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2020・21年考察

諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/18)
で、ペンション生活基礎年金の定義・特徴を提示。
日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金「10のなぜ?」を始めます(2021/1/19)
で「10のなぜ?」を提示し
なぜ国がベーシック・ペンションを支給するのか?憲法の基本的人権を保障・実現するため:ベーシック・ペンション10のなぜ?-1(2021/1/20)
なぜすべての個人に、平等に、無条件にベーシック・ペンションを支給するのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-2(2021/1/21)
なぜ日本銀行が、デジタル通貨でベーシック・ペンションを発行・支給・管理するのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-3(2021/1/22)

今回は、4つ目の「なぜ?」

「なぜ個人番号(マイナンバー)カードを持ち、これを用いないとデジタル通貨JBPCを使えないか:【個人番号日銀口座限定】」と
5つ目の「なぜ?」
「なぜ増税なしで、国民の負担無しで、発行・支給できるのか:【財源不要方式】
についてです。


なぜマイナンバーカードを持たないとデジタル通貨JBPCを使えないか?


デジタル通貨JBPCを、各個人が保管しているのは、セキュリティで守られた日本銀行に開設された個人名義のネット専用口座です。
利用時の決済は、自分がカードで利用事業所にある専用端末で行うか、インターネット上のアプリケーションを用いて、暗証番号などを用いて自動決済するか、どちらかです。

市中銀行に預金があれば、銀行キャッシュカードで預金・引き落とし・送金等の処理が行なえますが、日銀口座の個人のJBPC通貨は、その口座からの支払い決済だけです。
市中の金融機関にJBPC口座を作れませんし、送金ももちろんできません。
JBPCを受け取るには、個人自身である証拠・証明が不可欠であり、口座開設自体、日本国民であることの証明が必要です。
その証明書として、原則、すべての国民が持つことになっている個人番号カードを用い、決済機能をもたせるのです。
運転免許証や健康保険証機能をもたせる計画がありますが、それと同じようなものです。

そのため個人番号カード、マイナンバーカードを持たない人は。必ず作る必要があります。
故あって、住民登録していない人や国籍が不明な日本人は、この機会に届出と調査により、日本人としての登録を行い、居住地の特定手続も社会保障・社会福祉の一環として行うことになります。

すなわち、マイナンバーカード・個人番号カードは、日銀口座の開設に絶対必要であり、その発行を受けていない人は、ベーシック・ペンションを受給できないことになるため、制度導入時には、国民皆マイナンバーカード制が実現していることになります。
マイナンバーカードを保有するすべての国民が、自分のカードを用いてデジタル通貨JBPCを利用する社会システムなのです。

次に、5番目の「なぜ?」、「なぜ増税なしで、国民の負担無しで、発行・支給できるのか?」についてです。
これは、「なぜ税金や保険料を使わずにべーシック・ペンションを発行支給できるのか?」と言い換えることができます。
その説明に入る前に、一つ重要なことを知っておきましょう。

「財源論の罠」をめぐるさまざまなベーシックインカム論

これまで、社会的実験として部分的なベーシックインカムの実施はあっても(日本以外でのことですが)完全なベーシック・インカムが導入されてこなかった理由の一つに、「財源」の問題があります。

日本でも、本格的に論じられ、一つの意見・提案になかなか集約されない最大の原因が、やはり「財源」の問題にあると言えます。

例えば、
ベーシックインカムの財源は、国民が負担している所得税を主な財源とすべきであり、実施には、現状の所得税率を大幅に上げる必要があり、現実的には反対が多く、大きく、不可能だろう。
仮に許容できると思われるギリギリの税率(40%程度)に抑えても、1人月額7万円程度の支給となり、この額では、現状の生活保護による支給額を下回る。
とすると、現状の生活保護制度も社会保険制度も残して、BIを上乗せするのが良い。
あるいは、少しずつ支給する金額を増やしていくしかない。
これが、一般的な、リベラル的な考え方。

一方、この月額7万円程度を全国民に支給することで、現状の生活保護制度や年金制度をすべて廃止してしまおう。
これが、当サイトで暴論として無視しようと提案した、竹中平蔵等のネオリベラルの説です。
当然、真反対の意見で、水と油、混じり合うことは絶対にありません。

そしてもう一つ。
財源など心配する必要はない。
国が紙幣をどんどん刷ってばら撒いても、破綻することはない。
金がどんどん市場に出回っても、インフレやハイパーインフレが起きないことは、ここ10年来の金利動向、景気動向などを見ても証明されている。
仮にインフレが起きても、市中にある資金を吸い上げることで、あるいは市場の自律性で、必ず調整される、などの、これこそ自由(放任)主義と私が評価?するBI論があります。
このグループの主張は、長引くコロナ禍で、このところまた強くなっています。
ただこの論者の主張も、現状の社会福祉・社会保障制度は、全廃する派と現状上乗せ派に分かれるなど、かなりいい加減なところがあるのがなぜか共通です。

言うならば、どちらにしても「財源論の罠」から解き放たれることなく、一つにまとまることなど永遠に不可能かと思わせる様相を呈しています。

では、バーシック・ペンションの考え方は?

なぜ税金や保険料を使わずにべーシック・ペンションを発行支給できるのか?


ベーシック・ペンションの財源の考え方は、「財源フリー」。
財源の心配は無用。

法定通貨を発行管理する国が、
憲法に定める日本国民の基本的人権、生存権を実現できるようにするため、
一般法定通貨とは別に、
国民や企業からの税収に頼らずに、
特定の条件、規律性を法律で定めて、
デジタル通貨JBPCとして
日本銀行の通貨発行権に基づき委嘱して発行し、支給し、管理する
のです。

但し、それらの規律性は、国際社会における各国の財政政策や金融政策に関するルールや・取り決め等に準じるものとして、考慮決定し、その了解を得ることも必要と考えるゆえのものです。
そのため、ベーシック・ペンション制導入に当たっては、その面からの理論武装、法的要件、そして情報公開が必要と考えます。

それらへの考慮・配慮などが、以下に示した次回以降の「なぜ?」の主な課題であるベーシック・ペンションの制約条件、規律性を加える理由・根拠となっています。


 6.なぜ日本国内でしか使えず、利用期間が限られるのか:【国内限定】
  【期間限定】
 7.なぜ利用できる物やサービス、利用できる場所(事業所)が限定され
   るのか:【使途限定】【利用事業所限定】
 8.なぜ利用された事業所が受け取った通貨を、無条件で現金に換えら
   れないのか:【処理処分限定】

 9.なぜ、他人に譲り渡したり、相続したり、貯蓄用にしたりできないの
   か:【譲渡・相続・資産化禁止】
 10.なぜ、最後に日本銀行に回収され、消却されるのか:【全額消却方式】

真の公助としてのベーシック・ペンション

所得税や相続税、固定資産税など、個人や法人から納められる税金や、社会保険料・法定福利費・雇用保険等として納付される保険料をベーシックインカムに利用するとすれば、実質的には、公的資金が財源ではなく、民間資金が財源と言えます。
そういう意味では、実は「所得の再分配」や「負の所得税」論によるBI論は、国がそれらの受け取ったお金の使い方、配分方法を決めているだけで、それは「公助」ではなく「共助」による方式・システムというべきでしょう。

しかし、国が日本銀行の通貨発行権を用いて、他の財源に頼ることなく創出し、発行し、支給するベーシック・ペンションは、真の唯一の「公助」と言うべき、憲法に基づいた国家社会システム、国家経済システム、すなわち社会経済システムなのです。

次回の「なぜ?」は、前述した、6~10の「なぜ?」からいくつか選んで、説明します。

【ベーシック・ペンションを理解するための論考リスト】

日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金「10のなぜ?」を始めます(2021/1/19)
なぜ国がベーシック・ペンションを支給するのか?憲法の基本的人権を保障・実現するため:ベーシック・ペンション10のなぜ?-1(2021/1/20)
なぜすべての個人に、平等に、無条件にベーシック・ペンションを支給するのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-2(2021/1/21)
なぜ日本銀行が、デジタル通貨でベーシック・ペンションを発行・支給・管理するのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-3(2021/1/22)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
なぜ循環し、回収消却され、再生し、世代を継承していくベーシック・ペンションなのか:ベーシック・ペンション10のなぜ?-6~10(2021/1/24)
ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

<ベーシック・ペンションをご理解頂くために最低限お読み頂きたい3つの記事>

⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
⇒ ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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