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2022・23年考察

ガイ・スタンディング氏著『ベーシックインカムへの道』の特徴と考察シリーズ基本方針

少しずつ、よくなる社会に・・・

『ベーシックインカムへの道』『デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!』等ベーシックインカム関連書3冊購入(2022/10/1)

このベーシックインカム関連の以下の未読書を紹介した記事。

1)『ベーシックインカムへの道 ―正義・自由・安全の社会インフラを実現させるには』(ガイ・スタンディング氏著・池村千秋氏訳、2018/2/10刊・プレジデント社)
2)『ベーシックインカムから考える 幸福のための安全保障』(西野卓郎氏著、 2021/5/28刊、幻冬舎ルネッサンス新書)
3)『デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!』(苫米地英人氏著、2021/12/16刊、サイゾー社)


これをきっかけとして、
苫米地英人氏と西野卓郎氏のベーシックインカム論、その2冊の書を紹介・考察するシリーズを終えました(2022/10/28)
という投稿で、上記の2)3)の2冊を取り上げたシリーズを10月に終えたことを紹介。
11月、残る、ガイ・スタンディング氏著『ベーシックインカムへの道 ―正義・自由・安全の社会インフラを実現させるには』を取り上げる段階に入ります。

『ベーシックインカムへの道』考察シリーズー1:ベーシックインカムの教科書『ベーシックインカムへの道』の特徴と考察シリーズ方針

『ベーシックインカムへの道 ―正義・自由・安全の社会インフラを実現させるには』目次


本書の目次は、章立てのみの表示ですが、先ず本シリーズの展開方針を作成するため、節及び項まですべてを拾い以下のように転記しました。

はじめに 
  政治的な課題?
  本書について
第1章 ベーシックインカムの起源
 ・基本的なこと
   「ベーシック」とは?/「普遍的な」とは?/「個人への給付」とは?/
   「無条件」とは?/「定期的」とは?/
 ・注意すべき点
 ・ベーシックインカムとベーシックキャピタル
 ・ベーシックインカムの起源
 ・さまざまな呼称
   ベーシックインカム/ベーシックインカム・グラント(BIG)/
   ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)/無条件ベーシックインカム/
   市民所得/参加所得・参加給付金/社会配当・万人配当/
   ステートボーナス(国家特別手当)/デモグラント/
   フリーダム・グラント/安定化グラント/ステークホールダー・グラント
第2章 社会正義の手段
 ・社会共通の遺産 ー トマス・ペインと社会配当
 ・リバタリアンの議論
 ・ヘンリー・ジョージの遺産
 ・ミドルズブラの物語
 ・レンティア経済
 ・社会正義のための政策の原則
 ・税の正義
 ・家族関係と正義
 ・地球環境の保護
 ・市民精神の強化
 ・宗教的根拠
 ・まとめ
第3章 ベーシックインカムと自由

 ・リバタリアンの視点
 ・リバタリアン・パターナリズムの危険性
 ・共和主義的自由
 ・社会政策が満たすべき原則
    パターナリズム・テストの原則/「慈善ではなく権利」の原則   
 ・権利を持つ権利
 ・人を解放するという価値
 ・発言力の必要性
第4章 貧困、不平等、不安定の緩和

 ・貧困
    普遍主義と透明性
 ・給付金は浪費されるか?
 ・不平等と公平
    主要な「資産」に関する不平等
 ・経済的な安全 ー不確実な生活という脅威
 ・リスク、レジリエンス、精神の「帯域幅」
第5章 経済的議論

 ・経済成長
 ・自動安定化装置としての役割
 ・金融機関のための金融緩和から、人々のための量的緩和へ
 ・ユーロ配当
 ・AIロボット時代への準備
 ・経済面のフィードバック効果
第6章 よくある批判

 ・ハーシュマンの三つの法則
    「現実離れしている、前例がない」/「予算面で実現不可能だ」
    「福祉国家の解体につながる」/
    「完全雇用など、ほかの進歩的政策の実現がおろそかになる」/
    「お金を配れば問題が解決するという発想は単純すぎる」/
    「金持ちにも金を配るのは馬鹿げている」/
    「ただで何かを与えることになる」/「浪費を助長する/
    「人々が働かなくなる」/「賃金の下落を招く」/「インフレを起こす/
    「移民の流入が加速する」/「政府が選挙の人気取りに利用しかねない」/
第7章 財源の問題

 ・大ざっぱな試算
 ・イギリスの場合
 ・住宅手当の問題
 ・ほかの国々の財源問題
 ・経済に及ぼす好影響
 ・その他の財源
 ・政府系ファンドと社会配当
 ・財源問題は政治問題
第8章 仕事と労働への影響
 ・無給の仕事が増えていく
 ・お金を手にすると仕事量は減るのか?
 ・プレカリアートの仕事と労働
 ・性別役割分業が弱まる
 ・働く権利
 ・参加所得
 ・もっと怠けよう
 ・創造的な仕事と再生の仕事
 ・障がいと稼働能力調査
 ・仕事と余暇の優先順位
第9章 そのほかの選択

    最低賃金(生活賃金)/社会保険(国民保険)/
    資力調査に基づく社会的扶助食料などへの補助金/
    雇用保証/ワークフェア/給付型税額控除/
    ユニバーサルクレジット/負の所得税/慈善活動
 ・ベーシックインカム以外の選択肢が持つ欠陥
第10章 ベーシックインカムと開発

 ・ターゲティング指向と選別指向
 ・現金給付プログラムから学べること
 ・試験プロジェクト
    ナミビア/インド
 ・財源の問題
 ・補助金からベーシックインカムへ
 ・人道援助の手段として
 ・紛争回避の手段として
 ・途上国のほうが有利?
第11章 推進運動と試験プロジェクト

 ・ベーシックインカム世界ネットワーク(BIEN)
 ・2016年のスイス国民投票
 ・ユニバーサル・ベーシックインカム・ヨーロッパ(UBIE)
 ・過去の試験プロジェクト
    マニトバ州ドーフィン(カナダ)の実験/
    アメリカのチェロキー族 ー 偶然の実験/
    ナミビアとインドの試験プロジェクト
 ・進行中もしくは計画中のプロジェクト
    フィンランド社会保険庁/オランダの地方自治体/
    カナダのオンタリオ州/Yコンビネーター/
    ギブ・ダイレクトリー(ケニア)/クラウドファンディング/
    その他の計画
 ・効果は継続するか?
 ・結論
第12章 政治的課題と実現への道

 ・移行への障害
 ・世論の圧力
 ・政治的な必須課題
 ・小さな一歩?
 ・市民配当? 安全配当?
付録 試験プロジェクトの進め方

    ベーシックインカムとして適切な給付であること/
    実験の設計が明確で、持続可能であること/
    設計が常に一定であること/
    それなりの規模でおこなうこと/
    それなりの期間にわたり実験をおこなうこと/
    複製可能で拡張可能であること/
    無作為抽出した比較グループを用いること/
    ベースライン調査を実施すること/
    評価調査を定期的におこなうこと/
    有力な情報提供者を活用すること/
    多層的な効果を測る実験であること/
    検証したい仮説を実験開始前にはっきりさせること/
    コストの計算と予算の計画が現実的であること/
    サンプルをできるだけ変えないこと/
    現金給付の仕組みを監視すること/
    人々の自己決定権の要素も検討すること/
謝辞 
世界のベーシックインカム団体

『ベーシックインカムへの道』の特徴

上記の目次体系を見て頂ければ、ベーシックインカムの教科書と呼ぶにふさわしい書と受け止めて頂けるのではと思います。
次回から当シリーズの本番に入るに当たり、本書を通して感じたことを特徴として以下挙げてみました。

1.グローバル社会におけるベーシックインカムに関して体系的に整理された教科書と評価できる。
2.良くも悪くも、実験例が非常に多く挿入・紹介されている。
3.種々の実験例や過去の関連政策において、海外各国の通貨を用いて記述されており、それぞれの実質価値が想定・設定しづらく、理解することが難しい。
4.ベーシックインカムの意義・目的にあたる各章立てテーマに関する内容が、他の要素と複合的に関係しており、何度も同じことが繰り返されて記述され、焦点が不明確になりがち。

1.で言いたいことは、日本独自のベーシックインカムを掲げる上で、ガイ論をそっくりそのまま受け入れることにはムリがあり、どこかで違いを明確にし、あるいは一線を画する必要があるということです。
2及び3に関しては、私自身、ベーシックインカムの実験に対して懐疑的であり、過去の実験結果から類推し、あるいは場合によっては結論づける方法論には、反対の立場にあることを、必要に応じ都度主張することになります。
4.に関しては、これまでの私自身の論述において一つのテーマで展開していても、必ずといってよいほど、他のテーマについても同時に、すなわち同じことを何度も記述する羽目になってしまうのです。
何とかそうならないように、主テーマをしっかり絞り、明確にまとめるように、と今後も戒めるための確認と言えるでしょうか。

なお、3で述べた海外通貨による記述部分は、引用すれば記事ボリュームが大きくなり、それが理解度を高めることに繋がればいいのですが、却って逆効果になると思われますので、可能な限り割愛する方向で進めていくことをご了解頂きたいと思います。

ベーシック・ペンション論これまでの変遷と今後


ガイ・スタンディング氏による本書が出版されたのが2018年2月。
もう5年近く前に執筆されたものです。

 私がベーシックインカムに興味関心を持ち、2020年1月に開設し、運営を開始したWEBサイト https://2050society.com で、初めてベーシックインカムについて投稿をしたのが、2020年4月。
⇒ ベーシック・インカム制の導入を!(2020/4/19)
 その前後からそれなりの数のベーシックインカム書を入手し、斜め読みしながら、検討と投稿を続け、
一応、ベーシックインカム「生活基礎年金法」第一次私案としてまとめたのが同年9月。
⇒ ベーシックインカム「生活基礎年金法・本文」第一次私案まとめ(2020/9/16)
 この生活基礎年金と謳った日本独自のベーシックインカムを形成するために行なってきた体系化や裏付け作業を一旦整理したのが、同年11月下旬の以下の記事。
⇒ 「日本型ベーシックインカム生活基礎年金」提案のここまでのプロセス(2020/11/27)
 これを受けて、従来のベーシックインカムとは異なる独自性をアピールすべく、「ベーシック・ペンション」という名称をつけ、今後提案主張することを直後の12月初めに以下の記事で宣言。
⇒ ベーシック・ペンション宣言!-1:日本独自のベーシックインカム生活基礎年金導入を(2020/12/1)
 この時点で、ベーシック・ペンションという名称での新しいWEBサイトを開設し、以降のバージョナアップを図る計画の準備を並行して行なっており、翌2021年元旦、新サイトに以下の初稿を投稿。
⇒ Basic Pension ベーシック・ペンション、誕生のいきさつ(2021/1/1)

ベーシックインカムに関するかなりの記事をこれまで投稿してきましたが、その多くに、本書に記述されている内容や課題と直接・間接に関係しています。
もっと早く、この書を読んでいれば、という思いもありますが、むしろ、本書出版以降に発行されたベーシックインカム書を多数入手し、参考図書として扱ってきたことで、ガイ・スタンディング氏のベーシックインカム論(以後、ガイ論と省略することがあります)をより体系的に、かつ客観的に読むことができたと感じています。
当然、共通する認識部分も多くありますが、ガイ論に与しない部分も多々あり、そうした点も、これからのシリーズの中で明確に主張していきたいと考えています。
また、ベーシック・ペンション自体も、まだまだ検討・考察すべき課題が多々あるため、本書の参考になる部分をしっかり理解し、活用できるようにしていきたいと思います。

<『ベーシックインカムへの道』考察シリーズ>展開計画・方針


ということで、次回からのシリーズ展開方法とテーマの順序等を検討し、以下のような計画をひとまず立ててみました。

<第1回>:ベーシックインカムの教科書『ベーシックインカムへの道』の特徴と考察シリーズ方針
<第2回>:「第1章 ベーシックインカムの起源」から
<第3回>:「第2章 社会正義の手段」から
<第4回>:「第3章 ベーシックインカムと自由」から
<第5回>:「第4章 貧困、不平等、不安定の緩和」から
<第6回>:「第5章 経済的議論」から
<第7回>:「第8章 仕事と労働への影響」から
<第8回>:「第9章 そのほかの選択」から
<第9回>:「第7章 財源の問題」から
<第10回>:「第6章 よくある批判」から
<第11回>:「第10章 ベーシックインカムと開発」から
<第12回>:「第11章 推進運動と試験プロジェクト」「付録 試験プロジェクトの進め方」から
<第13回>:「第12章 政治的課題と実現への道」から、及び、総括

<第2回>は、文字通り、ベーシックインカムの定義とその歴史に関する基本について。
<第3回>で扱う第2章から<第8回>の第9章までは、ベーシックインカムの目的・意義に関するテーマ。
順に、正義、自由、貧困・不平等・不安定等の社会的視点と経済・仕事・労働といった経済的視点、そしてそのほかの選択と表現している第9章では、社会保障全体の観点での論述です。
<第9回>が、財源問題。
<第10回>が、種々のベーシックインカム反対論に対しての反論。
<第11回><第12回>が、ベーシックインカム実現のための種々の実験や活動についての記録と提案。
<第13回>最終回で、実現のための課題・方策を確認し、総括します。

少しずつ、よくなる社会に・・・

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