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日銀保有国債5割超で考える別次元ベーシック・ペンション給付・運用管理システム

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この記事は、既に廃止済みのサイトに、2022年7月9日に掲載した記事を、同日付で転載したものです。
文中で紹介した記事リンクが機能していない場合もあります。ご容赦ください。

提案している日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金の金融財政システム及び社会経済システムにおける合理性について継続して検討・考察を進める。
こういう認識に基づく課題の一つが、財政規律・財政健全化、税と社会保障の一体化をめぐる動向・議論・政策であり、もう一つが政府及び日銀の国債発行と管理をめぐる動向・議論・政策です。

その理由は、ベーシック・ペンションの膨大なお金(専用デジタル通貨)の発行・流通(年間100~200兆円)に伴う、財政との関連、物価・景気等への影響、外国為替市場への影響などについて考え、負の影響を抑制・抑止する方策とその根拠を見出すためです。

直接このコトと関係しているわけではありませんが、今月に入ってから、日経記事を参考にしつつ、財政問題の視点から、以下の2つの記事を投稿しました。

国の予算・執行管理と財政健全化スローガンのいい加減さ(2022/7/4)
2021年度一般会計決算発表への疑問と日経の変わらぬ論調への落胆(2022/7/6)

今回は、その流れを一部受けている形ですが、国債に関する以下の最近の日経記事を参考に、ベーシック・ペンションにおける発行通貨の取り扱い管理と関連させて考えてみます。

1)国債、日銀保有5割超す   6月買い入れ最大の15兆円 金利抑制、広がる矛盾 :日本経済新聞 (nikkei.com)(2022/6/28)
2)(きょうのことば)日銀の国債購入 新発10年債、保有9割迫る  :日本経済新聞 (nikkei.com)(2022/6/28)
3)「日銀の守り」避け 国債売り広がる  「指し値」対象外、超長期債の利回り上昇 緩和修正の観測根強く :日本経済新聞 (nikkei.com) (2022/7/1)
4)国債、個人や外国人に照準  財務省が販路拡大 保有層多様化、市場急変に備え :日本経済新聞 (nikkei.com)(2022/7/5)

日銀保有国債が、発行残高の5割を超すという異常

中央銀行である日銀が保有する発行済国債残高が、5割を超えた。
海外発の金利上昇圧力を受けて、同様に圧力が高まる長期金利の引き上げを食い止めようという日銀の国債購入が急増したことによるとされる。
それが逆に、市場本来の機能を果たすことを抑止し、歴史的な円安を誘い、加えて物価高を呼ぶなど、金融緩和長期化の副作用が広がる要因となっている。
当然それは、財政規律を緩ませ、中央銀行が財政赤字の穴埋めを行っていること、長期金利が上昇(=国債価格が下落)して損失が発生するリスクを、日銀が一手に引き受けていることになる。

6月27日時点での短期国債を除く国債の発行残高は1021.1兆円で、日銀保有額は514.9兆円(20日時点、額面べース)で、その保有割合は50.4%。(FRBは2割台、欧州中央銀行ECBは3割台)
因みに、黒田総裁による大規模緩和開始時の2013年は1割台。
長期金利を0.25%に抑え続けるには、日銀は保有残高を3月末の500兆円から120兆円増やす必要があると試算されている。
日本と米欧の金利差の拡大で円安が進みやすくなっており、円安は資源高とも重なることで、物価上昇に加担していることになる。

日銀による国債購入の意味・意義

日銀による国債購入とは金融市場に出回るお金の量を調節する「公開市場操作(オペレーション)」の一つで、金融機関から国債を買いとること。
但し、日銀が市場を経由せずに国から国債を直接引き受けることは、財政ファイナンスを防ぐ目的から禁止されている。
金融機関が国債売却で得た資金を企業や個人に貸し出すことで消費や投資が拡大し、景気が押し上げられる効果を目論むが、実際には、不況や物価高予想とその対策から、貯蓄が増加するという期待とは逆行する事態が続いている。
投資家の目には日銀が大量の国債を買い入れれば買い入れるほど、世界の流れと逆行して金融緩和を強化しているように映り、記録的な円安につながる。
政策維持そのものが自己目的化していると見られ、円安などの副作用もより大きくなっているわけだ。

外国人による国債購入を拡大することのリスク

日銀の国債保有高と率が高まる中、財務省が国債の販路拡大に力を入れているという。
国内個人向けに限らず、5月からは海外投資家向け広報(IR)を2年ぶりに再開している。
国債の保有層の多様化を図り、金融緩和頼みの財政運営のリスクの低減を図ることを意図している。

海外では、エネルギーと食糧等の資源高に加え、人件費の引き上げも物価上昇、インフレの大きな要因として認識されている。
しかし、日本における賃上げは、大企業・IT系企業等への偏りがみられ、中小企業を含めて広く行き渡るものではなく、物価高の要因にはなりえず、インフレ下の不況の進行が懸念されている。
日銀は簡単に金融引き締めに転じる機会を見出すことができず、日銀依存からの脱却も困難度が増している。
その中での国債の安定消化の目論見だが、2022年3月末時点での海外投資家の国債保有率は13.60%と意外に高く、個人を含む家計はなんと1.02%にすぎない。
なお、銀行などの預金取扱機関の保有比率は11.4%、保険・年金基金は23.2%。

国内国債保有率を限りなく100%に近づけ、日本国内だけで国債絡みでの資金の調達・流通が可能ならばリスクは軽減されるが、海外投資家保有率をいたずらに引き上げていくことは、国債市場における大きなリスクを自ら抱え込むことになってしまう。
それでなくとも、現状の国債市場において、海外勢にしてやられるリスク=可能性を広げていることを理解しておく必要がある。

日銀による国債消却の可能性とベーシック・ペンション発行済み専用デジタル通貨回収消却

政府が発行を積み上げてきた国債から得られるお金は、政府財政支出として、企業・個人等に流れ、経済の活性化、景気の好転に結び付けられる。
これがめざす政策だが、日銀の国債保有率が高まるほど、日銀が印刷発行する日銀券数量が増え続ける一方、政府の借金(政府債務)も増え続ける。
景気を上向きにし、税収が増え、日銀保有国債を政府が買い戻すことで借金の返済に充て続けることができれば、めざすプライマリーバランスの実現に近づくわけだが、ここまで借金が増えると、増えた税収でも足りず、国債に付けるべき利息の支払いにも足りず、国債を償還するため、利息を支払うために新たな国債発行を上乗せすることになる。

この悪循環を止める奇策の一つが、日銀が保有する国債を、日銀の利益もしくは資産と相殺して消却処分することだ。
この場合、現金という過剰流動性の増加をくい止め、インフレを抑制する手段の一つともなりうる。
そうではなく、国債を永久国債として積み上げて固定化してしまう方法を提案する人もいる。
しかし、そこでは、日銀が買い上げる場合は日銀券が過剰に印刷発行されることになるが、個人や企業、外国政府を含む海外投資家が買えば、既に流通している現金が還流することになり、過剰化は抑制できる。
しかし、利息分は政府が負担するため、海外投資家が受取利息を国外に持ち出し、その原資を新発債に求めるとやはり流動性は増加し、借金は減らず、プライマリーバランスはまた遠のく。

ベーシック・ペンションでは、年度ごとの支給額が非常に大きいため、国内限定の使途流通型の専用デジタル通貨で、海外への持ち出しは不可能だが、一般の法定通貨の発行・流通との関係で、インフレを招く可能性を、一般的なシステムでは払拭できない。
そこで、流動性・過剰化を抑制する方法として、デジタル通貨の日銀への回流・回収システムを設定し、その通貨の使用期限の設定、期限後の通貨の日銀への自動回収、利用された通貨の手数料付き買い取り回収、その他の基準化となどを駆使し、回収デジタル通貨の、日銀利益また資産との相殺による消却方式を組み入れている。
そういう意味で、日銀保有の国債に限っては、消却方式を採用できる規定への変更・改革を検討すべきではないかと考えるのです。
その可能性を追究すべく、赤字国債の運用管理システム改革検討を継続課題としていきます。


【日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金2022年案】

ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1(2022/2/16)
少子化・高齢化社会対策優先でベーシック・ペンション実現へ:2022年ベーシック・ペンション案-2(2022/2/17)
マイナポイントでベーシック・ペンション暫定支給時の管理運用方法と発行額:2022年ベーシック・ペンション案-3(2022/2/18)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

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