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2020年BP考察

当事者としてのカウンター・デモクラシー、共感者としてのカウンター・デモクラシー(2020/12/11)

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カウンター・デモクラシーとしての「平和と社会保障と民主主義を守る女性の会」とベーシック・ペンション実現-5

 カウンター・デモクラシーとは、既存の選挙代議制民主主義への「対抗的」な民主主義のあり方であり、民主主義への「不信」を適切に組織し、選挙・代議制民主主義を挿話的(一時的、局時的)に正当化せず、それへのカウンターとして恒久的に追求されるべき新しいデモクラシーの実験的積み上げである。
(倉持凛太郎氏著『リベラルの敵はリベラルにあり』より)

ベーシック・ペンション宣言-1:日本独自のベーシックインカム生活基礎年金導入を(2020/12/1)
ベーシック・ペンション宣言-2:JBP導入で、社会保障制度や関連法はこう変わる!(2020/12/2)
ベーシック・ペンション宣言!-3:なぜベーシック・ペンションが必要かつ有効か(2020/12/3)
ベーシック・ペンション宣言!-4:ベーシック・ペンション生活基礎年金実現の方法、スケジュール(2020/12/4)
ベーシック・ペンション宣言!-5:日本独自のベーシックインカム「生活基礎年金」提案、ここまでのまとめ(2020/12/5)

 以上で宣言した、日本独自のベーシックインカム生活基礎年金「ベーシック・ペンション」の実現をめざす取り組みの一歩としてのカウンター・デモクラシー。
 その在り方、進め方を考える、以下の<カウンター・デモクラシーとしての「平和と社会保障と民主主義を守る女性の会」とベーシック・ペンション実現>シリーズ
 今回が最終回です。

カウンター・デモクラシーとは:私たちにもできる民主主義とベーシック・ペンション実現をめざす暮らし(2020/12/6)
ひとりカウンター・デモクラシーの日常化とベーシック・ペンション(2020/12/7)
ベーシック・ペンション実現のためのカウンター・デモクラシーに取り組む5つの手順・条件(2020/12/8)
私たちが取り組めるカウンター・デモクラシー、取り組みたいカウンター・デモクラシーを探す途(2020/12/9)
当事者としてのカウンター・デモクラシー、共感者としてのカウンター・デモクラシー(2020/12/11)

『リベラルの敵はリベラルにあり』から得たカウンター・デモクラシー概念と日常生活における政治的なるもの

 カウンター・デモクラシーの概念とそのモデル、取り組み方などについて同書で知り、考え方などについてシリーズとして書き留めたのが以下。

『リベラルの敵はリベラルにあり』から考える、個人の生き方と社会の在り方-1(2020/10/18)
政治的なるものと日常生活における個人と社会:『リベ敵』から考える-2(2020/10/21)
生身の弱い個人とそのアイデンティティを救えないリベラルの弱み:『リベ敵』から考える-3(2020/10/22)
包摂すべきリベラル、が陥る排除の論理:『リベ敵』から考える-4(2020/11/14)
「リベラルの敵がリベラル」の根拠と対策:『リベ敵』から考える-5(2020/11/20)
リベラル・女性主体会派・ベーシックインカム、社会問題解決のための三段論法:『リベ敵』から考える-6(2020/11/25)
分断を生むネット空間で女性層や無党派層をグループ化できるか:『リベ敵』から考える-7(2020/11/25)

 しかし、同書の<第3章アルゴリズムが脅かす個人と国家の「自己」決定><第5章「人の支配」から「法の支配」へと脱皮せよ」は、取り上げませんでした。
 前者は、このシリーズで触れたインターネット社会のリスクについての警鐘と対策に触れていて、本来触れなければいけない章でしたが、また別の機会があればと思います。
 後者は、私自身が、「法の支配」>「人の支配」と安易に図式化することに多少の不安を感じているからですが、この件については、これまでの投稿の中で少しは触れたのでここでは割愛します。

 いずれにしても、本書が提示してくれた「カウンター・デモクラシー」という概念と考え方は、非常にインパクトがあるものでした。
 そして、本来政治的なるものを多く含み、それらに直接・間接的に接している日常生活の中で、カウンター・デモクラシー的なるものを、さり気なく、必要があれば意志をもって表現していくことを課題とする。
 その視点で、これから種々取り組んでいくべきと考えさせられたわけです。

『ネットは社会を分断しない』からの示唆

 ネット草創期には、ネットは社会を良くするという期待があったが、その後の不普及・変遷と、たとえばトランプ、ネトウヨ、GAFA問題 etc. などの現状を見ると、むしろネットには、真反対のある種の絶望感さえ漂うとみられる側面がある。
 こう初めに指摘して始まる本書です。
「ネットは相互理解の場ではなく、誹謗と中傷が跋扈する荒れた世界になった。」と。
 それを表す端的な表現が「分断」「分極化」です。

 しかし、同書は、その見方は一面的であり、ネットはむしろ健全性をしっかりと維持していると言います。
 「分断」が目立つのは、両極に位置する人たちの絶対数は少ないにも拘らず、ネットでの書き込み件数が多いことと、その過激な発言や同一傾向の情報に注目を集中させるネット特性、反応・拡散する速度が速いこと等にある、とデータから分析します。
 この効果?を「エコーチェンバー」と言い、これにより閲覧頻度が高くなるわけです。
選択的接触」の傾向が強くなるためでもあります。
 しかし、両極にある人たちが、対極・反対意見をを批判するということは、対極・反対の情報をよく見ているからでもあり、それを「クロス接触率」が高いとして、単なる他を無視しての一方的な偏りではないことを、やはり調査データから指摘しています。
 そして大事なことは、こうした表面には現れにくい、多くの極めて穏健な人々が、実際にネットを利用し、バランス良く情報に接していることも、調査結果データを元に示しているのです。
 前述の「クロス接触率」については、男性よりも女性の方が高く、自分と反対の意見に耳を傾ける、異なる意見も聴く傾向があると言っています。
 また女性は、ブログを見始めると穏健化する傾向があるともしています。
 ただ、やはり、一部の急進的な意見の人の気圧されて大多数の穏健な人が「萎縮」し、黙りがちになっている状況があるわけです。

 この他年代別の傾向、メディア別の傾向など興味深い分析が一杯です。
 例えば、ネットを使いこなす若者層ほど穏健化していおり、分極化していないことなども、今後パーソナルメディアの運営に活かすことができればと思います。
 一般的にデータ分析を元にして書かれた書は、読みにくいことが多いのですが、本書は極めて分かりやすく書かれており、興味深く読むことができる示唆に富んだ好著と思います。
 マスメディアとネットメディア、パーソナルメディアとの対比もレポートされており、いずれ機会があればまた利用・紹介したいと思います。

 最後に以下の表現を借りて、次の歩を進めることにしたいと思います。

 ネットで見える世論を真の世論と見てはならない。
 ネットで見える世論は、保守・リベラルどちらかに偏った意見が過剰に代表されており、真ん中のサイレントマジョリティの声を代表していない。
 ネットを見ていると人びとは激しく対立し、世の中が分断されているように感じる。
 しかし、それは一部の極端な人の意見しか表れないというネットの特性のためであり、実際には分断は起きていない。
 人々は多様な意見に触れてむしろ穏健化しているのであり、民主主義にとって良い方向に動いている。

 両端の意見だけでなく、中間の穏健派の意見を代表するソーシャルメディアが現れれば問題はかなり解決する。
 すなわち、分布の中間の人々の言論空間を作ることが最大の対策になる。
 そのアイディアのひとつがサロン型SNSであり、政治的議論を罵倒と中傷から救い出すことにも役に立つ。

 と結んでいるのですが、その具体的なお話は別の機会に、と。
 残念ながら、To be continuied. とお預けになってしまいました。
 しかし、それを待っているわけにいかないので、無い知恵と少しばかりの情熱を絞り出して、進めていこうと思います。

「平和と社会保障と民主主義を守る女性の会」の本来の目的

(参考記事リスト)
コロナ下、閉塞感・独裁化が募る日本を変えるために不可欠な政治改革実現、唯一の方法-1(2020/11/21)
「平和と社会保障と民主主義を守る女性の会」創設を:政治改革実現、唯一の方法-2(2020/11/22)
「平和と社会保障と民主主義を守る女性市民の会」綱領・政策試案:政治改革実現、唯一の方法-3(2020/11/23)
リベラル・女性主体会派・ベーシックインカム、社会問題解決のための三段論法:政治改革実現、唯一の方法-4(2020/11/24)
分断を生むネット空間で女性層や無党派層をグループ化できるか:政治改革実現、唯一の方法-5(2020/11/25)


 現状のさまざまな社会問題の改善・改革に取り組むべき政治と行政の動きは、ずーっと遅いまま、遅れたままです。
 Twitter などのSNSを用いての、それらへの批判とその支持による何らかの影響を与えた成果は、ごくごく稀で、偶然と言えるレベルのものが大半でしょう。
 従い、その解決のためには、政治を変えなければ、政権政党が変わらなければいけないのです。
 その役割を多くの人が、立憲民主党だと支持してくれればいいのですが、現実は?。
 いずれは、直接政治を変えることができる組織作りが可能になるよう、今から準備できないか、すべきではないか。
 その想いから、まずはSNS上で、緩やかなグループを結成し、現状のさまざまな問題、将来への不安などを自分の体験を通して、記録し、質問し、評価し、議論し、改善すべき方向性・方法を見出す場を設ける。
 その作業を進めながら、それらを法案としてとりまとめ、グループから衆議院議員選挙への立候補者を募り、選挙で議席を占め、法案を審議にかけ、可決成立させる。
 この流れを作るべく、その基盤として、カウンター・デモクラシーに取り組む<平和と社会保障と民主主義を守る女性の会>を開設しようというものです。
 人口の半数を占める女性が主体となる、相当数の女性が参加するグループに成長させることが、初めの目標になります。

カウンター・デモクラシー「女性主体の会」の実験的立ち上げ

 目標とする国会議員数は、一人や二人というレベルではなく、国政・立法に直接関与し、影響を与え、リードしていくことができる人数です。
 従い、カウンター・デモクラシーグループも、多くの女性が誰でも、気軽に参加し、意見や体験を書き込める、書き込むプラットフォームを先ず開設。
 そこから地味ですが、壮大な活動の一歩を踏み出すことになります。
 自ら厳しい経験・体験をもち、激しく意見を伝えたい女性も、現在さまざまな不安や困難に直面している女性も、普段は穏やかな生活を送っている女性も、自由に、気楽に、でも正直に参加できるネット上の場所が、日常の新たな実験の場になります。

当事者としてのカウンター・デモクラシー、共感者としてのカウンター・デモクラシー

 冒頭紹介した、<ベーシック・ペンション宣言!>シリーズの
ベーシック・ペンション宣言!-3:なぜベーシック・ペンションが必要かつ有効か(2020/12/3)
の中で、ベーシック・ペンションがどういう方々にとって必要か、役に立つかを、<仕事・労働・働き方>の視点<暮らし・生活・生き方>の視点の2つの視点で列記したのが以下です。

<仕事・労働・働き方>の視点
◆ 介護職・保育職・社会福祉職その他、低賃金等厳しい労働条件で就労する職業に就いている、またはこれから就こうと考えている人々
◆ 非正規雇用により必要な賃金収入を得られない低賃金就労者
◆ 長時間労働・低賃金など劣悪な労働環境で働くことを強いられている人々
◆ 解雇や雇い止めなどで働く場を失い賃金収入を得ることができない人々
◆ 心身の病気・障害、怪我などで働くことが困難な人々
◆ 家族の育児や介護で、思うように働いて必要な収入を得ることができない人々
◆ 就労や起業に必要な技能技術・知識などを学習し、備えようと考える人々
◆ 自分に合った仕事を探したい人、
◆ 自分で事業を始めるために調査や準備をするために、一定期間、働いて収入を得ることができない人

<暮らし・生活・生き方>の視点
◆ 生活保護を受給していても厳しい生活を余儀なくされている
◆ 本来生活保護を受けることができる要件を満たしていても、受給の申請や審査における様々な手続き、担当所管の態度、精神的な不安、などで、受給を諦める、申請自体行わない、あるいは行えない
◆ シングルマザー、シングルファーザとして厳しい生活を余儀なくされている
◆ 子どもの保育費用・教育費用を賄うことができる収入に不足し、必要な保育や教育の機会を与えることができない
◆ 結婚したいという希望を持ちながら、収入が少ない、住む家がないなど経済的な理由で、その機会を持つことができない
◆ 子どもを持ちたいという希望を持ちながら、子育てや教育に必要な費用を仕事で得ることができるかという不安から、諦めている
◆ 収入が必要でも、家族の子育てや高齢者・障害者の介護・看護等で、希望するように働くことができず、厳しい生活を余儀なくされている
◆ 年金だけを頼りに生活している高齢単身者や高齢夫婦が介護を必要としている状態、あるいはいずれ介護が必要になることへの不安
◆ 高校や専門学校、大学など進学し、将来のための知識・技術・技能などを学びたいけれども、経済的な事情でそれが困難
◆ 家事や育児、介護などの無償の家庭内仕事に多くの時間を取られ、自身の賃金などの収入を得ることができず、精神的・経済的に不安な生活を余儀なくされている
◆ 生活費を確保するために限られた時間にのみ非正規職で働き、その上家事・育児・介護など無償の家庭内仕事に追われて、心身の不安や経済的不安に苛まれている
◆ 病気や災害など非常時や予測できない状況に遭った場合に備えて貯金することが、現状とこれからの仕事や生活を考えると不安を感じている
◆ 老後の生活や介護が必要になった時に備えるための貯蓄などに不安を抱き、困難を感じている

 
 どうでしょうか。
 そのほとんどは、男女を意識せず、その差を前提とせず取り上げました。
 でも現実的には、相当部分の問題・課題が女性に偏っていると感じるのではないでしょうか。
 敢えて表現するならば、性別役割分業の根深い問題や、口先ばかり先行して内実が伴わないジェンダー平等をめぐる課題の表れと言えましょう。
 そしてその殆どが、社会保障制度の在り方と関係していることも理解できます。
 ということは、それらの制度や法律を作り、管理する政府・官庁、政治・行政の在り方に問題があることに行き着きます。
 すなわち民主主義の在り方ということです。
 でも、自身当事者としては、なかなか声を上げることができない、上げづらい。
 自分のためにこうしてほしいと要求するのは気が引ける。
 多くの女性が感じ、考えるところではないでしょうか。
 そして、そのため、左右対極の強い意見書き込みでネットは溢れている(ように見えます。)

 本当は、そうした穏健な人々のほうが圧倒的に多いのです。
 でもネットでは目立たない。
 そうした皆さんが、日常生活で、愚痴や文句もありで、意見表明・意見交換、時に質問と回答も行うことができるネット空間、ネットの場を持つことができたら、あったら。
 そしてまた、自身がそういう状況になくても、いつか、いずれ自分もそうなりうる、そうなったら、と共感を覚え、そこに日常生活の一部として参加できたら。
 もちろん、そこには、自分の子どもが、自分の孫の世代が、という思いと願いも重なり合うでしょう。
 そういう場がネットに、SNS媒体にあったら。
 決して分断、分極することがないネット及びネット社会は、もちろんリアル社会を映すものです。
 当事者として、そして共感者として、日常生活の中に自然に加えられ、利用しているカウンター・デモ暮らしー、否デモクラシー。
 その場、その機会としての、試みの場、サロンの開設準備に取り掛かります。

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年12月11日投稿記事 2050society.com/?p=7326 を転載したものです。
当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。

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