。

ベーシック・ペンション生活基礎年金制度の背景と目的(同法前文より)

1)憲法に規定する基本的人権及び生存権等の実現
2)生活保護の運用と実態
3)少子化社会の要因としての結婚・出産・育児等における経済的不安
4)子どもの貧困と幸福度を巡る評価と課題
5)母子世帯・父子世帯の困窮支援の必要性
6)非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大及び格差拡大
7)保育職・介護職等社会保障分野の労働条件等を要因とする慢性的人材不足
8)共働き夫婦世帯の増加と仕事と育児・介護等両立のための生活基盤への不安
9)国民年金受給高齢者の生活基盤の不安・脆弱性及び世代間年金制度問題
10)高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、中高齢家族世帯の増加と生活基盤への不安
11)コロナウイルス禍による就労・所得機会の減少・喪失による生活基盤の脆弱化
12)自然災害被災リスクと生活基盤の脆弱化・喪失対策
13)日常における不測・不慮の事故、ケガ、失業等による就労不能、所得減少・喪失リスク
14)IT社会・AI社会進展による雇用・職業職種構造の変化と所得格差拡大と脱労働社会への対応
15)能力・適性・希望に応じた多様な生き方選択による就労・事業機会、自己実現・社会貢献機会創出と付加価値創造
16)貧富の格差をもたらす雇用・結婚・教育格差等の抑制・解消のための社会保障制度改革、所得再分配政策再考
17)世代間負担の不公平対策と全世代型社会保障制度改革の必要性
18)コロナ禍で深刻さ・必要度を増した、安心安全な生活を送るための安全弁としての経済的社会保障制度
19)基本的人権に基づく全世代型・生涯型・全国民社会保障制度としての、生活基礎年金制(ベーシック・ペンション制)導入へ
20)副次的に経済政策として機能する、社会経済システムとしてのベーシック・ペンション
21)生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)導入に必要な種々の課題への取り組み

ベーシック・ペンションについて知っておきたい基礎知識としての5つの記事

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)(2021/5/20)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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