1. HOME
  2. 2020・21年考察
  3. 2020年blog&考察
  4. ベーシックインカムの定義再考察:JBI(Japanese Basic Income)とは(2020/10/2)
2020年blog&考察

ベーシックインカムの定義再考察:JBI(Japanese Basic Income)とは(2020/10/2)

ベーシックインカム(仮称・生活基礎年金制度)案再考察-2


 今年4月以来取り組んできた、ベーシックインカムの導入に関する半年間の取り組みに一旦区切りをつけ、今年の第4四半期、前回の
基本的人権基盤としてのベーシックインカム制導入再考察と制度法案創り
で示した方針・方向で再考察に取り組んでいきます。

 今後BIを考える時、参考資料として、波頭亮氏著『『AIとBIはいかに人間を変えるのか 』(2018/2/28刊:幻冬舎)』を時折り用いていこうと思います。
 ただ、その内容を鵜呑みにするのではなく、再考察のために活用し、必要に応じ手を加えるなどして、あくまでも私の案として、上記第一次法律私案の改訂版=第二次案に繋げていきます。

一般論としてのベーシックインカムとは

 先述の波頭氏の著によるベーシックインカムの定義は以下のようになります。

BIとは、本来UBI(Universal Basic Incomeユニバーサルベーシックインカム)と呼ばれ、「すべての国民に対して生活を賄えるだけの一定の金銭を無条件で無期限に給付する」制度とし、以下を基本要件としています。
1.無条件給付(受給のための条件や、年齢・性別・疾病の有無・就業状況の等の制約がない)
2.全国民に一律で給付
3.最低限度の生活を営むに足る額の現金給付
4.受給期間に制限がなく永続的

 ただこれは、波頭論に限るものではなく、世界でBIを語る時に用いられる共通定義、一般論でもあります。

日本型ベーシックインカムを想定しての再考察

 言うまでもなく、このサイトでは、日本におけるベーシックインカムを課題としています。
 さて、上記4要件のうち、1.はそうあるべきと考えます。
 が、2.については、子どもにも成人同様の額を給付するかどうかは検討の余地があるため、「一定の基準に基づき」という文言を加えておきます。
 3.の「最低限度の」という条件には、問題が残ります。
 最低の基準を設定することが簡単ではないからです。
 地域により物価の違いがあり、年齢によっても必要額も異なるでしょう。
 また人それぞれ、最低とする基準・考え方が異なります。
 そこで、一応ここでは、現状の生活保護制度で設定している額を参考にして「概ね」という用語を加えることにします。
 また、現金給付についても、検討の余地があると考えます。
 なので、現金とせず、「通貨」としておきます。
 次に、4.についてですが、受給期間に制限がないのは当然ですが、生まれてから死ぬまでの期間を意味してのことなので、敢えて「生まれた日から死亡した日まで無条件で給付する」と言い換えることにしたいと思います。

JBI(Japanese Basic Incomeジャパニーズ・ベーシックインカム)の定義と要件

 そこで、UBI(Universal Basic Incomeユニバーサルベーシックインカム)ではなく、JBI(Japanese Basic Incomeジャパニーズ・ベーシックインカム)の定義とその要件を以下のように設定します。

「すべての日本国民に対して生活を賄えるだけの一定の金額を無条件で、生まれた日から死亡した日まで無条件で給付する」制度であり、以下を要件とする。
1.無条件給付(受給のための条件や、年齢・性別・疾病の有無・就業状況の等の制約がない)
2.全国民に一定の基準に基づき一律給付
3.概ね最低限度の生活を営むに足る額の日本国内通貨を給付
4.生まれた日から死亡した日まで継続して給付

JBIは、憲法に規定する基本的人権及び社会保障規定に基づく生活基礎年金とする

 再考察に入ったベーシックインカム制ですが、その給付の基本となる目的及び方針は、
ベーシックインカム:「生活基礎年金法・前文」第1次私案まとめ
の一番初めに記したとおり、憲法に依拠しています。
 その部分を、ここで再確認を兼ねて、以下に引用しました。

憲法に規定する最低限度の生活を営む権利
 日本国憲法第11条に定める「基本的人権」、第13条の「幸福追求権」、および第14条の「法の下の平等」に準じて、同第25条で、
「第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

と定めています。
 これらの条文に基づき、種々の社会保障及び社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、その多くにさまざまな現状の社会や社会経済にそぐわない課題が存在しています。


 JBIは、上記のように、日本国憲法に基づき、日本人の基本的人権が包摂する、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を根拠とし、これに基づき、国が担うべき社会保障及び社会福祉制度の基軸施策として導入し、運用管理するのです。
 そして、JBI を仮にですが、「生活基礎年金」と呼ぶことにします。
 なぜ年金か。
 社会保障制度は、国民全員を対象とした全世代型社会保障制度です。
 加えて、一人ひとりについては、その生涯にわたって適用する、生涯型社会保障制度どもあります。
 その日本国民全員に給付する通貨でなので、「年金」の性格をもつ給付と解釈します。
 そして、概ね最低限度の生活を営むことができる額を支給することから「生活基礎年金」としました。
 保険料の徴収・負担の必要がない無拠出制無条件受給年金です。

因みに、現状の国民年金は一応被保険者は保険料を納付していますが、保険料を納付しない被保険者もおり、保険制度ではない年金制度です。

社会保障制度の改革の軸としてのJBI、生活基礎年金制度

 社会保障との関連で、波頭氏は、上記でその定義と要件を示した後、こう述べています。

BIは現在の社会保障制度とはまったく異なるシステムである。
受給年齢の更なる引き上げが検討されている年金制度、自ら申請して数々の条件に適合していることを証明しなければ受給できない生活保護、非就業期間が長引こうとも一定期間しか受給できない失業保険などといった従来からの社会保障制度と比較すると、BIの様々な特徴は一目瞭然であろう。

 そうです。
 こうした現状の社会保障制度は、多くの課題を抱えていますが、政治・行政実務において、それらが速やかに改善・改革されることはありません。

 先に紹介した前文の憲法関連での記述の最後に、
これらの条文に基づき、種々の社会保障及び社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、その多くにさまざまな現状の社会や社会経済にそぐわない課題が存在しています。
としたとおりです。
 従い、この新しいJBI、生活基礎年金制度は、こうした多くの現状の社会保障制度が抱える問題点の改善・解決策として、新しい社会保障制度(社会福祉制度を含む)を構築し、その基軸として制定・施行することをも目的としています。

 次回は、財源に大きく関連する、ベーシックインカムに関する思想的な違いと現実案としての選択について再考察することにします。

-----------------------------

本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年10月2日投稿記事 2050society.com/?p=5354 を転載したものです。

当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。