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ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考(2020/4/30)

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本稿は、WEBサイト https://2050society.com 2020年4月30日投稿記事 2050society.com/?p=970 を転載したものです。

「COVID-19」後、2050年社会システム改革に臨む-5(続):社会保障システム改革-6(続)


 前回、社会保障システム改革の基軸とすべきと考えて進めてきている「ベーシック・インカム制度」=「生活基礎年金制度」をポイント制に、と提起した。
ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で

 今回は、前回に引き続き、再度整理してみたい。

一定額は現金給付、残りはポイント付与のベーシック・インカム生活基礎年金制

 前回、生活基礎年金はポイント制で、と提案したが、一定額の現金給付を行った上で、残りをポイント制とする考え方である。
 そうでなければ、全額ポイント制にすれば、自由に使うことができる現金がないことになる。
 これでは、生活保護制度の代替制度にはなりえない。
 また、現状の児童手当の代わりにもならない。
 では、現金給付額をいくらに設定するか。
 基本的な衣食住コスト、人たるに値する生活をおくるために必要な費用、となる。
 その額の考え方はさまざまと思うが、手元に、介護保険制度に拠る、特別養護老人ホーム=特養に入所した場合にかかる費用の表があるので、参考にして考えてみたい。

特養にかかる諸費用と生活基礎費用

 自治体や地域、施設によって若干の違いはあると思うが、手元にある資料で<要介護3>の要介護者が負担する費用を確認した。
 費用の内訳項目と月額概算(30日計算)は以下となっている。
・施設サービス費:24,240円 (1日808円)
・居住費:60,180円 (1日2,006円)
・食費(おやつ代含む):48,870円 (1日1,629円)
・日用品費:5,040円 (1日168円)
・その他 若干
 その合計は、月額約14万円である。
 但し、施設サービス費は介護保険が適用される項目で、自己負担率が1割の場合と、収入や貯蓄の額により2割負担の場合もある。
 また、市民税非課税者は、居住費と食費が減額され、合計月額約9万4千円、生活保護受給者は、月額約6万9千円の自己負担となっている。
 そこで、生活保護世帯の居住費と食費の自己負担額を、生活基礎年金の現金給付分として、7万円と設定してみる。
 但し、配分としては、一日の食費を2千円で月6万円、その他日用品費等を月1万円という構成をイメージしてみた。

ベーシック・インカム生活基礎年金の現金給付と基本控除

 先に仮に、と設定した「生活基礎年金」は、月額15万円、年額180万円。
 産まれたばかりの乳児から、長命高齢者まですべて給付を受ける。
 前回までの提起を手直ししながら、その内訳などを整理していきたい。

<学齢18歳超>(除く、生活保護者)
 1)源泉所得税控除:10% 15,000円
 2)社会保障年金保険料控除:10% 15,000円
 3)生活基礎費現金給付: 70,000円
 4)ポイント付与:    50,000円
<学齢18歳以下>
 
1)保育費・義務教育費・高等教育費負担控除: 50,000円
 2)生活基礎費現金給付: 70,000円
 3)ポイント付与:    30,000円
<生活保護受給者>
 
1)水道光熱費基礎料金控除: 10,000円
 2)住宅基礎費用控除:  20,000円
 3)生活基礎費現金給付: 70,000円
 4)ポイント付与:    50,000円

以下に、補助的な説明を列記する。
・生活基礎年金の現金給付額は、一律7万円
・学齢18歳以下と生活保護者は、所得税と社会保障保険料は負担不要
・学齢18歳以下の保育費・教育費負担は、現状の無償現物給付部分の一部を負担する考え方
・学齢18歳以下の高校・専門学校学生への学費補助もこの負担額でカバー。就労者には、職業訓練などの費用をカバー
・生活保護者の1)2)は、本人が負担している水道光熱費・住宅費の基本料金的な部分を、本人に代わって事業者に支払い代行するもの
・ポイント付与部分については、次項で述べる「キャフェテリア・プラン」制度における社会保障サービスメニューから、必要に応じて選択・利用

多面的・総合的社会保障年金システムとしてのカフェテリア・プラン方式

 カフェテリア・プラン用に付与する生活基礎年金の残りの額のポイントは、社会保障保険サービスに設定したサービスの中から、個々人が事情・状況により選択して利用する。
 そのメニューとして、現段階で考える事項を挙げてみたい。

・医療費:健康保険で支出する医療費の自己負担分を、このポイントから支払う。但し、この場合の自己負担率は5割
・介護保険利用時の自己負担分。この場合自己負担率は5割
・育児休業補償及び介護休業補償の一定限度上乗せ額
・失業保険給付への一定限度内の上乗せ額
・労災保険休業補償の一定限度内の上乗せ額
・教育訓練費および公的資格取得教育費・受験費
・保育および教育児童の図書購入費(指定図書)、指定学習塾費補助(プログラミング等)

 利用サービスのポイントは、現金で還元・給付するものと、医療保険の場合のように、給付請求者の請求に基づき本人に代わって支払う場合など、決済方法は異なる。
 現金給付は、現状の年金制度と同様、2ヶ月に1回偶数月に、前々月・前月分を指定金融機関に振り込む。
 このポイントは、使用しない場合、よく翌年度まで繰り越して用いることができる。

 なお、障害者福祉制度に基づく社会保障制度は別途規定する必要がある。
 また、遺族年金は、現状の厚生年金部分についてのみ、別の規定により遺族厚生年金として給付する。
 老齢基礎年金は、生活基礎年金に切り替えられ、廃止される。

 まだまだ、カフェテリア・プランのメニューとしては、多種多様に考えることができよう。
 また、肝心の厚生年金保険制度をどう改革するかについても、未着手である。
 継続課題としていきたい。
 当然、前述した項目で分かるように、現在の縦割り行政では、簡単に集約整備することができるとは思えない。
 社会保険制度、労働保険制度に加え、保育制度・教育制度も加えて、総合的にシステム改革に取り組む必要がある。
 繰り返しになるが、またこれからも何度も繰り返すが、社会システム改革省の設置が必須である。

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当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
しかし、2020年から、冒頭のWEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を開始。
同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。
原記事は、冒頭のリンクから確認頂けます。

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