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ベーシックインカム中央銀行通貨発行論者SS氏との仮想対話(2020/10/17)

2020年blog&考察

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ベーシックインカム(生活基礎年金制度)案再考察-14

基本的人権基盤としてのベーシックインカム制導入再考察と制度法案創り
ベーシックインカムの定義再考察:JBIとは(Japanese Basic Income)
財源問題、所得再分配論から脱却すべき日本型ベーシックインカム
日本型ベーシックインカム実現をめざすカウンター・デモクラシー・ミーティングを開設!
BIは、日本国内のみ利用可、使途・期間限定日銀発行デジタル通貨に
ベーシックインカム生活基礎年金月額15万円、児童基礎年金8万円案
ベーシックインカム生活基礎年金15万円で社会保障制度改革・行政改革
ベーシックインカム生活基礎年金、段階的導入の理由と方法
実現シナリオ欠落の理想的ベーシックインカムの非社会性
ベーシックインカムの特徴と魅力、再確認・再考察
ベーシックインカム導入で健康保険・介護保険統合、健保財政改善へ
ベーシックインカムとコロナ禍の政府債務膨張、デジタル人民元実験との関係
コロナ禍がベーシックインカムの必要性・不可欠性を証明(山森亮教授小論より)
と、13回を重ねてきています<再考察シリーズ>。

 今月10月中に、日本型ベーシックインカム生活基礎年金法の第2次案のまとめに漕ぎ着けたいと思っているため、種々原点に戻ったり、細かいことにこだわったり、といかんともし難い不足する知識・能力ですが、もう少しあがいてみます。

9月ベーシックインカムFacebookグループにアプローチ

 で、今回は、一つのベーシックインカム論者が主宰するSNSサイト上での、同氏(SS氏とします)のコメントを転載し、その内容に、私の考えるところを記していく、仮想対話をやってみようと思います。
 対話と言っても、私が一方的に書くだけで、対話に持ち込もうという気持ちはありません。
 なぜならSS氏は、私を遥かに上回る純粋な気持ちをお持ちで、そのブレない理想論で、ベーシックインカムを実現することに情熱を傾けている方。
 決して意見が交わることがないと思うからです。
 なのになぜこんなことをやるのか。
 ひとえに、BIについての種々の議論を堂々巡りかもしれませんが行い、少しでも理解者が増え、少しでも一致点が増えるきっかけになれば。
 そして困難な実現の歩みがわずかでも進むきっかけになれば。
 その思いだけです。

ベーシックインカム中央銀行通貨発行権論者主宰のFacebookグループへの参加と退会

 2020年4月からベーシックインカムについて考え始め、同月開設した当サイトに投稿を開始。
 以後、新書レベルに留まりますが専門的な書を数冊斜め読み。
 8月までに自分なりに考えて投稿した記事がそこそこのボリュウームになったので、9月から現状巷で議論されている場、媒体にアプローチし、自分なりに絡めるところは絡んでいこうと、3つのFacebookグループに参加。
 その一つの主宰者の考える内容が、今日のテーマです。

 そのグループは、昨日確認したのですが、2017年5月4日に開設されたものでした。
 私は勘違いして、今年開設されたものとばかり思っていたのですが、それは他の2つでした。
 ということで、開設以来、既に3年以上経っているわけです。
 今日2020年10月17日現在の参加メンバー数は986人。
 このグループには9月2日に参加。
 それから、自分のサイトに投稿した記事を紹介し、意見を求める形で参加。
 しかし、ほぼ初めから、「もっと要点を短く書いてくれ」の一点張りで、ご自分の意見と違うと見ると、あるいは自分の主張が理解されないと、あるいは理解する能力がないと判断すると、不機嫌な態度姿勢で臨んでくるばかり。
 これは私だけに対するものではなく、他の人にも共通でした。
 結局、何度か投稿し、同氏の基本的な考えは、添付されていたNoteで確認。
 同氏が、そのグループサイトで、自身の考え方を理解してもらえるように取り組んでいるとは思えないとコメントした上で、コミュニケーション不能と考え、9月22日に自ら退会。

 そして、10月2日に自分でFacebookグループ「日本型ベーシックインカム実現をめざすカウンター・デモクラシー・ミーティング」を開設し、4日に告知。
 当サイトの記事紹介を軸にして、運営を始めています。
 元々SNSでのネットワーク作りは苦手で、別に運営するサイトの記事の紹介の場とする程度で、今後もグループへ参加頂ける方が増えるかどうか、まったくといっていいほど自信がないのですが、サイト記事のPVのボリュームが増えつつある状況なので、それと並行して地道にやっていこうと思い、始めたわけです。

 さて長くなりましたが本題です。

SS氏投稿との仮想対話

 先に述べましたが、対話・会話形式にはならず、単にSS氏がグループページに掲載・投稿した内容を転載し、そこで感じたことを私が述べていく。
 単にそういう方法で、進めていきます。
 同氏のコメントには、背景色を配しています。
 掲載日も付け加えました。

人間本位への信頼の根拠が理解できない

 ルトガーブレグマン もアンドリューヤンもエノシュミットも「ベーシックインカムは私のアイデアではない」という。
 普遍性の証。
 デモクラシーの対義語は権威主義、普遍に権威は不要(2020/10/14)

 基本的に、私は、誰がどうこうということにはほとんど関心はありません。
 ここでのキーワードは、「普遍性」。
 普遍ならば、左も右もない、いずれにも普遍であることが「普遍性」の証。
 まして「デモクラシー」を普遍としているのですから、そのあるべきデモクラシーの元での、普遍としてのベーシックインカムを、できることなら、普遍性と一部重なる「共通性」を見出すことで実現したいと思うのですが、いかがでしょうか。

 通貨システムを人間本位にする、通貨発行機関が人の暮らしに必要な通貨を直接個人に発行して経済をまわす。
 それが最善で、誰もが納得でき、おそらくは唯一持続可能で貧困を根絶する社会制度。(2020/10/14)

 人間本位。
 感覚的には分かりますが、通貨発行機関が果たして「人間本位」と保証され、それを未来永劫維持し続けることができるのか。
「機関」も、SS氏は法律で規定し律することができるもの、としているのでしょうが、そもそも法律を規定するのは人、運用するのも人。
 その任に当たる人が、絶対に「人間本位」である保証があるのか。
 加えて、その機関の責任者・担当者を選出する方法・プロセスは、絶対に「人間本位」でありうるのか。
 普遍とするデモクラシー自体が、ほとんどデモクラシーと呼べるものではない状況にあることは、SS氏も十分理解していることでしょうから。
 ついでに申し上げると、実は「人間本位」であることの基準も、ヒトによりけりで、抽象的・情緒的概念のもの。
 恐らく、法律で規定すれば良い、と仰るのでしょうが、法律にも異なる解釈があり得るので、法律の普遍性も保証されていない面もあるのです。
 もちろん、意地悪く申し上げるつもりはなく、そうした前提でコトを考え、進めていく必要があると思っているのです。

 ユニバーサル・ベーシックインカムの適正なボトムは生活保護費の全国平均じゃないかな?(2020/10/6)

 ベーシックインカムは社会保障ではない、と仰るSS氏ですから、ここで「生活保護費の全国平均」を持ち出してくることには少々違和感があるのですが。
 というか、逆に「生活保護」が出てくることに「普遍性」の一端、「共通性」の一端を見いだせる気がして、内心、嬉しいと言うか喜んでいるんですが。

 トーマス・モアが ベーシックインカム を話した時代、経済学はなかったが、中央銀行が個人にベーシックインカムを発行したら、経済学はなくなる。
 人間本位の通貨システムが必要。(2020/9/26)

 ん~。意外に短絡的、というか、純粋というか。
 民間の企業経営・事業活動、それに伴う社会経済活動は存在するわけで、経済学は、それをネタに生き残るんじゃないですか。
 そこで営まれる雇用・就労で所得が発生し、それが、BIとは別に社会経済の循環に利用されるのですから、やはりここでも経済学は生き残る。
 その活動も「人間」が営むもので、ある意味「人間本位」で、ある意味「人間本位」ではないでしょうね。

 昔むかし、ベーシックインカムを知った頃、言葉が輝いてた。今では様ざまな人が使い出し、かな〜り汚れ、陰謀だという人までいて、言葉変えるべきという人が出現し・・ふぅ・・・(2020/9/25)

 仮に、現実に、ベーシックインカムが導入されれば、別の名称を用いるわけで、そういう意味では、用語は変わるでしょう、というか変えるべきでしょう。
 私は、「生活基礎年金」と言っていますが。

社会保障か否かの認識について

 ユニバーサル・ベーシックインカムとは、誰もが尊厳をもって生きられるように、賃金労働が生きる条件とならない制度、進化した生存権、人権です。
 社会保障の合理化では断じてありません。ありえない 。(2020/9/24)

 意地の悪い言い方をすれば、生存権に進化もなにもないと思うのですが。
 微妙なのが「社会保障の合理化ではない」という部分。
 合理化でない、望ましい社会保障ならば許容できる、という意味か、どうか。
 それから、「社会保障」自体が、賃金が生きる条件とならない制度を反映させ、生存権・人権に依拠した制度ならば、同じ意味を持つものと認めるのかどうか、です。
 ここは、非常に重要です。
 私は、憲法の基本的人権に基づく社会保障・生活保障としての日本型ベーシックインカム、と言っています。
 もしそこに共通点、普遍性を見出すことができるなら、一歩前進できる。
 そう思いますし、そう祈りたいものです。

 最低所得保障をベーシックインカムと呼ぶのは、適切じゃない
 UBI は、賃金労働不要な金額をすべての人に保証すること
 混乱ぶりが凄まじいよな(笑) 一律配ればなんでもBIとかダメだよ。
 入り口としての最低所得保障はあっていいけど、それがゴールで金額は時の政府のさじ加減じゃ、どうしようもない。(2020/8/26)

 賃金労働不要な金額を支給した結果が最低所得保障したことと同じ意味をもつならば、それもスタート時点とすれば、ベーシックインカムの範疇と考えてもいいんじゃないか、そう思うのですが。
 それから、先に述べたことと通じる安心要素として、入り口としての最低所得保障は容認するスタンスがあるのは好ましいこと。
 問題は、金額をだれが決めるか、どう決めるかで、SS氏が言っている課題です。
 果たして人間本位の(筈の)中央銀行、日銀に任せておくべきものか、任せておけるものかどうか、という問題があります。

貨幣経済社会で真に生存権を保障するものはベーシックインカムしかない。
ベーシックインカムは新しい人権であるべきだし、
経済の基盤であるべき。(2020/4/19)

 やっぱり、生存権の保障はベーシックインカムで、と言い切っているので、決して新しい人権というわけではないでしょう。
 経済の基盤については、「基盤の一部」と丁寧に説明しておくべきでしょう。
 経済の安定と循環に寄与するのであり、経済基盤とするためにベーシックインカムを支給するわけではないでしょうから。

(ベーシックインカムと社会保障の共存がメインテーマ、に対して)障害者福祉以外のほとんどは不要になると思いますが、なぜに共存なんでしょう?(2020/6/13)

 果たして障害者福祉以外の社会保障は不要になりうるか。
 健康保険も介護保険も不要となるように、ベーシックインカムを給付しようというのか。
 大きな疑問を持ちます。
 もちろん、国が無料化すれば可能になりますが、果たしてそこまでの構想を持ち、導入シナリオを描けているのか。
 私は、同氏が決して受け入れない、ベーシックインカムは社会保障制度の基軸となる、基軸とすべきもの、と考えており、一体と言うべきものでしょう。

 医療介護はまた別の話、地域通貨もそのままでなんら問題ないと思います。
 必要を感じる人が多かったら続ければいいと思います。
 緩やかな上昇は、マイナス金利と一緒だけど、変動なしでも問題ないです。(2020/5/8)

 「医療介護はまた別の話」とここで出てきました。
 なんでも別の話で処理するのは、無責任というものです。
 地域通貨云々については、前後の脈絡が不明で、ここでの意味自体不明なため、言及しません。

MMT反対は、私も同意

 今の財政でのBIは社会保障の付替だけであまり意味がなく、大増税の合意はとても困難、借金での調達は一時的。
 だから通貨発行機関が直接給付でマネーサプライ調整して物価維持、どう?(2020/9/21)

 前段については異議なし。
 後段の「マネーサプライの調整」が、果たして絶対的に適切かつ迅速かつ有効に行われるのかどうか。
 そこへの疑問・不安が払拭されないのです。
 こう言うとSS氏は、自信というかある意味信念をもって、「人間本位」の通貨発行機関である中央銀行が行うのだから、大丈夫、問題なし、と断言するんでしょうね。
 そこに不安・疑問があるのです。
 そもそもBI通貨と、市中に回るその他の流通する通貨に見分けが付くのか付かないのか。
 マネーサプライ調整が、単純に中央銀行と市中金融機関との関係だけにおいて可能なのか。
 通貨発行機関は、政府との関係において、実際本当に独立性を保つことができるのか。
 もし可能とすれば、その自律した中央銀行とその責任者・管理者は、どういう手続で選出され、継承されていくのか。
 そのプロセスにおいて、曖昧さを残す「人間本位」を保ち続けることが絶対可能なのか。
 それとも汎用型AIに委ねれば大丈夫とでも言うのか。
 これだけ過ち・誤りを続けてきている「人類」から、果たして汎用AIは、その「人類」を超越した「人間本位」をシステム化できるのか。
 これも疑問なのです。

中央銀行によるベーシックインカムはMMTとはまったく違う。
借金にならない。
通貨や国債の価値を決めるのはハゲタカの巣窟であるマーケット、政府でも学者でもない。
国債乱発はとても危険。(2020/9/24)

 借金にならない、ということを国際機関が認めることから、この主張・議論を始める必要がある、そう思うのです。
 私も、本質的にはそう思うし、そう思いたい。
 しかし、ベーシックインカムの通貨価値を決めるのは自国でしかないと思うが、ベーシックインカム以外の通貨や国債の価値を決めるハゲタカマーケットや外為市場等が存在する限り、国債とは無関係の自国BI通貨を守る方策が必要と思うのです。
 そのため、私は、日本国内地域通貨としてのBI専用デジタル通貨の発行を提案しています。
 その特定通貨は、有効期限があり、国内のみ利用可能、相続・譲渡禁止、一定期限が来れば回収・消却する、発行上限がある通貨です。
 しかし、人間本位中銀発行通貨主義には、まったく受け入れられない、あるいは受け入れる必要がないこと、論外のこととなるのでしょうね。

カネを擦り続けたらどうなるか?
判断するのはマーケット
彼らは自らの利益のためだけに動く。不毛な話。(2020/8/28)

 中銀による通貨発行権集中であっても、マーケットは活動し、不安定化する大きな要因の一つとしてベーシックインカムが存在することは確かかと思います。
 カネを無尽蔵に刷り続けることが可能で、その発行額になにかしらの基準・規律を設けなければ当然マーケットは不安定です。
 ですが、中銀の通貨発行権に任せっきりにした場合、マーケットは常に安定化し、調整が必要になったときには、自律的に、望ましいタイミングで、的確に実行できるのか。
 理論では可能と言えるのかもしれませんが、想定して対策を準備しておく必要があると考えています。

 以下は、妄信的・宗教的な、お金は刷りたいだけ刷ってばら撒ける論派との不毛な論争を行なった時のSS氏のコメント集です。

 インフレターゲットの失敗に見るように、政府の試算はあてにならないし、結局はマーケットがどう判断するかによります。
 投機家は儲けるために理由なく暴落を仕掛けてくる。
 大事なことは、マネーサプライをちゃんとコントロールする機能をもつ事です。(2020/7/14)

 自国通貨をもつ国はいくら借金しても破綻しない?
 それを決めるのはマーケットで、史上例のない公的債務がある日本がやったら、投機家の格好の餌食になるだろう。(2020/7/20)

 カネは紙切れか印字だから、とにかく刷ればいいじゃない。
 俺が配ったらいい社会ができるでもない。
 いい刷り方、配り方はなんだろうと考えて、合意を見いださないと、いい未来ないよね。(2020/4/26)

 金利ゼロ、無期限とかいったら、世界中のファンドが売り浴びせるでしょう。まぁ、いいんだけと、一応パニックにはなるね
 ロリコンDV系は、どうでもいいかと思うけど、まぁ、ヘッジファンドが売り浴びせて、ボコにされます。やりようは、あるけど、やっぱり、食料自給率は、深刻だな。
 ヘッジファンドが売り浴びせたら、あっという間に破綻します。(2020/4/23)

 まあ、ある意味無政府地域、無政府国家におけるベーシックインカム論者とのやり取りになっており、噛み合うはずがないものでした。
 私も、その主宰一派のFacebookグループに一端参加したのですが、論外の論の展開だったので早々に退散しました。
 でも、そこも、SS氏のグループも、自分の言っていることを理解できない者は馬鹿にし、ブロックしたり、議論参加者自らから退出するように仕向けた感があるのは共通であったのは事実です。
 無政府状態で、制限を付けづずにカネを刷り、配り続ければ、ハイパーインフレになることは必然。
 それを、インフレ率10%とか20%とか以内で、理論的にコントロールできると断言するのですから、怖いもの知らず、神をも怖れぬ所業を売りにする気違い集団です。
 そのグループとの接触、やり取りがあったことを知ったのは、実は昨日。
 当然SS氏は、その主宰者をブロックしたわけです。
 それからもう一つのグループとも接点があったようで、その一派もSS氏は批判しています。
 こちらのグループは、先般の10万円特別定額給付金の実現に影響を与えた、自分たちの陳情で実現したと自信満々です。
 でもそこも、SS氏の主張と共通点はあるのですが、同一歩調を取る気はまったくなくなっているようです。
 まあ簡単に言えば、MMT論派なのですが、そうとも言い切れない部分もあったりします。

 これに、竹中無茶論と、リベラル教条主義プラス現状社会保障上乗せ主義が、別に、声高にあるわけです。
 加えて、国民民主党、維新、山本太郎れいわ新選組、ホリエモンとか、前澤なんとかもあって、情報がバラバラに、まさに拡散。
 そして、海外の実験情報、一部導入報道も入り乱れて、魑魅魍魎の様相。
 寂しいかな悲しいかな、これが日本におけるベーシックインカムを巡る現状です。
 ある人は、リーダーレス社会がいい、みたいなことも言っていたりして、100年経っても実現しそうもない日本のベーシックインカム。
 唯一大きなフォローの風が、長引く、そしてそれにより不安感がむしろ増幅するかのようなコロナ禍。
 それを頼りにする気はないけれど、なにかをブレイクスルーする力になれば、チャンスとなる可能性はあるでしょうか。

 SS氏の純粋な思いは貴重なものです。
 普遍性を必須とすることも理解できます。
 私も私なりの純粋さと、多少の熱意とを携えて、コツコツ考察、再考察、再々考察を重ねていきます。
 10年、20年はかかることを想定して。
 その間にくたばれば、まさにライフワークになりますね、実現してもしなくても。
 話が脱線しました。
 もと敷いたレールに戻ります。

ある種のユートピア実現を想定しての議論から

 フィンランドのユニバーサル・ベーシックインカムの2年間のテストは、それが仕事への動機付けを阻害せず、精神的および財政的な幸せに資するようだと結論付けた。(2020/8/26)

 確かにそういう利点・側面は期待できる。
 しかし、あくまでも「ようだ」であり、「そうだ」と断言してはいないことにも意を配るべきだろう。
 そもそも断定できるものではないと思います。
 マイナス面もなにかある筈ですし、2年間のテストの後、実際どうするのか、どうなったのか、それも問題です。

ロンドンでホームレスに現金給付したら定住化した。
もし、引きこもりに現金給付したらどうなるだろう?(2020/7/14)

 より安心して?引きこもりの度合いを高める人もいるでしょうし、安心して外に出かけるようになり、働くようになるとかボランティア活動に参加するなどのことは、本人の自由。
 その議論・推測をすることに、さほど意味があるとは思えません。

 通貨は人本位制にすべし。
 暮らしに必要なカネを直接個人に発行し、物価が安定するように効率的に回収する。
 中央銀行が人に発行して、商業銀行融資を減らせば良いだけです。
 ベーシックインカムが実現したら「生存には財産が必要」という概念がなくなると思います。金持ちを羨む人もほとんどいなくなるでしょう。(2020/5/7)

 果たしてどうでしょうか。
 ベーシックインカムによって、貧富の格差が解消されるわけではありません。
 むしろ拡大する可能性の方が高くなるような気がしています。
 ベーシックインカム論が、理想としてのユートピア実現の条件・武器と考えるには、超えなければならない課題が多すぎるくらいあります。

「働かざるもの食うべからず」は、もともと新約聖書にかなり唐突に出てくる言葉。
レーニンがこれを社会主義の戒律だといってソ連の憲法に盛り込まれ、近代社会に定着した。
日本の憲法の勤労の義務も社会党の提案。
これだけ過剰な生産力をもった時代、もう、いらん価値観だよね。(2020/7/29)

 過剰な生産力を得ても、貧困や格差はその生産性をも上回り増幅する現実がある。
 これをディストピアと呼ぶ人もいるが、働くことを批判することからコトを論じるのもおかしなことと思うのです。
 価値観。
 まさに「観」ゆえに、多様性がそこにあって良いこと。
 歴史にそれらを語らせる必要はないでしょう。
 今、現実がどうで、これからどうなっていくか、どうするかの問題です。
 これからは、過去の歴史が作ってくれるわけではなく、今を生きる人々、これからを生きる人々が作っていく社会です。

人間本位「通貨発行原則」を巡る主張

UBIに大増税は現実的ではない。
必要なのは、人の暮らしを基盤とした新しい通貨発行原則(2020/8/21)

ユニバーサル・ベーシックインカムに必要な資金はGDPの3割。
増税は無理、インフレおこさず恒久的に支給できるのは中央銀行だけ(2020/7/1)

GDPが10%下がると国民から50兆円の収入が消える。
今回はそれ以上だろう!消費税2%減税はわずか5兆円。本当に焼け石に水で、対策にならない。(2020/7/29)

 中銀が通貨発行権を持ち、それを行使する上での、一つの数字上の目安を発行原則として示していると理解しています。
 ただそこでのGDPを創出する社会経済の在り方とベーシックインカムとの関係についての考えの記述はここではありません。
 GDPが大きければ、多額のベーシックインカムを発行し、小さければ少なく済む、ということになるのでしょうか。
 インフレ傾向になれば、GDP3割を目処にBI給付額を増やすことでインフレを抑制、コントロールする、というのが正しい理解になるのでしょうか。
 ただ、そうした経済の変動要因が、海外発であったり、外為市場の問題であった場合、その調整は中銀主導で的確に行われるという保証はあるのでしょうか。
 またこうした要因で、一定の範囲内でのこととなるのでしょうが、価値が上下に変動し、安定性を確保し難い通貨に、経済に詳しくない者にとっては、不安が残ります。
 なお、増税は不要、すべきではない、というのは賛成です。

いかにして、中銀通貨発行主義ベーシックインカムを実現するかの議論

 よい社会に必要なものはよい法だけ。
 今の通貨システムをベースにした経済学から、よい法はうまれないよね。
 数字のお遊びだ。
 物価は常に変動するのに、金額ありきの議論は、無駄で不毛
 禅問答と大差ない、まぁ趣味の世界だよね。
 誰もが幸せを感じられるシンプルな法を創造し、言葉につむいで、合意をあみだす。
 これがルソーの一般意志の世界。
 よろず、権威にすがって、ポジションキープしようとするスタンスからは、真の創造はうまれない。
 だから、〇〇さんはこう言ったという話、いらないだろ?
 評論はそれ自体が目的だけど、何もうまない。
 あなたが一番よいと思う法の言葉を提案してよ。(2020/5/24)

 金額が先でも、あとでも必ずそれに対する備えや対応は必要なわけで、決してムダで不毛とは断定できないでしょう。
 少なくとも、そうした対応をする機関・機能のあり方は議論し、ルール・方法を決めておく必要はある。
 そう、それも法律として。

かつてない大失業時代は避けられそうにない。
恒久的なベーシックインカムが本当に必要。
どういう法律をどう成立させたらいいだろう?(2020/5/8)

この自問自答に当たるのが、以下の3つのコメントになるわけですね。

 世界で国民投票の経験のない国は多くない。
 韓国は前回の改憲で大統領の国会解散権をなくし、憲法裁判所を設置している。
 憲法改良でベーシックインカム権を明記するのが最善(2020/6/21)

 ダイレクトデモクラシーのある国の市民運動は提案する憲法条文づくりから始まる。
 そして約1%の署名集めて国民投票で採決。
 ベーシックインカム実現に必要な法文も短いものだ。
 代議制の国では、国会議員の過半数の同意が必要ですね。口利きしかやってこなかった人たちをどう説得させればいいんだろうね?(2020/5/10)

 説得はムリとしても、政治の舞台に上げなければ何も始まらないことは明々白々。
 国会議員を一時は目指したSS氏なればこその、戦略・戦術を持ち合わせてもよいはず。
 これから1~2年は、そこに注力した方が良いと思うのですが。
 多分、それは不可能とお思いではないかと推察しますが。
 そしてそれをバカバカしいと思うなら、やはりヨーロッパに活動の舞台を移した方が良いと思います。
 折角の能力と経験をムダにしないためにも。

 通貨システムの民主化法の概要です。
 スイスの2つの憲法改正案をベースにつくってます。ご意見歓迎。質問もね。
1)ソブリンマネー:中央銀行のみが、公的かつ独立した機関として、紙幣、帳幣、および電子通貨の形で法貨を発行するものとする。取引口座にある既存の帳幣はすべて法貨になる。商業銀行の対応する債務は、中央銀行に対する債務となる。
2)ベーシックインカム:
すべての個人が尊厳をもって存在し、社会生活に参加するために、中央銀行は毎月無条件にベーシックインカムをすべての個人に支給する。
3)経済の原則:
経済は人間の生活を基盤とするものでなければならず、ベーシックインカムは経済のベースマネーでなければならない。マネーサプライの総額は中央銀行によって透明性をもって適切に調整されなければならず、特に、政府と相談して貸付額と課税額を調整することによって物価を安定させなければならない。(2020/5/8)

 ここへ来て、ベーシックインカムが、既存の紙幣・通貨を統合吸収することを明らかにしています。
 そこで中央銀行が、市場の通貨の管理権を一手に引き受けることになる。
 こうなるといよいよ中央銀行の独立性が必須条件となります。
 通貨管理の権限も集中します。
 ただ、物価の安定は、政府と相談して貸付額と課税額を調整して図るとしています。
 この関係、連携が常に円滑に進めうるか、です。
 例えば、ここ数年の日銀と政府の関係を見ていると、とてもとても、日銀が独立性をもって動いているようには思えません。
 当然、政府事業のための赤字国債発行圧力(要請)は、当面軽減されることはなく財政赤字は拡大こそすれ、決して縮減することはないでしょう。
 コロナ禍で一層その必要性・圧力は高まっているのは周知のことです。
 もちろん、財政赤字という概念自体が無く、不要とする意見に従えば、なにも心配する必要はないのですが。

 そして、以下の最も困難な解決方法の一つに行き着かざるを得ないわけです。

 本当に必要なものは「人間本位制」の通貨システムです。
「人の暮らし」に対して通貨を発行するという原則にして経済を回す。
 ユニバーサルなベーシックインカムは他に実現方法はないでしょう。
 デモクラティックな合意はできるはず。(2020/8/20)

 200年前にイギリスで潰されたように、ベーシックインカムは人間を「安い労働力」として利用したいエスタブリッシュメントたちに阻止されてきた。
 「人も社会も駄目になる」という嘘の理由で。
 今後もそれは変わらないだろう。
 だから、ベーシックインカムは市民の力でしか実現しない。(2020/7/16)

 市民の力でデモクラティックな合意を形成する。
 そのためには、ベーシックインカムの実現を公約に掲げる政治勢力を結集する必要があることは明らかです。
 Facebookグループもその準備段階として活用するなら、カウンター・デモクラシーの一形態として多くの認知・賛同を得て拡大していくべきでしょう。
 もちろん、他の方法があればそれでやればいいのです。
 SS氏自身が、政治舞台に立ち戻り、支持を訴えかけ、一大勢力を形成する。
 あるいは、自分の意見を十分理解し賛同してくれる政治勢力と連携し、政治イシューに持ち込み、国民の支持も集める。
 まずその戦略・戦術を持つか、持たないかに行く着くわけです。
 やはり、相当困難なこと、不可能に近いと思いますが。

ベーシックインカムにかけるSS氏の熱い想いを確認

 ベーシックインカムが実現した社会では、あらゆる人と対等に接することができるようになる。(2020/4/29)

 2018年、国民投票が迫る中で、シモン・センリッヒとこんなことを話したことを覚えています。
「政府は投票を急いでない?」「そう。次の金融危機の前にやってしまわないといけないと急いだんじゃないかと噂してる」
 リーマンショックを受けて二度と金融危機が起きない金融システムを提案し、国民投票にかけた市民グループがスイスでありました。
 これに対して、政治に介入しないことが不文律の中央銀行が異例の反対声明を出して、徹底した反対キャンペーンを展開、政府も、ほとんどすべての政党もそれを後押しして封じ込めをはかった。
 このキャンペーンをサポートする中で見えてきたのが、ベーシックインカムと通貨改革の融合。
 国債による一時的な給付ではなく、巨額の増税ありきの制度でもない、インフレなき安定した経済運営の中で、貧困を根絶し、すべての人が尊厳をもって真に人間らしく生をまっとうできる社会システムがここにあります。(2020/4/21)

 ベッペのブログに掲載されたローマ法王のメッセージを全文訳しました。
 キリスト教で一番大事な日にベーシックインカムに言及しています。
 グローバリズム、格差社会、拝金主義に常に警鐘を鳴らしながら、いつも貧しい人たちに寄り添って共に生きようとする姿勢。心から敬意を表します。
・2009年8月、私はベーシックインカムを主要政策に総選挙に出馬 直前に「金融崩壊後の世界」出版 
・同年10月4日、聖フランチェスコの日に五つ星運動が開始される
・2013年3月、世界史上、初めてフランチェスコを名乗る教皇が誕生
・2018年6月、五つ星運動が政権を獲得。 
 私は、直後の7月にフランチェスコの聖地アッシジを訪問、
・2019年4月に五つ星の創設者・ベッペ・グリッロを日本に招聘。ベッペは「一番大事な政策はベーシックインカム」と発言。 
・同年11月、ローマ法王は史上2度目、38年ぶりの来日。なんと私の50回目の誕生日に日本上陸。
・そして2020年4月、イースターで、法王はベーシックインカムに言及。事実上、金融崩壊な局面が到来している。(2020/4/14)

 ベッペとエノによるローマ法王へのレクチャーが実現したと聴いてませんが、いよいよ法王まで、ベーシックインカムをやる時だといいだしました。
 わたしは、フランス、イエローベスト発で「中央銀行によるベーシックインカム」運動を開始しようと話し合ってます。
 大不況下で、国債で国民の生活を下支えしなければならない現状、次は国債の価格がどこまで維持できるのか?が課題になるでしょう。
 もちろん、今、増税は不可能。
 ユニバーサル・ベーシックインカムを実現するには、結局、中央銀行の直接給付しかないし、それが最適だと多くの人が気づくことが大事です。
 ゲームチェンジのとき、頑張りますよ!(2020/4/13)

 以上は、今年4月の同Facebookグループに投稿されたSS氏のコメントです。
 過去の活動概要と、今も持ち続ける熱い想いを知ることができます。
 今が好機、そう力が入ることも理解できますが、ここに掲載しなかった種々のやりとりを通じて、焦りも感じられます。
 同氏は、日本よりもヨーロッパを舞台にして活動し、その成功モデルを引っさげて日本に戻り、日本での実現に邁進にしてもらう方が良いのでは。
 そう思ったりします。

 いや日本でできるだけ早く。
 そうお思いなら、今は最悪の状況に向かっているリスクもある、普遍的で、可能性を持つはずの民主主義の力を信じて、新たな戦術をもって取り組むべきと考えるのです。

 なお、同氏コメント中にある、イタリア五つ星運動と関係する最近の政治的話題について、当サイトでも以下で取り上げています。
議員定数削減一院制へ改憲を:イタリアで国会議員数削減国民投票可決(2020/10/12)

1年後に何か変わっているか、5年後は、10年後には?

 種々再考察を進めつつ、何かしら第二次案のまとめ上げのイメージ化が進みつつある。
 そう自分に言い聞かせながらの日々です。
 本当にコロナ禍の長期化が、ベーシックインカム実現に結びつくのか。
 恐らく仮に実現したとしても、本格的なベーシックインカムではなく、一時措置的で、部分的なものになってしまうのでは。
 そう思います。
 それはそれで何もないより良いのでしょうが、できることなら、未来永劫継続できる真のベーシックインカムの在り方を議論し、順次それが実現されるものでありたい。
 本当に、それが10年後、20年後になっても良いと思うのです。
 安心、安全、明るい未来社会創造の一歩としての日本型ベーシックインカム、生活基礎年金です。

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年10月17日投稿記事 2050society.com/?p=5334 を転載したものです。

当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。

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