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2020・21年考察

ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正

前回から、1月30日に投稿した記事
ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系
を受けて、ベーシック・ペンション導入に伴って改正すべき社会保障・社会福祉関連制度等を取り上げ、その内容や課題などを提起・提案する作業に入っています。
1回目は「生活保護制度」、2回目は「児童手当」と関連して、以下で提案しました。
ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止
ベーシック・ペンションによる児童手当・児童扶養手当廃止と発生余剰財源の保育・教育分野への投入

今回第3回目は、ベーシック・ペンション導入と非常に関係している「国民年金制度」と「厚生年金保険制度」がどうなるか、どうするかを提案します。

(参考)
⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)

問題の多かった国民年金制度は廃止へ

低額、皆保険制度と言いながらも未加入者・保険料未払い者、無年金者もいる。
満額でも、6万円5千円程度と低額。
とてもこの金額では、最低限の生活を維持することは困難です。
現在の生活保護受給世帯で65歳以上の高齢者世帯ががほぼ5割、約100万人を占めていることにもそれが表れています。


被扶養配偶者は保険料を負担する必要がなく、保険料を負担して働く女性に対して随分優遇されている。
ある意味、女性間格差をもたらしている。
そのことで、フルタイムで働きたい、あるいは、働ける女性が、被扶養配偶者になるように、短時間パートで我慢する、労働時間を制限する。
これで苦労している企業もあれば、うまくこれを非正規雇用者比率を高める方策として利用している企業もある。

種々問題があった「国民年金制度」は、ベーシック・ペンション導入で廃止になります。
そして、当然、厚生年金保険制度も変えます、変わります。

老齢基礎年金はベーシック・ペンションに転換し、全世代生涯型生活基礎年金制へ

その前に、「廃止」というと間違って受け止める方がいるのですが、「79歳までは月額15万円、80歳以上は月額12万円の年金に切り替わる」ということです。
しかも保険料負担はありません。

これが、高齢者だけに支給されるのではなく、現役世代すべてに同様に、生活基礎年金として支給されるのです。
世代間の不公平感・不信感はなくなり、すべて平等です。
保険料負担ゼロの、文字通り、全世代型生涯型社会保障制度としての、真の国民皆年金制度、生活基礎年金が実現するのです。

厚生年金保険制度は、積立方式に転換

さてもう一つ、肝心の、世代間不公平の象徴であった厚生年金保険制度。
こちらは、現役世代が高齢者世代を支えるという名目での「賦課方式」を廃止することで、高齢者偏重の社会保障政策の転換を果たすことになります。
生活基礎年金で、全世代が平等に年金を受け取るので、厚生年金保険の方は、高齢世代に達した人への上乗せ分ということになります。
70歳未満の収入があるすべての人が、厚生年金保険料を納付し、自分の将来のために積み立てていく保険です。

保険料は、被用者も自営業者も、パートタイマーもアルバイトも所得のあるすべての人が一定料率を納付する方式に変更し、老後の備えにします。
国が責任をもってその納付分を預かり、元本保証で運用管理します。

受け取りが可能になる年齢は、70歳からとし、年金または一時金どちらかを選択し、現金で受け取ります。
その所得には課税されません。
70歳になる前に死亡した場合は、配偶者もしくは生計を同じくする者に一括して支払うことにします。。
この場合は、相続税がかかります。

個人負担の厚生年金保険料は減る

高齢世代の年金を心配する必要がなくなり、生活基礎年金15万円が無条件で現役世代にも支給されるので、2階建て分の従来の老齢厚生年金分の保険料は、自分の積立分だけ必要で、これまでよりも削減できます。
但し、健康保険財政と介護保険財政の悪化を抑制するために、削減できる分の一部を、統合する健康保険と介護保険の保険料に転換します。

その案として、
・現状の2分の1を(老齢)厚生年金保険の保険料に
・4分の1は、統合する医療介護保険料に転換
・4分の1は負担削減

という方法を考えたいと思います。

全国民が生活基礎年金を受給するのに伴い、原則として、所得がある人はすべて老齢厚生年金に加入することとします。
ただ事務的な作業と手取り額を考えて、1回の支払いが5千円以上の賃金等所得者が保険に加入し、一定の料率の保険料を源泉徴収し、納付することにします。


企業負担厚生年金保険料、法定福利費の負担の改定

従来の厚生年金保険料の雇用者・企業側が負担する法定福利費は、積立方式への転換により必要なくなりますが、全廃せず、例えば次のように変更しては、と思います。
・従来の4分の1は、被用者の積立用に加算(退職金に当たる)
・4分の1は、統合する医療介護保険料の企業負担分に
・4分の1は、改定する雇用保険料の企業負担法定福利費に変換
その結果、4分の1に当たる企業負担分が減ることになります。。

なお、事業収入をベーシック・ペンション通貨JBPCを受け取った事業者は、法定福利費及び消費税をJBPCで納付することができるとしています。
法定福利費をJBPCで納付する場合は、一定の手数料(1~2%)をJBPCで支払います。
預かり消費税分の納付には手数料はかかりません。

安心できる年金制度体系の構築へ

現在ある任意加入の「確定給付企業年金」と「確定拠出年金」は、改定が必要な場合それを行い、3階建て部分として継続します。
退職金機能、貯蓄機能を強化する選択肢があるわけです。

こうして、全世代全員支給生活基礎年金が1階部分、(老齢)厚生年金が2階部分、企業年金が3階部分の3階建て年金制度が、分厚く用意されることになります。
より確実に厚くするために、所得がない人も、定額保険料を選択設定して厚生年金に加入できる方式を考えてもよいかもしれません

現状、年金保険数理とかを根拠に、100年後の基準を設定することで、絶対に年金制度は破綻しない、断言・豪語する論者がいるのですが、マクロスライドがどうのこうのとか、種々理解できない方が悪い、みたいな言い回しで、なんとなく誤魔化されている気がした年金制度。
ベーシック・ペンション導入で、そうした、あまり意味のない、将来どうなるかや、責任のあり方や所在さえも分からない制度に別れを告げることができることにも意義があると感じています。

以上により、国民年金法は廃止、厚生年金法は改正されることになります。

次回は、ベーシック・ペンションと直接は関係ないようにも思える、社会保険関連法のもう一つの軸「健康保険」に「介護保険」を加えて、どうするか、どうすべきかを考えます。


本稿と関連する、前後に投稿した記事もご確認ください。

ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系(2021/1/30)
ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)
ベーシック・ペンションによる児童手当・児童扶養手当廃止と発生余剰財源の保育・教育分野への投入(2021/2/7)
ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)
ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に (2021/2/11)
ベーシック・ペンションによる雇用保険制度改革・労働政策改革:安心と希望を持って働くことができる就労保険制度と労働法制を(2021/2/13)
ベーシック・ペンションによる所得税各種控除の廃止と税収増:子どもへの投資、30年ビジョンへの投資へ(2021/2/14)

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