ベーシックインカム生活基礎年金月額15万円、児童基礎年金8万円案(2020/10/8)
ベーシックインカム(仮称・生活基礎年金制度)案再考察-6
◆ 基本的人権基盤としてのベーシックインカム制導入再考察と制度法案創り
◆ ベーシックインカムの定義再考察:JBIとは(Japanese Basic Income)
◆ 財源問題、所得再分配論から脱却すべき日本型ベーシックインカム
◆ 日本型ベーシックインカム実現をめざすカウンター・デモクラシー・ミーティングを開設!
◆ BIは、日本国内のみ利用可、使途・期間限定日銀発行デジタル通貨に
と続いた<再考察シリーズ>。
今回は、最も重要であり検討を必要とする課題、給付額についての再考察です。
これまで以下の記事で、給付額について取り上げてきました。
◆ ベーシックインカムの適正額はいくらか:BI導入シアンー16(2020/8/4)
◆ ベーシックインカム「生活基礎年金法(略称)」私案:第3章 給付金給付及び利用管理(2020/9/11)
生活基礎年金月額15万円へ再考察
今回の再考察では、日本型ベーシックインカム、生活基礎年金として考える成人の給付額を、一人月額15万円としました。
実は、ベーシックインカムについて、言葉と大まかな意味を知った今年4月の段階で、月額15万円とした場合、総額でいくら必要か、財源のことは無視して投稿したのが、以下の記事です。
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円(2020/4/20)
そこでは、子どもも一律同額とし、年間総額216兆円とただ単純に計算しただけ。
まあ、これが上限と見て、その後どうするか考えていこうという程度の意識でした。
その後、避けて通れないというか、これを給付額設定の基準にすべきものとして、当然ですが生活保護制度における生活保護費の支給額を調べました。
生活保護制度における給付項目
復習を兼ねて、生活保護制度に基づいて支給される生活保護費の内訳区分を以下に挙げました。
1.生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
⇒ 基準額は 1)食費等の個人的費用 2)光熱費等の世帯共通費用を合算して算出。
特定の世帯には加算あり(母子加算など)
2.住宅扶助:アパート等の家賃 ⇒ 定められた範囲で実費
3.教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費 ⇒ 定められた基準額
4.医療扶助:医療サービスの費用 ⇒ 費用は直接医療機関へ支払い(本人負担なし)
5.介護扶助:介護サービスの費用 ⇒ 費用は直接介護事業者へ支払い(本人負担なし)
6.出産扶助:出産費用 ⇒ 定められた範囲で実費
それを元にして考えたのが、以下の記事です。
◆ ベーシックインカムの適正額はいくらか:BI導入シアンー16(2020/8/4)
そこでは、生活基礎年金月額13万円、児童基礎年金10万円と設定しています。
しかし、今回の再考察で、前者を月額15万円、後者を8万円と変更しました。
生活基礎年金を2万円引き上げ、月額15万円にした理由
以前の月額13万円から15万円に引き上げた理由を以下に挙げました。
1つ目の理由は、当初設定した13万円では、地域によっては、<住宅扶助>でカバーできないため、別に住宅補助費用を加算する必要があると考えたためです。
2つ目は、生活基礎年金は、従来の老齢基礎年金給付額全額をカバーしますが、15万円に引き上げることで、現状の老齢厚生年金給付のかなりの率の部分をカバーすることになります。
そのことで、現在の賦課方式の厚生年金保険を、積立式に移行することが可能になるのではと考えたためです。
3つ目は、児童基礎年金の額を、当初構想よりも引き下げることとしたため、<住宅扶助><生活扶助>を補填する目的もあります。
4つ目は、医療サービスおよび介護サービスを受ける際の自己負担に充当するためです。
なお、現状の生活保護では、世帯基準であり、子どもの<教育扶助>部分は、児童基礎年金で賄うことになります。
また、現在の生活保護制度では、医療費・介護費とも自己負担はありません。
そのため、月額15万円では、現状よりも生活が厳しくなるという生活保護受給の方がいらっしゃるでしょう。
こうした方々のために、高額医療費・高額介護費負担(還付)制度の適用及びその改定等でカバーすることにすれば良いでしょう。
しかし、この額でも家賃全額はカバーできず、生活不安が払拭できないという人もいるかもしれません。
こうした方々向けを含めて、日本全体で住宅政策を見直し、すべての人が住む家に困らない住宅厚生制度を整備構築すべきと考えます。
空き家・空き地等の公営住宅転用制度などが課題となります。
総合的社会保障制度の一環としてです。
児童基礎年金月額8万円の根拠
先述したように、当初児童基礎年金は、月額10万円と設定していました。
これを、以下の記事で提案したように、再考察では、月額6万円に減額しています。
◆ 少子化対策、2025年児童基礎年金月6万円支給と幼稚園義務教育化(2020/9/25)
◆ 衛藤少子化担当相、第3子以降児童手当月6万円提起:コロナ不安で少子化加速に危機感(2020/8/22)
6万円としたのは、菅内閣誕生前の前任少子化担当相が、6万円構想を公表したことと、少子化対策を急ぐべきであり、その6万円ならば比較的コンセンサスが得やすいかと考えたためです。
児童基礎年金は、生活保護制度における<生活扶助>の食費・被服費の個人的費用、<教育費>、医療費用の自己負担部分などに充てるものです。
しかし、6万円では、1日平均2千円。
食費・被服費等日常生活での基礎費用としてギリギリで、文具・図書代等教育費用が出るか出ないかのレベルで、厳しい金額と考え、2万円増額し、8万円に変更しました。
なお、ベーシックインカムは個人を対象にしますが、義務教育修了までは、基本的には親権者またはそれに該当する後見人のもとで生活します。
そこで、<住宅扶助>部分は、親権者等が受け取る生活基礎年金を増額することで一部カバーすることとしました。
日本型ベーシックインカム導入スケジュール考察
ベーシックインカム導入当たっては、諸外国では、一定の範囲内で社会実験を行なってから、正式に導入するかどうかを決定するという方法・プロセスを取る例がほとんどとされています。
しかし、私は、そうした社会実験自体が公平性を欠きますし、開始時期を不確定なものにしてしまうことから反対です。
日本型ベーシックインカムは、導入目的が多様であり、社会的なニーズ等から優先順位をつけて、年数をかけて段階的に導入することが望ましいのではと考えています。
優先課題の順位付けの要素としては、
1.少子化対策
2.保険料負担等における世代間不公平感の抑制・解消
3.母子世帯・父子世帯の貧困対策
4.低賃金被用者対策
などが考えられます。
また段階的導入の理由として
1.膨大な給付金の給付方法及び財源問題
2.デジタル通貨管理システム開発等インフラ整備計画及びスケジュール
などを考慮する必要があるからです。
それらを勘案して、今回、非常にラフですが、イメージをもって頂くレベルで、次のように、主に年齢・年代別段階的導入スケジュールを想定してみました。
・第1次:2025年4月 ⇒ 学齢6歳以下(現金給付:消費税等財源)
・第2次:2030年4月 ⇒ 1)学齢18歳以下
(現金給付:所得税・消費税等財源)
2)母子・父子世帯、生活保護世帯
(日銀発行デジタル通貨給付)
・第3次:2035年4月 ⇒ 40歳以下 (日銀発行デジタル通貨給付)
・第4次:2040年4月 ⇒ 60歳以下 (日銀発行デジタル通貨給付)
・第5次:2045年4月 ⇒ 80歳以下 (日銀発行デジタル通貨給付)
・第6次:2050年4月 ⇒ 86歳以上 (日銀発行デジタル通貨給付)
これらの日程に従い、関連する社会保険制度や所得税法などの改定も並行して行うことになります。
但し、同一時期に、旧制度・新制度が併用される場合も当然ありえます。
これらの配慮すべき課題については、次回以降で取り上げ、再考察する予定です。
今回は、あくまでもイメージとして頂きたいと思います。
次回は、月額15万円の日本型ベーシックインカム・生活基礎年金導入に当たって行うべき主な制度・法律改定について、上記の段階化の理由と併せて再考察したいと思います。
当然、財源問題も、折りに触れ関連させて考察を重ねていきますが、一応現時点では、以下の記事を確認頂ければと思います。
◆ 財源問題、所得再分配論から脱却すべき日本型ベーシックインカム(2020/10/4)
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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年10月8日投稿記事 2050society.com/?p=4528 を転載したものです。
当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。
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