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脱貧困「達成」宣言の習近平中国とベーシック・ペンションによる日本の貧困撲滅(2020/12/21)

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習近平、脱貧困「達成」宣言の真実?

 2020年12月18日付け日経に
習氏、脱貧困「達成」を宣言 家屋の建て替え援助など、地方の借金膨らむ
と題した記事が載りました。
 以前、
中国がベーシック・インカム制を導入したら(2020/6/30)
という記事を書いたことがある私。
 共産党一党独裁の中国が、もしどの国よりも先行して、国家レベルでのベーシック・インカムを導入することを、ある意味、危惧している者としては、気になる見出しでした。
 危惧する理由は、もしそうなれば、中国国民全員が共産党員化され、人権もなにもない恒久的独裁国家ができ上がってしまうこと。
 そしてより恐ろしいのは、それが経済力がないグローバル社会の諸国に、国家資本主義帝国主義習近平中国が、このモデルを導入して、共産主義国家を伝搬させる可能性が高くなること。
 大袈裟に思われるかもしれませんが、ベーシック・インカムの導入方法、活用方法によっては、それが十分ありうることと考えている故です。
 しかし、と言うか、やはり、と言うか、こんな記事概要でした。

 中国の習近平国家主席が2020年を期限としていた「1億人近い貧困人口が貧困からの脱却=貧困ゼロ」目標。
 その達成方法は、中央や地方政府が下位の行政区分である貧しい県に巨額資金を投融資し、それを原資とする補助金を配ったことに拠るというもの。
 そのため、県の負債は膨らんでおり、持続できるかどうかが課題となっている。

 ということは、恒久的な制度と評価・報道されているわけでなく、持続性に疑問があるわけです。
 また配り方も、生活資金としてというよりも、事業化を支援するための補助金も含んでおり、その事業自体の成功・持続には何の保証もないのです。
 貧困対策のアプローチがまったく違うことがこの記事から読みとれました。
 ただ、例の主権や人権問題で問題になっている新疆ウィグル地区なども対象とした政策であるため、真のBIが導入されれば、主権も人権も骨抜きにされてしまうことも考えられるので、懸念は残ります。
 なお、一日1.9ドル以下で暮らす層を「貧困」とする世界銀行の基準に対して、中国の貧困基準は、日本円年間換算で7万2000円以下で、約1万円、その基準より下回っているのです。
 来年2021年7月の党創立100周年に向け、「脱貧困」を党の功績、自身のレガシーとして強調したい習近平。
 手法に問題はあるにしても、独裁政治にこうしたポピュリズム政策が加えられれば、やはりある意味脅威と思うのです。

SDGsによる貧困撲滅

 世界銀行が規定する貧困基準に触れましたが、年明け2021年1月から当サイトでシリーズとして始める予定の「SDGs 持続可能な開発目標」 における「貧困」について、この機会に併せて触れたいと思います。
 SDGsのいの一番の<目標1>には、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困を終わらせる」とあります。
 日本が独自に付けたスローガンでは「貧困をなくそう」としています。
 その目標は、7つのターゲットに細分化されており、
ターゲット1・1は、国際的な貧困ラインを1日1.25ドル未満で生活する人々と定義し、このレベルの貧困をゼロにすることを目標としています。
ターゲット1・2では、「各国で定められた」貧困状態にある人々を半減することを掲げています。
 まだ日本では、このSDGsの1・2のターゲットを元にしてどうこうと政策が論じらられていませんが、現実問題としてはどうなのでしょうか。

日本の貧困問題の現状と対策

 自国の貧困対策は、自国で。
 当然のことですが、国により、その政治により取り組み方は異なります。
 そして、自国での対応が政治体制や経済状況などで困難な場合は、国際社会の協調組織機関での各種支援は、もちろん限界があって当然ですが、行われています。
 では、一応先進国の一つとはなっている日本の貧困の現状はどうなのでしょう。
 一般的に用いられる「相対的貧困率」とは、「等価可処分所得の中央値」の半分に満たない所得の人の、総人口に占める割合を意味します。
 これによると、日本では、約120万円程度未満の所得の場合「貧困」であることになり、その率は、15~17%、ほぼ6人に1人がこの相対的貧困にあるとされています。
 また子どもの貧困率も、ほぼ同様に13~16%で、子ども7人の内1人が貧困生活を送っています。
 こうした状況を、国の主体である政府や関係官庁はどう見ているのでしょうか。

 日本の貧困政策の代表的な制度は、生活保護制度です。
 そして現実的に、受給額は、条件・状況により異なりますが、この年間120万円前後になっている例が多いと思われます。
 しかし、その申請と審査には、大きな壁・問題があり、受給基準を満たしていながら申請を諦めたり、厳しい条件により認められないなどで、捕捉率も23%前後。
 多くの、そして大きな問題が放置されたままです。
 この状態を政府・政権政党、総理大臣・内閣、関係省庁がどう思っているのか。
 先進国と言いながら、種々自国を高く評価しながら、こうした「貧困」状態を見て見ぬふりしているのです。
 普通の神経を持っているなら、これでは先進国の名に恥じるべきこと、改善が必要、と感じるはずなのでスガ。

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションの最大の期待効果の一つは、貧困撲滅

 公務に携わる組織の人たちの上から下まで、財源不足を言い訳に貧困問題を看過する、法治国家はどこの話かの「放置国家」日本。
 恥の文化が政治・行政の世界では倒錯する日本。
 国家に存在することを恥じるべき「貧困」の撲滅には、日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金の全国民への無条件給付を導入することが、最も近道であり、全員平等主義に基づくゆえ、理解と同意を得やすい政策となるに違いありません。
 財源フリーで、だれの負担も必要とせず、真の意味での「公助」による、憲法で保障された社会システムなのですから。
(参考)
コロナ禍で考える自助、共助、公助の在り方とベーシック・ペンション:国家の役割と機能と主体-2(2020/12/21)

 そして、その実現は、早ければ早いほうが良い。
 誰かが昔、「日本のスパコンがなぜ世界一でなければいけないのか」とイチャモンを付けていましたが、日本型ベーシック・インカム、ベーシック・ペンションは、実質的に日本が世界で一番最初に導入することが望ましい、と考えています。
 夢ではありますが。
 なぜ一番になりうるか。
 それは、日本国内流通限定地域通貨であり、中央銀行の発行管理に拠るデジタル通貨であり、発行上限がある循環型法定通貨であるという、現状世界で唯一提案されている内容のベーシック・インカム・モデルだからです。

 そして、なぜ中国独裁国家よりも先駆けて実現するという意味で、一番であることが望ましいか。
 言うまでもなく、民主主義国家日本が、独裁主義国家よりも先駆けて実現することに意味・意義があるからです。
 もし、中国のような大国(広大な国土面積と膨大な人口と経済力を要するという意味で)が先鞭をつけると、とてつもないグローバル社会に変質してしまうリスクが出現するに違いないのです。
 加えて、再三再四申し上げてきていますが、ベーシック・ペンションは、貧困対策はもとより、多種多様に、国民の日常生活の安心を提供し、将来への夢や目標にチャレンジする希望とその機会を与えてくれる社会システムであること。
 それ故の、ベーシック・ペンションであることを、何度も確認して頂きたいと心から思います。

<参考>
◆ ベーシック・ペンション宣言-1:日本独自のベーシックインカム生活基礎年金導入を(2020/12/1)
◆ ベーシック・ペンション宣言-2:JBP導入で、社会保障制度や関連法はこう変わる!(2020/12/2)
◆ ベーシック・ペンション宣言!-3:なぜベーシック・ペンションが必要かつ有効か(2020/12/3)
◆ ベーシック・ペンション宣言!-4:ベーシック・ペンション生活基礎年金実現の方法、スケジュール(2020/12/4)
◆ ベーシック・ペンション宣言!-5:日本独自のベーシックインカム「生活基礎年金」提案、ここまでのまとめ(2020/12/5)
◆ ベーシック・ペンションデジタル通貨管理システム修正案:ベーシック・ペンション宣言!-6(2020/12/10)

単なる課題先進国から、課題解決先進国、日本へ

 急激な高齢化や少子高齢化を早くから招いている日本を称して、「課題先進国」と言われ、みずからそう言っている日本。
 国政レベル、行政レベルにある人たちは、どういう思いでそう言ってるのでしょうか。
 私は、この言葉を聞くたびに、恥ずかしさを感じています。
 なぜなら、課題は改善・解決されるべきなのに、真剣にその課題に取り組んでいるとは決して思えない政治・行政だから。
 本来は、早期に取り組み、改善・解決し、その方法・実績等を公開・公表すべきもの。
 すなわち、「課題先進」認識は、「課題解決先進」モデルを示すべきなのです。

 ベーシック・ペンションは、そう認められての先進国入り後、相当の年数を経過しても解決できていない「貧困」課題の遅ればせながらの解決モデルとなるものです。
 そして、コロナで恐らくここ数年は、出生率の低下が続き、少子化が加速することへの対策として、機能することが予想されるベーシック・ペンションでもあります。
 増える一方の自殺を抑止する対策としても大きな可能性を持っています。
(参考)
コロナ禍、ベーシック・ペンション、たらればで考える国家の役割と機能と主体-1(2020/12/19)

 そう。
 課題先進で立ち止まっている、あるいはむしろ後退している社会ではなく、課題を改善・解決して前進している課題改善・解決先進国として、範を示すべきと考えます。
 敢えて申し上げるならば、こうした取り組みは、決して「革新」、リベラルの取り組みではなく、人として、人が機能させている主体としての国家としての普遍の取り組みなのです。
 文化としてあるべき形でもあります。
 日本文化を礼賛する人ならば尚更、そうした文化を一層醸成することに情熱を傾けるべきなのですが、実際はどうなのでしょう。
 真の保守とは、国民一人ひとりの基本的人権を保守することから始まると認識すべきと考えるのですが。

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年12月21日投稿記事 2050society.com/?p=4633 を転載したものです。
当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。

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