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MMTに基づくベーシックインカム反対理由:歯止めが効かなくなるヘリコプター・マネーの政治的リスク、グローバル社会リスク

最近のべーシックインカム導入論者において、かなりの比率を占めつつあるように思える、MMT(Modern Monetary Theory)を論拠とする一派。
それは、長引くコロナ禍による経済の悪化、事業者の経営持続化不安、国民の雇用と生活不安などを背景としてのことです。
それは、もちろん、コロナ以前においての日本経済の停滞も批判対象としており、まさに経済対策のためのMMTの存在意義を強調するものでもあります。


MMTベースBI論の共通の欠点・課題

個々に、だれがどういう理由で、どういう提案をしているかは、微妙に、あるいは明確に違うのが、MMTベースBI論の面白いところですが、共通している点が以下に見られます。

1.経済理論ベースですから、インフレリスクの有無・程度を主たる課題
  としており、長引く不況下における、緩やかなインフレ期待の日本の長
  期的金融緩和政策が、一向に機能していないことを、BIによる膨大な通
  貨発行・供給の論拠としている。

2.経済第一主義アプローチのため、社会保障制度・社会福祉制度をどう
  するかの視点や政策に関する興味関心や提案姿勢が希薄で、結局、生活
  保護制度や年金制度その他をどうするのか、具体的な提案が提示されて
  いない。

3.経済理論ベースでありながら、国内経済にのみフォーカスしている感
  が強く、IMFや主要各国の財務・金融政策、関係組織等との関係、外国
  為替市場などとの関係での論述がほとんど見られない。

4.中央銀行の独立性や政府との関係性について、統一見解があるような
  ないようなであり、政治、行政、あるいは法の権限などのリスクなどに
  ついての言及がほとんど見られない。

まあ、MMTという表現自体に、私はモダンさをあまり感じず、内容的には、いろいろ言っていますが、Theory、理論と呼ぶような内容のものではないと感じています。

「自国通貨を発行している国は、自国通貨建てで政府が借金して財源を調達しても、インフレにならないかぎり、財政赤字は問題じゃない。」
だから
「政府はいくらでもお札を刷って配ってもいい。」


簡単にいうとこういうことです。
少し丁寧に、でもいい加減に、こう付け加える人もいます。

「仮にインフレになったら、通貨の供給量を調整すれば、インフレは抑えられる。」

と。
個別に見ていくと、こういう面白さ、いい加減さもあるのです。
まあ、このくらいはご愛嬌とできるかもしれませんが、万一強いインフレが起きれば、秒殺で退治できるわけではなく、影響は大きいでしょう。
それに、インフレは、単純に通貨の需要と供給とのアンバランスだけで起きるとは限らず、複合的な要因があったり、瞬間的な心理的要因が一気に拡大したりと、予測不能な点があることには触れていません。

自国通貨で、いくらでもお札を刷り、配れるということなど、理論などと呼べるもの、呼ぶべきものとは思えません。
単なるロジック、言ってみれば確かにそういう面はあるよな。
その程度です。


MMTベースBI論者に欠落した視点・意識

それよりも私がMMTを危惧する大きな理由があります。
それは、一旦MMTが容認されると、歯止めが効かなくなるリスクが大きいということです。
すなわち規律性がないと、為政者、権力を持っている政府が裁量的に、恣意的に通貨発行権を行使し、ヘリコプター・マネーをバラ撒く、あるいは特定の利権者に渡るように配るということが行われるリスクを孕むことになるのです。

まして現金、現ナマとなるとどうなるか。
想定外のことが起きうることが、想定できるでしょうし、想定すべきです。
現金、お金は怖いものです。

魔力を持つものです。
国会議員をめざす者、政権獲得をめざす者や政党は、そうした権力を持つことを内心目的としているかもしれないのです。
これは、与党・野党どちらにもリスクとしてあります。

また、もう一つ別の視点、論点での問題を提起しておきたいと思います。
国内だけでの、国内要因によるインフレ、デフレという経済的動き。
果たして現代は、それで済むでしょうか。
種々の国際協調や自国の利益獲得、経営戦略などに基づきに、対外的投資や拠出、経済活動が不断に行われています。

現金でばらまかれるベーシックインカムも、他の経済活動、国家活動で用いられるお金も、海外に流れ、見分けがつかなくなります。
量的にも見境なく発行され、流通することになります。
その時の円の信用度はどうなるか。
IMFなどへの国際的な資金拠出などにどういう影響を与えるか。

インフレ以外の、あるいは、そうした取り引きや関係がもたらすかもしれない経済変動や国際関係上のリスクなどは、MMTの理論のまったく枠外のことであるかのようです。

グローバル社会視点が不可欠

国内経済や国内財政、国内金融というクローズの環境・条件だけで、各国が独自に勝手に通貨を発行するようになったらどうなるか。
ある国は、軍備に好き放題のカネを使うようになるでしょう。
軍備競争も起こり、国内・国外の軍事産業を潤すことになり、国際関係上のリスクが高まります。
日本も、十分そのリスクを抱えています。
ある国は、すべての医療や公的なサービスがタダの理想国家をめざすことになるかもしれません。
その時青天井に医療費が増え続けます。
理想的な社会は本当に実現するでしょうか。
そうは思えません。
こうしたポピュリズム的政策を掲げるリベラルも出ないとは限らない。
そうなるとどうなるか。
右寄りは、このMMTをきっと悪用する危険性を持っています。

MMTは、こうした政治リスクやグローバル社会リスクを発生させる非常に大きな、重大な要素・要因になる可能性があることを知っておく必要があります。
ベーシックインカムだけに留まることは、恐らく不可能になるでしょう。
一度MMTを認めた瞬間に。
その先に見えるのは、マネーゲーム、マネーの取り合い、汚職・贈収賄のかつて、そして現代も日常化し、常態化している社会の膨張です。
もちろんグローバル社会における種々のリスクも、先述したように今以上に高まっているでしょう。
いや、中国の国家資本帝国主義的動向に、既にそれが現れているのかもしれません。

経済学者は、経済の範疇で考えていれば事足りるわけではありません。
真の経済学者は、経済が関わるすべての領域への目配りも行う必要があります。
すなわち、グラフや計算式で解決・簡潔できるものはほとんどない。
そのくらいの認識が必要と私は思っています。
だから、必ず、一つだけの「理論」に集約されることがなく、異論が提起され、行ったり来たりがあります。
政治の世界と同じように。
そしてさまざまな国家と人種と民族と人が存在し、何らかの関係性を持っていることも、です。

MMTは、社会事象、社会問題すべてに適した考え・政策ではなく、それがすべてを解決してくれるわけではありません。



私が提案する日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金は、国内のみに流通する制限を持ち、一定期間だけ期限を切って流通し、現金ではないため海外に流出せず、基礎的な生活だけのために使途が限定され、発行額に上限があるなどの規律性をもつ通貨です。
そしてその管理方法や運用状況について、グローバル社会にしっかり説明し、理解を求め、できればそのノウハウを輸出することをも想定したシステムです。
理論ではなく、社会システムとして、そして経済要素を加えると社会経済システムとして導入するものです。
もちろん、基本的人権をベースにした制度であるため、関連する社会保障制度等の改定にも目配りしています。
その代わり、それだけに、お金を刷って配れば済む、という簡単なものではなく、準備にも時間がかかる、ある意味面倒なシステムです。
その代わり、リスクへの配慮と持続性・継続性に十分配慮していることを強調しておきたいと思います。

こちらも参考に
⇒ なぜベーシック・ペンションは現金ではなくデジタル通貨なのか:DX時代の必然としてのJBPC(2021/2/17)
⇒ ヤフーの給与PayPay払いは、ベーシック・ペンション専用デジタル通貨JBPC支給に通じる(2021/2/18)

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