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2020・21年考察

ベーシック・ペンションは起業支援に有効な制度

アフターコロナを想定して高まる地域での起業(スタートアップ)熱

日経の特集シリーズ【データで読む地域再生】で、
「起業6.6万社で最多に 市区町村の6割で増」と題した記事を見ました。

「新型コロナウイルス禍後の新たな商機を捉えようと、地域で起業熱が高まっている。」
というものです。

国税庁が2015年10月から公表の新規法人番号公表サイトのデータ集計結果から、2021年4~9月は6万6530社で前年同期比34.6%増。
法人数、増加率とも半期での過去最多となり、全国自治体の6割超にあたる1077市区町村で増加。
コロナ禍によるテレワークの普及がその要因として挙げられるが、それに加えて自治体が積極的に進めている起業支援の充実も強調しています。

この【データで読む地域再生】シリーズは、<地域再生>をテーマに、日経の全国各支局の情報収集に基づき、全国版で包括的に、地方版で各地域ごとの事例をレポートしています。

先月の特集シリーズでは、バイオマス発電と林業・農業とのコラボによる地域再生事例を取り上げており、全国各地域版で報じられた内容を集めて
バイオマス発電と林業復興のコラボで地域再生にも貢献:2050年国土・資源政策と森林・林業基本計画ー2(2021/10/19)
という記事を投稿しました。

起業・スタートアップを喚起し、起業時・起業後の不安を軽減するベーシック・ペンションとは

 しかし、本稿は、「起業(スタートアップ)」の増加件数やその内容、地域状況などを考えるのでもなく、「起業」を起こさせる基盤として、あるいは「起業」直後の不安への対策として、日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金が、大いに役に立つという主張・提案です。

 ベーシック・ペンションについての概要は、まず以下の記事で確認頂ければと思います。
⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)

コロナ禍にとどまらないさまざまな雇用不安、就労不安、所得不安そして生活不安

 第5波が収束する見通しを得て、種々の規制が解除されつつある状況ですが、今日発表のGDPマイナス3%予想でも分かる通り、私たちの消費は現状の厳しさと、先行きの不安もなお続きそうな状況です。
 海外では、第6波が起こっていることも不安を払拭できない大きな要因です。

 各党が軒並み掲げたコロナ対策としての一時的なバラマキ給付政策を掲げた衆議院選でしたが、圧倒的多数を確保した岸田新政権も、経済対策として手掛けやすいバラマキ政策を、連立政党公明党との駆け引き・調整を行いながら進めつつあります。
 しかし、それらはすべて小手先、一時的なもの。

 自営業者の事業継続不安・廃業リスク、被用者の失業・所得機会喪失不安、就労制限・機会減少所得減少不安、非正規雇用・労働者の不安などは、コロナ禍で一層顕在化・問題化したもので、コロナ以前から、長引くデフレ経済下で、あるいは、毎年発生する大規模自然災害がもたらすものとして、ほぼ常態化しているものです。

 こうした日常に存在する不安や、将来に対する不安を少しでも解消し、安心・安全な生活を送り、仕事に従事できる社会を創出するための社会的インフラとして、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金制度の実現を、昨年後半から https://2050socoety.com で、今年から http://basicpension.jp で提案してきています。

当サイト提案【生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)】 に掲げるコロナ禍によるさまざまな影響と起業、スタートアップとの関係

 その提案を法律案として【生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案(試案) 】としてまおめていますが、その法律(案)制定の背景・目的として【生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)】(2021/5/20)も整理し、記事としています。
 その中から、コロナ禍と起業に関して述べた事項を、以下に引用しました。

前文 本法制定の背景
コロナウイルス禍による就労・所得機会の減少・喪失による生活基盤の脆弱化
 2019年に端を発した新型コロナウイルス感染症の全国への広がりと長期化は、日常生活と社会経済活動へ甚大な被害と影響を与えました。
 数次にわたる緊急事態宣言の発出にもより、人・物等の移動が制限され、同時に経済活動の停止や抑制により、働くこと、収入を得る機会を奪われることになりました。
 このコロナ禍を契機として、今後日常的にこうした疫病に対する予防や対策の整備などを行うとともに、緊急時・想定外事態発生時においても、日常最低限の生活を送ることとそれが持続できる社会的基盤、社会保障制度、そして社会経済的基盤を整備することの重要性が求められています。

能力・適性・希望に応じた多様な生き方選択による就労・事業機会、自己実現・社会貢献機会創出と付加価値創造
 もし最低限の日常生活を送ることができる収入・所得が保障されていれば。
 自分の性格や能力・適性、そして希望に合わない仕事を辞めて、合う仕事、やりたい仕事を探す、調べる、研究する、創る、就業・起業の準備をする。
 より生きがいや働きがいを求めて、自由な生き方を探して、時間を使う、人と会う、何かを創造する。
 現状に不安や不満、息苦しさや生きづらさを感じたり、心身の健康に不安を感じたりした場合、一時退避し、次に備える時間と心の余裕を持つことができれば。
 そういう人が社会に多くいるに違いありません。
 新しい事業機会や仕事を創造し、付加価値のある芸術・文化・経営等を創造する、あるいは挑戦する。
 それらが可能である社会を、基本的人権や社会保障制度の在り方で実現できれば、素晴らしいことと思います。

当サイト提案【生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案(試案)】に規定する「起業」支援・奨励

 先述の日本独自のベーシックインカム、【ベーシック・ペンション生活基礎年金法】前文にある制度導入の背景・目的に基づいて試案としている同法試案の全文・全規定は、
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案(試案)】 (2021/3/2)
で確認できます。
 重複しますが、その中から「起業」に関して記述した条項を<第1章 総則:第3条(目的)>から抽出し、以下に転載しました。

第1章 総則
(目的)
第3条 本法は、「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」の運用と管理等に関して定める。
2.前項に規定する法律を、「生活基礎年金法」(別称ベーシック・ペンション法)と呼ぶ。
3.前項1の権利を保障するため、前条に規定する生活基礎諸費用に充当し、以下の各事情・状態等に対応することを目的として生活基礎年金を支給する。
 6)離職・解雇等失業時や、就職・起業等の準備・活動時などにおいて必要な生活諸費用に充当する。
 9)生まれてから死を迎えるまで、生涯にわたり、全国民が年齢・世代を問わず、平等・公平に恩恵を受けることができる全世代生涯型社会保障制度の基軸として給付金を受給し、より幸福で、より豊かな生活を営むための諸活動を可能にする。


 こうした前提や流れは、副業や兼業を薦め、それが当たり前になる社会としても示され、雇用・就労や起業の在り方を「働き方」そして、広く「生き方」を考え、自身の意志で選択する社会が形成され、拡充されていくことを示していると考えます。
 

ベーシック・ペンションが独立起業を後押し・支援し、地方・地域創生を支援する

 冒頭、地域再生を「起業」活動の展開から考え、評価し、促進する特集記事を確認しました。
 実は、ベーシック・ペンションは、大都市部、地方中心中都市、縮小する地方都市、過疎化する地域、いずれで生活する人々にも平等に、無償で、自己負担なしで支給される基礎的生活を支える年金です。
 従い、そこに存在する格差を是正し、地方・地域のハンデを逆手に取り、より望ましい地域社会を創出する、まさにインフラとして機能する制度・システムです。

 また繰り返しになりますが、自然災害に被災した各地域の復興・再生にも、その基盤である一人ひとり、一世帯一世帯の住民の生活を支えるベーシック・ペンションが寄与することも言うまでもありません。

 以下に、そうした考え方を総括する内容でもある、前述の<前文>の最後の事項を転載しました。

コロナ禍で深刻さ・必要度を増した、安心安全な生活を送るための安全弁としての経済的社会保障制度
 特別定額給付金10万円をすべての国民に無条件で支給する。
 2020年のコロナ下に行われたこの政策は、国民に、国はこうしたことができるんだ、場合によっては行うべきだ、という思いを抱かせました。
 そして、長く停滞する経済対策とも絡ませて、長引くコロナ禍において、必要があれば、あるいは一定のインフレになるまで、何回も、あるいは継続して給付金を支給すべき、という声も起こりました。
 ほぼ日常化する相当規模の自然災害被災を含め、非常時・想定外の厄災・被災時は当然として、これまで種々見てきたように、種々の社会経済状況と関係する諸事情や、日常起きている、あるいは、これから起こりうる種々の出来事への安心・安全を確保する対応・備えとして、すべての国民が利用・享受できる安全弁的な制度があれば、と思い願うのは自然なことと考えます。

基本的人権に基づく全世代型・生涯型・全国民社会保障制度としての、生活基礎年金制(ベーシック・ペンション制)導入へ
 これまでに述べてきた、さまざまな現状と今後の生活・生き方・働き方への不安を少しでも解消し、将来に明るい希望を持つことができる社会保障制度を整備拡充することは、すべての国民が望むものであり、国民の委嘱を受けて政治・行政を担う国が、責任感と使命感をもって実現すべき課題です。
 しかし、長く続いた小さな政府を標榜する政治は、新自由主義経済と一体化して、貧困や格差をはじめとするさまざまな社会問題を拡大・拡散し、経済の停滞の長期化とそれに伴う生活の質の低下も招いています。
 そして長引く新型コロナウィルスパンデミックが、それに追い打ちをかけました。
 こうした多種多様な困難の改善・解決には、従来、議論も具体化も行われなかった制度改革、制度構築が必要です。
 その実現において最も配慮すべきは「平等」「公平」「公正」です。
 しかし、それらの概念・観念は、人それぞれにより異なるため、簡単なことではありません。
 そこで、これまで述べてきたさまざまな状況・条件が、すべての人々に起こりうるという意味で「平等」と捉え、すべての個人に「平等」に、社会保障制度の基軸として、生涯にわたって、「生活基礎年金」ベーシック・ペンションを、デジタル通貨として給付することを法律として定めることにいたしました。
 その目的や運用方法、管理方法などについて規定したのが、社会システムかつ日本独自の文化としての本法「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」(略称「生活基礎年金法」、別称「ベーシック・ペンション法」)本文です。

起業の際あったら良いと思う支援策とベーシック・ペンション

 ところで、日本政策金融公庫総合研究所が2020年に実施した「起業の際にあったらよいと思う支援策調査」。
 複数回答方式ですが、その結果は以下の順。

1)税務・法律関連の相談制度の充実(59.2%)
2)技術やスキルなどを向上させる機会の充実(37.6%)
3)同業者と交流できるネットワークなどの整備(33.8%)
4)事業資金の調達支援
5)融資制度
6)所得保障制度
7)賠償リスクの保険制度

 この中の2)3)4)6)などは、ベーシック・ペンション(BP)で基礎的な生活費を賄うことができることで他の収入を起業資金に充てる、BPにより準備活動を行うことができる、BPで起業後事業が安定しない状況にあっても日常の生活費の心配が軽減されるなど、大きな力になると思われます。

安心して挑戦できる社会へ 

 もう一つ、蛇足ですが。
 また、決して日本維新の会の政策が信頼できるものと評価はしていないのですが、同党が衆議院選時に掲げた政策のスローガンを以下に引用しました。

倒産したら生活できない・・・失敗のリスク
安心して挑戦できる社会へ
最低所得を保障すること(給付つき税額控除またはベーシックインカムの導入)で雇用の流動化とチャレンジを支援し、賃金水準の向上を実現します。


 安心して挑戦できる制度としての同党提案のベーシックインカム。
 これは、スローガンとしては響くところがあります。
 立憲民主党には出てこない表現であり、政策です。

 現状何とも言えませんが、結局、ベーシックインカムは引っ込めて、国民民主党も掲げる「給付つき税額控除」方式を打ち出してくるのではと、私は疑心暗鬼です。
 これは、決してベーシックインカムではないと私は考えている故です。

ベーシック・ペンション2022年版提案へ

 ベーシック・ペンションのいいとこ、いいことばかり述べてきましたが、それは一定の視点から見てのこと。
 その実現には、大きく、かつ多い課題・問題が存在します。
 その理由・概要については、以下でチェック頂ければと思います。
⇒ ベーシック・ペンション実現に10年を想定する4つの理由(2021/3/4)

 その自覚・前提のもとに、少しでも現実的なものとして理解を得るべく、ベーシック・ペンション2022年版の考察と提案作業に入る予定です。
 そのまとめは、来月12月中、2021年内に終えるべく、しばらく今回のような頭の体操も行なっていきます。

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