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インフレ克服、経済対策主眼のベーシックインカム論:1年前2021年8月ダイヤモンド・オンライン配信記事を読む

少しずつ、よくなる社会に・・・

インフレ率2%達成の鍵は、格差解消の決定打「ベーシックインカム」である理由

こんなテーマでの小論が、ほぼ1年前の8月、ダイヤモンド・オンラインで配信されました。
⇒ インフレ率2%達成の鍵は、格差解消の決定打「ベーシックインカム」である理由 | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

今回急に、経済評論家山崎 元氏のこの論述を取り上げ、考えることをメモしてみることにしました。

ベーシックインカムが招くインフレリスク論と格差解消政策を結びつけた小論だが

日本のインフレ率が上がらない理由として、「消費者物価指数は『貧乏人物価指数』である」という仮説を考えてみた。
消費者物価に大きな影響を与えているのは、お金持ちから見ると相対的に「貧乏人」であるところの庶民(普通の人たち)だ。
この仮説を突き詰めていくと、インフレ率2%を達成する鍵がお金持ちと貧乏人の格差解消であり、そのための秘策が「ベーシックインカム」であるという結論に達する。
その理由を解説したい。


過去下書きベースのページに転載しておいた当記事を昨日確認し、今回急に取り上げることにした理由。
まず、ずっと当サイトで提案のベーシック・ペンションを仮に導入した場合につきまとう、インフレ、場合によってハイパーインフレ発生リスク主張の方々へのある程度納得できる懸念払拭理由を示す必要があること。
そのための考察を続けつつ、折々記事投稿すべきと考えており、そのための参考記事になりうるかと感じたため。
もう一つは、新型コロナウイルスパンデミックにロシアのウクライナ侵攻という大きな想定外の状況の発生で、もう過去のたわごととされていたかのような物価2%アップ目標と、まったく機能しなかった金融緩和策をあざ笑うかのように、2%を超えるインフレが簡単にもたらされたこと。
別に金融政策が機能したわけでも、財政政策が機能したわけでもなく、です。

そう考えてのアプローチで本小論を読んでいくとどうなるか、どう感じるか。
自分自身の理解と話を進めやすくするために、筆者が設定した小見出しに順に番号を付しました。

1.二つの経済、二つの物価?「貧乏人物価指数」仮説を考えてみた

 日本の物価上昇率(インフレ率)がなかなか目標の「2%」に達しない理由について、あらためて考えてみた。日本銀行が自ら認めているように、大規模な金融緩和を続けているにもかかわらず、近い将来には日本の消費者物価は目標とする「2%」に届きそうもない。
 日本のインフレ率がなかなか上がらない理由について筆者は、長短の金利がほぼゼロまで下がると金融緩和だけでは効果が乏しく、財政の後押しが必要であるにもかかわらず、それが不十分であることが問題なのだと考えてきた。
 実際、2014年、19年の消費税率引き上げは不適切なタイミングでの緊縮財政的バイアスをもたらして、日本の経済と物価上昇の両方に不必要なブレーキを掛けた。物価の問題は「日銀だけ」で解決することは難しい。この点は、日銀も主張していいし、はっきりさせておいた方がいいと思う。
 だが、財政政策は確実に重要な論点の一つではあるものの、どうやら問題はこれだけでもなさそうなのだ。
 一つの仮説だが、「消費者物価指数」が「貧乏人物価指数」だと考えてみたら、何が見えるだろうか。


2つの事件?で膨らんだ赤字国債の大幅増と一体化した財政支出増。
それがインフレを引き起こす要因であり、対策でもある。
米国はその通りに進んできたのに対して、日本ではそう機能してこなかった。
これで、いわゆる一つの主流とされる経済理論の妥当性が否定された。
輸出にプラスと期待した円安は、その通りに進行してきているが、それがむしろ急にインフレに寄与することになった。
この部分は経済理論、物価理論どおり。
まあ、全てに適切かつ適用可能な全知全能の経済理論や経済政策、金融政策、財政政策などないとすべきと素人ならば、一層そう感じている昨今。

2.富裕層向け商品ばかり物価が顕著に上昇している

 後ほど「貧乏人」と「金持ち」の定義を詳述するが、筆者はその分類では「貧乏人層の(所得階層的には)上層」辺りに属する。
そのため気付きにくかったのだが、近年、内外の富裕層が主たる需要者という商品の物価上昇が顕著であることが目に付くようになった。
 それほどはやっているというほどでもないが「K字経済」という言葉がある。
例えば不動産なら、かなりのお金持ちでなければ買えない高額物件が値上がりする一方で、中所得層以下向けの物件の価格は下がるような現象を指す。
 富裕層向けの不動産よりも小さなスケールで見るとしても、サラブレッド、高級時計、稀少なシングルモルトウィスキー(ジャパニーズ・ウィスキーが特に!)、などの値段が目立って上がっている。
 しかし、ディープインパクト産駒が競り落とされる価格やパテック・フィリップ(スイスの高級時計ブランド)の中古価格とか、長期熟成の「山崎」(サントリーのシングルモルトウィスキー)の値段のようなものは、「消費者物価指数」には明らかに無関係だ。
 もちろん、超富裕層に属するお金持ちでも消費者物価指数に含まれるような財を買うだろう。
ただ、例えば洋服なら1人で1着しか同時に着ることができないし、食事も普通1日に3食までだ。しかも、高級レストランのディナー価格は消費者物価指数には含まれていまい。
彼らの消費行動が消費者物価に大きく影響するとは思えない
 まして、物価で話題になることの多い携帯電話料金などは、スーパーリッチと庶民の間に大きな違いが生じる余地が乏しい。
 消費者物価に大きな影響を与えているのは、「お金持ち」から見ると相対的に「貧乏人」であるところの庶民たち(普通の人たち)だ。
 例えば、富裕層向けの商品・サービスの市場とその物価(「金持ち物価」)と、相対的に富裕層からは貧乏人に見える人々の市場とそこでの物価(「貧乏人物価」)とが、それぞれ別々に存在するとしよう。
そして、金融緩和の効果がもっぱら「富裕層市場」と「富裕層物価」に向かっているのだとすると、ほぼ「貧乏人物価指数」であるところの「消費者物価指数」で測るインフレ率がなかなか上昇しない道理だ。


この指摘、例えは非常に興味深く、かつ事実・現実を適切に表しているといってよいでしょう。
その「貧乏人」の、否、ほとんどすべての人々に共通必要な日常必需消費品目の価格が消費者物価指数算出の多くを占めていること。
そしてその多くにおいて、顧客獲得・維持のための価格競争が激しく、それが、物価の引き上げを抑制する結果・効果?につながっている・・・。
しかし、それもこれも、海外からの輸入に頼る食糧やエネルギーその他資源の価格高騰には抗えず、ここにきて簡単に?価格引き上げに向かい始めた・・・、経営を維持するためには已むなく・・・。
お金が世の中にじゃぶじゃぶ溢れ、行き場所に困っているためでは決してなく、逆に、必需品消費においては、中間所得層が低所得層に移行していることで、日本においては、いわゆるスタグフレーション「不況下の物価高」に似た状況を招きつつあるわけですね。

3.総合商社勤務・年収2000万円でも本稿の定義では「貧乏人」

 ここで、本稿における「貧乏人」と「お金持ち」の区分を定義しておこう。
 所得の大半が労働の対価で所得税率が最高税率(年間所得は4000万円超から)に達しない人が構造的には概ね「貧乏人」。そして、主に資産から生じる年間所得(資産所得は、資産の値上がりによる含み益の増加を含む)が年間の生活費を大きく超えるような人が「お金持ち」だ。
 オーナー経営者一族のような大資産家の他に、東芝や三菱電機のような会社の最高経営責任者(CEO)を含む経営幹部なら所得的に富裕者だろうし、医者なら経営的にうまくいっている開業医などは富裕者に入るかもしれない。
 一方、「高給」と言われる大手総合商社のような会社に勤めていても、窓際にいて役員にならないような「ウィンドウズ2000」(「年収2000万円の窓際族」という意味のネーミングらしい。かつて「週刊ダイヤモンド」の商社特集で紹介されていた)と呼ばれるような人々は「貧乏人」だ。また、医者でも勤務医は構造的に貧乏人の側に属する。
 彼らは、経済的にエリート層だと自認しているかもしれないが、この程度の収入はグローバル水準ではそう高給でもない。それに国内でも「お金持ち」と年収2000万円のサラリーマン(大企業なら「部付き部長」クラス、官僚なら局長クラスか)の差が年々開いている。
 油断していると、老後の資金が意外に足りないということにもなりかねない。いわば、「年収2000万円のゆでガエル」のような人もいるので、注意されたい。


まあ、この部分は、ある意味私のような庶民には非日常の話でもあるので、スルーしましょう。
「ウィンドウズ2000」という比喩・揶揄ははじめて知ることができて良かった?ですが。

4.企業経営者に少なくない年収ベースの「億り人役員」

 他方、従来の大地主の他に、近年では株式性の報酬を持つ大株主や経営者が年間億円単位の収入(評価益を含む)を得ている。また、大企業のCEOなどを務める経営幹部の役員報酬は年々上がり続けていて、今や年収ベースで「億り人役員」という人も少なくない。近年の日本の大企業では、経営トップ層の役員報酬とストックオプションなどによる株式性の報酬が上昇している。
 それに対して「貧乏人」に属する社員層に対しては、(1)年功賃金が削られ、(2)日本的(陰気な)成果主義による全体のパイが膨らまない相対競争が進み、(3)非正規労働者との競争から賃金の伸びを抑えられて、賃金が伸びにくくなっている。
 これらは、いわゆる「働き方改革」の直接の効果でもあるし、「企業統治改革」(社外取締役の導入や自己資本利益率〈ROE〉の向上、株主還元の積極化などが褒められる)の間接的効果でもある。 
 後者について補足すると、社外取締役はCEOを含む経営幹部の報酬引き上げの応援団にすぎず、企業の経営問題へのセンサー役にも良きアドバイザー役にもなり得ていない場合が多い。例えば、東芝や三菱電機の幹部役員に億を超える報酬を社外取締役たちは認め続けていたのだ。役立たずではないか。
 役に立っても、せいぜい「多様性」アピール用の広告塔だ。一部の学者には、社外取締役は企業価値向上の役に立っていないので一律の義務付けには問題があるとの意見があるが、今のところその説は説得的に聞こえる。ただし、圧倒的に少数説ではある。


 この部分も、本稿のテーマには直接関係ないのですが、日常生活必需品の物価高の影響をもろに受ける「貧乏人」がその身に甘んじなければいけなくなっている理由の一面が示されていることは確認しておきたいと思います。

5.働き方改革と企業統治改革でトリクルダウンは幻に

 さて、もともとアベノミクスは、それがうまくいった場合にもメリットを得られるタイミングが所得層によってずれる予定ではあった。まず資産を持つ富裕層と労働市場で限界的な立場にある経済弱者がメリットを得る。その後、円安で実質所得が下がった後に企業の利益が増えて、これが「トリクルダウン」(貯まった利益が溢れてしたたり落ちるイメージ)してくる段階で「中間層」がメリットにあずかる――。そのような時間差が生じるはずだった。
 しかし、特に「働き方改革」と「企業統治改革」の圧力が企業経営に加わったことで、増えた利益は株主と経営幹部に(実質的に後者は前者に買収されつつある。米国式の後追いだ)都合良く召し上げられてしまい、トリクルダウンは幻となった
 現在と比較して、かつての日本の企業は成果主義的な報酬制度と比較した場合に「大きな所得再分配効果」を持っていた。入社年次をベースとする年功序列の人事と報酬制度で、いわゆる「働かないおじさん」も恩恵の対象に含めての効果だ。ところが、これが着々と解体されている。
 前述の通り多くの大企業で、CEOが年間億円単位の報酬を取る一方で、通常の社員の賃金上昇は抑制されている。
 先の定義の「貧乏人」に属する一般的な社員は、そもそも賃金の伸びを抑えられていて消費を増やす余裕がない。加えて将来に不安を抱えてもいるので、消費に対して抑制的でもある。
 そして、彼らを主な対象とする商品・サービスの供給者は、顧客が価格に対してセンシティブであることを嫌というほど知っているので、なかなか「値上げ」に踏み切る勇気を持てない。
 かくして、ほぼ「貧乏人物価指数」であるところの「消費者物価指数」は上昇しにくい。


と、ここまでは、筆者のテーマの序論・前提論として、例え・比喩を交え非常に分かりやすく提示されています。
「トリクルダウン」。
いっときよく耳にした都合のいい言葉でしたが、今は誤魔化しの、実現することなどない虚言であることが定着しています。
終わりの方の記述は、先の項目で、私が付け加えた内容と一致するものです。
世界でも珍しい現象・事例をここに至るまで、長期にわたって持続可能化してきた日本。
まさに課題先進国の面目躍如といえるでしょうが、課題解決後進国の好事例でもあります。

6.インフレ目標達成に必要な「富の再分配」をどう進めるか?

 もともと、全体として同じだけ所得が増えても、所得の増加がお金持ちに偏るとトータルの消費支出は減るのが自然だ。お金持ちの方が消費性向は低いからだ。
 インフレ目標達成のために金融緩和政策の継続が必要だとして、不足があれば(ゼロ金利の環境では不足しやすい)これを財政政策が後押しする必要がある。そして、それをさらに補完するためには、相対的にお金持ちからお金持ちではない人に対して、かなり大きな規模で富の再分配を行うことが必要なのではないか。
 なお、この場合「再分配」の対象は単に所得だけではなく、時価評価した資産であるべきだろう。
 では、どのように再分配を進めたらいいのか。
 最低賃金を大幅に引き上げるべきだという意見があるが、最低賃金の操作では中間層の凋落に歯止めが掛かりにくい。加えて、最低賃金近くで働いている層に対しては雇用機会の減少要因になりかねない。
 また労働組合を強化するのは、一部の「労働貴族」を喜ばせるだけで経営の非効率にもつながりかねず、得策とは思えない。
 日本の企業が富の再分配機能を低下させてきた経緯には、それなりに経営・経済の合理性が働いている。そのため企業を通じて富の再分配を再建しようとする試みは、うまくいくとは思えない。
 必要なのは、公的な再分配強化だろう。理想的には、ベーシックインカムのような資源配分や国民の支出選択に対して中立的なセーフティーネットを強化することが望ましい。


さてここからが本論本題。
まず、岸田くんが首相就任時の売りにした、新しい資本主義とそこでの所得・富の再分配のあり方について。
所得以外の資産でも、といきなり来たことには少し違和感を感じたが、間違いではなく、ここはスルー。
で労働政策・賃金政策のからみでの話に持ち込んだが、企業を通じてのそれはうまくいくことはなく、「必要なのは、公的な再分配強化」、すなわち「ベーシックインカム」のような資源配分や国民の支出選択に対して中立的なセーフティネットが望ましいとしています。
支出選択上中立的なセーフティネットとはいかなるものか、具体的な説明が必要と思うのですが、果たして後からあるかどうか。
それよりも「ベーシックインカム」がここで早々に?持ち出され、これをどう合理化・正当化するかの展開に関心が向かいます。
但し、それが「再分配」「資源配分」に拠るものとはじめからしていることで、一抹の不安を感じてしまうのです、当然。

7.ベーシックインカム反対論の「財源がない」は適切ではない理由

 ベーシックインカムへの反対理由として、「財源がない」と言う人がいるのだが、この反論は適切ではない。
ベーシックインカムは国民にお金を配るのだから、その分税金を取るための余裕があるはずなのだ。
 例えば、一月5万円のベーシックインカムを支給して、国民の中位値よりもリッチな半分の人に一月8万円増税し、中位値よりもプアな半分の人に2万円増税する。そうすれば、リッチからプアに一月3万円の富の移転が完成する。
 一月5万円のベーシックインカムは、年間約75兆円の財源を必要とする。生活保護や公的年金、雇用保険などをすっかりベーシックインカムに置き換えることで、この財源を賄うことは実現可能な計算なのだが、いきなり置き換えるのは個々の国民にとって損得が大き過ぎて難しい。
 実質的には前記のような形で、「追加的」「部分的」に導入するのが現実的ではないか。小さなベーシックインカムを導入しながら不要になる社会保障を徐々に縮小して、結果的に置き換えていくような形が望ましい。
 もちろん、国民の大半に増税するような仕組みは、現実には不要だ。現実的には、「お金持ち」の主に資産に(評価益の段階でも)課税するような仕組みが望ましいだろうし、所得税率の累進度合いを上げてもいいのではないか。
 かつて、故・松下幸之助氏が長者番付上位の常連だった頃の累進税率は今よりもはるかに高かった。しかし、だからといって当時の長者たちが働く気を無くすというようなことはなかった。


そして当然のことながら、ベーシックインカムの財源捻出の方法・方策になります。
「財源がないことなどない」とすることは分かりますが、この流れで進められるとすると、やはり悪い予感?がします。
取れるところからの「税」でその財源を賄う。
常套手段であり、想定内手段です。
しかし、これがなかなかすんなりいかない。
これまでのベーシックインカム論者のほとんどがこうした方法・ロジックで、具体策を提案し、実現の可能性と方法の妥当性を述べてきました。
しかし、現実、ここまでの歴史・経緯を見ると、決してその議論が一般化し、どこかの政党の公約に掲げられ、選挙の争点になる、などということはないまま。
維新が言い出したものも、結局本気度やその内容に対する理解度を高める方法・熱意に欠け、党への信頼度自体欠けることもあり、認知されている状態にはない。

こうした提案は、善意の人が行う当たり前のものなんですが、一部の日本人の変わることがないメンタリティとその常套行動についての認識が希薄になる致命的なもの、というのが私の意見・考えです。
私は決して性悪説をとる人間ではないのですが。

生活保護を受ける人へのバッシング、努力しないがゆえの貧困者になぜ金を配らなければいけないのか・・・。
グレーやブラックでも、市民権は市民権。
こうした心の貧困な人々と、なぜか富裕層の一部とは、気持ちが通じ合っているところがあるのも不思議といえば不思議なのですが、これも人間の多様性の一つの表れと認識すべきなのでしょう。
「お金持ち」の主に資産に課税するような仕組みをというのですが、お金持ち以外の人すべてがこれに賛同するわけではないのですね。

また、「追加的」「部分的」に導入するのが現実的ではないか。小さなベーシックインカムを導入しながら不要になる社会保障を徐々に縮小して、結果的に置き換えていく、としても、最終的に社会保障制度全体と個々の制度、そしてベーシックインカムをどのようにデザインし、実現し、運用管理するのか事前に検討し、できる限り描いておく必要があります。

8.インフレ率を上げたければ庶民にも金融緩和の恩恵を回そう

 再分配のための財源は、資産課税の強化や所得税率の引き上げなどで作るといいのだが、これを「再分配と同時に」やってはいけないと申し上げておく。
「支出(ないしは減税)」と「財源」を一対一対応で同時に手当てするやり方は、マクロ経済の調整を考えると無策以上に有害な「ぼんくら財政」だ。増税にも賛成することで、官民双方に巣くう「緊縮財政マニア」や「増税好き」を喜ばせないように、この点には注意しておく。
まず再分配を先行させて、十分なインフレ率が達成されてから初めて増税が正当化される。
 とはいえ、いきなりベーシックインカムは実現しそうにないので、具体的に実行可能な案を提示しておこう。
ベーシックインカムの優れている点は、「ベーシックインカム的」な政策で似た効果を出すことができるし、部分的な実現でも効果があることだ。
 現在、国庫負担率が2分の1の国民年金(基礎年金)を全額国庫負担にするといい。直ちにやってもいいと思う。秋の衆議院選挙で、与野党どちらでもいいから公約にしないか。消費税率の一時的引き下げよりも効果的だと思う。
 もちろん、当面の財源は全額国債で賄って実質的に日銀に買ってもらい、金融緩和のお手伝いをする。
 すると、現在なら国民年金を支払う層に「毎月」1万6610円の手取り収入増加効果がある。厚生年金の保険料も引き下げることができるので、サラリーマンは毎月の可処分所得が継続的に(ここが大事だ)増加する。さすがに、庶民の消費も増えるのではないか。
 主に「お金持ち」のメリットになる政策だけで力ずくでインフレを作ろうとするのではなく、庶民にも金融緩和の恩恵を回すといい。すると、「貧乏人物価指数」などと揶揄した消費者物価指数も、気を取り直して上昇に転じるのではないだろうか。
 原因と結果の関係は、格差の拡大が原因であり、物価指数の低迷が結果だろう。
 消費者物価指数低迷を解消するためには、格差解消のための再分配政策が必要なのだ。
 政策の急所は「再分配」にあるのではないだろうか。


そこで筆者が繰り出したのが、私も提案するベーシック・ペンション導入時に行うとしている総合的な社会保障制度改革の中の重要改革、年金制度改革。
私提案のベーシック・ペンションでは、国民年金部分は、高齢者基礎年金として、65歳以上のすべての高齢者に第一次段階では月額8万円、無条件・無拠出で支給する。
すなわち国民年金制度は同時に廃止へ。
そして、厚生年金保険は、すべての賃金・給与所得が加入する制度として一本化し、負担する保険料も少なくなる。
少子化対策として児童手当の金額をお幅に増やし、児童基礎年金としてベーシック・ペンション化する。
こうした改善・改革を期待効果に準じて優先順位をつけて部分的・段階的に導入・移行するという提案を展開しています。

さて、山崎氏による、所得と富の再分配によるベーシックインカムの段階的導入論でしたが、もともとはベーシックインカム導入を目的とした主張・提案ではなく、目標とする物価指数の引き上げのための有効な手段としてのそれでした。
控えめなインフレターゲットを達成するには、控えめな金額のベーシックインカム、富裕層への控えめな増税を実施することで可能であり、現実的といえば現実的です。
しかし、それで目標物価指標に達しても、果たして多くの社会保障をめぐる多種多様な課題を改善・解決できるのか、全体的・長期的な目標・目的の実現とそのために必要な金額、財源、年数などの議論検討は、別の次元・場での課題となります。

読み物として、あるいは考え方として参考になり、示唆する点も多いのですが、正式なベーシックインカム提案論として読むこと、理解することはできません。
そして、当小論が配信されたときとはまったく異なるグローバルレベルでの社会経済状態が、ロシアのウクライナ侵攻により長期的に悪化するリスクが現出しています。
いとも簡単にインフレを呼び込み、ことそれに関してはベーシックインカムが必要という理由付けの根拠とはなり得ないものに。
極端をいえば、この小論自体が、無用・無効になってしまったわけです。
ならば一層、ベーシックインカムとは何か、どうあるべきか、何をどのように進め、実現するのか原点に立ち戻り検討・考察すべきと感じた次第です。



【日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金2022年案】

ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1(2022/2/16)
少子化・高齢化社会対策優先でベーシック・ペンション実現へ:2022年ベーシック・ペンション案-2(2022/2/17)
マイナポイントでベーシック・ペンション暫定支給時の管理運用方法と発行額:2022年ベーシック・ペンション案-3(2022/2/18)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

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