貧困撲滅と中間層の拡充を期待するベーシック・ペンション
今月初め、当サイトで提案し、推奨するベーシック・ペンション(以下BPと表現することがあります)制度の導入を想定して、その法制化に必要な法案を、以下の記事で、提案しました。
◆ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
その中の、第3条(目的)第3項には、BP導入の目的であり、BPの給付を受けることで安心や安定を得ることができる人々やその場合等を列記した内容があります。
1)少子化社会の要因の一つである、結婚・出産・育児をためらわせる経済的不安の低減・解消を図る。
2)種々の格差や貧困の要因とされる子どもの生活及び教育環境・条件上の問題の改善・解消を、経済的側面から支援する。
3)義務教育以後の高等教育を自らの意志で受ける人びとが、自己実現・社会貢献等の目標実現のために、専門分野の能力・知識・技能技術・創造物等の習得・開発・制作等に必要な教育・学習・研究諸費用及び生活諸費用等に充当する。
4)障害・老齢・生活保護、母子・父子・寡婦保護等社会福祉面からの支援を必要とする人びとが、安心し、安定した生活を送ることができる経済的基盤を提供する。
5)日常発生しうる事故・事件・病気・怪我などにより生じる就労・所得の機会の喪失や想定外の費用負担に対応する。
6)離職・解雇等失業時や、就職・起業等の準備・活動時などにおいて必要な生活諸費用に充当する。
7)自然災害や伝染病等疫病など不測の事態の発生遭遇時に必要な生活基礎諸費用に充当する。
8)社会経済上、非正規・臨時雇用、低賃金や厳しい労働条件・環境等を余儀なくされる職業等に従事し、その状態の改善・解決が即時可能ではない場合等において、経済生活への不安を改善・解消するための生活基礎諸費用に充当する。
9)生まれてから死を迎えるまで、生涯にわたり、全国民が年齢・世代を問わず、平等・公平に恩恵を受けることができる全世代生涯型社会保障制度の基軸として給付金を受給し、より幸福で、より豊かな生活を営むための諸活動を可能にする。
今回は、この9項目の目的がそれぞれ持つ機能について、考え、確認していくことにします。
貧困撲滅をめざすベーシック・ペンション
憲法で規定するすべての国民の基本的人権を基盤にしたベーシック・ペンションの一番の目的・意義は、貧困対策、貧困の解消にあります。
これは、憲法に定める社会保障、社会福祉の面からの政策の一つです。
上記の中の以下の条項が、その目的となります。
4)障害・老齢・生活保護、母子・父子・寡婦保護等社会福祉面からの支援を必要とする人びとが、安心し、安定した生活を送ることができる経済的基盤を提供する。
この目的を最優先課題としているわけで、これなくして、いくら理想を掲げても、ベーシック・ペンションがある意味・意義は否定されてしまいます。
セーフティ・ネットとしての機能するベーシック・ペンション
もう一つ、ベーシック・ペンションには、何かあった時のための備えとしての機能があります。
その「何か」が、地球温暖化の影響や新型コロナのようなパンデミックなど、いつん何があっても想定外ではなく、想定内のこととして備えを用意しておくべきことを求められています。
ベーシック・ペンションは、そういう意味でも、理想論ではなく、現実的なシステムとして常に機能している状態が望ましいとされるようになってきています。
上記の中の以下の項目が、ここでが該当します。
5)日常発生しうる事故・事件・病気・怪我などにより生じる就労・所得の機会の喪失や想定外の費用負担に対応する。
6)離職・解雇等失業時や、就職・起業等の準備・活動時などにおいて必要な生活諸費用に充当する。
7)自然災害や伝染病等疫病など不測の事態の発生遭遇時に必要な生活基礎諸費用に充当する。
ベーシック・ペンションによる格差是正と中間階層の拡充への期待
こうした生活保障及びセーフティ・ネットとして機能することに加えて、ベーシック・ペンションが最も期待する目的及びその実現に伴う期待成果。
それは、格差是正に伴う、中間所得階層の拡充にあります。
率直に申し上げて、ベーシック・ペンションで、格差が解消されるとは考えていません。
なぜなら、BPは、富む人も平等にJBPCを受け取るからです。
ですが、貧困状態・困窮状態のある人、あるいは現在の賃金や所得では生活に不安を感じていた人々、そして将来の生活に経済的側面から不安を感じていた人々の希望や行動に変化をもたらすのではないでしょうか。
BPの安心感を基盤として、より豊かな生活を望み、例えば、家を持つこと、将来のために貯蓄をすることなどを目標として、就労や起業により所得を得よう行動する多くの人々がいるでしょう。
冒頭紹介した、ベーシック・ペンション法案の第3条第3項にある9項目のうち、以下の項目に当たる状況にある人々の多くが、こうした考えを持ち、能動的・積極的・主体的に活動することを期待できるのではと思うのです。
1)少子化社会の要因の一つである、結婚・出産・育児をためらわせる経済的不安の低減・解消を図る。
8)社会経済上、非正規・臨時雇用、低賃金や厳しい労働条件・環境等を余儀なくされる職業等に従事し、その状態の改善・解決が即時可能ではない場合等において、経済生活への不安を改善・解消するための生活基礎諸費用に充当する。
自己実現、社会的貢献をめざす支えとなるベーシック・ペンション
しかし、中間層、中流階級という表現自体、あまり好ましいものと、実は思っていません。
経済的・物理的に所得という尺度で考えることが、一つの現象・状態を示す、あるいは表す上で有効だからというレベルでのものでした。
それとは別に、あるいは、その上に重ねる形で、ベーシック・ペンションがもたらす、あるいは期待したいこともあります。
それは、先の9項目の中の以下の項目です。
3)義務教育以後の高等教育を自らの意志で受ける人びとが、自己実現・社会貢献等の目標実現のために、専門分野の能力・知識・技能技術・創造物等の習得・開発・制作等に必要な教育・学習・研究諸費用及び生活諸費用等に充当する。
すなわち、下図にもあるように、基本的人権を基盤とする個人の自由や幸福追求、職業選択の自由と勤労権、教育を受ける権利を用いて、自分に適している、自分が望む生き方、働き方を追求する上での基盤に、ベーシック・ペンションがなるのです。
それは、言い換えれば、自己実現や社会的貢献をめざす生き方・働き方を支えるベーシック・ペンションであることを意味します。
そうした生き方・働き方が、経済的な格差の是正に結びつくだけでなく、個人の精神的な自由と尊厳をも守り、実現することで、心身面での公平・公正の保持と格差の変容・解消にも寄与するであろうと期待するのです。
生涯を通じて、より幸福で、より豊かな生活を営む活動を可能にするベーシック・ペンション
こうして、9項目の最後にこう示すような人生を送ることを、ベーシック・ペンションは支援することになります。
9)生まれてから死を迎えるまで、生涯にわたり、全国民が年齢・世代を問わず、平等・公平に恩恵を受けることができる全世代生涯型社会保障制度の基軸として給付金を受給し、より幸福で、より豊かな生活を営むための諸活動を可能にする。
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