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2020・21年考察

期日前投票済ませた翌日の日本維新の会と国民民主党の折込み広告から:維新ベーシックインカムと国民民主日本型ベーシックインカムの大きな違い

この記事は、2021年10月23日に今は廃止したサイトに掲載した記事を、一部資料等削除し、同日付けで転載したものです。


 一昨日、ベーシックインカムを多面的に考察し、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金を提案する、ベーシックベーシックインカム専用サイト http://basicpension.jp において
維新の会ベーシックインカム案は全政党中ベストの社会保障制度改革案(2021/10/22)
という記事を投稿しました。
 これはこれまで同サイトで
◆ 真のベーシックインカム実現を政策とする政党ゼロから取り組むべき現状と今後 (2021/7/16)
と認識し、記事を書いてきたことを訂正するものでした。

 維新の会が、日本の既成政党のなかでベーシックインカム導入を正面から提案したことを評価し、全面的ではないですが現時点では、早期の実現をめざすべきという認識から、支持して良いと考えてのことです。

 そういう思いを抱きながら昨日期日前投票を済ませました。
 しかし、比例代表投票ではまだ同党に投票するには至っていません。
 その理由は、おいおい述べるとして・・・。

 翌日の今日、日経と中日朝刊2紙に、衆議院選挙での投票を促す同党と国民民主党の折込み広告が入っていました。
 週末を意識してのことなのでしょうが、タイミング的には公告後1日でも早く折込みを行うべきではなかったかと思います。
 それはさておき、気になるのはやはり「ベーシック・インカム」について。
 先述の7月の記事中で紹介した野党各党のベーシックインカムに対するスタンス、類似した政策については、以下のように述べてきています。

◆ れいわ新選組のベーシックインカム方針:デフレ脱却給付金という部分的BI(2021/4/4)
◆ 立憲民主党のベーシックインカム方針:ベーシックサービス志向の本気度と曖昧性に疑問(2021/4/6)
 日本維新の会のベーシックインカム方針:本気で考えているとすれば稚拙で危うい曖昧BI(2021/4/26)
◆ ベーシックインカムでなく ベーシックサービスへ傾斜する公明党(2021/4/28)
◆ 国民民主党の日本版ベーシック・インカム構想は、中道政策というより中途半端政策:給付付き税額控除方式と地域仮想通貨発行構想(2021/6/6)


 この中の「日本維新の会」についての認識・評価が、今回の衆議院選挙公約として維新BIが示したことで、冒頭の記事の評価に変わえたわけです。

 一方、国民民主党は、このリストの中で
◆ 国民民主党の日本版ベーシック・インカム構想は、中道政策というより中途半端政策:給付付き税額控除方式と地域仮想通貨発行構想
としてあるように「日本版ベーシックインカム」としていました。


日本維新の会の「ベーシックインカム」と国民民主党の「日本型ベーシックインカム」はまったく異なるもの

そして、今日の広告では、
1.日本維新の会:<社会保障制度に安心と納得を>という括りで「最低所得を保障すること(給付つき税額控除またはベーシックインカムの導入)で再分配の最適化・統合化を検討。年金等を含めた社会保障全体の改革を推進する。」
2.国民民主党:<「給料が上がる経済」を実現>という括りで「②「 今日の広告では、
1.日本維新の会:<社会保障制度に安心と納得を>という括りで「最低所得を保障すること(給付つき税額控除またはベーシックインカムの導入で再分配の最適化・統合化を検討。年金等を含めた社会保障全体の改革を推進する。」
2.国民民主党:<「給料が上がる経済」を実現>という括りで「②「日本型ベーシックインカム」の創設」
と示しています。 」の創設」

と示しています。


 もう少し具体的に知りたいと思い、国民民主党の資料からこの部分の取り出すと「(仮称)」と但書が入り、「給付付き税額控除」方式を採用することを明確にしているのです。
 これは、ベーシックインカムを論じるとき必ず比較して提示される、所得再分配の考え方・方法なのですが、正確には、ベーシックインカムとは言えないものです。
 本来すべての国民を対象として給付するのがベーシックインカムなのですが、同党では、<「人づくり」こそ国づくり>という括りでの「教育等」の政策と一環として、「児童手当」の拡充を掲げています。
 これは、児童を、ベーシックインカムの給付対象と見ていないことを意味するのです。
 そもそも、<経済対策>の括りで「日本型ベーシックインカム」を提示することが間違いなのですが。

 一方、維新の会は、<社会保障改革>の軸として「ベーシックインカム」を位置付けており、月額8万円支給の65歳以上高齢者以外のすべての国民に、6万円支給するとしています。
 一応、給付つき税額控除またはBIと、「または」を挿入したままなのは気になりますが、このように定額で提示しているのは、BIに強く傾斜していると認識しています。

 まあ、国民民主党への期待は正直ほとんどないので、これ以上どうこう言うのは止めにします。
 しかし、あえてなぜここで取り上げたかというと、(仮称)と付け加えているとしても「日本型ベーシックインカム」と表現することが、ベーシックインインカムの正しい理解・認識や今後の議論・評価には、誤ったメッセージを送り、誤った概念を植え付けることになるからです。
 何か、目新しさを主張しようということかもしれませんが、公党としての見識を疑う政策・表現は、あってはいけないのです。

ベーシックサービス主張の立憲民主党は、それ以上の論外政党


 今回は維新と国民民主党の折込み広告からのベーシックインカム考察にとどめる予定でしたが、ここまでくるとやはり野党第一党の立憲民主党のベーシックインカムに関連する政策について、少しだけ触れておくことにします。
 立民については、先述の以下の記事に示したレベルと変わっていません。
◆ 立憲民主党のベーシックインカム方針:ベーシックサービス志向の本気度と曖昧性に疑問(2021/4/6)

 国民民主党同様、<経済政策>に中に、ベーシック・サービスを持ってくるのです。
 これはむしろ自民党的な発想。
 もしくは、反緊縮を叫ぶ左派の主張。
 本来のリベラルは、社会保障制度の軸と位置づけるべき政策です。

 そして、このベーシックサービスは、井手英策氏の提案で、同氏の社会保障財源、ベーシックサービスの必要財源は、消費増税によるものなのです。
(参考)
⇒ 『ベーシックインカムを問いなおす その現実と可能性』(2019年刊)より:<ベーシックインカム書から考えるBI論>記事シリーズ-4(2021/10/22)

 ベーシックサービスで具体的に医療保険や介護保険はどうなるのか、現状の社会保障の現金給付制度部分はどうするのか、所得・収入のない多くの人々の生活保障はどうするのか。
 上記の政策の詳細から何とか読みとろうとしてもほとんど何も出てきません。


 岸田総裁・首相誕生時に明らかになった自民党の融通無碍の政策の幅、多様性に比し、立民の相変わらずの誤った教条主義では、結局枝野代表がのたまう「リベラル保守」という曖昧模糊に成り下がるしか、当面ないのでしょうか。
 悲しむべき民主主義国家日本の政治状況です。
 選挙戦残り1週間。
 読めない風は、どのように吹き、どんな結果を残して去り、2022年に向けての新しい風を呼び込むのでしょうか。
 

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