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20,21世紀の思想・行動・動向

スピーナムランド制度捏造報告書が、誤った社会保障制度の歴史を作ってきた:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー4

リトガー・ブレグマンによる『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』(文藝春秋・2017/5/25 刊)。
 その内容を章単位に辿ってみるシリーズ。
 序としての
リトガー・ブレグマンの「隷属なき道」、その道標(2021/9/2)
からスタートし
過去最大の繁栄の中の最大の不幸とユートピア:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー2(2021/9/6)
20世紀アメリカでベーシックインカムが実現するチャンスがあった!:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー3 (2021/9/10)
と進み、今回は4回目です。

 今回は、 「第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる」と「 第4章 ニクソンの大いなる撤退」 を取り上げます。

http://basicpension.jp/?p=3209(新しいタブで開く)

第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる」から

第3章の構成は、以下のとおりです。

第3章 構成

第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
 1)チェロキー族一人当たり6000ドルをもたらしたカジノ
 2)精神疾患は貧困の原因か、結果か
 3)貧しい人はなぜ愚かな判断をするのか?
 4)欠乏の心理学
 5)欠乏感は長期的な視野を奪う
 6)インドの農村における貧しさと認知能力の実験
 7)貧困の撲滅は「子どもたちが中年になるまでに採算が取れる」
 8)「注意喚起」は根本的解決にはならない
 9)アメリカンドリームが最も難しい国はアメリカ
 10)低賃金を最も好んだ「重商主義」
 11)路上生活者に無償でアパートを提供するユタ州
 12)オランダでも6500人のホームレスが姿を消した
 13)貧困と闘うことは良心に従うだけでなく、財布にも良い

 この第3章は、前回の第2章における、部分的ベーシックインカムの種々の実験紹介と、その取り組みを通じて確認できた意義・メリット等を記述したものと、ほぼ共通の趣旨・目的と確認できる思います。
(参照)
20世紀アメリカでベーシックインカムが実現するチャンスがあった!:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー3
 そして、本章のタイトルで分かるように、貧困がもたらす負の影響を象徴するものとして、子どもの教育とそれによる成長へのマイナス、それがもたらす損失を強調しているのです。
 裏返せば、フリーマネー、そしてベーシックインカムが、貧困から脱して子どもが教育を受けることで生み出される社会的経済的なメリットの大きさが、従来の対策で必要としたコストを遥かに上回ることを主張しているのです。
 
 初めに紹介されたのは、1997年に米国ノースカロライナ州に、チェロキー・インディアン東部組織が開業したカジノが、その収益で地域に学校・病院・消防署などを新設し、かつその組織に属する8千人の成人と子どもに平均的な家計所得の三分の一から四分の一に当たるお金を配ったことで、前章で挙げられてような種々のメリットを得たこと。
 それらの影響に対して、貧困、そして欠乏がもたらす認知能力などを含む精神的・能力的なマイナスを他の地区での取り組み事例を加えて示し、その反証として、勉強時間の増加、福祉費用の節約、そして、生涯賃金の増加、州の税収増加というプラスの効果を提示しています。
 本章タイトルの<IQの低下云々>は、貧困による影響を示しつつ、現金支給による貧困対策の有効性を象徴的に示す狙いがあったわけです。
 また現金給付に限らず、ホームレスに住まいを提供する「ハウジング・ファースト」戦略の有効性も、米国ユタ州やオランダでの取り組みの成功例を挙げて示しています。

 この章の記述の一部を以下に紹介しておきたいと思います。

 真の貧困者、過剰な負担を強いられ、最も助けを必要とする人は、政府に助けを求める可能性が最も低い。その結果、数々の計画が、本来その恩恵を受けるべき人にほとんど利用されていない。


 そして、本章の最後の節の小見出しを、好きな表現ではありませんが、締めの言葉として添くことにします。

貧困と闘うことは良心に従うだけでなく、財布にも良い。


 

第4章 ニクソンの大いなる撤退」から

 第4章の構成は、以下のとおりです。

第4章 構成

第4章 ニクソンの大いなる撤退
 1)970年代におけるベーシックインカム盛衰史
 2)無条件収入を保障する法律に着手していたニクソン
 3)19世紀スピーナムランド制度の影
 4)世論の反発を生んだニクソンのレトリック
 5)経済学者マルサスの反論と予言
 6) スピーナムランド制度は「大失敗だった」?
 7)150年後に捏造が発覚した報告書
 8)非道な救貧院への押し込め
 9)クリントンの社会保障制度改革へ続く道
 10)もしニクソンの計画が実行されていたら?
 11)監視国家と貧困者との戦い


 この第4章も、前回の記事
20世紀アメリカでベーシックインカムが実現するチャンスがあった!:リトガー・ブレグマンの『隷属なき道』ー3
の中で記述された、ニクソン大統領が議会に提出し、実現まであと一歩と迫りながら、結局陽の目を見ることができなかったベーシックインカムについて、もう一度取り上げ、その理由・事情・背景などを確認する章となっていました。
 いわば、BI盛衰史において特筆すべき<ニクソンBI法案夢物語>の記録であり、そのタイトルが「 ニクソンの大いなる撤退 」ということになります。

 そのストーリー、歴史を再度辿って、以下に整理してみました。

 1969年に提案したニクソン法案の内容は、例えば、家族4人の貧困世帯に年間1600ドル(2016年換算で約1万ドル)の収入を保障するというもの。
 これがどうなったかの経緯が以下です。

1)ニクソン法案に大反対の大統領補佐官マーティン・アンダーソンが、ニクソンがこの計画を公表する日に、150年前にイギリスで起きたことについての6ページの「家族保障制度小史」というタイトルの報告書を提出。
2)社会学者カール・ポランニーの1944年の著『大転換』からの引用で大半を占める同報告書は、ベーシックインカムに似た、世界初の社会保障制度の一つである「スピーナムランド制度」について記されていた。

その内容は、

貧乏人を怠けさせて、彼らの生産性と賃金を大いに下げたばかりか、資本主義の根幹さえ揺るがした。
「その制度は『生きる権利』のみならず、社会と経済の変革をもたらし・・・1834年に廃止されるまで、競争力のある労働市場の確立を阻んだ」。
最終的に同制度によって「大衆はますます貧しくなり、もはや人間とも呼べない存在になった」と。

3)冒頭に「過去を忘れる者は、過去を繰り返す運命にある」という言葉が引用された報告書を読んだニクソンは愕然とし、信頼する顧問を招集し、その制度の真相を探るよう指示。
4)顧問らは、シアトルとデンバーでのBIのパイロット・プログラムでのプラスの成果や前政権からの社会的支出の混乱による現状の貧困の悪循環を指摘して、法案の適正を支持。
 その顧問団には、所得を得る権利は「社会が非難しようとしてきた法的資格」であるとしても、確かに存在すると主張した、ミルトン・フリードマンもいた。
5)しかし、ニクソンは、自身の不安を払拭できず方針転換し、収入を得られる仕事に就くことを重視し、失業をひとつの「選択」と表現。
 1300万人以上、内90%がワーキングプアの米国人に現金を支給するということからの大きな政府の出現を嘆いたことで、人びとに疑問を抱かせることになる。
6)「保守党員とリベラル政策が世界を変えた」と歴史を作ろつとしたと、ベーシックインカムを保守政策と進歩的政策がついに手を結んだとみなしていたと言える。
7)そこで、上下両院を説得すべく、また共和党員を安心させるべく、スピーナムランド制度という先例への不安を消すため、受給する失業者に、(1600ドルもらうための代償として)労働省に登録する義務を課す追加条項を加えた。
8)福祉(ウェルフェア)と勤労福祉制度(ワークフェア)をセットにしなければならない、というその法案をTV中継された演説で発表。
9)それが、世論をベーシックインカムへの反対、福祉国家全体への反対に向かわせることになった。
 すなわち、「ニクソンの大いなる撤退」に帰したわけです。

スピーナムランド制度とは


 では、そのスピーナムランド制度とはどういうものだったのか。
 この制度については、当サイトで最も読まれている記事の一つである以下の記事で既に取り上げています。

イギリス救貧法の歴史・背景、概要とベーシックインカム:貧困対策としてのベーシックインカムを考えるヒントとして(2021/1/26)
 
 本章の記述ではなく、その記事から一部抜粋して、確認しておきたいと思います。

  1531年に初めてイングランドで導入された、元来宗教的性格を持つものとして貧困者救済を目的とした救貧法が、 1597年には、最初の総合的な救貧法に、1601年には初めての国家単位での「エリザベス救貧法」へと改正されていきました。
 その後、18世紀半ば以降、中産階級に広がっていった世俗的博愛意識により、宗教的要素とは異なる性質を持つ救貧法改革に繋がって行ったのですが、その代表的なものが、「ギルバート法」および「スピーナムランド制度」です。

 1795年に始まったこの制度は、物価連動制の(懲治院)院外救貧制度
 パンの価格に下限収入を連動させ、働いていても下限収入を下回る家庭には救貧手当が支給されるというもの。
 フランス革命の影響により物価が高騰する中、困窮する農民・市民が続出。
 バークシャー州スピーナムランド村の治安判事が対策を協議し、ギルバート法の院外救済の制度を拡大解釈。
 パンの価格をもとに基本生活費を算出し、この額に収入が届かない家庭には、その差額分を補填するというものでした。

スピーナムランド制度は失敗だったのか?


 この公的救済プログラムは、実施後イギリス南部全域に広まったといいます。
 それは大成功とされ、飢えと困窮は減り、さらに革命の芽を蕾のうちに摘み取ることもできた。
 しかし一方で、貧困層を支援することに疑問を呈する人びとも存在し、『人口論』を著したマルサスは、「それは悲惨な結果に終わり、国民はできるだけ早く結婚し、多く子どもを持とうとするようになる」と予測。
 リカードは、「所得保障制度は勤労意欲を低め、食糧生産量を更に減少させ、イギリスでフランス流の革命の火を燃え上がらせるに違いない」と考えた。

 そして1830年夏の終り、予言されていた暴動が起き、各地で数千人規模の農民が、地主の収穫農機を破壊し、賃金の引き上げを要求したことに対し、当局が取り締まり、逮捕、投獄、死刑執行へ。
 これ機に、農業労働の状況、地方の貧困、そしてスピーナムランド制度について、全国的な調査が開始され、1832年春には政府による史上最大規模の調査が行われ、大量のデータが集められ、その報告書は1万3千ページに。

 その結論を要約すると、「スピーナムランド制度は大失敗だった」。
 そして、この王立委員会の調査官は、この制度は、人口の激増や賃金カット、不道徳な行為を招き、イギリスの労働階級の劣化を招き、制度廃止後にはこう記した。
 貧困層が
・再び勤勉になり
・「倹約の習慣」を身につけ
・「その労働力に対する需要」が増し
・その賃金が「全体的に上がり」
・その「不用意で不幸な結婚」が減少し
・その「道徳的社会的状況があらゆる点で改善した」と。

 結局、一旦公開され、広まったこの報告書は、政府の意思決定のための複雑で大規模な組織的な調査に基づくものであったことからも、その後長く社会科学の権威ある資料とされます。
 そして、なんとカール・マルクスが、30年後の『資本論』のなかで、スピーナムランド制度を非難する論拠としてこの報告書を利用しているのです。
 それは、今日に至るまで、左派・右派を含む多くの人々がこの制度を歴史的失敗とみなさしめ、敷いては、ベーシックインカムが抱える根源的課題でもあるかのようにみなす影響力を持つことになったわけです。

 しかし話は、これで終わりではなく、とんでもないオチがつくことになります。

スピーナムランド制度は捏造だった!


 1960年代から1970年代、歴史家らは、同制度の王立委員会報告書の存在を確かめ、内容を見直し、その報告の大半が、データ収集前に書かれたものであり、配布された質問状のうち、回収はわずか10%。
 その調査質問は誘導的で、選択肢が限られ、事もあろうに、聞き取りの対象者には、受益者がほとんど含まれておらず、書かれた証拠は、大半が、「この制度で貧者はより狡猾になり、怠惰になる」と考える地元の名士や牧師から出されたもの。
 捏造も捏造、制度への憎悪を何重にも重ね合わせた、大スキャンダルだったわけです。

歴史は悪意で創られ、悪意で創られた歴史が、誤った新たな歴史を創る?


 またその後の最近の研究では、スピーナムランド制度は実際には成功だったことが明らかに。
 マルサスもリカードも、そしてもちろんマルクスもリカードも、彼らの見方・考え方が間違っていたことも。

 既にこの悪意を企図し、加担した当事者は存在せず、そこから発生したすべての誤りを改めることはできません。
 まさに、社会保障に絡むこれまでの歴史の一部はこうした悪意で創られ、あるいは塗り替えられ、それがまた、新たな誤った歴史を上乗せしてきていることになります。

 しかし、こうした過去から学ぶことは、人間は、相変わらず得意ではありません。
 不幸にも、スピーナムランド制度の報告書の犯罪を知らぬまま過去の人となってしまった人々とは違う、現在に生き、明日も生きる人びとは、貧困・格差にとどまらず、社会保障と基本的人権の望ましい在り方を、ある意味、真っ白な段階から考え、新しく書き表し、新たに創造していくことが望ましいと、今回の歴史話から考えた次第です。

 この第4章も、本書全体も、貧困に照準を合わせた上でのベーシックインカム論と言うことができるかと思います。
 当サイトが提案するベーシック・ペンションは、貧困だけを解決・改善すべき課題としての制度ではありません。
 また、思想的・政治的心情の対立で、よりその目的と内容がぶれるベーシックインカムを論じるサイトでもありません。
 タラレバを何度繰り返しても、あるいは、過去の歴史から学ぶことを指摘されても、新しいベーシックインカムは簡単に創造できないでしょう。
 むしろその事自体が、それを困難にしているかもしれません。

 ユートピア論の必要性・重要性・存在意義を主張するルトガー・ブレグマンが示す「隷属なき道」は、一体だれに隷属されることから逃れようとするのか。
 どうやら、それは、わたしたち一人ひとり、自分自身の固定概念や何かから学ばねばという依存心にあるようにも思えます。
 ブレグマンは、残りの各章でどんな道を示してくれるのか。
 少し先を急ぎたいと思います。

 次回は、<第5章 GDPの大いなる詐術>と、<第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代>を取り上げます。


(参考):『隷属なき道』の構成

第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
   ・50年前の平均的オランダ人よりも豊かに暮らすホームレス
   ・中世の理想郷「コケイン」に住む私たち
   ・60億人が携帯を持ち、平均寿命は100年前の倍以上
   ・希望なき豊饒の地
   ・厳格なルールに基づくユートピア
   ・正しい問いを投げかけるユートピア
   ・似たりよったりの政党、違いは所得税率だけ
   ・自由を謳歌する市場と商業
   ・うつ病は10代の若者における最大の健康問題
   ・資本主義だけでは豊饒の地を維持できない
   ・想像と希望を生む21世紀のユートピアを 
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
   ・ホームレスに3000ポンドを給付する実験
   ・ガーデニング教室に通い始めた元ヘロイン中毒者
   ・フリーマネーは人を怠惰にするのか?
   ・ケニアでもウガンダでもフリーマネーが収入増をもたらす
   ・45カ国、1億1000万世帯に届けられた現金
   ・アルコール中毒者、麻薬中毒者、軽犯罪者もお金を無駄にしない
   ・ハイエクやフリードマンも支持したベーシックインカム
   ・カナダ「ミンカム」という世界最大規模の実験
   ・ミンカムで入院期間が8.5パーセント減少
   ・保障所得は大量離職を促すか?
   ・ベーシックインカム法案を提出したニクソン大統領
   ・「無益で、危険で、計画通りにはいかない」というユートピアへの攻撃
   ・豊饒の地の富はわたしたち全員に帰するもの
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
   ・チェロキー族一人当たり6000ドルをもたらしたカジノ
   ・精神疾患は貧困の原因か、結果か
   ・貧しい人はなぜ愚かな判断をするのか?
   ・欠乏の心理学
   ・欠乏感は長期的な視野を奪う
   ・インドの農村における貧しさと認知能力の実験
   ・貧困の撲滅は「子どもたちが中年になるまでに採算が取れる」
   ・「注意喚起」は根本的解決にはならない
   ・アメリカンドリームが最も難しい国はアメリカ
   ・低賃金を最も好んだ「重商主義」
   ・路上生活者に無償でアパートを提供するユタ州
   ・オランダでも6500人のホームレスが姿を消した
   ・貧困と闘うことは良心に従うだけでなく、財布にも良い
第4章 ニクソンの大いなる撤退
   ・1970年代におけるベーシックインカム盛衰史
   ・無条件収入を保障する法律に着手していたニクソン
   ・19世紀スピーナムランド制度の影
   ・世論の反発を生んだニクソンのレトリック
   ・経済学者マルサスの反論と予言
   ・ スピーナムランド制度は「大失敗だった」?
   ・150年後に捏造が発覚した報告書
   ・非道な救貧院への押し込め
   ・クリントンの社会保障制度改革へ続く道
   ・もしニクソンの計画が実行されていたら?
   ・監視国家と貧困者との戦い
第5章 GDPの大いなる詐術
   ・3.11後のラリー・サマーズの予測
   ・「あなたに見えるものと見えないもの」
   ・GDPが見逃している労働
   ・1970年代から急伸した金融部門のシェア
   ・80年前まで GDP は存在すらしなかった
   ・収穫高に注目した重農主義者
   ・究極の尺度にして水晶球
   ・「国民総幸福量」は新たな尺度になり得るか
   ・GPI ISEWも信用できない
   ・効率の向上を拒否するサービス
   ・「人間は時間を浪費することに秀でている
   ・人生を価値あるものにする計器盤
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代

   ・「21世紀最大の課題は余暇」
   ・フランクリンやマルクスも予測した未来
   ・フォードは初めて週5日労働を実施した
   ・「機械を世話する種族」をアシモフは危惧した
   ・テレビアニメに描かれた2062年の夫婦
   ・誰も予想できなかった「女性の解放」
   ・1年のうち半年が休暇だった中世フランス
   ・ケロッグは1日6時間労働で成功を収めた
   ・労働時間の短縮で解決しない問題があるだろうか
   ・ストレスと失業率の高い今こそ準備のとき
   ・どうすれば労働時間を減らせるか?
   ・一生のうち9年をテレビに費やすアメリカ
第7章 優秀な人間が、銀行ではなく研究者を選べば

   ・ニューヨークを混乱に陥れたゴミ収集作業員
   ・富を作り出すのではなく移転しているだけ
   ・農業や工業の生産性向上がサービス産業の雇用を生み出した
   ・アイルランドの銀行員ストライキの奇妙な事態
   ・1万1000軒のパブを中継点とする貨幣システム
   ・「くだらない仕事」に人生を費やす
   ・ 専門職の半数が自分の仕事は「意味も重要性もない」と感じる
   ・「空飛ぶ車が欲しかったのに、得たのは140文字だ」
   ・研究者が1ドル儲けると、5ドル以上が経済に還元される
   ・現在の教育はより楽に生きるための潤滑油にすぎない
   ・新たな理想を中心に教育を再構築する
   ・ ゴミ収集作業員は ニューヨークのヒーロー
第8章 AIとの競争には勝てない
   ・ロボットの開発と進出が進めば、残された道は一つ
   ・世界を縮小させたチップと箱
   ・「資本対労働の比率は不変」ではなかった
   ・アメリカでは貧富の差は古代ローマ時代より大きい
   ・生産性は過去最高、雇用は減少というパラドックス
   ・コンピュータに仕事が奪われる事例の先駆け
   ・2045年、コンピュータは全人類の脳の総計より10億倍賢くなる
   ・労働搾取工場でさえオートメーション化される
   ・ヨークシャー・ラッダイトの蜂起
   ・ ラッダイト が抱いた懸念は、未来への予言だった?
   ・第二次機械化時代の救済策はあるのだろうか?
   ・金銭、時間、課税、そしてロボットの再分配
第9章 国境を開くことで富は増大する

   ・発展途上国支援に過去50年で5兆ドルを投じた
   ・対象群を用いた最古の比較試験
   ・無料の教科書は効果なし?
   ・必要なのは優れた計画か、何も計画しないことか
   ・ただで蚊帳を手に入れた人の方が、蚊帳を買う確率が2倍高かった
   ・10ドルの薬が就学年数を2.9倍伸ばすと実証したRCT
   ・貧困を一掃する最良の方法「開かれた国境」
   ・ 労働の国境を開けば65兆ドルの富が増える
   ・国境が差別をもたらす最大の要因
   ・21世紀の真のエリートは望ましい国に生まれた人
   ・移民にまつわる7つの課題
   ・世界で最も豊かなアメリカは移民が建てた
   ・38%の移民受け入れで開発支援総額の3倍の効果
第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
   ・空飛ぶ円盤が来なければ主婦はどうするのか
   ・1954年12月20日の真夜中
   ・自らの世界観を改めるより現実を再調整する
   ・わたしには自分の意見を変える勇気があるだろうか?
   ・真実を語るひとりの声が集団の意見を変える
   ・なぜ銀行部門の根本的改革は進まないのか?
   ・ 新自由主義を広めたハイエクとフリードマン
   ・モンペルランの教訓
終 章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
 
   ・不可能を必然にする「大文字の政治」
   ・国際的な現象となった「負け犬の社会主義」
   ・進歩を語る言語を取り戻す
   ・アイディアを行動に移す2つのアドバイス

(参考):ベーシック・ペンション基礎知識としてのお奨め5記事

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)(2021/5/20)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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