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突出する日本の生涯無子率が示す結婚困難要因:全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ-2

20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

先日その一部を読んだ、小林美希氏著『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(2022/11/20刊・講談社現代新書)。
その内容から、当初予定していたシリーズ着手を遅らせて書いたのがこの記事。
平均年収443万円に含まれた多様な格差要因:全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ-1(2023/1/12)

理由は、これまで児童基礎年金、高齢者基礎年金、その後現役世代に、という当サイト提案のベーシックペンションの導入優先順について、再考が必要ではないかと同書で思わされたため。
同じタイミングで、やはり同様の思いを抱かせた以下の記事が2023/1/12付日経に。
⇒ 生涯子供なし、日本突出 50歳女性の27%  「結婚困難」が増加 :日本経済新聞 (nikkei.com)

ポイントを要約し、考えたことをメモします。

突出する日本の生涯無子率

生涯にわたり子を持たない人が増えていることは、かねてから確認していること。
数字で示すとどうか。

生涯無視及び無子率とは

女性で50歳時点で子どもがいない場合を「生涯無子」(チャイルドレス)とし、その比率が「無子率」。
その無子率だが、日本では1970年生まれの女性の内27%を占め、先進国17カ国中最も高いという。
データ比較可能な1965年生まれ女性における率も22.1%で最も高い。

社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の2000年生まれ女性無子率予測は?

まだ先のことだが、2000年生まれの日本女性の無子率予測が社人研から出ている。
幅があるが、現在の出生傾向が続く場合は 31.6%、出生率を低く見積もった場合は 39.2%。
可能性も無視できない出生率低下の場合は、ほぼ10人に4人である。

生涯無子の最大要因が、結婚困難という現実

出生動向基本調査を基にしての同研究所による子を持たない・持てない理由に関する定量分析結果が示されている。
1)結婚困難型
2)無子志向型
3)出産延期型
4)不妊・健康理由型

の4分類において、近年大きく増えたのは、想定される通り、1)結婚困難型。
25歳から49歳まで、5歳刻みのすべての年代で最多。
十分な経済力がある適切な相手を見つけることができないことも一因か。
次は、2)無子志向。
若い世代で増えており、女性全体で5%程度と。
未婚女性では低収入や交際相手がいないと子を望まない確率が高く、諦めている女性が多いのではと。

男女雇用均等法施行後の均等法第一世代に高い無子率

もう一つ付け加えられているのが、機会均等法が1986年に施行されたのだが、働く女性の増加の反面、両立支援は進まず、退職出産か子どもを持たずに就労継続かの選択による無子選択傾向=無子率の高まりである。

「異次元の少子化対策」で、婚姻率の低下、結婚困難社会問題は取り上げられるか


こうしたレポートを見ると、前回の就職氷河期世代への支援の必要性と同様、1)結婚困難、2)無子志向を選択せざるをえない要因である経済的不安の解消・改善が、最も求められていると言えるだろう。
無論、同記事で主張する、子育て両立支援策も並行して強化すべきではあるが、婚姻を希望し、子どもを持つことも希望する女性へのベーシック・ペンション、生活基礎年金の支給は、経済的不安に対する非常に大きなサポートになる。
もちろんそこでは、優先順位とする子どものためのベーシック・ペンション児童基礎年金との並行支給があってのことだが。

果たして、岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」は、他人任せのように思える諮問会議での議論と提案で、どの程度の異次元さを示してくれるか。
結局、財源問題がネック、世代間の不公平感を払拭するための負担の押し付けあい、など、お決まりの流れになるか、それとも消費増税、所得増税をめぐる批判の応酬を招き、国政選で信を問う的なこれも一つの典型的な流れに至るのか。
いずれにしても、有耶無耶になってしまうのが一つの定型でもあるスローガン政治にならぬよう、そろぞろ独自色を出して欲しい岸田政権である。

前回の就職氷河期世代への支援、今回の経済的事由によりやむなき生涯無子を選択する女性への支援。
どちらも、長く続く少子化社会の直接・間接の要因といえる。
少子化対策により、実際に出生数と出生率が回復するには、小林美希氏著書のレポートや社人研の分析調査でわかるように、長い年数を必要とし、今すぐ成果効果が現れるものではない。
日経等マスコミは、こうした根源的な問題への対策も、得意の用語を用いて「喫緊の課題」と表現する。
こう表現して問題提起・提案した課題は、見事に先送りされ、失われた20年、30年というこれも定型表現で、やり過ごされる。
異次元の政策とは、こうした状況を打破する力と内容を持つものであるべきだが、勝手に結論付ければ、当サイト提案のベーシック・ペンションしか有効な手立てがないように思えてならない。
しかし、その理解・導入も「喫緊の課題」と表現すべきものだが、喫緊の課題という認識の共有まで、どの程度の年数を必要とするのかも示せないのが心苦しい。
早ければ早いほどよいことは明らかだが、遅れれば遅れるだけ、優先順を掲げて少しずつ導入を図るのではなく、すべての世代、男性女性、大人と子ども、同時に支給できるよう制度の理解と合意形成をめざすべき。
「全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ」。
ここ数日間で思った次第です。


20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

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