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ベーシック・インカム制導入で国民年金制度は廃止へ:BI導入シアン-9(2020/7/14)

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 2週間以上前から、自分なりの提案BIのまとめ作業に入る前段階として、種々思いつき、思い浮かぶ事項をメモ書きし、整理していくために<BI導入シアン>シリーズを取り組んできた。
 以下が、ここまでのラインアップ。

1.所得がある個人を別人格とみなす社会経済システム
2.現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの
3.中国がベーシック・インカム制を導入したら
4.公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ
5.働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム
6.不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム
7.夢のある人、夢の実現をめざす人のためのベーシック・インカム
8.高額納税者も当然の権利として受け取るベーシック・インカム

これを受けて、今回から、ベーシック・インカムの財源問題、ベーシック・インカム導入に伴い、新たに構築すべき社会保障制度全般、年金制度を含む社会保険制度・労働保険制度、BIで支給されるお金の管理と制度運用方法などについて、思案を加えていくことにしたい。

生活基礎年金という名称のベーシック・インカムで、老齢基礎年金は廃止に

 生活基礎年金として学齢18歳を超える成人に支給するベーシック・インカム。
 これは、現在基本的に受給開始年齢が65歳になっている、従来の老齢基礎年金に替わるものとなる。
 老齢基礎年金はなくなるわけだ。
 但し、年齢は関係なく、すべての成人に無条件で、同額、毎月支給されるので、<老齢>という用語が外れ、<生活>という表現に入れ替わる。
 学齢18歳以下の子どもは、<児童基礎年金>という名称のベーシック・インカムを同額受給する。

老齢基礎年金廃止は、国民年金制度の廃止

 ベーシック・インカムである生活基礎年金の額は、現状の国民年金制度・厚生年金制度に基づく、老齢基礎年金の上限額を大きく上回る額とする。
 これに伴い、国民年金制度は廃止される。
 そのため、国民年金の保険料を収めていた個人事業主など第1号被保険者は、制度廃止に伴い、保険料を納付する必要はなくなる。
 ベーシック・インカムである生活基礎年金の原資は、保険料ではなく、国に収められた所得税を再分配するものだからだ。
 この所得税方式の採用については、別の機会のテーマとしたい。
 しかし、国民年金制度の第1号被保険者は、替わって新しい厚生年金保険に加入することになる。

厚生年金保険制度を改定し、有所得者全員が同保険加入へ

 現状、国民年金と2階建て方式になっている厚生年金保険制度では、被保険者の納付した保険料の一部が、国民年金の原資として国民年金の財源に拠出されている。
 その拠出の必要がなくなり、老齢厚生年金の原資に全額充当できるようになる。
 また、厚生年金被保険者(以下、被保険者)の配偶者が、一定基準以下の所得しかない場合、配偶者は独自で国民年金に加入する必要はなく、被保険者が配偶者の保険料を負担する必要もなかった。
 しかし、改定制度(=新制度)では、自営業者はもちろん、それに代わって改定厚生年金保険制度に加入する義務があり、従来、一定基準以下の所得で厚生年金保険への加入の必要がなかった、非正規被用者や日雇い被用者など、所得がある人すべてが、所得税を負担するとともに、厚生年金保険料を納付する義務を負う。
 その負担率は、所得税率とともに、検討されることになる。

新・厚生年金保険制度は、賦課方式から積立方式に

 現在の年金制度は、賦課方式とされ、現役世代が、年金受給高齢世代を支える方式である。
 従い、超高齢化により年金受給者数が今後も増え続けることで、現役世代の負担も増え、不公平感と将来への不安感を抱かせる大きな要因になっている。
 この悪循環と現役世代の不満・不安を抑止する方策としても、ベーシック・インカム、生活基礎年金制度は大きく寄与する。
 全世代型・生涯型社会保障制度としてのベーシック・インカム制たる所以だ。
 だが、その基礎的な生活保障だけでなく、現役世代の老後に一層の安心を提供するためにも、老齢厚生年金(以下厚生年金)制度は欠かせない。
 現役世代も生涯生活基礎年金を受給するゆえ、厚生年金保険制度は、これまでと同様の賦課方式である必要はなく、次世代が負担する必要もない。
 従い、賦課方式から、所得に応じて料率を設定した保険料を積立て、その積立実績に応じた保険給付を、規定した年齢以上で自分の希望する年齢から受け取る方式、積立方式に改定する。

新・厚生年金保険制度導入で、同額保険料負担の企業(雇用者)負担をどうするか

 なお、現状の被用者である厚生年金被保険者が納付する額と同額、雇用者が法定福利費として厚生年金保険料を負担している。
 積立方式に転換した場合、同様雇用者も同じように保険料を負担する方式を維持するかどうか、検討を要する。
 現時点で私は、その負担は廃止することが望ましいと思っている。
 その理由は、自営業者など被用者でない者、従来厚生年金保険に加入を義務付けられていなかった非正規被用者など、すべての有所得者が(改定)新厚生年金保険に加入するためである。
 企業サイドの負担は大きく減るが、社会保障制度全体の改定も必要であり、当然社会保険制度・労働保険制度と保険料負担方式も改定が必要となる。
 負担減分の一部は、他に転換されることになるであろう。
 なお、所得増により、法人所得税が増えるケースも考えられる。
 国民年金制度の廃止で、改定必須となる厚生年金保険制度。
 その改定内容・改定方法の検討に入る前に、社会保障制度全般を再構築する必要がある。
 いや再構築ではなく、まったく新しい社会保障制度への改革を基盤としてベーシック・インカム制度を導入するわけだ。

 次回、その社会保障制度改革について思案することにしたい。

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年7月14日投稿記事 2050society.com/?p=781 を転載したものです。

当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。

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