ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1
少しずつ、よくなる社会に・・・
2050年日本独自のベーシックインカムJBPC完全実現に向けての2022年提案-1
2020年にベーシックインカムについて強い関心をもち、同年開設したWEBサイト、https://2050society.com でその構想を、種々の観点から検討考察し提案。
そこからスピンアウトして、新たにベーシック・ペンションとベーシックインカムに関する専門サイト http://basicpension.jp を昨年1月に開設。
そこで、ベーシック・ペンションを法律案としてまとめつつ、その実現のための多種多様な課題について、多面的にブログ・記事を積み上げて来ています。
2050年ベーシック・ペンション完全導入に向けてのベーシック・ペンション制度2022年提案・基本方針
現状理想として掲げているベーシック・ペンション案が、実際に法律案として国会に提案され、審議されることは、残念ながら想像・想定できない状況です。
しかし、なんとかそういう状態・状況に持ち込むためにも、理解賛同を得ることができる提案を辛抱強く検討・継続し、訴え続ける必要があります。
そのためには、やはり、現実的に技術的に、論理的に可能と判断・評価されうる提案が必要です。
そこで、今年2022年版の提案を今回まとめることにしました。
その取り組みで重視し、不可欠のこととしているのは、段階的に導入することです。
段階的といっても、さまざまな要素が関連しており、個別の課題・要素だけを抽出して取り組みを進めることはできません。
そこで配慮すべき要素・視点を抽出し、どのように今年度の提案をまとめるか。
以下の基本方針を挙げ、関連付けをしながら、提案作業を進めていきます。
1.2021年提案ベーシック・ペンションの段階的導入
2.専用デジタル通貨JBPC実現までの支給通貨方式の段階的変更
3.社会保障制度体系の総合的改正に向けての同関連制度および法律の段階的改正
4.日銀によるJBPC発行管理運用システム開発状況に併せての段階的導入
5.日銀によるJBPC管理のための日銀法改正および銀行法等関連法律の改正
6.日本の一般会計による財政と完全に切り離した独自の財源方式実現までの段階的移行
7.インフレ抑制に配慮した支給額・支給方法の段階的実験的増額および方式の採用
8.国際社会での理解、関連必要事項の実現・実行
9.当制度・法律案を国会で提案する政党・政治グループへのアプローチと国会への法案提案審議段階に持ち込むための諸活動展開
第1回目の今回は、最初の項目にある<2021年提案ベーシック・ペンション>の法律案の前文(本法の背景)と法律全文を、一部加筆微修正し、その内容を確認します。
「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」前文:2022年草案
(略称)「生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)」前文:2022年草案
本法制定の背景
憲法に規定する基本的人権及び生存権等の実現
日本国憲法の最高法規である第97条規定の「基本的人権」に準拠した「第三章 国民の権利および義務」の各条に定める「基本的人権」「個人の尊重・尊厳」「法の下の平等」「自由」「生存権」「教育を受ける権利」「職業選択の自由及び勤労の権利」「幸福追求権」等に基づき、種々の社会保障・社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、それらにおいて、未だに規定する条件を実現していないものがあり、その対策・充実が必要とされています。
生活保護の運用と実態
憲法第25条に定める「最低限度の生活を営む権利」を保障する社会福祉制度の一つに、生活保護制度とその法律である「生活保護法」があります。
しかし、この生活保護法の運用について、受給要件を満たす人の多くが、受給申請手続きを行わず、実質的に生活保護受給世帯よりも困窮した生活を送っていることが問題になっています。
この低い捕捉率の理由として、受給要件の審査段階における手続きの複雑さ、審査基準や担当官の公平性を欠く裁量制・恣意性や態度など、それに起因する申請を躊躇わせる心情等が挙げられており、法の下の平等を欠く運用が行われている現状があります。
また、その審査・給付などには、多くの行政上の費用が支出されています。
その行政改革も含めて、公平性・公正性を保障する最低限度の生活を営むための社会保障制度を改廃あるいは改革することも視野に入れる必要性があります。
少子化社会の要因としての結婚・出産・育児等における経済的不安
2019年の合計特殊出生率が1.36を記録し、年間の出生数は87万人割れ、人口減少数も50万人超と、11年連続で減少を続けています。
特に、非婚化・未婚化及び晩婚化による出産数の減少、持ちたい子どもの数と実際に持つ子どもの数との差など、少子化に繋がる直接・間接的な要因の背景には、結婚・出産・育児・教育などの一連の営みに必要な収入・所得などの経済的な不安とこれと繋がる心理的な不安があることが指摘・認識されています。
そこでは、エッセンシャルワーカーや非正規雇用者数の増加による所得の減少や不安定化など労働問題も指摘されています。
そして、2019年に端を発する新型コロナウィルス感染症のグローバル社会全体におけるパンデミックが、わが国にも例外なく大きな影響を与え、経済的な不安や健康上の不安の増大から、婚姻数、妊娠件数、出産数の減少を招いており、長期化している少子化に一層深刻度が増すと予想されます。
この少子化と人口減少が加速する日本社会において、早期に有効な手立てを打つことが不可欠な状況にあることは言うまでもないところでしょう。
子どもの貧困と幸福度を巡る評価と課題
少子化対策とも重なり合う課題として、子どもの生活における貧困や格差、そこに起因する低い幸福度などの問題があります。
親の収入や雇用における不安定や不安、貧困・格差は、自ずと子どもの保育・教育、生活そして人生にも影響を与えます。
その結果、子どもが将来への希望や夢を持つことや、保育や教育を通常通り受ける機会を失うことに繋がり、成長時と成長後の生き方・働き方にも負の影響を及ぼすことになります。
わが国の子どもにかける費用のGDP比率や、子どもが感じる幸福度、将来への希望や夢を持つ子どもの比率などにおいて、対外比でいずれも低い評価にある現状を無視するわけにはいきません。
保育の無償化が実現しましたが、基本的には、親の経済及び心身面での安心と子どもの将来に希望を持つことができる諸施策の拡充がわが国に課せられた重要な課題と考えます。
既存の児童手当がその不安を解消するには程遠い状況も考慮し、子どものための社会保障制度の拡充が求められています。
その施策が、少子化社会への歯止めに繋がると共に、子どもの養育に対する親の安心感と子ども自身の成長への大きな力となり、社会経済のに好循環をもたらすことは間違いないでしょう。
母子世帯・父子世帯の困窮支援の必要性
先述した、生活保護受給要件を満たすけれど申請せず、困窮した生活を送っている人々の典型的な例が、母子世帯・父子世帯と言われています。
その世帯の多くは、育児の負担や家族資源の乏しさから、労働時間に制約を受け、やむなく非正規職として働かざるをえない状況にあります。
当然育児・教育と仕事の両立が困難で、現状と将来への不安を解消する目処・当てがないまま困窮する生活を送っている例が非常に多く報告されています。
子どもの数や成長段階に応じた多様かつ柔軟な社会福祉的支援とともに、経済的な不安を取り除く施策が強く求められています。
非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大及び格差拡大
経済成長の停滞が長く続くなか、企業は、経営リスクの抑制・回避のため、非正規雇用者の比率を高め続けてきています。
雇用の安定が、経済成長の維持・実現に寄与することから、政府も非正規雇用者の正規雇用への転換を進める施策等に取り組んできていますが、企業の取り組みは大きくは改善されていません。
そのため、非正規雇用で働く人の多くは、低賃金や長時間勤務など、自身が望む働き方とは異なる厳しい労働条件・環境で働くことを余儀なくされており、現在と将来に対する生活への不安を増幅させています。
単身者の非正規労働者はもちろん、夫婦共働き世帯において、一方または双方が非正規雇用に甘んじている場合も同様です。
こうした社会経済構造は、基本な生活レベルの維持はもとより、結婚への諦め・晩婚化、単身世帯の増加、未婚率の高まり・婚姻率の低下、子どもを持つことの断念・少子化、育児あるいは介護と仕事の両立などの困難化など、さまざまな負の影響をもたらしています。
加えて、新型コロナウィルスのパンデミックの長期化で、もっとも影響を受けたのが、非正規労働者や零細自営業者です。
こうした人々と正規雇用者や大企業労働者、そして富裕層との格差拡大は、社会を分断するリスクを内包・拡大するものであり、その改善・解決のための抜本的な対策が喫緊の課題となっています。
保育職・介護職等社会保障分野の労働条件等を要因とする慢性的人材不足
潜在的保育士や潜在的介護士が数多くいるにもかかわらず、慢性的に人材不足となっている、保育や介護の現場があります。
障害者福祉の現場も含め、どの職業も、厳しい労働条件・労働環境での職務を余儀なくされ、離職率も高く、慢性的な人材不足の状況が続いています。
新型コロナウィルス禍で、一層その状況は厳しさを増し、心身とも疲弊している現状があります。
他産業・他職種との賃金格差もなかなか縮まらず、国が補助金を支出しても大きな改善は見られません。
こうしたいわゆるエッセンシャル・ワークと言われる社会保障分野の職務・職業は、本質的に高い労働生産性を求めることは難しく、民間サービス事業化が進められたことも、労働条件を抑制する方向に向かわせています。
これらの半ば公的な仕事に就く人たちですが、民間事業者においての賃金は公務員レベルに満たず、また厳しい職場ゆえに常用勤務希望者は少なく、非正規化も進んでおり、それがまた所得の低下、生活上の経済的不安化を推し進める要因ともなっています。
小さな政府という方針とは本来相いれない社会保障・社会福祉領域の公的サービス事業の職種・職業に、希望する人が安心して就職・就労できる施策が求められています。
共働き夫婦世帯の増加と仕事と育児・介護等両立のための生活基盤への不安
夫婦共働きが普通になっている社会ですが、働き方や生活様式は形成する家族形態を含めて多種多様で、それぞれに対応できる子育てや介護の社会化が十分に実現してはいません。
就労する企業の支援制度に依存する場合も多く、やむなく、出産時の離職、子育てのための離職、介護離職などを余儀なくされる例もまだまだ多い状況です。
それが新たな生活上の経済的な不安・不安定をもたらしてもいます。
企業の支援も、企業規模や業種により格差があり、十分な支援を受けることができる人は限られています。
また、仕事とそれらの両立等を可能にする社会保障制度の確立は、雇用される人とその世帯にとってだけでなく、自営業や零細事業を営む人・世帯においても求められるものです。
雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、児童手当など種々の社会保障制度と合わせて、多面的で有効な施策を導入する必要があります。
国民年金受給高齢者の生活基盤の不安・脆弱性及び世代間年金制度問題
老後の生活必要資金2000万円問題で再確認された、高齢者の老後の生活不安。
現在の国民年金による老齢基礎年金だけでは、安心して日常生活を送ることができない多くの高齢者がいます。
一方、厚生年金保険制度を含むこの年金制度は、介護保険制度や医療保険制度と共に、現役世代の負担増への不満と将来の受給額不安を要因として、世代間の問題として取り上げられています。
税と社会保険の一体改革や財政規律の維持を基本方針としてきた中では、給付サービスを受ける高齢者の自己負担率・負担額の引き上げだけで、その解消・解決を図るには限界があることも明らかです。
世代間の不公平感を解消し、高齢者世代も現役世代も、これに続く次世代も、すべてが、将来への不安と自己負担の引き上げリスクも回避できる、社会保障制度全体の改革による施策を検討する状況にあると認識すべきでしょう。
高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、中高齢家族世帯の増加と生活基盤への不安
超高齢化が進み、単身で暮らす高齢者、夫婦とも高齢の世帯、単身中高齢者とその親で構成する世帯が増え続けています。
その世帯構成高齢者の多くが、介護や看護を必要としており、受給する年金のみに頼った生活を送る世帯、あるいは年金無給者も多く、不安な日常生活を送っています。
老老介護生活を送る高齢者夫婦世帯や親の年金収入に頼る単身中高齢親子世帯の不安もあります。
健康保険や介護保険などの保険給付サービスは、多くが現役世代の負担で支えられ、低い自己負担額で済みますが、それでも心身の不安とともに経済的な不安も、加齢とともに増していきます。
それは、その高齢者を介護・監護すべき家族も持つ不安とも重なります。
ここでも、先述した年金問題とも併せて、最低限かつ安心できる生活を送ることができる質の社会保障制度の整備拡充が望まれている現状があります。
高校・大学等高等専門教育を受ける学生の経済的不安解消による学究・学習機会と生活保障の必要性
右肩上がりの高度成長期の社会経済モデルのもとに導入された授業料等学費の高騰と奨学金制度および返済制度により、高等教育・大学等教育をうける学生の多くが、在学時および卒業時の生活の不安と困難にさらされ、そのため学業を諦めざるを得ない若者も多数存在します。
こうした事情は、本人にとどまらず、社会的にも大きな損失を発生させる重大な問題です。
加えて、そうした不安な生活を維持するために不可欠であったアルバイト、非正規労働者として働く機会が、コロナの長期化で失われ、生活維持と成長の機会を学業の維持の機会も併せて奪われることになりました。
視野を広げれば、コロナ禍その他で就労機会を奪われ、新たな就労先を得るために、これまで身につけていない専門知識・技能などを習得する必要が生じた人、自らその習得をめざそうと決意した人々が失業保険の受給いかんに拘わらず、生活不安を抱えることで、そのための教育機会を持つことが困難な状況も想定されます。
こうした教育を受ける機会と権利を幅広く、柔軟に保障する社会経済システムの必要性が、社会経済環境や求められる専門的スキル等の変化にも対応できることと併せて求められています。
コロナウイルス禍による就労・所得機会の減少・喪失による生活基盤の脆弱化
2019年に端を発した新型コロナウイルス感染症の全国への広がりと長期化は、日常生活と社会経済活動へ甚大な被害と影響を与えました。
数次にわたる緊急事態宣言の発出にもより、人・物等の移動が制限され、同時に経済活動の停止や抑制により、働くこと、収入を得る機会を奪われることになりました。
このコロナ禍を契機として、今後日常的にこうした疫病に対する予防や対策の整備などを行うとともに、緊急時・想定外事態発生時においても、日常最低限の生活を送ることとそれが持続できる社会的基盤、社会保障制度、そして社会経済的基盤を整備することの重要性が求められています。
自然災害被災リスクと生活基盤の脆弱化・喪失対策
また、ここ数年来、地球温暖化等が要因とされる、想定外の大規模自然災害が多く発生し、多くの被災者を出しています。
東日本大震災や熊本地震などによる被災の大きさと悲しみ、とりわけ福島第一原発事故による復興不可能になった被災地の状況も忘れることはできません。
2050年に向けてのゼロ・カーボン、脱炭素方針が打ち出されましたが、それで、こうしたリスクが軽減されるはずもなく、むしろこれをチャンスとして、環境・エネルギー問題に関する安全と防災、国土強靭化などの長期的な取り組みが欠かせません。
それと同時に、こうした災害被災時とそれ以降の、先を見通せない生活・就労不安を軽減する経済的支援が、日常においても継続して保障・提供される制度も同様に必要であることを認識し、整備が必要です。
先述したコロナパンデミック対策も、この中の一つの例として捉えるべきでもあります。
日常における不測・不慮の事故、ケガ、失業等による就労不能、所得減少・喪失リスク
先の2項目では、非日常における厄災・災害発生時の不安対策としての社会保障制度の必要性を考えました。
こうした非日常ではなく、日常において起こりうる事故、ケガ、失業等のリスクへの備えとして、医療保険や雇用保険、労働者災害補償保険等の社会保障制度による救済・支援策が用意・提供されています。
しかし、現状制度で不安の一部は軽減されるでしょうが、長期間にわたる場合や重篤な場合などは、実際には十分とは言えない問題も残っており、社会保障制度全体の中で改善・解決策を見出し、調整していく必要があります。
IT社会・AI社会進展による雇用・職業職種構造の変化、所得格差拡大と脱労働社会への対応
高度な情報システム技術革新の軸であるAI技術が、次の大きな経済社会構造の変革を招くと予想されています。
進化するAIが、人が働く多くの職業・職種に取って代わり、労働者の仕事を奪い、人が生活するための所得を得る機会を奪ってしまう。
そして、AI等の技術開発や、AIを用いる事業への投資家が、利益を独占し、不労所得による富の集中、貧富の絶対的格差と分断が加速するというものです。
これは、極一握りの職業だけが残る社会ですが、その独占された富の再分配が行われれば、働く必要がない脱労働社会が実現する可能性もあるという議論もあります。
前者の問題の発生を抑止すること、あるいは、そうした予想される状況にどう適切に対応するか、将来適切に対応するための施策、社会保障制度などを議論・検討する必要もあります。
能力・適性・希望に応じた多様な生き方・働き方選択による就労・事業機会、自己実現・社会貢献機会創出と付加価値創造
もし最低限の日常生活を送ることができる収入・所得が保障されていれば。
自分の性格や能力・適性、そして希望に合わない仕事を辞めて、合う仕事、やりたい仕事を探す、調べる、研究する、創る、就業・起業の準備をする。
より生きがいや働きがいを求めて、自由な生き方を探して、時間を使う、人と会う、何かを創造する。
現状に不安や不満、息苦しさや生きづらさを感じたり、心身の健康に不安を感じたりした場合、一時退避し、次に備える時間と心の余裕を持つことができれば。
そういう人が社会に多くいるに違いありません。
新しい事業機会や仕事を創造し、付加価値のある芸術・文化・経営等を創造する、あるいは挑戦する。
それらが可能である社会を、基本的人権や社会保障制度の在り方で実現できれば、素晴らしいことと思います。
貧富の格差をもたらす雇用・結婚・教育格差等の抑制・解消のための社会保障制度改革、所得再分配政策再考
これまで見てきた、国民一人ひとりが基本的人権に基づいて生活していく上で発生し、存在しているさまざまな社会経済上の問題や課題の多くは、種々の要因で生じる格差に起因していると理解できます。
所得格差は、就労・雇用機会の有無や不平等、教育訓練等により能力・適性を身につける機会の有無や不平等、望む相手と出会って結婚に至るまでの機会の有無などの違い・格差に起因します。
それらの多くは、自助努力、自己責任で解決・克服できるものではありません。
そして、多くは、政治・行政の在り方を改善・改革することで可能になるものです。
特に、冒頭述べた憲法第25条による、基本的人権と社会保障・社会福祉に基づく政策・法律の改定・制定により可能です。
ただそれらは、従来は、公費を投じて行なう政策であり、その原資は、税金や保険料であり、それを負担しているのは一定以上の所得がある国民個人個人と事業を営む法人・団体などです。
その公的原資を、社会保障・社会福祉制度に配分するわけで、このいわゆる所得の再分配を、国が成り代わって、国民のために行っています。
果たして、その再分配のあり方が適正か否か、再分配の前の徴収方法に問題はないか。
こうした視点からの種々の見直しも必要と考えられます。
世代間負担の不公平対策と全世代型社会保障制度改革の必要性
貧富の格差の問題と同じように、種々の社会保障の給付サービスを受ける人と、その財源とされる税金や社会保険料を負担する人との不公平性・不平等性があります。
老齢年金制度、医療保険制度、介護保険制度などの給付を受ける高齢者は、本人が負担する金額が、実際に受ける給付サービスの額に比べ低額に抑えられています。
一方、保険料を負担する現役世代が高齢になった時に受ける給付は、それまでの負担に比べて、現在の高齢者よりも著しく低くなることが想定され、不満と不安が強くなっています。
こうした世代間の不公平性を抑制・解消するために、全世代型社会保障制度への転換が課題となっていますが、税と社会保障の一体改革や財政規律主義を理由に、全世代が理解・納得できる内容に改されるには程遠い状況です。
そこでは、先述したように、現役世代の子どもや孫など、次世代を担う子どもたちへの社会保障も必要です。
真の全世代型社会保障制度は、どうすれば実現できるか。
世代継承を円滑に行い、安心して暮らすことができる社会を実現するためのに不可欠な課題であること共通認識として、共同して取り組む必要があります。
コロナ禍で深刻さ・必要度を増した、安心安全な生活を送るための安全弁としての経済的社会保障制度
特別定額給付金10万円をすべての国民に無条件で支給する。
2020年のコロナ下に行われたこの政策は、国民に、国はこうしたことができるんだ、場合によっては行うべきだ、という思いを抱かせました。
そして、長く停滞する経済対策とも絡ませて、長引くコロナ禍において、必要があれば、あるいは一定のインフレになるまで、何回も、あるいは継続して給付金を支給すべき、という声も起こりました。
ほぼ日常化する相当規模の自然災害被災を含め、非常時・想定外の厄災・被災時は当然として、これまで種々見てきたように、種々の社会経済状況と関係する諸事情や、日常起きている、あるいは、これから起こりうる種々の出来事への安心・安全を確保する対応・備えとして、すべての国民が利用・享受できる安全弁的な制度があれば、と思い願うのは自然なことと考えます。
基本的人権に基づく全世代型・生涯型・全国民社会保障制度としての、生活基礎年金制(ベーシック・ペンション制)導入へ
これまでに述べてきた、さまざまな現状と今後の生活・生き方・働き方への不安を少しでも解消し、将来に明るい希望を持つことができる社会保障制度を整備拡充することは、すべての国民が望むものであり、国民の委嘱を受けて政治・行政を担う国が、責任感と使命感をもって実現すべき課題です。
しかし、長く続いた小さな政府を標榜する政治は、新自由主義経済と一体化して、貧困や格差をはじめとするさまざまな社会問題を拡大・拡散し、経済の停滞の長期化とそれに伴う生活の質の低下も招いています。
そして長引く新型コロナウィルスパンデミックが、それに追い打ちをかけました。
こうした多種多様な困難の改善・解決には、従来、議論も具体化も行われなかった制度改革、制度構築が必要です。
その実現において最も配慮すべきは「平等」「公平」「公正」です。
しかし、それらの概念・観念は、人それぞれにより異なるため、簡単なことではありません。
そこで、これまで述べてきたさまざまな状況・条件が、すべての人々に起こりうるという意味で「平等」と捉え、すべての個人に「平等」に、社会保障制度の基軸として、生涯にわたって、「生活基礎年金」ベーシック・ペンションを、デジタル通貨として給付することを法律として定めることにいたしました。
その目的や運用方法、管理方法などについて規定したのが、社会システムかつ日本独自の文化としての本法「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」(略称「生活基礎年金法」、別称「ベーシック・ペンション法」)本文です。
副次的に経済政策として機能する、社会経済システムとしてのベーシック・ペンション
長引く経済の停滞の要因を緊縮財政とし、その回復のために反緊縮、大幅な財政出動を主張する声が大きくなってきていました。
2020年に行われた、すべての国民一人ひとりに特別定額給付金が支給されたことも、その要因となりました。
そして新型コロナウィルスパンデミックの長期化と繰り返しての緊急事態宣言もあり、廃業・失業や所得喪失・減少を伴って一層の経済不況を招き、長期化することが予想されています。
こうした状況・環境下では、一般的の用いられるベーシックインカムの議論では、経済対策が主たる目的とされ、一定のインフレ率に収まれば終わりとしてよいかのような案も見られます。
確かにベーシックインカムは、経済回復に間違いなく効果をもたらすでしょうが、ベーシック・ペンションでは、それは副次的なものであり、一定の経済的成果を挙げれば不要になるというものではありません。
これまでに種々述べたように、それはさまざまな事情・状況にある国民にとって、そして緊急時・想定外の事態における安全弁・安心安全保障に有効なものとして、導入され、継続されるものです。
但し、多額のデジタル通貨が支給されることで懸念されるインフレ対策や必要な管理システムについて十分に検討し、想定されるリスクの軽減や防止・抑止策を整備しておくべきことは言うまでもありません。
本法においては、その対策となる事項も規定されており、かつ、国内経済における自給自足体制及び安全保障システム政策や環境・エネルギー政策等、国内経済・地域経済の堅実な運営管理が行われるよう配慮されています。
こうした目的・意図も十分理解され、共同・協力して、ベーシック・ペンションが永続的に機能する社会経済システム及び日本固有の文化として定着・発展していくことを期するものです。
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)導入に必要な種々の課題への取り組み
この理想とする法律の施行には、当然配慮すべき重要な事項があります。
一つは、これまで社会保障制度を考える上で常に課題とされてきた財源問題です。
本法は、従来のこの問題の解決の障害になっていた要素を、新しい方法・方針を採用することで改善・解消しますが、その内容・方法の理解を得ることが、施行にあたっての条件になります。
二つ目は、本法の制定・施行において、同時または、先行あるいは後追いで、現行の種々の社会保障制度と関連する種々の法律を、廃止・改定あるいは新設する必要があり、並行して取り組むことになります・
三つ目は、本法で確認できるように、施行に当たっては、専用デジタル通貨の発行・管理システムの開発、試験運用などに相当の期間と費用が必要です。
そのため、本来、できるだけ早期に施行することが望ましいのですが、20年間前後の導入準備期間を想定しておく必要があります。
しかし、当前文でも述べたように、すぐに本法を施行すべき目的・要素もあり、その一部については、先行して、方法・内容も仮の形で施行・導入する必要があります。
その議論・検討、そして施行が円滑に行われることを望みます。
最後に、本法は、わが国の実情と将来を想定して議論・検討された、文化として機能することをめざすものです。
その内容・方法・目的等については、国民の理解は当然のこととして、グローバル社会各国の理解を得る必要も
あります。
施行に当たって、事前にそのための活動も的確に行い、理解と賛同を得るとともに、導入の成功が、同様の制度の各国への移転に寄与することも期待したいと思います。
最後に、多面的な検討・議論を経て、本法(案)制定に至ったことを喜びたいと思います。
この法律の施行により、わが国の現在と未来に希望と期待をもって、世代が継承され、平和で豊かな国と社会が形成され、国際社会においても範となる社会保障制度が永続することを、すべての日本国民と共に祈り、以上をもって、本法の前文とします。
※ 2021年5月20日 初稿
※ 2021年5月21日 <副次的に経済政策>の項、追加
※ 2022年2月16日 <高校・大学等高等専門教育を受ける学生>の項、追加 他一部微修正
「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」2022年案
(略称)生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法):2022年案
「ベーシック・ペンション法」目次
第1章 総則
第1条 基本方針
第2条 定義
第3条 目的
第4条 支給対象者
第5条 所管
第2章 給付金区分及び給付金基本管理
第6条 給付金区分
第7条 給付金管理所管
第8条 専用デジタル暗号通貨による給付
第9条 受給者および受給銀行口座
第3章 給付金の給付及び利用
第10条 生活基礎年金の給付額及び支給日等
第11条 生活基礎年金の限定利用
第12条 児童基礎年金及び高齢者基礎年金の親権者等の代理利用
第13条 利用有効期限
第14条 権利資格喪失時の取り扱い
第15条 譲渡及び相続の禁止
第4章 給付金の利用事業所管理
第16条 利用受け入れ事業者登録及び認可
第17条 利用受入給付金通貨の取り扱い
第18条 受け入れ行政官庁等
第5章 日本銀行による給付金管理
第19条 通貨発行権に基づく給付金通貨の発行
第20条 給付金通貨の回収管理及び保有資産による消却損金処理
第21条 保有資産による現金換金
第22条 給付金の年度会計管理
第23条 生活基礎年金管理実績報告
第6章 その他
第24条 罰則
第25条 特例規定
第26条 本法関連法令
第27条 本法規定外関連事項の取り扱い
付則
1.本法施行日
2.社会保障制度等関連法と本法の位置付け
3.本法導入までの経過的段階的制度導入
日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律:2022年案
第1章 総則
(基本方針)
第1条 本法は、「憲法第三章 国民の権利および義務」に規定する、以下の各条項及びこれらを包括する最高法規である第97条規定の基本的人権に基づき、社会保障制度の一環として制定し、運用することを基本方針とする。
1)第11条・第12条・第97条 基本的人権
2)第13条・第14条第1項・第24条 個人の尊重・尊厳及び平等
3)第12条・第31条 自由
4)第25条 生存権
5)第26条 教育を受ける権利、受けさせる義務
6)22条・第27条 職業選択の自由及び勤労の権利
7)13条 幸福追求権
(定義)
第2条 本法に規定する給付は、受給者が税や保険料などを負担する必要のない、無拠出制による社会保障制度に基づいて行なう。
2.前項により支給する給付金を、包括して、生活基礎年金と呼ぶ。
3.生活基礎年金は、国民の日常における最低限度の生活を営むために必要な衣食住生活及び基本的な安心かつ健康な社会生活を営むための諸費用(以下、生活基礎諸費用)を、唯一の中央銀行である日本銀行が発行するデジタル通貨で、年金として支給する。
(目的)
第3条 本法は、「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」の運用と管理等に関して定める。
2.前項に規定する法律を、「生活基礎年金法」(別称ベーシック・ペンション法)と呼ぶ。
3.前項1の権利を保障するため、前条に規定する生活基礎諸費用に充当し、以下の各事情・状態等に対応することを目的として生活基礎年金を支給する。
1)少子化社会の要因の一つである、結婚・出産・育児をためらわせる経済的不安の低減・解消を図る。
2)種々の格差や貧困の要因とされる子どもの生活及び教育環境・条件上の問題の改善・解消を、経済的側面から支援する。
3)義務教育以後の高等教育を自らの意志で受ける人びとが、自己実現・社会貢献等の目標実現のために、専門分野の能力・知識・技能技術・創造物等の習得・開発・制作等に必要な教育・学習・研究諸費用及び生活諸費用等に充当する。
4)障害・老齢・生活保護、母子・父子・寡婦保護等社会福祉面からの支援を必要とする人びとが、安心し、安定した生活を送ることができる経済的基盤を提供する。
5)日常発生しうる事故・事件・病気・怪我などにより生じる就労・所得の機会の喪失や想定外の費用負担に対応する。
6)離職・解雇等失業時や、就職・起業等の準備・活動時などにおいて必要な生活諸費用に充当する。
7)自然災害や伝染病等疫病など不測の事態の発生遭遇時に必要な生活基礎諸費用に充当する。
8)社会経済上、非正規・臨時雇用、低賃金や厳しい労働条件・環境等を余儀なくされる職業等に従事し、その状態の改善・解決が即時可能ではない場合等において、経済生活への不安を改善・解消するための生活基礎諸費用に充当する。
9)生まれてから死を迎えるまで、生涯にわたり、全国民が年齢・世代を問わず、平等・公平に恩恵を受けることができる全世代生涯型社会保障制度の基軸として給付金を受給し、より幸福で、より豊かな生活を営むための諸活動を可能にする。
(支給対象者)
第4条 生活基礎年金は、憲法第10条に定める日本国籍を持つ日本国民全員に対して、個人ごとに、無条件で支給される。
2.日本国籍を持つが、国外に一定期間以上居住する日本人に対する当年金の支給については、別に規定する
3.一定期間以上日本国内に居住する日本国籍を持たない一定の外国人の適用については、別に規定する。
(所管)
第5条 生活基礎年金制度の所管は、厚生労働省及び厚生労働大臣とする。
2.生活基礎年金通貨の発行・支給・管理の所管は、日本銀行及び日本銀行総裁とする。
3.当生活基礎年金事業及びその業務に関するすべての責任は内閣総理大臣にある。
第2章 給付金区分及び給付金基本管理
(給付金区分)
第6条 生活基礎年金は、当制度における給付金の総称であり、受給者の年齢及び就学・就労状態等に応じて、以下の区分により支給し、運用する。
1) 児童基礎年金:誕生から学齢15歳までの新生児・乳児・幼児・児童
2) 学生等基礎年金:学齢16歳以上学齢18歳までの就学者または就労者
3) 生活基礎年金:学齢18歳超で満年齢85歳未満の成人
4) 高齢者基礎年金:満年齢85歳以上の高齢者
(給付金管理所管)
第7条 生活基礎年金の給付及び給付金の統括的管理は、第5条第2項により、日本銀行及び日本銀行総裁(以下日銀とすることがある)が行う。
2.日銀は、万全の専用管理システムのもと、生活基礎年金の給付・保有・流通・保管・処分及び情報・データ管理などを統括管理する。
(専用デジタル暗号通貨による給付)
第8条 給付金の給付は、日本銀行が発行するデジタル通貨により行う。
2.当デジタル暗号通貨は、本法で規定する生活基礎諸費用等に使途を限定する通貨とし、日本国内でのみ利用できる。
3.当デジタル通貨を、JBPC(Japanese Basic Pension Currency)と呼ぶ。
(受給者及び受給銀行口座)
第9条 当年金の受給者は、日本銀行に個人番号カード(以下、マイナカードと呼ぶ)記載の個人番号及び本人名義で専用口座を開設し、当口座でJBPCを受け取る。
2.当口座は、マイナカードと情報システムにより連携しており、マイナカードを登録保有している日本国民だけが開設・受給・保有できる。
3.当口座は、JBPCだけを管理するデジタル通帳で記帳管理される。
4.当口座は、所定端末において、マイナカード及び他に規定する本人確認認証システムを用いてのみ、JBPCの決済利用・保管・残高確認等を行なうことができる。
第3章 給付金の給付及び利用
(生活基礎年金の額及び支給日等)
第10条 生活基礎年金の額は、第6条の区分に従い、以下のとおりとする。
1) 児童基礎年金:毎月8万円
2) 学生等基礎年金:毎月10万円
3) 生活基礎年金:毎月15万円
4) 高齢者基礎年金:毎月12万円
2.この給付金は、JBPCで、法定通貨と同価額で、毎月1日に、第9条で開設した本人名義の日本銀行専用口座に送金される。
3.但し、給付額を、社会経済等の状況により法令で改定することがある。
(生活基礎年金の限定利用)
第11条 生活基礎年金は、日本国内に限って利用できる。
2.また、第3条の目的に沿い、主に以下の生活諸費用に限定して利用できる。
1)食費・住居費(水道光熱費含む)・衣類日用品費等生活基礎費用
2)交通費・国内旅行費、一部の娯楽費
3)入学金・授業料・受験料、教育費・教材費・図書費
4)健康関連費・市販医薬品
5)医療保険・介護保険等社会保険等給付サービス利用時の本人負担費用
3.前項により、JBPC利用時は、マイナカードまたは決済機能付き指定端末、所定インターネットアプリケーション等を用いて、支払い決済を行う。
(児童基礎年金及び高齢者基礎年金の親権者等の代理利用)
第12条 児童基礎年金及び高齢者基礎年金として支給された給付金は、原則として、親権者が本人に替わって本人のマイナカードを用いて利用及び管理する。
2.親権者を設定できないやむを得ない事情がある場合、所定の手続きにより市区町村長が認めた、代理後見人が、親権代行者となる。
3.代理後見人の指定も不可能の場合は、市区町村長が代行する。
4.親権者もしくは代理後見人は、代理利用申請手続きを所定の方法で、児童または高齢者本人が籍を置く市区町村窓口において行い、厚生労働大臣の承認により給付金を利用・管理する。
5.児童基礎年金代理者は、受給者が、生活基礎年金受給資格者となったその日または死亡した月に、代理権を喪失する。
6.前項の場合、代理者は、その翌日までに、受給者名義のすべての残高の移管、利用方法等の伝達等、決められた一切の手続きを行う。
7.前項において、個人認証の方法を受給者本人が自ら新たに設定する等、所定の手続きが終了した旨を受給者本人が籍を置く市区町村に報告し、承認を受けなければならない。
8.自己の判断もしくは行為で生活基礎年金の利用管理ができない障害者の後見人に関しても、本条の親権者に準じて適用する。
(利用有効期限)
第13条 発行・支給された通貨の有効利用期間は、発行日から5年間とする。
2.利用されずに有効利用期限を迎える通貨は、期限日の翌日に自動的に日本銀行に回収される。
(権利資格喪失時の取り扱い)
第14条 給付金は、受給者の死亡の日翌日から給付停止され、専用口座残高は、日本銀行に回収される。
(譲渡及び相続の禁止)
第15条 受給者が給付を受けた給付金は、他に譲渡することはできない。
2.また、前条により、受給者の死亡時に残っている給付金を他者が相続することもできない。
第4章 給付金の利用事業所管理
(利用受け入れ事業者登録及び認可)
第16条 JBPC受給者の利用受入を希望する事業所等(一次事業所とする)は、事前に所定の手続きにより、厚生労働省に申請して認可を受けなければならない。
2.同事業所等は、受入・管理のために、事前に、日本銀行に申請し、JBPC専用口座を、法人番号と連繋させて開設しなければならない。
3.同事業所等は、JBPC受給者の利用受入に必要なシステム及びマイナカード個人認証機能付き端末等を事前に申請して準備しなければならない。
4.次条に規定する二次事業所等についても、前各項と同様の適用を受ける。
(利用受入給付金通貨の取り扱い)
第17条 JBPCを受け入れた事業所等は、その通貨を、同通貨受入事業所の認可を受けた事業所との事業活動上の取り引きにおける仕入・調達費用の支払いに限り、二次利用することができる。
2.この場合の受け入れ事業所等を二次事業所とする。
3.一次事業所等の二次利用は、JBPC発行年度を含め3年以内に行わなければならない。
4.利用受け入れし保有する通貨を、前第3項によらずに、通貨毎に設定されている利用期限内に処分する場合の方法は、以下のいずれかによる。
1)預かり消費税の納付(但し、JBPCで受け入れたものに限る)
2)法定福利費の納付
3)法人所得税の一定割合を上限とする額の納付(上限に関する基準は別に規定する。)
5.JBPCを保有する事業所は、前各項での処分のほか以下のいずれかを選択することができる。
1)日銀への現金への換金請求
2)決算時、一定基準での利益金の損金処理による日本銀行へ返還
(受け入れ行政官庁等)
第18条 前条第3項によりJBPCの納付を受ける諸官庁、地方自治体等は、日本銀行にJBPC専用口座を開設する。
2.前条第4項のJBPCを受け取った諸官庁、地方自治体等は、各通貨の利用期限内に、日銀に現金への換金を求める。
3.日銀は、その要請に基づき、JBPCを回収し、現金に換金する。
ただし、この場合、一定比率で換金手数料を徴収する場合がある。
4.前項の換金には、日銀が保有する法定通貨を用いる。
第5章 日本銀行による給付金管理
(通貨発行権に基づく給付金通貨の発行)
第19条 生活基礎年金のデジタル通貨は、日本銀行が持つ通貨発行権を行使して発行する。
(給付金通貨の回収管理及び保有資産による消却損金処理)
第20条 前第13条、14条及び17条により、日銀が回収し、または返却されたJBPCは、利用期限内に消却処理し、保有通貨高を減額する。
(保有資産による現金換金)
第21条 前第17条、18条により現金への換金を求められた場合、日本銀行は、保有する資産を原資として行う。
(給付金の年度会計管理)
第22条 日本銀行は、生活基礎年金特別会計管理基準に基づき、毎年4月1日を初日とする1会計年度毎に会計管理を行う。
2.前項の管理は、年度予算立案、月次決算及び年度決算により行う。
3.前項の月度及び年度決算期間ごとに、生活基礎年金会計報告書を、期末月の翌月末日までに作成し、公開する。
(生活基礎年金管理実績報告)
第23条 日本銀行は、発行した生活基礎年金の利用・残高・回収・消却などの決算期間ごとの実績を集計・分析し、生活基礎年金管理実績報告書を、当該期末月の翌々月末までに、公開する。
第6章 その他
(罰則)
第24条 本法に違反して、故意に、給付金を悪用、送金、情報加工、処分等を行なった場合、規定する罰則規定により、重罪を科す。
2.但し、軽微な過失等による場合は、その責を軽減する。
(特例規定)
第25条 本法の運用を進める中で、特定の事案・事項について、特例を規定すべきと認められた場合、特例規定法令を規定し運用管理する。
2.この場合、当該規定の制定・施行については、随時付則に加える。
(本法関連法令)
第26条 本法に規定する各条項について、必要に応じ、法令・細則・準則などを定め、これに従い運用・管理することがある。
(本法規定外関連事項の取り扱い)
第27条 本法に関連する事項で、本法に規定していない事項については、本法の基本方針に準拠するとともに、援用できる既存法律または、必要に応じて規定する法律に拠る。
付 則
1.本法施行日
本法は、2050年4月1日に発効し、同日より施行する。
2.社会保障制度等関連法と本法の位置付け
本法は、社会保障制度体系の基軸として制定するものであり、関連する諸制度の法律等と調整、整合して運用する必要がある。
2.従い、その関連で以下の各社会保障制度法及び関連法等の改定等の必要がある場合、また、その関係で本法の改定等の必要が生じた場合、速やかに対応する。
1)国民年金法、厚生年金保険法及び公的年金に関する特例法、他関連法
2)生活保護法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、児童福祉法、老人福祉法
身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、他社会福祉関連法
3)児童手当法、児童扶養手当法及びその他の児童福祉制度
4)国民健康保険法、健康保険法、高齢者医療確保法、介護保険法他関連法
5)雇用保険法、労働基準法、労働者災害補償保険法、労働保険徴収法、
最低賃金法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法、
労働者派遣法、障害者雇用促進法、他労働関係法
7)所得税法、相続税法、その他税制・税法等
7)日本銀行法、他関係法
8)保育制度、教育制度等
9)前各項以外の関連制度・法律等
3.本法導入までの経過的段階的制度導入
本法は、社会保障制度総合的改革を伴うとともに、発行管理する通貨および管理システムの特殊性から、相当の期間を必要とするため、関連する諸般の状況とその変化に応じて、段階的に、部分的に施策を実施し、最終目標としての本法の実現をめざします。
2)そのために、本法の主旨に則って、段階的に導入する制度に関する法律を都度策定し、施行します。
※ 以上、2021年3月2日、本法本文第1次試案まとめ
※ 2021年2月16日 付則第3条 追記
以上、一部追加・微修正を行いましたが、2021年提案の前文および法律案をほぼそのまま用いました。
前文は、ここまで詳しく、相当の文字数を費やして述べる必要はないかと思います。
また、実際に部分的な導入を進めるなかで、不要になる内容や、新たに加えるべき事項など変更が必要になると思います。
都度行っていく予定です。
法律各条についても同様で、2021年原案をほぼそのまま用いていますが、付則追加分に示した事由で制定・導入した法律を、原文と差し替え、または追加すべきケースもあるかと思います。
柔軟に対応していきたいと思います。
次回は、冒頭提起した、複数の段階的導入に関し、関係している事項を結びつけて、大枠での工程・日程を設定して提起したいと思います。
すなわち、今回付則に追記した第3条の<本法導入までの経過的段階的制度導入>に関する提案を行なうことになります。
少しずつ、よくなる社会に・・・
コメント ( 1 )
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Hello, you used to write magnificent, but the last few posts have been kinda boring… I miss your tremendous writings. Past several posts are just a little bit out of track! come on!