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2020・21年考察

ベーシック・ペンションによる児童手当・児童扶養手当廃止と発生余剰財源の保育・教育分野への投入

前回から、1月30日に投稿した記事
ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系
受けて、ベーシック・ペンション導入に伴って改正すべき社会保障・社会福祉関連制度等を取り上げ、その内容や課題などを提起・提案する作業に入っています。

1回目は、生活保護制度の廃止を以下で提案しました。
ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止

早速、「生活保護制度廃止」反対・批判の声が届きましたが、種々のご批判には、WEBサイトやSNS上で、誠実に、公開で対応していきたいと思っています。

第2回目の今回は、前回のテーマであった生活保護制度にある<教育扶助>や<正業加算>等も関係している、中学生以下の児童及び(学齢見做し)高校生へのベーシック・ペンション、「児童基礎年金」「学生等基礎年金」と関連した社会保障・福祉制度をどうするかを取り上げます。

ベーシック・ペンション支給額と限定使途

初めに繰り返しになりますが、確認の意味で、提案している年代別のベーシック・ペンション支給額は以下です。

  1.0歳以上学齢15歳まで     児童基礎年金  毎月8万円
  2.学齢16歳以上学齢18歳まで  学生等基礎年金 毎月10万円
  3.学齢19歳以上満80歳未満まで  生活基礎年金  毎月15万円
  4.満80歳以上           高齢者基礎年金  毎月12万円


また、ベーシック・ペンション制では、一般の成人にデジタル通貨として支給する生活基礎年金月15万円は、以下の費目に使用することに限定しています。

  1.飲食費・住宅費・水道光熱費・衣類日用品費などの生活基礎費
  2.通信費・交通費・国内旅行費及び一部娯楽サービス費 
  3.入学金・授業料・受験料、教育訓練研修費・教材費・新聞図書費
  4.健康関連費・市販医薬品
  5.医療保険・介護保険等社会保険給付サービス利用時の本人負担費
  6.その他法令で定める生活諸費用


ベーシック・ペンション、児童基礎年金支給で、児童(扶養)手当法に基づく児童(扶養)手当は廃止へ

まず、以下に、「児童手当法」及び「児童扶養手当法」に基づいて支給されている「児童手当」及び「児童扶養手当」の内容を簡単に整理しました。

児童手当法、児童扶養手当法に基づく支給内容

 1.児童手当
  ・0歳児~3歳未満  1万5千円
  ・3歳以上~小学生  1万円 ※但し第3子以降 1万5千円
  ・中学生       1万円
  (但し、所得制限があり、適用される場合は、一人月額5千円)

 2.児童扶養手当額(障害年金を受給しているひとり親世帯に支給)
  ・子ども1人の場合:
       全部支給:43,160円、一部支給:43,150円~10,180円
  ・子ども2人目加算額:
       全部支給:10,190円、一部支給:10,180円~ 5,100円
  ・子ども3人目以降加算額(1人につき):
       全部支給: 6,110円、一部支給: 6,100円~ 3,060円
   ※それぞれ所得に応じて決定。


生活保護法に基づく児童対象扶助及び加算支給内容

次に、前回課題にした生活保護制度に組み込まれている扶助・加算において児童・学生に関係した規定のポイントを以下に簡単に整理しました。

 1.生活扶助で加算される<児童養育加算>  
  ・18歳までの子ども1人につき1万円 (3歳未満等の場合:1万3,300円)
  ※ 3歳未満等は、3段階施行の1年目(平成30年10月~平成31年9月)
   の金額
 2.教育扶助
  ・小学生、中学生に対し、義務教育にかかる必要な学用品費や教材代、
   給食費等を補填するものとして支給
  (※ 修学旅行代は文科省就学援助制度支給)
  ・基準額(月額):小学校等2,600円、中学校等5,000円
  ・教材代、学校給食費、交通費:実費
  ・学習支援費(クラブ活動費)(年額):実費
  (小学校等上限額 1万5,700円以内、中学校等上限額 5万8,700円以内)
 3.生業加算:<高等学校等就学費>
  ・高校生に対し、高等学校教育にかかる必要な学用品費や教材代、交通
   費等を補填するものとして支給
  (※ 修学旅行代は文科省高校生等奨学給付金の活用やアルバイト等
   などにより負担。)
  ・基本額(月額):5,200円
  ・教材代・交通費:実費
  ・学習支援費(クラブ活動費)(年額):実費
  (上限額8万3,000円以内) 等

生活保護制度で規定する成人の生活扶助額


加えて、生活保護制度における成人に対して支給される<生活扶助>の一般例は、以下のようになっています。

この中の<高齢者単身世帯>の地方郡部等の、65,500円が一つの参考値になりますが、当然、親等保護者との共同生活が想定されるため、その満額を充てる必要はないと考えます。

児童基礎年金8万円、学生等基礎年金10万円


以上の各目的及び規定にある種々の金額を考慮して設定したのが、
・児童基礎年金    月額 8万円
・学生等基礎年金   月額10万円 

です。

児童基礎年金及び学生等基礎年金は、基本的に、前掲の使途リストの、1,の費目の中の<住宅費><水道光熱費>の一部を差し引いたものと考えています。
また、太字で示した、<入学金・授業料・受験料><教材費>への利用を想定しています。

この8万円、10万円という金額で、上記の「児童手当」「児童扶養手当」及び生活保護内の関連扶助・加算に規定された金額はカバーされ、最低限の日常生活を送るための生計費もカバーできると考えます。

すなわち、「児童手当」「児童扶養手当」を廃止しても支障なく、児童・学生の保育と教育に必要な一定枠の費用、最低限の生活を営む上での食費等の生計費に充当するための基礎年金として適切と考えます。

もちろん、2つの行政事務コストも削減可能になります。

各制度廃止で余剰となった財源は、保育・教育改革へ投入を

ベーシック・ペンションは、従来の財源による資金を流用?するものではなく、日銀が発行・支給する専用デジタル通貨です。
従い、ベーシック・ペンション導入で、従来の財源が、表現が悪いですが、浮いてきます。
先日の記事
鈴木亘学習院大学教授による、財源面からの2021年ベーシックインカム試案(2021/2/4)
によれば、児童手当・児童扶養手当分で、2.3兆円になります。
それらは、当然、さまざまな改革のための原資として利用されるべきです。
特に日本では子どもに対する財源投資レベルが低いとされています。
そのため、児童手当や児童扶養手当に廃止により浮いた財源は、この分野に投入すべきです。
もちろん、それだけでは足りませんから、生活保護廃止で不要になった財源からも投入します。
先日の記事
鈴木亘学習院大学教授による、財源面からの2021年ベーシックインカム試案(2021/2/4)
によれば、児童手当・児童扶養手当分で、2.3兆円、生活保護費分で1.8兆円になります。
では、何に投入するか。
保育改革、教育改革を提案する機会を待ちたいと思います。

次回は、ベーシック・ペンション導入目的の中で、生活保護制度と並んで大きな意義を持つ、社会保険関連法の中の、<年金制度>の取り扱いについて提案します。

こちらを是非確認ください。
本稿の前後に投稿した関連記事リストです。

ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系(2021/1/30)
ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)
ベーシック・ペンションによる児童手当・児童扶養手当廃止と発生余剰財源の保育・教育分野への投入(2021/2/7)
ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)
ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に (2021/2/11)
ベーシック・ペンションによる雇用保険制度改革・労働政策改革:安心と希望を持って働くことができる就労保険制度と労働法制を(2021/2/13)
ベーシック・ペンションによる所得税各種控除の廃止と税収増:子どもへの投資、30年ビジョンへの投資へ(2021/2/14)

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