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2020・21年考察

生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)

今年2021年3月2日に、当サイトが提案する「生活基礎年金(ベーシック・ペンション)」の導入を目的として、その法律案をまとめ、以下で提示・公開しました。
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案

実は、この法律案に先立って、当サイトの親サイトである https://2050society.com で、9月に
ベーシックインカム「生活基礎年金法・本文」第一次私案まとめ (2020/9/16)
として、その時点での「生活基礎年金法」案を提起しました。
ただ、その時点では、まだ「ベーシック・ペンション」と表現することを思いついておらず、条文の内容の検討も不十分としながら、一つの区切りとしてのことでした。
それを修正したものが、
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案
です。

当然、昨年の本文取りまとめに先立って、その前日に
ベーシックインカム「生活基礎年金法・前文」第一次私案まとめ(2020/9/15)
を前文として投稿しています。

本来、今年の法案本文提示も、先に前文を提示してからが望ましかったのですが、順番が入れ替わり、今日になってしまいました。
ご理解頂きたいと思います。

「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」前文

(略称)「生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文」

 

前文 本法制定の背景

憲法に規定する基本的人権及び生存権等の実現
 日本国憲法の最高法規である第97条規定の「基本的人権」に準拠した「第三章 国民の権利および義務」の各条に定める「基本的人権」「個人の尊重・尊厳」「法の下の平等」「自由」「生存権」「教育を受ける権利」「職業選択の自由及び勤労の権利」「幸福追求権」等に基づき、種々の社会保障・社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、それらにおいて、未だに規定する条件を実現していないものがあり、その対策・充実が必要とされています。

生活保護の運用と実態
 憲法第25条に定める「最低限度の生活を営む権利」を保障する社会福祉制度の一つに、生活保護制度とその法律である「生活保護法」があります。
 しかし、この生活保護法の運用について、受給要件を満たす人の多くが、受給申請手続きを行わず、実質的に生活保護受給世帯よりも困窮した生活を送っていることが問題になっています。
 この低い捕捉率の理由として、受給要件の審査段階における手続きの複雑さ、審査基準や担当官の公平性を欠く裁量制・恣意性や態度など、それに起因する申請を躊躇わせる心情等が挙げられており、法の下の平等を欠く運用が行われている現状があります。
 また、その審査・給付などには、多くの行政上の費用が支出されています。
 その行政改革も含めて、公平性・公正性を保障する最低限度の生活を営むための社会保障制度を改廃ある改革することも視野に入れる必要性があります。

少子化社会の要因としての結婚・出産・育児等における経済的不安
 2019年の合計特殊出生率が1.36を記録し、年間の出生数は87万人割れ、人口減少数も50万人超と、11年連続で減少を続けています。
 特に、非婚化・未婚化及び晩婚化による出産数の減少、持ちたい子どもの数と実際に持つ子どもの数との差など、少子化に繋がる直接・間接的な要因の背景には、結婚・出産・育児・教育などの一連の営みに必要な収入・所得などの経済的な不安とこれと繋がる心理的な不安があることが指摘・認識されています。
 そこには、エッセンシャルワーカーや非正規雇用者数の増加による所得の減少や不安定化など労働問題も指摘されています。
 そして、2019年に端を発する新型コロナウィルス感染症のグローバル社会全体におけるパンデミックが、わが国にも例外なく大きな影響を与え、経済的な不安や健康上の不安の増大から、婚姻数、妊娠件数、出産数の減少を招くことはほぼ間違いなく、長期化している少子化に一層深刻度が増すと予想されます。
 この少子化と人口減少が加速する日本社会において、早期に有効な手立てを打つことが不可欠な状況にあることは言うまでもないとこでしょう。

子どもの貧困と幸福度を巡る評価と課題
 少子化対策とも重なり合う課題として、子どもの生活における貧困や格差、そこに起因する低い幸福度などの問題があります。
 親の収入や雇用における不安定や不安、貧困・格差は、自ずと子どもの保育・教育、生活そして人生にも影響を与えます。
 その結果、子どもが将来への希望や夢を持つことや、保育や教育を通常通り受ける機会を失うことに繋がり、成長次と成長後の生き方・働き方にも負の影響を及ぼすことになります。
 わが国の子どもにかける費用のGDP比率や、子どもが感じる幸福度、将来への希望や夢を持つ子どもの比率などにおいて、対外比でいずれも低い評価にある現状を無視するわけにはいきません。
 保育の無償化が実現しましたが、基本的には、親の経済及び心身面での安心と子どもの将来に希望を持つことができる諸施策の拡充がわが国に課せられた重要な課題と考えます。
 既存の児童手当がその不安を解消するには程遠い状況も考慮し、子どものための社会保障制度の拡充が求められています。
 その施策が、少子化社会への歯止めに繋がると共に、子どもの養育に対する親の安心感と子ども自身の成長への大きな力となり、社会経済のに好循環をもたらすことは間違いないでしょう。

母子世帯・父子世帯の困窮支援の必要性
 先述した、生活保護受給要件を満たすけれど申請せず、困窮した生活を送っている人々の典型的な例が、母子世帯・父子世帯と言われています。
 その世帯の多くは、育児の負担や家族資源の乏しさから、労働時間に制約を受け、やむなく非正規職として働かざるをえない状況にあります。
 当然育児・教育と仕事の両立が困難で、現状と将来への不安を解消する目処・当てがないまま困窮する生活を送っている例が非常に多く報告されています。
 子どもの数や成長段階に応じた多様かつ柔軟な社会福祉的支援とともに、経済的な不安を取り除く施策が強く求められています。

非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大及び格差拡大
 経済成長の停滞が長く続くなか、企業は、経営リスクの抑制・回避のため、非正規雇用者の比率を高め続けてきています。
 雇用の安定が、経済成長の維持・実現に寄与することから、政府も非正規雇用者の正規雇用への転換を進める施策等に取り組んできていますが、企業の取り組みは大きくは改善されていません。
 そのため、非正規雇用で働く人の多くは、低賃金や長時間勤務など、自身が望む働き方とは異なる厳しい労働条件・環境で働くことを余儀なくされており、現在と将来に対する生活への不安を増幅させています。
 単身者の非正規労働者はもちろん、夫婦共働き世帯において、一方または双方が非正規雇用に甘んじている場合も同様です。
 こうした社会経済構造は、基本な生活レベルの維持はもとより、結婚への諦め・単身生活化、婚姻率の低下、子どもを持つことの断念・少子化、育児あるいは介護と仕事の両立などの困難化など、さまざまな負の影響をもたらしています。
 加えて、新型コロナウィルスのパンデミックの長期化で、もっとも影響を受けたのが、非正規労働者や零細自営業者です。
 こうした人々と正規雇用者や大企業労働者、そして富裕層との格差拡大は、社会を分断するリスクを内包するものであり、その改善・解決のための抜本的な対策が喫緊の課題となっています。

保育職・介護職等社会保障分野の労働条件等を要因とする慢性的人材不足
 潜在的保育士や潜在的介護士が数多くいるにもかかわらず、慢性的に人材不足となっている、保育や介護の現場があります。
 障害者福祉の現場も含め、どの職業も、厳しい労働条件・労働環境での職務を余儀なくされ、離職率も高く、慢性的な人材不足の状況が続いています。
 新型コロナウィルス禍で、一層その状況は厳しさを増し、心身とも疲弊している現状があります。
 他産業・他職種との賃金格差もなかなか縮まらず、国が補助金を支出しても大きな改善は見られません。
 こうしたいわゆるエッセンシャル・ワークと言われる社会保障分野の職務・職業は、本質的に高い労働生産性を求めることは難しく、民間サービス事業化が進められたことも、労働条件を抑制する方向に向かわせています。
 これらの半ば公的な仕事に就く人たちですが、民間事業者においての賃金は公務員レベルに満たず、また厳しい職場ゆえに常用勤務希望者は少なく、非正規化も進んでおり、それがまた所得の低下、生活上の経済的不安化を推し進める要因ともなっています。
 小さな政府という方針とは本来相いれない社会保障・社会福祉領域の公的サービス事業の職種・職業に、希望する人が安心して就職・就労できる施策が求められています。

共働き夫婦世帯の増加と仕事と育児・介護等両立のための生活基盤への不安
 夫婦共働きが普通になっている社会ですが、働き方や生活様式は形成する家族形態を含めて多種多様で、それぞれに対応できる子育てや介護の社会化が十分に実現してはいません。
 就労する企業の支援制度に依存する場合も多く、やむなく、出産時の離職、子育てのための離職、介護離職などを余儀なくされる例もまだまだ多い状況です。
 それが新たな生活上の経済的な不安・不安定をもたらしてもいます。
 企業の支援も、企業規模や業種により格差があり、十分な支援を受けることができる人は限られています。
 また、仕事とそれらの両立等を可能にする社会保障制度の確立は、雇用される人とその世帯にとってだけでなく、自営業や零細事業を営む人・世帯においても求められるものです。
 雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、児童手当など種々の社会保障制度と合わせて、多面的で有効な施策を導入する必要があります。

国民年金受給高齢者の生活基盤の不安・脆弱性及び世代間年金制度問題
 老後の生活必要資金2000万円問題で再確認された、高齢者の老後の生活不安。
 現在の国民年金による老齢基礎年金だけでは、安心して日常生活を送ることができない多くの高齢者がいます。
 一方、厚生年金保険制度を含むこの年金制度は、介護保険制度や医療保険制度と共に、現役世代の負担増への不満と将来の受給額不安を要因として、世代間の問題として取り上げられています。
 税と社会保険の一体改革や財政規律の維持を基本方針としてきた中では、給付サービスを受ける高齢者の自己負担率・負担額の引き上げだけで、その解消・解決を図るには限界があることも明らかです。
 世代間の不公平感を解消し、高齢者世代も現役世代も、これに続く次世代も、すべてが、将来への不安と自己負担の引き上げリスクも回避できる、社会保障制度全体の改革による施策を検討する状況にあると認識すべきでしょう。

高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、中高齢家族世帯の増加と生活基盤への不安
 超高齢化が進み、単身で暮らす高齢者、夫婦とも高齢の世帯、単身中高齢者とその親で構成する世帯が増え続けています。
 その世帯構成高齢者の多くが、介護や看護を必要としており、受給する年金のみに頼った生活を送る世帯も多く、不安な日常生活を送っています。
 老老介護生活を送る高齢者夫婦世帯や親の年金収入に頼る単身中高齢親子世帯の不安もあります。
 健康保険や介護保険などの保険給付サービスは、多くが現役世代の負担で支えられ、低い自己負担額で済みますが、それでも心身の不安とともに経済的な不安も、加齢とともに増していきます。
 それは、その高齢者を介護・監護すべき家族も持つ不安とも重なります。
 ここでも、先述した年金問題とも併せて、最低限かつ安心できる生活を送ることができる質の社会保障制度の整備拡充が望まれている現状があります。

コロナウイルス禍による就労・所得機会の減少・喪失による生活基盤の脆弱化
 2019年に端を発した新型コロナウイルス感染症の全国への広がりと長期化は、日常生活と社会経済活動へ甚大な被害と影響を与えました。
 数次にわたる緊急事態宣言の発出にもより、人・物等の移動が制限され、同時に経済活動の停止や抑制により、働くこと、収入を得る機会を奪われることになりました。
 このコロナ禍を契機として、今後日常的にこうした疫病に対する予防や対策の整備などを行うとともに、緊急時・想定外事態発生時においても、日常最低限の生活を送ることとそれが持続できる社会的基盤、社会保障制度、そして社会経済的基盤を整備することの重要性が求められています。

自然災害被災リスクと生活基盤の脆弱化・喪失対策
 また、ここ数年来、地球温暖化等が要因とされる、想定外の大規模自然災害が多く発生し、多くの被災者を出しています。
 東日本大震災や熊本地震などによる被災の大きさと悲しみ、とりわけ福島第一原発事故による復興不可能になった被災地の状況も忘れることはできません。
 2050年に向けてのゼロ・カーボン、脱炭素方針が打ち出されましたが、それで、こうしたリスクが軽減されるはずもなく、むしろこれをチャンスとして、環境・エネルギー問題に関する安全と防災、国土強靭化などの長期的な取り組みが欠かせません。
 それと同時に、こうした災害被災時とそれ以降の、先を見通せない生活・就労不安を軽減する経済的支援が、日常においても継続して保障・提供される制度も同様に必要であることを認識し、整備が必要です。
 先述したコロナパンデミック対策も、この中の一つの例として捉えるべきでもあります。

日常における不測・不慮の事故、ケガ、失業等による就労不能、所得減少・喪失リスク
 先の2項目では、非日常における厄災・災害発生時の不安対策としての社会保障制度の必要性を考えました。
 こうした非日常ではなく、日常において起こりうる事故、ケガ、失業等のリスクへの備えとして、医療保険や雇用保険、労働者災害補償保険等の社会保障制度による救済・支援策が用意・提供されています。
 しかし、現状制度で不安の一部は軽減されるでしょうが、長期間にわたる場合や重篤な場合などは、実際には十分とは言えない問題も残っており、社会保障制度全体の中で改善・解決策を見出し、調整していく必要があります。

IT社会・AI社会進展による雇用・職業職種構造の変化と所得格差拡大と脱労働社会への対応
 高度な情報システム技術革新の軸であるAI技術が、次の大きな経済社会構造の変革を招くと予想されています。
 進化するAIが、人が働く多くの職業・職種に取って代わり、労働者の仕事を奪い、人が生活するための所得を得る機会を奪ってしまう。
 そして、AI等の技術開発や、AIを用いる事業への投資家が、利益を独占し、不労所得による富の集中、貧富の絶対的格差と分断が加速するというものです。
 これは、極一握りの職業だけが残る社会ですが、その独占された富の再分配が行われれば、働く必要がない脱労働社会が実現する可能性もあるという議論もあります。
 前者の問題の発生を抑止すること、あるいは、そうした予想される状況にどう適切に対応するか、将来適切に対応するための施策、社会保障制度などを議論・検討する必要もあります。

能力・適性・希望に応じた多様な生き方選択による就労・事業機会、自己実現・社会貢献機会創出と付加価値創造
 もし最低限の日常生活を送ることができる収入・所得が保障されていれば。
 自分の性格や能力・適性、そして希望に合わない仕事を辞めて、合う仕事、やりたい仕事を探す、調べる、研究する、創る、就業・起業の準備をする。
 より生きがいや働きがいを求めて、自由な生き方を探して、時間を使う、人と会う、何かを創造する。
 現状に不安や不満、息苦しさや生きづらさを感じたり、心身の健康に不安を感じたりした場合、一時退避し、次に備える時間と心の余裕を持つことができれば。
 そういう人が社会に多くいるに違いありません。
 新しい事業機会や仕事を創造し、付加価値のある芸術・文化・経営等を創造する、あるいは挑戦する。
 それらが可能である社会を、基本的人権や社会保障制度の在り方で実現できれば、素晴らしいことと思います。

貧富の格差をもたらす雇用・結婚・教育格差等の抑制・解消のための社会保障制度改革、所得再分配政策再考
 これまで見てきた、国民一人ひとりが基本的人権に基づいて生活していく上で発生し、存在しているさまざまな社会経済上の問題や課題の多くは、種々の要因で生じる格差に起因していると理解できます。
 所得格差は、就労・雇用機会の有無や不平等、教育訓練等により能力・適性を身につける機会の有無や不平等、望む相手と出会って結婚に至るまでの機会の有無などの違い・格差に起因します。
 それらの多くは、自助努力、自己責任で解決・克服できるものではありません。
 そして、多くは、政治・行政の在り方を改善・改革することで可能になるものです。
 特に、冒頭述べた憲法第25条による、基本的人権と社会保障・社会福祉に基づく政策・法律の改定・制定により可能です。
 ただそれらは、従来は、公費を投じて行なう政策であり、その原資は、税金や保険料であり、それを負担しているのは一定以上の所得がある国民個人個人と事業を営む法人・団体などです。
 その公的原資を、社会保障・社会福祉制度に配分するわけで、このいわゆる所得の再分配を、国が成り代わって、国民のために行っています。
 果たして、その再分配のあり方が適正か否か、再分配の前の徴収方法に問題はないか。
 こうした視点からの種々の見直しも必要と考えられます。

世代間負担の不公平対策と全世代型社会保障制度改革の必要性
 貧富の格差の問題と同じように、種々の社会保障の給付サービスを受ける人と、その財源とされる税金や社会保険料を負担する人との不公平性・不平等性があります。
 老齢年金制度、医療保険制度、介護保険制度などの給付を受ける高齢者は、本人が負担する金額が、実際に受ける給付サービスの額に比べ低額に抑えられています。
 一方、保険料を負担する現役世代が高齢になった時に受ける給付は、それまでの負担に比べて、現在の高齢者よりも著しく低くなることが想定され、不満と不安が強くなっています。
 こうした世代間の不公平性を抑制・解消するために、全世代型社会保障制度への転換が課題となっていますが、税と社会保障の一体改革や財政規律主義を理由に、全世代が理解・納得できる内容に改されるには程遠い状況です。
 そこでは、先述したように、現役世代の子どもや孫など、次世代を担う子どもたちへの社会保障も必要です。
 真の全世代型社会保障制度は、どうすれば実現できるか。
 世代継承を円滑に行い、安心して暮らすことができる社会を実現するためのに不可欠な課題であること共通認識として、共同して取り組む必要があります。

コロナ禍で深刻さ・必要度を増した、安心安全な生活を送るための安全弁としての経済的社会保障制度
 特別定額給付金10万円をすべての国民に無条件で支給する。
 2020年のコロナ下に行われたこの政策は、国民に、国はこうしたことができるんだ、場合によっては行うべきだ、という思いを抱かせました。
 そして、長く停滞する経済対策とも絡ませて、長引くコロナ禍において、必要があれば、あるいは一定のインフレになるまで、何回も、あるいは継続して給付金を支給すべき、という声も起こりました。
 ほぼ日常化する相当規模の自然災害被災を含め、非常時・想定外の厄災・被災時は当然として、これまで種々見てきたように、種々の社会経済状況と関係する諸事情や、日常起きている、あるいは、これから起こりうる種々の出来事への安心・安全を確保する対応・備えとして、すべての国民が利用・享受できる安全弁的な制度があれば、と思い願うのは自然なことと考えます。

基本的人権に基づく全世代型・生涯型・全国民社会保障制度としての、生活基礎年金制(ベーシック・ペンション制)導入へ
 これまでに述べてきた、さまざまな現状と今後の生活・生き方・働き方への不安を少しでも解消し、将来に明るい希望を持つことができる社会保障制度を整備拡充することは、すべての国民が望むものであり、国民の委嘱を受けて政治・行政を担う国が、責任感と使命感をもって実現すべき課題です。
 しかし、長く続いた小さな政府を標榜する政治は、新自由主義経済と一体化して、貧困や格差をはじめとするさまざまな社会問題を拡大・拡散し、経済の停滞の長期化とそれに伴う生活の質の低下も招いています。
 そして長引く新型コロナウィルスパンデミックが、それに追い打ちをかけました。
 こうした多種多様な困難の改善・解決には、従来、議論も具体化も行われなかった制度改革、制度構築が必要です。
 その実現において最も配慮すべきは「平等」「公平」「公正」です。
 しかし、それらの概念・観念は、人それぞれにより異なるため、簡単なことではありません。
 そこで、これまで述べてきたさまざまな状況・条件が、すべての人々に起こりうるという意味で「平等」と捉え、すべての個人に「平等」に、社会保障制度の基軸として、生涯にわたって、「生活基礎年金」ベーシック・ペンションを、デジタル通貨として給付することを法律として定めることにいたしました。
 その目的や運用方法、管理方法などについて規定したのが、社会システムかつ日本独自の文化としての本法「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」(略称「生活基礎年金法」、別称「ベーシック・ペンション法」)本文です。

副次的に経済政策として機能する、社会経済システムとしてのベーシック・ペンション
 長引く経済の停滞の要因を緊縮財政とし、その回復のために反緊縮、大幅な財政出動を主張する声が大きくなってきていました。
 2020年に行われた、すべての国民一人ひとりに特別定額給付金が支給されたことも、その要因となりました。
 そして新型コロナウィルスパンデミックの長期化と繰り返しての緊急事態宣言もあり、廃業・失業や所得喪失・減少を伴って一層の経済不況を招き、長期化することが予想されています。
 こうした状況・環境下では、一般的の用いられるベーシックインカムの議論では、経済対策が主たる目的とされ、一定のインフレ率に収まれば終わりとしてよいかのような案も見られます。
 確かにベーシックインカムは、経済回復に間違いなく効果をもたらすでしょうが、ベーシック・ペンションでは、それは副次的なものであり、一定の経済的成果を挙げれば不要になるというものではありません。
 これまでに種々述べたように、それはさまざまな事情・状況にある国民にとって、そして緊急時・想定外の事態における安全弁・安心安全保障に有効なものとして、導入され、継続されるものです。
 但し、多額のデジタル通貨が支給されることで懸念されるインフレ対策や必要な管理システムについて十分に検討し、想定されるリスクの軽減や防止・抑止策を整備しておくべきことは言うまでもありません。
 本法においては、その対策となる事項も規定されており、かつ、国内経済における自給自足体制及び安全保障システム政策や環境・エネルギー政策等、国内経済・地域経済の堅実な運営管理が行われるよう配慮されています。
 こうした目的・意図も十分理解され、共同・協力して、ベーシック・ペンションが永続的に機能する社会経済システム及び日本固有の文化として定着・発展していくことを期するものです。

生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)導入に必要な種々の課題への取り組み
 この理想とする法律の施行には、当然配慮すべき重要な事項があります。
 一つは、これまで社会保障制度を考える上で常に課題とされてきた財源問題です。
 本法は、従来のこの問題の解決の障害になっていた要素を、新しい方法・方針を採用することで改善・解消しますが、その内容・方法の理解を得ることが、施行にあたっての条件になります。
 二つ目は、本法の制定・施行において、同時または、先行あるいは後追いで、現行の種々の社会保障制度と関連する種々の法律を、廃止・改定あるいは新設する必要があり、並行して取り組むことになります・
 三つ目は、本法で確認できるように、施行に当たっては、専用デジタル通貨の発行・管理システムの開発、試験運用などに相当の期間と費用が必要です。
 そのため、本来、できるだけ早期に施行することが望ましいのですが、10年間前後の導入準備期間を想定しておく必要があります。
 しかし、当前文でも述べたように、すぐに本法を施行すべき目的・要素もあり、その一部については、先行して、方法・内容も仮の形で施行・導入する必要があります。
 その議論・検討、そして施行が円滑に行われることを望みます。
 最後に、本法は、わが国の実情と将来を想定して議論・検討された、文化として機能することをめざすものです。
 その内容・方法・目的等については、国民の理解は当然のこととして、グローバル社会各国の理解を得る必要も
あります。
 施行に当たって、事前にそのための活動も的確に行い、理解と賛同を得るとともに、導入の成功が、同様の制度の各国への移転に寄与することも期待したいと思います。
 
 最後に、多面的な検討・議論を経て、本法(案)制定に至ったことを喜びたいと思います。
 この法律の施行により、わが国の現在と未来に希望と期待をもって、世代が継承され、平和で豊かな国と社会が形成され、国際社会においても範となる社会保障制度が永続することを、すべての日本国民と共に祈り、以上をもって、本法の前文とします。

※ 2021年5月20日 初稿 
※ 2021年5月21日 <副次的に経済政策>の項、追加

なお、本案は、十分な推敲を行っておらず、今後、修正を加えていく必要性を感じています。
また、お読み頂いた方々のご意見や、追記すべき事項などについてのご提案なども頂戴したいと考えています。
宜しくお願いします。

⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)本文へ

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