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『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ

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リベラリズム批判と米国追随日本のグローバリゼーション終焉リスク:『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー1(2023/1/17)

【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ基本方針

中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書)。
本書を読んで、以下の記事を今月上旬投稿。
グローバリゼーションの終焉とこれから:中野剛志氏著『世界インフレと戦争』を読む(2023/1/8)

その中で、2つのWEBサイト https://2050society.comhttp://basicpension.jp 共通の今年第1四半期の主要テーマとして、【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズを設定し、次の2つの実現をめざしての考察を基本方針とするとしました。
1.2050年までに実現をめざす生活基礎・社会保障「安保」としてのベーシック・ペンション
2.2050年に向けて整備・構築すべき<安心安全安定・保有保持確保>の社会経済システム「安保」

シリーズは、後述する13のテーマで展開する予定としており、今回第1回目に臨みます。

「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題

※「安心安全安定・保有保持確保」の安保政策

「第1章 グローバリゼーションの終焉」構成

第1章 グローバリゼーションの終焉
  ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
  終わりの始まりは2008年の金融危機
  最初から破綻していた、リベラリズムという論理
 「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
  東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
  ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 ・金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 ・物価高騰は一時的な現象では終わらない

  防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
  世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 ・TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 ・エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 ・電力システム改革が電力不安を不安定化した

  中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 


1-1 地政学・政治体制リスクと国家安保をめぐるコンセンサス形成ニーズ


冒頭紹介した記事
グローバリゼーションの終焉とこれから:中野剛志氏著『世界インフレと戦争』を読む(2023/1/8)
で示した、
2008年の金融危機に端を発している(第二次)グローバリゼーションは、ウクライナ侵攻でその終焉を迎えた。
という結論は、上記の第1章の目次の最初の項に示されたそのものです。
その目次に従って重点をなぞって整理し、思うところを付け加えていくことにします。

1)リベラリズムという論理とその覇権戦略の破綻を根源とするグローバリゼーション、終わりの始まり

リベラリズムとは

民主主義や貿易の自由化などの普遍的な価値観を広め、国際的なルールや国際機関を通じた国際協調を推し進めれば、平和で安定した国際秩序が実現するという理論。
・民主国家の国民は戦争に反対するから、民主国家同士は戦争には踏み切らないだろうから、世界の民主化を進めるべき。
・自由貿易により各国の相互依存関係が深まった世界では、戦争による貿易の断絶は大きな被害をもたらすゆえ、貿易自由化を進めれば戦争は起きにくくなる。
これがルベラリズムの論理

但し、非民主国家の民主化であれ、貿易の自由化であれ、その推進のためには、他国に民主化や貿易自由化を強いる覇権国家のパワーが必要。
リベラルな国際秩序や国際ルールを策定し維持するために、覇権国家の存在が不可欠。
従い、リベラリズムは、その理念の実行段階で、必然的に覇権国家と結びつき、「リベラル覇権戦略」の形となって現れる。

(メモ:2つのグローバリゼーションにおける覇権国家)
1)第1次グローバリゼーション:19世紀後半以降。覇権国家は英国(大英帝国)
2)第2次グローバリゼーション:1990年代以降。覇権国家はポスト冷戦のリベラル覇権戦略国アメリカ

今日の状況を招いたのは、逸にリベラリズムの責任とする筆者。
その根拠に鋭く迫っていきます。

リベラリズム論理の破綻、覇権戦略の破綻。リアリズムが示したその反証

・中国をリベラルな国際経済秩序に組み入れるべくWTO加盟に協力。経済的発展下平和的なプレゼンスと民主化を楽観視していたが、今日の習近平の超権威主義体制中国をみれば、その破綻は明らか。
 この間、中国は2000年代に年率10%以上のGDP成長を遂げつつ、それを上回る軍事費を増大。
 すなわち経済的膨張と軍事的膨張を許容し、東アジアの地政学的均衡の崩壊を、リベラリズムがもたらしたと。
 ちなみに米中の軍事費比率は、2000年の11対1が、2019年3対1にまで接近し、そのリスクは増すばかりといえる。
・ロシアのウクライナ侵攻、そこに至る前提としての2014年のロシアのクリミア統合。
これらはすべて、アメリカ民主党政権のリベラリズム失政が招いたものであり、NATOの
 それは総じて民主主義国家グループの退潮と反民主主義・覇権主義国家グループとの分断の様相をより強め、併せてインドなど第3極国家の台頭など多極化をももたらしている。
 
 ここで中野氏が多くの実名事例を挙げて強調しているのが、歴代のアメリカのリベラル政権の方針に対して、一貫してリアリズム主張のリアリスト派とそのグループが、強く反対していたこと。
そしてリベラリズムが悉くそれらを無視してきたこと。

次に、話は、リベラリズムの地政学的挫折から、経済的な失敗に移します。

2)金融危機、格差拡大、排外主義の高まり。そこで生起した物価高騰は一時的な現象では終わらない

リベラリズムの論理によれば、グローバリゼーションは経済的繁栄を約束するはず。
しかし、金融市場のそれは、金融資産バブルを発生。
膨張する債務に依存して拡大した消費が経済成長を牽引し、見かけ上の成功を錯覚させ、バブル崩壊で偽りの繁栄に終止符を打つことに。
アジア通貨危機、ITバブル崩壊、そして最悪の2008年リーマンショックなどの金融危機を経て、世界経済の停滞、グローバリゼーションのスローバリデーションへの転換に至っている、としているのです。

また、終焉を迎えるに至るまで(否、終焉を迎えれば一層というべきでしょうか)、グローバリゼーションは、アメリカでは、とりわけ中国からの輸入等自由貿易で国内労働者が雇用を奪われ、所得格差が拡大。
トランプ政権を見たのもこれが一つの要因とされ、続く米国内の分断も根は同じ。
ヨーロッパを含め、グローバリゼーションが進めてきた移民政策により雇用を奪われることへの危機感から、排外主義・ポピュリズムの勢いが増している現状があります。
2016年イギリスのEU離脱ブレグジットもそれが要因と。

そしてコロナパンデミック、ウクライナ戦争が加速させたインフレ。
その発生要因を辿れば、そして終焉を迎えたグローバリゼーションの、種々のリスクを抱えた今後の世界を考えれば、そのインフレ、物価高騰は決して一時的なものではなく、継続するリスクが高いと以下を挙げて警告するのです。

ウクライナ戦争だけが物価高騰の原因ならば戦争終結で、食料やエネルギー供給が再開され、物価が下落し、インフレも終わるかもしれない。
しかし、地政学的リスクのホットポイントは世界中にある。
まして台湾有事となれば・・・。

3)防衛費を抑制し続けた2010年代。世界情勢の変化を把握せず、安全保障軽視の日本

中国の軍事費膨張と米・中間の軍事力格差の大幅な縮小。
これをリベラリズムの失敗と断じる一方で、矛先は日本へ。
アメリカ追随政策を専らとする日本の、グローバリゼーション終焉時代の失敗を、その間の防衛費の抑制を引き合いに出して、リベラリズムの妄想の後追いによる平和信奉、安全保障の軽視した結果と結びつけます。
この安全保障の軽視は、軍事的なものに限らず、広く対象とし問題視しているのですが、それは次回のテーマとします。

日本の国家安全保障をめぐる政策議論の活発化と合意形成ニーズの高まり

ただ、現実として、NATOが大きく関与してのウクライナ戦争の長期化、北朝鮮のこの機会に乗じての度重なる挑発的行動、そして中国の台湾統合をめぐる同様の行動と言動が、日本自体の安全保障問題への議論、同盟国家間関係の協調・強化の動きなど、避けて通ることができない状況に追い込んでいるとみるべきでしょう。
リベラルがリベラルたる主張を繰り返しても、その声の力は弱くなるのも当然でしょう。
なにより、バイデン・リベラル米国自体が、大きく反中国を、反権威主義を掲げ、突き進んでいることをわが国のリベラルはどう思っているでしょうか。
中国の人権問題をめぐるアンチリベラル批判が、その正当性の根拠となるのですが、経済重視の一面をめぐる過去の政策の誤りはそっちのけ、というのもある意味では節操がないもの。
そろそろ、リアリズムのあり方の一つの重要課題が、国家安全保障のあり方であり、その方針・方向の合意形成を行うべき時代がきている。
好むと好まざるとに拘わらず、そう思います。
一応リベラル保守を掲げる野党第一党が、その立場・考えを明確にしていないことは、やはり気になります。
かといって与党も大同小異なのですが。

新たな分極化グローバリゼーションの時代へ

安い賃金と強大な市場という魅力に引き寄せられた日欧米諸国。
それがリベラリズムという思想・志向ゆえの失敗と断ずることには、多少の疑問を感じます。
中国自身が、国家の広範な意味での経済成長を目指したのは、ある意味必然ではなかったのではと思うゆえです。
ただその速度と規模の加速・拡大を助長したのが、筆者指摘のリベラリズムであったという側面は事実でしょう。
加えて、共産党一党独裁国家が、民主主義とまではいかなくても、民主的な政治を行う国家に変化することなど、もし本気でオバマ政権が思っていたとしたら噴飯ものです。
グローバリゼーションの終焉を迎えつつある時代、トランプ政治の良くも悪くもアメリカの権威を混乱・混迷させ、国内の分断の激しさが増すことを経験してきたバイデン・リベラル政権。
これが覇権国家中国への敵対的姿勢を強めていることは、新たなリベラルを創造・構築しようという意志を示していると考えてよいでしょうか。
甚だ疑問ですが。
こうなると、従来とは異なるグローバリゼーション、すなわち二極化それぞれの極の中におけるグローバリゼーション、あるいは二極に留まらず、その不安定な関係の間隙での存在に立場を見出す別の極をも含む分極化したグローバリゼーションの時代を想定すべきではないかと感じます。
(参考)
⇒ 分断から分極、多極への道も、いつか来た道?(2023/1/10)

実は、本書にはベーシックインカムという用語はまったく出てきません。
インフレとグローバリゼーション、そして戦争・紛争、そして安全保障。
『世界インフレと戦争』というタイトルが示すとおりです。
にも拘わらず、ベーシックインカム、ベーシック・ペンション導入時へのインフレ、ハイパーインフレ懸念の払しょくやその制度の必要性を強く感じさせる内容であった。
第1章でもその匂い、感覚はわずかでも感じることができるのです。
今回よりも次回で。
もう一つのテーマ
「1-2 グローバリゼーション終焉の現実としての食料・エネルギー安保政策」で触れることにします。

【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ展開計画(案)

1.「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題
 1-1 地政学・政治体制リスクと国家安保をめぐるコンセンサス形成ニーズ
 1-2 グローバリゼーション終焉の現実としての食料・エネルギー安保政策
2.「第2章 二つのインフレーション」から考えるベーシック・ペンションとインフレリスク
 2-1 デマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレ、それぞれの特徴
 2-2 ベーシック・ペンションにおけるインフレ懸念の性質とリスク回避の可能性
3.「第3章 よみがえったスタグフレーション」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 3-1 過去のインフレ、スタグフレーションの要因・実態と金融政策経済安保
 3-2 インフレ対策としての利上げ政策の誤りとベーシック・ペンションにおける想定対策
4.「第4章 インフレの経済学」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 4-1 財政政策がもたらす需要・供給と経済成長循環と国家財政の基本
 4-2「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」から考えるベーシック・ペンションの財源論
5.「第5章 恒久戦時経済」から考える21世紀の総合的・体系的・恒久的安保とベーシック・ペンションモデル
 5-1 恒久経済システム確立のための新しい資本主義及び金融システム改革構想
 5-2 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的基礎生活及び社会保障安保
 5-3 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的社会経済システム安保

世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』目次

はじめに 物価高騰が示す世界の歴史的変化
第1章 グローバリゼーションの終焉
  ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
  終わりの始まりは2008年の金融危機
  最初から破綻していた、リベラリズムという論理
 「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
  東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
  ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 ・金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 ・物価高騰は一時的な現象では終わらない

  防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
  世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 ・TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 ・エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 ・電力システム改革が電力不安を不安定化した

  中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 
第2章 二つのインフレーション
  グローバリゼーションが終わったからインフレが起きた
  先進国ではインフレにならないことが問題だった
 ・デマンドプル・インフレ ー 需要過剰で物価が上昇
 ・コストプッシュ・インフレ ー 供給減少で物価が上昇

  コストプッシュで持続的な物価上昇が起こる経緯
  一時的な物価上昇も「インフレ」か
 ・原因も結果も対策も大きく異なる二つのインフレ
  ノーベル経済学者十七人が長期のインフレ対策として積極財政を支持
 ・資本主義経済の正常な状態はマイルドなデマンドプル・インフレ
  コストプッシュ・インフレの言い換え
第3章 よみがえったスタグフレーション
  第二次世界大戦後に起きた六回のインフレ
  過去六回と比較し、今回のインフレをどう見るか
  2022年2月以降はコストプッシュ・インフレ
  FRBによる利上げは誤った政策
  IMFは利上げによる世界的景気後退懸念
 ・コストプッシュ・インフレ対策としては利上げは逆効果
 ・1970年代よりはるかに複雑で深刻な事態

  世界的な少子高齢化から生じるインフレ圧力
  気候変動、軍事需要、長期的投資の減速
 ・「金融化」がもたらした株主重視の企業統治
 ・企業が賃金上昇を抑制する仕組みの完成
  なぜ四十年前と同じ失敗が繰り返されるのか
  インフレ政策をめぐる資本家と労働者の階級闘争
  七〇年代のインフレが新自由主義の台頭をもたらした
 ・ケインズ主義の復活か新自由主義の隆盛か 
第4章 インフレの経済学
  主流派経済学の物価理論と貨幣理論
  貨幣供給量の制御から中央銀行による金利操作へ
  コストプッシュ・インフレを想定していない政策判断
  問題の根源は、貨幣に対する致命的な誤解
 ・注目すべき「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」
 ・財政支出に税による財源確保は必要ない
  政府が財政赤字を計上しているのは正常な状態
 ・政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない
 ・財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ・ポスト・ケインズ派は「需要が供給を生む」と考える
 「矛盾しているのは理論ではなく、資本主義経済である」
  経済成長には財政支出の継続的な拡大が必要
  ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 ・コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない 
第5章 恒久戦時経済
  第五波インフレで、世界は政治的危機へ
  中世ヨーロッパ文明に終焉をもたらした第一波インフレ
  格差拡大、反乱、革命、戦争を引き起こした第二波・第三波
  冷戦の終結をもたらした第四波インフレ
  すでに危険な状態にあった世界を襲った第五波
  内戦が勃発する可能性が高まっているアメリカ
  債務危機のリスクが高まりナショナリズムが先鋭化するEU
  成長モデルの根本的な変更を余儀なくされている中国
  中国の行き詰まりから東アジア全体で地政学的危機勃発か
  日本は最優先で何に取り組むべきか
 ・安全保障を強化し、内需を拡大させる産業政策を
 ・国内秩序を維持するための「大きな政府」
 ・特定の財に限定した「戦略的価格統制」の有効性
 ・世界秩序の危機は長期化し、戦時経済体制も長期化
  「恒久戦時経済」構築以外に生き残る道はない 
おわりに 悲観的積極主義

TPP批判・安倍首相批判による食料・エネルギー安保失政を考える:『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー2(2023/1/18)

中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書)。
を参考にしての
【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ
以下の
1.2050年までに実現をめざす生活基礎・社会保障「安保」としてのベーシック・ペンション
2.2050年に向けて整備・構築すべき<安心安全安定・保有保持確保>の社会経済システム「安保」

2つを考察することを目的としています。

後述するように、全11回を予定していますが、その第1回投稿が以下。
<第1回>:リベラリズム批判と米国追随日本のグローバリゼーション終焉リスク:『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー1(2023/1/17)

今回<第2回>は、<「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題>の2回目に当たります。

「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題

※「安心安全安定・保有保持確保」の安保政策

「第1章 グローバリゼーションの終焉」構成

第1章 グローバリゼーションの終焉
  ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
  終わりの始まりは2008年の金融危機
  最初から破綻していた、リベラリズムという論理
 「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
  東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
  ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 ・金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 ・物価高騰は一時的な現象では終わらない

  防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
  世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 ・TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 ・エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 ・電力システム改革が電力不安を不安定化した

  中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 

1-2 グローバリゼーション終焉の現実としての食料・エネルギー安保政策

<第1回>は、上記の「第1章 グローバリゼーションの終焉」目次の先行部分を次の3項目に整理し、考えたことを追記しました。

1)リベラリズムという論理とその覇権戦略の破綻を根源とするグローバリゼーション、終わりの始まり
2)金融危機、格差拡大、排外主義の高まり。そこで生起した物価高騰は一時的な現象では終わらない
3)防衛費を抑制し続けた2010年代。世界情勢の変化を把握せず、安全保障軽視の日本

今回は、残りの項目を、中野氏のTPP批判を加えて、以下のように整理して考えてみます。

4)TPP批判のポイント、故安倍首相のTPP礼讃批判

TPP(環太平洋経済連携協定)とは何か、なぜTPPが拙いかについて、中野氏は既に10年以上前に同氏執筆の『TPP亡国論』( 2011/3/22刊・集英社新書)で詳しく述べています。

TPPとは、元々(の4ヶ国P4シンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランド)は、物品の貿易関税については原則として全品目について即時または段階的に廃止するという急進的なもの。またサービス貿易、政府調達、知的財産、金融、人の移動なども対象とする、自由化度が極めて高度な包括的協定。
これが2010年9月に4ヶ国(アメリカ・オーストラリア・ペルー・ベトナム)が加わりTPPの交渉が開始された。(同年10月マレーシア参加)(同書より)
※FTA(自由貿易協定)=相手国を選んで、相手国との間だけで通用する関税ルールを決める
※EPA(経済連携協定)=FTAの一種で、関税撤廃だけでなく、規制・制度改正等を含む二国間または複数国間の協定 (2010年当時日本が採用し、推し進めていた)

このTPPへの交渉参加を表明し、実現させ、結果いくつもの安全保障上の問題発生をもたらした元凶が故安倍首相とし、以下の同氏の発言・主張を示して批判するのです。

TPPの意義は、経済的効果だけにとどまらず、同盟国米国とともに新しい経済圏を形成。
そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配など普遍的価値を共有する国々が加わる。
こうした国々と共に、アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは、日本の国益になるだけでなく、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信している。
さらに、共通の経済秩序のもとに、経済的な相互依存関係を深めていくことは、わが国の安全保障にとっても、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは間違いない。

この発言こそ、経済的な相互関係が戦争を抑止するというリベラリズムの典型的な表現と批判。
また、他での発言に対して「安倍が、後世の歴史家が評価するに違いないとか、国家百年の計であるとか、歴史の必然であるとか、自信に満ちて語っているが、後世の評価を待つにはさして時間を要しなかった」とし、その4年後2017年にトランプ政権がTPP交渉からの離脱を表明。
その後のバイデン政権も復帰する動きはないことも付け加えています。

こうして、「TPPのには、日本が期待しているような安全保障上の意義はまったくなく、それどころか食料安全保障を脅かすもの」と断じて、次の食料安保に話を移します。

5)食料安全保障欠如の根源

しかし、食料安全保障については、故安倍首相のTPP礼讃・推進が原因とし、関税の引き下げなどによる農産物の輸入拡大が、カロリーベースで4割に満たない食料自給率と一層の低下リスクを招いた、という簡単な説明で終わっています。
ただ、10年以上前に表した『TPP亡国論』では、「第3章 貿易の意味を問い直す」で<農産品輸入自由化がもたらす四重のデフレ効果><農業の輸出産業論も甘い><農業対策は空手形>、「第5章 グローバル化した世界で戦略的に考える」で<食料自給率の問題><食料の戦略性><種の支配者>とかなりの紙数を使って、日本の農業政策批判を行っているのです。
そこでの指摘の大半は、現在の多数の専門家の批判とも一致しています。
次のエネルギー安保共々、経済安保の括りでの食料安保課題については、この後の考察の中で紹介することにします。

6)日本のエネルギー安全保障課題と責任問題

エネルギー安保については、中野氏の主張と異なる意見を持っていますので、紹介したいと思います。

強調する安倍首相主導の電力システム改革の失敗

TPP推進の象徴として故・安倍首相を批判する中野氏。
エネルギー安保についての同氏の責任として、「発送電分離」と「電力自由化」を推し進めた電力システム改革が、電力供給を不安定化する要因となる失敗だったと指摘します。

発送電分離とは、電力会社が有する送配電ネットワークを、発電部門と小売部門から分離して、第三者が公平な条件下で利用できるように開放すること。
そして、(大手)電力による発電・送電の一体的管理が、電力供給管理を安定化の基本であること。
再生可能エネルギーの買取制度を含む限定的電力自由化と発送電網分離が、エネルギー・電力安全保障リスクを高めた。
その責任は、安倍首相にある、というわけです。

しかし、私の送発電分離と電力自由化に対する評価は異なります。
送発電網分離の実態は、その管理を大手電力の合弁会社が担い、新電力の再生エネ電力の受け取り・送電拒否を招くなど、決して望ましい自由管理方式にはならないものでした。
今になって、そのネットワーク強化のための投資政策を政府が打ち出していますが、内容的には大手電力の投資を支援するわけで、新電力の市場からの排除を促進することに繋がるとみています。
そこで抜本的な政策として提案しているのは、送発電網の国有化、国の管理下に置いて、多様な電源構成策をエネルギーの(安心安全安定・保有保持確保)安保実現のインフラとすることです。
限定的電力自由化は、太陽光発電を強力に進めるための方策として、自由化の名のもとに利用しただけ。
当初高く設定した買取価格を、新電力の経営基盤が整わない中、次第に下げていき、ウクライナ侵攻により一層のコスト増を余儀なくされ、市場からの退出する事業者が増えている現実があります。
また最近もカルテル締結が発見され課徴金がかけられたように、大手電力の寡占状態を改革する覚悟がなかったものと見ています。
ということで、中野氏の見方とは大きく異なります。
現状、東電が国有下にあることも、電力・エネルギー安保が、総合的に国の統制システム下にあるべきことを示しており、地域割りされた大手電力に委ねることに問題があることが、今回の政府が打ち出した地域間電力網整備のための投資政策で示されているわけですから。
かといって、中途半端な電力政策を推し進めた故人の責任は回避できませんが、それは自民党はもちろん、すべての与野党と経産省他関係省庁・行政の全体責任であると考えます。

経済安保の括りでの<食料安保><エネルギー安保>をめぐる当サイトでの検討考察

ところで、
体系的課題別「安心安全安定・保有保持確保」の安保政策の長期的政策合意形成と取り組みを:21世紀第2四半期の安保政策シリーズ-1(2022/12/2)
の中で、安保政策課題について、以下の個別課題を掲げました。

「安保政策課題の多様性と現状強く認識されている個別安保課題」

1.エネルギーの安心安全安定・保持保有確保課題=エネルギー安保
2.食料の安心安全安定・保持保有確保課題=食料安保
3.半導体の安心安全安定・保持保有確保課題=半導体安保
4.国民生活の安心安全安定・保持保有確保課題=生活安保(ベーシック・ペンション等)
5.社会構成人口の安心安全安定・保持保有確保課題=人口安保(少子化政策等)
6.地域社会生活社会資本の安心安全安定・保持保有確保課題=地方行政安保
7.国家防衛の安心安全安定・保持保有確保課題=防衛安保
8.国家財政・地方財政の安心安全安定・保持保有確保課題=財政安保

グローバリゼーション終焉よりも重視すべき現実的食料・エネルギー安保リスク要因

その1番初めのエネルギー問題については、中野氏が批判する電力自由化政策をはじめ、ここ数年来関心を持ち、現在は投稿を停止している http://huma-net.com や、現在運営中の https://2050society.com で数多く投稿してきています。
後者では、昨年12月から先月にわたって、以下を投稿。

2022年12月のエネルギー動向から考える、グリーン水素エネ自給自足理想社会構築:21世紀第2四半期の安保政策シリーズ-2=エネルギー安保ー1(2022/12/7)
エネルギー自給自足国家創りの基盤として、送電網国有化を:21世紀第2四半期の安保政策シリーズー2=エネルギー安保ー2(2022/12/22)
2050年グリーン水素社会創造に向け、原発を水素生産専用電力に:21世紀第2四半期の安保政策シリーズー2=エネルギー安保ー3(2023/1/11)
グリーントランスフォーメーションより過渡的措置としての原発利用:21世紀第2四半期の安保政策シリーズ2=エネルギー安保ー4(2023/1/16)

今後も新しい情報や動向を追って、継続して取り組んでいきます。

2番目の食料・農業問題についても同様で、

鈴木宣弘氏著『農業消滅』(2021/7/15刊・平凡社新書)を参考にしての以下のシリーズ。
現在食料自給率38%、2035年の衝撃的予測と必要対策 :鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-1(2021/12/11)
亡国危機をもたらす農業の「種の起源」喪失:鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-2 (2021/12/26)
食料自給率、食の安全から守るべき農家・農業・農産物・農協:鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-3 (2021/12/28)
「食料・農業・農村基本計画」「みどりの食料システム戦略」に農業政策転換の兆し:鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-4(2021/12/29)


小口広太氏著『日本の食と農の未来 「持続可能な食卓」を考える』(2021/9/30刊・光文社新書)を参考にした以下のシリーズ。
グローバル・フードシステムを見直すべき時代:『日本の食と農の未来』から考える-1(2022/1/13)
増える新規就農形態と広がる有機農業の課題:『日本の食と農の未来』から考える-2 (2022/1/15)
ローカル・フードシステム、オルタナティブ・フードシステム、CSA実践・実現のための課題:『日本の食と農の未来』から考える-3 (2022/1/17)
身近な<食と農>問題を、日常と将来の安心・安全な生活と農業経営・経済の視点から考えてみる:『日本の食と農の未来』から考える-4(2022/1/19)

などを投稿。
先述のエネルギー安保テーマを終えましたので、次は、また新たに食料安保を当然農業政策と合わせて取り組む予定で準備しています。

エネルギー自国自給自足、食料自国自給政策の長期的取り組みとベーシック・ペンション導入との関係

中野氏の論述を待つまでもなく、そしてまた、コロナパンデミック、ウクライナ戦争が招いたグローバリズム化の社会経済的リスクにとどまらず、ここ毎年のように起こっている環境破壊も一因とされる大規模自然災害被災リスクを重ねて体験している現代。
それらは、可能な限り、自国の需要は自国で供給する政策に取り組むべきという警鐘を示していると考えるべきでしょう。
実は、http://basicpension.jp 及び当サイトで提案している、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金制度は、そうしたリスクに備える生活基礎的支出のための年金を、すべての国民に、無条件で、公平に支給するものです。
そして、その大規模給付がもたらすであろうと識者が指摘する、需要増加・供給不足を要因とするインフレ懸念に対して、その発生を抑制するべく、長期間を必要としますが、電力エネルギーも食料も、可能な限り自国による供給力を高めるための戦略的政策を取ることを合わせて提案しています。
上記紹介の投稿記事は、その目的に沿ったものであり、今後も継続して取り組んでいきます。

ということで、次回は、別サイト http://basicpension.jp に場を移し、本書「第2章 二つのインフレーション」のテーマである、インフレについて、理解と考察を深めることになります。
まず、
「2-1 デマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレ、それぞれの特徴」という括りで取り組みます。


【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズ展開計画(案)

1.「第1章 グローバリゼーションの終焉」から考える21世紀上期の安保政策課題
 1-1 地政学・政治体制リスクと国家安保をめぐるコンセンサス形成ニーズ
 1-2 グローバリゼーション終焉の現実としての食料・エネルギー安保政策
2.「第2章 二つのインフレーション」から考えるベーシック・ペンションとインフレリスク
 2-1 デマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレ、それぞれの特徴
 2-2 ベーシック・ペンションにおけるインフレ懸念の性質とリスク回避の可能性
3.「第3章 よみがえったスタグフレーション」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 3-1 過去のインフレ、スタグフレーションの要因・実態と金融政策経済安保
 3-2 インフレ対策としての利上げ政策の誤りとベーシック・ペンションにおける想定対策
4.「第4章 インフレの経済学」から考える21世紀上期の経済安保とベーシック・ペンション
 4-1 財政政策がもたらす需要・供給と経済成長循環と国家財政の基本
 4-2「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」から考えるベーシック・ペンションの財源論
5.「第5章 恒久戦時経済」から考える21世紀の総合的・体系的・恒久的安保とベーシック・ペンションモデル
 5-1 恒久経済システム確立のための新しい資本主義及び金融システム改革構想
 5-2 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的基礎生活及び社会保障安保
 5-3 ベーシック・ペンションがめざす、総合的・体系的・恒久的社会経済システム安保

世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』目次

はじめに 物価高騰が示す世界の歴史的変化
第1章 グローバリゼーションの終焉
  ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
  終わりの始まりは2008年の金融危機
  最初から破綻していた、リベラリズムという論理
 「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
  東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
  ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 ・金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 ・物価高騰は一時的な現象では終わらない

  防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
  世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 ・TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 ・エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 ・電力システム改革が電力不安を不安定化した

  中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 
第2章 二つのインフレーション
  グローバリゼーションが終わったからインフレが起きた
  先進国ではインフレにならないことが問題だった
 ・デマンドプル・インフレ ー 需要過剰で物価が上昇
 ・コストプッシュ・インフレ ー 供給減少で物価が上昇

  コストプッシュで持続的な物価上昇が起こる経緯
  一時的な物価上昇も「インフレ」か
 ・原因も結果も対策も大きく異なる二つのインフレ
  ノーベル経済学者十七人が長期のインフレ対策として積極財政を支持
 ・資本主義経済の正常な状態はマイルドなデマンドプル・インフレ
  コストプッシュ・インフレの言い換え
第3章 よみがえったスタグフレーション
  第二次世界大戦後に起きた六回のインフレ
  過去六回と比較し、今回のインフレをどう見るか
  2022年2月以降はコストプッシュ・インフレ
  FRBによる利上げは誤った政策
  IMFは利上げによる世界的景気後退懸念
 ・コストプッシュ・インフレ対策としては利上げは逆効果
 ・1970年代よりはるかに複雑で深刻な事態

  世界的な少子高齢化から生じるインフレ圧力
  気候変動、軍事需要、長期的投資の減速
 ・「金融化」がもたらした株主重視の企業統治
 ・企業が賃金上昇を抑制する仕組みの完成
  なぜ四十年前と同じ失敗が繰り返されるのか
  インフレ政策をめぐる資本家と労働者の階級闘争
  七〇年代のインフレが新自由主義の台頭をもたらした
 ・ケインズ主義の復活か新自由主義の隆盛か 
第4章 インフレの経済学
  主流派経済学の物価理論と貨幣理論
  貨幣供給量の制御から中央銀行による金利操作へ
  コストプッシュ・インフレを想定していない政策判断
  問題の根源は、貨幣に対する致命的な誤解
 ・注目すべき「貨幣循環理論」「現代貨幣理論」
 ・財政支出に税による財源確保は必要ない
  政府が財政赤字を計上しているのは正常な状態
 ・政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない
 ・財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ・ポスト・ケインズ派は「需要が供給を生む」と考える
 「矛盾しているのは理論ではなく、資本主義経済である」
  経済成長には財政支出の継続的な拡大が必要
  ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 ・コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない 
第5章 恒久戦時経済
  第五波インフレで、世界は政治的危機へ
  中世ヨーロッパ文明に終焉をもたらした第一波インフレ
  格差拡大、反乱、革命、戦争を引き起こした第二波・第三波
  冷戦の終結をもたらした第四波インフレ
  すでに危険な状態にあった世界を襲った第五波
  内戦が勃発する可能性が高まっているアメリカ
  債務危機のリスクが高まりナショナリズムが先鋭化するEU
  成長モデルの根本的な変更を余儀なくされている中国
  中国の行き詰まりから東アジア全体で地政学的危機勃発か
  日本は最優先で何に取り組むべきか
 ・安全保障を強化し、内需を拡大させる産業政策を
 ・国内秩序を維持するための「大きな政府」
 ・特定の財に限定した「戦略的価格統制」の有効性
 ・世界秩序の危機は長期化し、戦時経済体制も長期化
  「恒久戦時経済」構築以外に生き残る道はない 
おわりに 悲観的積極主義

(参考:当サイト提案)
⇒ 国土・資源政策2050年ビジョン(私案)
⇒ 経済政策2050年ビジョン(私案)

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