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高額所得者・納税者も当然の権利として受け取るベーシック・インカム:BI導入シアン-8(2020/7/5)

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 これまで
現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの
公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ
働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム
不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム
夢のある人、夢の実現をめざす人のためのベーシック・インカム
とベーシック・インカムを受け取るさまざまな人々を想定して考えてきた。

 今回は、同様、人に視点を当てて、当然受け取る権利を持つ人々にとってのベーシック・インカムについて考えてみたい。

社会保障財源の方式:税方式・保険料方式・混合方式

 健康保険や介護保険、厚生年金保険など社会保障制度の主な制度には「保険」という名がついている。
 そこでは、保険料を被保険者や雇用者から徴収し、それを主な財源として必要な現物給付や現金給付を行っている。
 保険料方式ということになる。
 一方、児童手当や今回のコロナ禍での10万円特別定額給付金などは、税金で賄われる税方式だ。
 ただ、実際には、保険料方式を基本としていても、保険料だけでその保険制度を維持することが困難になり、国費すなわち税金で補填する混合方式を取らざるを得ない例が増えてきている。
 ベーシック・インカム導入が見送られる最大の要因は、この財源問題に尽きるといっても過言ではないだろう。

ベーシック・インカムの主要財源は所得税で

 ベーシック・インカムとして給付するお金は、どこから持ってくるのか。
 前項で述べた、税金からの税方式か、保険料を徴収しそれを原資とする保険料方式か。
 どちらにしても、負担するのは国民であることは共通だ。
 ただ公平・平等をめざす社会保障の基本は、所得再分配制にあり、ベーシック・インカムは、保険ではなく、徴収された所得税が分配されて平等に受け取る、権利としての制度として考えることが望ましいだろう。
 保険方式は、ベーシック・インカム以外に必要な、さまざまな社会保障行政上のさまざまな保険システムに適用するのが望ましい。
 例えば、現状の医療保険や厚生年金保険、介護保険などである。
 本件については、ベーシック・インカム導入に伴い、当然現状の社会保障制度・社会福祉制度全体を見直し、新たな体系を構築する必要があるので、別の機会に取り上げることとしたい。
 ここでは、ベーシック・インカムの財源は、原則、所得税とすることを確認しておく。

すべての有所得者が負担すべき所得税と納付所得税還付を含むベーシック・インカム

 すべての国民が平等に受け取るベーシック・インカム。
 もちろん、ほとんどすべての子どもは仕事をして収入を得ることはない。
(映画・演劇などの子役として働く場合が唯一例外としてあるが。)
 現状、所得税は、社会保険料等を支払った後の<所得額>に対してその額のランクに応じて異なる税率を掛け、そこから特定の控除額を差し引いた額となる。
 その税率は、所得が多いほど高い累進課税方式で、5~45%の幅で7種類設定されている。
 また、給与所得者の場合、1年間の合計額に課税され、月88,000円以上かつ、年間課税所得103万円以上の場合のみ課税されている。
 しかし、ベーシック・インカムが導入されれば、当然現状の所得税制を改定する必要がある。
 私は、基本的には、所得がある人は、全員所得税を負担する制度に改定すべきと考えている。
 支払われるたび、受け取るたびにその額に応じて設定した税率で所得税を源泉徴収する。
(但し、1回の支給給与額が、例えば1000円未満の場合は、税負担はなしとする。)
 ということは、納付した所得税の一部また全部が、ベーシック・インカムとして本人に還元されることになるわけだ。
 また、世帯を構成している場合、配偶者にも子どもにも平等にベーシック・インカムが支給されるので、当然、配偶者控除や扶養控除などは廃止されることになる。
 なお、同時に全体の見直しをする社会保障制度に伴って導入する<社会保障保険料>も徴収する方式に改定すべきと考えている。
 本件も、別の機会に踏み込んで考えたい。

高額所得者・納税者も受け取るベーシック・インカム

 さまざまな経済的な不安を抱えたり、予期しない出来事に遭って生活が困難になったり、経済的な不安なく目標や夢の実現に向かう等、ベーシック・インカムはそれらの場合に必要な最低限度の生活を送るための基盤として設計・導入するものだ。
 貧困や格差の改善・解消の意味合いも大きい。
 しかし、受け取るベーシック・インカムの金額を超える所得税を納付する、高額所得者・納税者がいなければ、この制度は成り立たない。
 この富裕な人々は、所得税を取られっぱなしではない。
 自身も、たくさん払った税金から、ベーシック・インカムとして、その規定の額の還付を受けとることになる。
 こうして、すべての国民・住民が、無条件で、差別なく平等に、毎月定額のベーシック・インカムを受け取ることになるわけだ。

所得再分配によるベーシック・インカム

 このように、所得格差が生じることを前提として、その格差分、すなわち、一旦納付された所得税をベーシック・インカムに変換して、全員に行き渡るように分配する。
 所得の再分配だ。
 社会保障・社会福祉を行う上で必要な財源をどう調達し、どう扱うかという基本的な方法・方策として用いられるのが、この所得の再分配である。
 なぜ、高所得者がこの所得再分配に応じなければならないのか。
 種々の理由付けや理論があるが、現状の社会経済システムを持続可能なものとしていく上で、必要不可欠の方式とされている。
 その基本的・一般的な考え方についても、別の機会に触れたいと思う。

 以上、ここまで、ベーシック・インカム、BI導入について思案するに当たり、それを受け取るさまざま人々を想定し、そのすべての人々に、ベーシック・インカムが有用・有効であることを考えてみた。
 その視点での最後になった今回、ベーシック・インカムが、財源や税方式、社会保険方式、そして社会保障など大きく関係し、それらの改定・改革と一体化しての検討を必要とすることに触れた。

 そこで、次回からはベーシック・インカムの基盤としての財源や社会保障制度・社会保険制度等と関係させてBIの導入を具体的・現実的に思案する作業に移りたい。

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年7月5日投稿記事 2050society.com/?p=877 を転載したものです。

当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、上記リンクから確認頂けます。

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