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2020・21年考察

ベーシックインカムでなく ベーシックサービスへ傾斜する公明党

ベーシックインカム(以降BIとすることがあります)、あるいは当サイトが提案するベーシック・ペンション(以降BPとすることがあります)が実現するには、政治が変わる必要がある。
望ましいBI(またはBP)を公約とする既存政党が現状ないため、そして特定政党が望ましいそれを公約にするまでには、まだまだ時間を必要とする。
ベーシック・ペンション実現は、10年がかり、という理由がそこにあります。

では、既存政党は、現状BIについてどのように考えているのか。
その問いに対する答えを探すため、これまで、次の3政党を取り上げてきました。
れいわ新選組のベーシックインカム方針:デフレ脱却給付金という部分的BI(2021/4/4)
立憲民主党のベーシックインカム方針:ベーシックサービス志向の本気度と曖昧性に疑問(2021/4/6)
日本維新の会のベーシックインカム方針:本気で考えているとすれば稚拙で危うい曖昧BI(2021/4/26)

今回は、公明党です。

公明党に対して、ベーシックサービスを提唱する井手英策氏のグループが、昨年その考え方を説明する機会をもったという話を聞いた(情報として目にした)ことがあります。
同氏グループにより「ベーシックサービス」に関しては、親サイトhttps://2050society.com で批判・反対したことを、当サイトの以下の記事で報告しています。

◆ 対ベーシックサービス論、ジェンダー視点ベーシックインカム論を展開:第5ステップ2020年11月(2021/1/7)

そこでも紹介していますが、その一連の記事は、
ベーシックインカムを問いなおす: その現実と可能性』(井手氏他共著)『未来の再建』(井手氏著)『幸福の増税論――財政はだれのために』(同)
の3冊を参考にして論じた、以下です。

 1.今野晴貴氏「労働の視点から見たベーシックインカム論」への対論
  (2020/11/3)
 2.藤田孝典氏「貧困問題とベーシックインカム」への対論(2020/11/5)
 3.竹信三恵子氏「ベーシックインカムはジェンダー平等の切り札か」へ
   の対論(2020/11/7)
 4.井手英策氏「財政とベーシックインカム」への対論(2020/11/9)
 5.森 周子氏「ベーシックインカムと制度・政策」への対論(2020/11/11)
 6.志賀信夫氏「ベーシックインカムと自由」への対論(2020/11/13)
 7.佐々木隆治氏「ベーシックインカムと資本主義システム」ヘの対論
  (2020/11/15)
 8.井手英策氏「ベーシック・サービスの提唱」への対論:『未来の再建』
   から(2020/11/17)
 9.井手英策氏「未来の再建のためのベーシック・サービス」とは:『未
   来の再建』より-2(2020/11/18)
 10.ベーシックサービスは、ベーシックインカムの後で:『幸福の財政
   論』的BSへの決別と協働への道筋(2020/11/26)

そのポイントは、後述することにして公明党の最近の関連する動向を拾ってみました。

2020年9月27日公明党全国大会での石井幹事長発言から

同日開催の全国大会での石井幹事長の発言を受けての、あきる野市公明党市議増崎としひろ氏の以下のコメントがありました。 ⇒ 2020 9月 (komei.or.jp) 

第13回公明党全国大会が都内で開催され、私は「YouTube Live」で大会を視聴。
驚いたのは、石井幹事長から『ベーシック・サービス論』について言及があったこと。この夏、私が書籍を読みまくり勉強した、井手先生が提唱されているもの。
医療や介護、育児、教育、障がい者福祉、住まいなど人間が生きていく上で不可欠な基本的サービスを無償化し、「弱者を助ける制度」から「弱者を生まない社会」へと福祉の裾野を大きく広げるものです。
似たような手法で、ベーシック・インカムという手法があり、欧米のある地域では実証実験も行われるとのニュースもありますが、個人的にはこの手法はピンとこなかった…(^_^;)
でも、ベーシック・サービス論に触れた時、今後の日本社会が目指すべき社会像はこれだ。日本に一番合っているのはこれだろうと感じました。
今後、党の活動方針として、「ポストコロナ時代における新たなセーフティーネットを構築するため、ベーシック・サービス論を本格的に検討する場を党内に設け、給付と負担の両面から積極的に議論を行っていきたい。」とのこと。
大いに期待したい!!

このように、昨年2020年9月時点で、公に、公明党がベーシックサービス導入の検討に入っていることを明言しているのです。


2020年 7月 22日付公明新聞ベーシックインカム解説記事

 
この党大会の動向によりも少し遡って、7月22日付公明新聞で、「ベーシックインカム」についての丁寧な解説が掲載されていました。
しっかり党員に理解を求める解説記事として、非常に評価できる内容と感じました。
なので、長いですが、私たちもBIを理解する上で有用と思いましたので、ほぼ原文のまま、転載させて頂くことにしました。
⇒ 2020年 7月 22日ベイシックインカム (komei.or.jp)

<コロナ禍で注目高まるベーシック・インカム 生活資金を継続的に支給> 
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、各国で経済活動の大幅な制限を余儀なくされる中、収入を得られなくなり、生活に困窮する人が増大している。
この事態にどう対処すべきか。
今、国際的に注目されているのが、尊厳ある生活を送れるだけの額の資金を、無条件で全ての人に継続的に給付する「ベーシック・インカム」(BI=基本所得)と呼ばれる政策だ。
BIの導入を巡る各国の政府や自治体の最近の動向をまとめた。
加えて、政治思想史を専門とする前田幸男・創価大学教授に、BIが求められてきた歴史的な経緯を解説してもらった。

<欧米、条件付き導入の動き>
 コロナ禍の中、国民の生活を守る有効な政策の一つとして、ベーシック・インカム(BI)の導入に乗り出したり、BIに近い政策を実施したりする国や自治体が増えている。
 BIでは、生活に必要な所得が常に確保されるので、多くの人が休業を強いられ、収入が得られなくなる事態に直面したとしても、生活を維持することができるためだ。
 英国では、ジョンソン首相が3月18日、新型コロナウイルスの感染が収束しない間、一時的なBIの実施も検討するとの考えを示した。
 最終的に英政府は、個人事業主やミュージシャンなども含む全ての休業者に対して、1人当たり月約34万円を上限に、1カ月の賃金の80%に相当する額の資金を毎月支給することを決定。休業者の増加に柔軟に対応するため予算枠を設けず、3月から6月まで実施した。
 この政策が、英国の失業率の上昇を防いだとの指摘もある。確かに、英国立統計局が今月16日にまとめた調査報告を見ると、英国の失業率は2月から5月まで3・9%のまま横ばいで推移している。

 スペイン政府は5月29日、BIを導入する制度の創設を閣議で承認。同制度は、6月1日から施行されている。
 原則として23~65歳までの人を対象に、一人暮らしの場合、月約5万5000円を毎月給付。家族の場合、年齢に関係なく、1人当たり月約1万7000円を加算し、1世帯当たりの給付上限を月約12万円とする制度だ。
 ただ、一人暮らしの場合、年間所得が約68万円未満、家族の場合、世帯の年間所得が約150万円未満の生活困窮者に給付対象を限定しており、厳密にはBIとは言えない。
 スペイン政府によれば、スペインの総人口約4600万人のうち、230万人が給付対象となるという。スペインに1年以上居住し、給付対象の条件に該当すれば、外国人にも資金が支給される。

 米国では6月29日、カリフォルニア州のロサンゼルス、ストックトン、コンプトン、オークランドの4都市に加え、ジョージア州アトランタ、ワシントン州タコマ、サウスカロライナ州コロンビアなど11都市の市長が、BIの導入実験を行うことを宣言した。
 11都市の市長は「保証所得のための市長たち」(MGI)という連合も立ち上げ、「コロナ禍で経済的に苦しんでいる人たちを現金給付で救う」べく、BIの本格的な実施をめざすとしている。
 「保証所得」とは、BIと同様の政策であり、公民権運動で指導的な役割を果たした故マーチン・ルーサー・キング牧師が提唱していた。
 MGIの発足を呼び掛けたのはカリフォルニア州の都市ストックトンのマイケル・タブス市長である。タブス市長は2019年2月から、米国で初の都市レベルでのBI導入実験を実施しており、無作為に選んだ125人の市民に月約5万4000円を21年1月まで毎月給付する。
⇒ 米カリフォルニア州ストックトン市のベーシックインカム社会実験、中間報告(2021/3/15)

<完全実施の課題は財源>
 BIの国際的な推進団体「ベーシック・インカム・アース・ネットワーク」(BIEN)は、「資産状況や就労しているかどうかに関係なく、個人単位で全ての人を対象に、無条件で定期的に継続して実施される現金給付」とBIを定義している。給付金額は、尊厳を持って生きられ、生活上の選択を自由にできる水準が望ましいとされている。
 しかし、これまで、この定義通りにBIが実施されたことは一度もない。
 BIの実施に関する国や自治体のどの事例も、期限を定めた「一時的な実施」か、失業手当受給者や生活困窮者などに給付対象を絞った「限定的な実施」にとどまる。BIを実施するための財源の確保が困難であるためだ。
 休業者の賃金の8割の額を政府が肩代わりするという形で、BIに近い政策を実施した英国では歳出が膨張し、20年度の財政赤字は第2次世界大戦時の水準に拡大するのではないかとの懸念がある。
⇒ ベーシック・インカム世界ネットワークの位置付け(2021/3/22)

<導入実験で労働意欲の低下を否定>
 一方、BIを導入すると働く意欲を失い、お金を無駄遣いするのではないかとの疑念に対しては、それを否定する実験結果が相次いでいる。
 17年1月から18年12月まで、失業手当受給者を対象にBIの国レベルでの導入実験を行ったことで注目されたフィンランド政府は今年5月、実験結果に関する最終報告書を公表。受給者がボランティア活動などに参加するケースが多く見られ、社会に貢献しようとする自発性が高まったとの見方を示している。
 また、米カリフォルニア州の都市ストックトンで実施されているBI導入実験では、受給者が給付金を無駄遣いせず、公共料金の支払いを優先するなどしていたとの中間報告がまとめられている。
⇒ 米カリフォルニア州ストックトン市のベーシックインカム社会実験、中間報告(2021/3/15)

<(BIは)急な経済循環の停止を防ぐ即効性のある施策>:前田幸男創価大学教授執筆
 BIについては、過去にさまざまな立場から議論されてきた。
 例えば、リバタリアニズム(自由至上主義)の論者は、徹底した小さな政府論を展開する中で、社会保障などの予算を削る代わりにBIを導入し、各個人に一律に資金を配ることで国家財政のスリム化を図るという立場から、BIを擁護する場合がある。
 しかし、この立場では、教育や福祉の充実は自己責任となってしまい、課題が残る。
 もともとBIを巡る議論は、18世紀末以降、人権思想の高まりに付随してなされるようになった。BIを肯定的に捉えることを可能とさせる視点は枚挙にいとまがない。
 例えば、現代リベラリズム(自由主義)の代表格であるジョン・ロールズの正義論によれば、資本主義社会である以上、格差の発生は避けられないが、それは再分配によって是正されなければならないとされる。BIは、この配分的正義を実現する手段として理解できよう。
 また、マイケル・サンデルのような共同体主義(共同体の中でこそ、個人は人間として完成され、生きていけるとする考え方)の立場からも、BIは、共同体の構成員の絆の強化に寄与するものと考えられる。
 さらに、ウィリアム・E・コノリーの「深い多元主義」(世界の複雑さを受容し、多次元的な視点から多元主義を深く実践する考え方)の立場を踏まえると、肌の色や宗教の異なる外国人労働者でも、その国の経済を支えるメンバーなのであれば、BIの受給対象者に含めるべきであるという観点や、BIが多様なライフ・スタイルを実現するための支えになるといった観点からの議論も可能になる。
 今回のコロナ禍のような、誰もが突然、経済的な弱者になり得る事態に直面し、BIは脚光を浴びることとなった。BIは、給与→購買→納税の一連の貨幣の流れが、休業などで突如、止まらないようにするための即効性のある施策であるためだ。経済循環が急に停止しないようにするといった観点も含め、多面的にBIの是非を考えてみることに意義がある。

なお、文中にあるリンクを貼った記事は、当サイトですでに投稿した関連した内容に触れている記事です。
併せてお読み頂ければと思います。

2019年11月16日付公明新聞「2040年問題 新たな社会保障への一考察(下)」より

最後に、一昨年2019年11月にやはり公明新聞で公開されている「「2040年問題 新たな社会保障への一考察(下)」の中でのベーシックインカムと、それに繋がっている関係部分も含めて、相当量の部分を転載しました。
⇒ 2040年問題 新たな社会保障への一考察(下) | ニュース | 公明党 (komei.or.jp)

公明新聞・ビジョン検討チームによる、
社会状況がどんなに変化しようとも、大衆福祉の理念を貫くことが、少子高齢化という時代の「挑戦」に対する「応戦」ではないだろうか。そうした観点から2040年の安心の制度構築に向けての提言です。

「大衆幸福度」(仮称)策定を目標とした社会の変化に即した新指標の設定

40年の超高齢社会を見据えた改革を行っていく上で、公明党がめざす大衆福祉を具体化する政策指標として、「大衆幸福度」(仮称)を提唱。
そのために、
1)真に支援が必要な「弱者」の把握
2)「分断・格差」「孤立・孤独」の防止
3)「個人」に軸足を置いた制度設計

の三つの視点を反映させるべき。
国連の関連団体が今年3月に発表した最新の世界幸福度ランキングによると、日本は156カ国・地域中、過去最低の58位だった。この調査では「1人当たりGDP(国内総生産)」に加え、「社会的支援」「健康寿命」「人生の選択の自由度」「寛容さ」「社会の腐敗の少なさ」の6項目から、各国の幸福度を分析・比較。
社会保障制度の拡充と個人の幸福実感を連結させる観点から、こうした国内外の知見や動きを「大衆幸福度」の策定に大いに参考にしていくべきだ。

「弱者」の把握
その上で、政策指標の設定で考慮すべき「弱者」とは誰か、ということを明確にしなければならない。
問われてくるのは、限られた「利益」を誰に届け、莫大な「不利益」をどのように国民全体で分かち合うかだ。
そのためには、真に支援が必要な弱者の把握が欠かせない。弱者をどのように探し出すか。「所得」や「資産」など経済的側面が重視されるのは今後も変わらないことから、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の利活用を一層進め、正確な把握に努めていくべきだろう。
とりわけ40年へ向け、生活保護を受給する可能性の高い1人暮らしの高齢者を早めに把握し、サポートしていく施策を今から準備しておく必要がある。

分断・孤独の防止
「分断・格差」「孤立・孤独」を回避するための政策指標も不可欠だ。
自公連立政権における公明党の存在意義について、「経済的、社会的理由による分断や格差を生み出さないように、“防波堤”として社会の安定を担う役割を果たしている」
国内において分断・格差問題を危惧する声が依然、根強い。それは、戦後の安定と繁栄を支えてきた「中間層」が縮小し、不安定化していることが背景にある。
一方、全国各地で、人と人の関係が希薄化する「無縁社会」も広がっている。
「孤育て」(孤独な育児)に悩む母親、「つながり孤独」の若者など、孤立・孤独が世代を超え、まん延している。
いまや孤立・孤独の問題は先進諸国の医療問題となり、経済にも大きな打撃を与える。
孤立・孤独に対処するための具体的な指標の設定に関しては、人々の目に見えない絆を“資本”として評価する「ソーシャル・キャピタル」(社会関係資本)を活用することも検討すべき。

個人単位で
社会構造の変化に即した社会保障制度を構築するためには、「個人」に軸足を置いた指標が求められる。
夫が働き収入を得て、妻は専業主婦、子どもは2人の4人世帯という「標準世帯」は、いまや総世帯数の5%に満たない。
社会保障を世帯単位から個人単位にしなければならない。

経済成長の観点からも重要な再分配強化による格差是正

当初所得から税金や社会保険料を差し引き、社会保障給付を加えた再分配後の世帯所得の「ジニ係数」が、17年調査で0.3721。
ジニ係数は、0~1の間で1に近いほど格差が大きいことを示す。
日本の再分配機能はドイツやフランスと比べても弱く、もっと強化すべきだ。
近年、国際機関が相次いで報告している通り、再分配後の所得格差が大きいほど、経済成長にマイナスの影響がある。格差が大きいほど、低所得層での人的資本への投資(子どもへの教育投資など)が低下する。結果として、長期的な経済成長が損なわれる。適切な再分配こそ成長を促すカギだ。
所得再分配の方法は、税と社会保障の二通りある。税について見れば、課税ベースは所得、消費、資産の三つしかない。「消費税の引き上げは政治的にも簡単ではないし、そうすると『資産』に対する税を考える必要があるのではないか」。

申告納税者の所得税負担率
これを受け、分離課税となっている金融所得税制の見直しに言及。現状は、合計所得1億円までは所得税の負担率(実効税率)が上がっていくが、それを超えると下がる。
その理由として、所得に占める株式などの譲渡所得の割合が高所得者層ほど高い上、金融所得の多くは通常所得(最高税率45%)と分離し、課税(所得税15%、住民税5%)されることなどから、所得全体で見ると、高所得者層の負担率が低くなっている。
金融資産や証券で得た利益が分離課税になっているために、高額所得者の税率が、かえって低くなっているという矛盾は、解消していく必要がある。
こうした観点も含め、40年の日本社会を念頭に置いた分配重視の税体系の構築へ向け、着実に準備を進めるべきだ。

社会的な亀裂生まない枠組みとして「ベーシック・サービス」検討に値

最低生活保障と言えば、全ての個人に一定額の現金を定期的に給付する「ベーシック・インカム」が知られている。
これに対し、現金ではなく、医療や介護、育児、教育、障害者福祉といった「サービス」を必要とする全ての個人に無償で提供するという、井手英策・慶応義塾大学教授(財政社会学)の「ベーシック・サービス」構想が、賛否両論を巻き起こしている。
同氏の著書『幸福の増税論』(18年11月)によれば、日本では、中高所得層の生活水準も低下する中、弱者を救済するためだけの租税に対しては中高所得層が抵抗するようになっており、増税を難しくしているという。
しかし、ベーシック・サービスであれば、弱者だけを救済するのではなく、全ての人を何らかの受益者にできると強調する。
井手氏は、必要な財源として、全てを消費税で賄うのであれば、税率20%程度になると試算。
ただし、消費税の逆進性を緩和するため、所得税の累進度を高めたり、相続税を引き上げるなど、税のパッケージ化によって、全体として負担の公平性を担保できると主張している。

同氏の提言の根底には、救うべき弱者を特定した社会保障だと、他の層との“分断線”が引かれ、社会的な亀裂を生じさせるという問題意識がある。分断をつくらないために、全員に等しくサービスを提供するという発想で、本稿で触れた「弱者の明確化」とは方向性が異なるが、重要な選択肢として検討に値しよう。

公明党が結党された55年前、既成政党は「福祉なんて政治ではない」と冷淡だった。しかし、未曽有の少子高齢化が進む中で公明党は、福祉を政治の主流へと着実に押し上げてきた。
40年問題は、自治体ごとにその現れ方が大きく異なる。地域に根を張り、全国にネットワークを持つ公明党のリーダーシップが、ますます求められる時代に入った。
今、再び大衆福祉の旗を高く掲げ、「小さな声」に耳を傾け、40年を見据えた安心の社会保障構築に挑まねばならない。世代や党派を超えた幅広い国民的合意の形成へ、粘り強く議論を進めていきたい。

以上、3種類の情報を紹介しました。
決してそんなつもりはなかったのですが、公明党PRページのようになってしまいました。
しかし、これまでの3つの政党に比べると、遥かに真摯にベーシックインカムについて検討・研究し、党員への理解と浸透を強く意識していることが理解できます。
2040年問題に向けての、公明新聞・ビジョン検討チームが提案するという形も望ましいものです。
最近内閣府に設置された「孤独・孤立対策に関する連絡調整会議」をベースとした取り組みも、明らかに公明党の意向にそったものと思われます。



ベーシックサービスよりも日本独自のベーシックインカム、ベーシックペンションの検討・考察をお奨めします!

真摯な政策、姿勢には好感を持っています。
公明党には、ドイツのキリスト教民主同盟のような立ち位置とその存在意義を期待しています。
しかし、多くの政策課題については、本来自民党とは相いれないものを持つはず。
特に社会保障政策・制度には多々そうした要素・要因があるはずです。
従い、連立の意義は、それ以外の分野で自民党の暴走を食い止めることにあるのですが、次第に効かなくなってきているのです。
連立そのものに無理が広がってきていることは公明党自体が感じているところかと思います。
しかし、現実的に自民党以外と公明党が連立を組むという可能性・選択肢がないのです。

まあ、それはそれとして、同党がベーシックインカムではなく、ベーシックサービスに傾斜していることには反対です。
ベーシックサービスではお金の給付はありません。
現実的には、食料品や衣類、日用品などの基礎的な生活に必要なお金がない人が多数います。
現状、生活保護を受けている人、低賃金や失業で厳しい生活を強いられている人々にとってベーシックサービスがあっても食べていくことができません。
現状の低い額の支給にとどまる老齢基礎年金をどうするのかも明確に示されていません。
現金(ベーシックペンションではデジタル通貨ですがこれもお金です)を受け取ることができないベーシックサービスは、欠陥制度です。

また、消費増税を前提としていること、敷いては税と社会保障の一体化、財政健全化を前提としていることで、無償化をめざすベーシックサービスでは、特に医療技術の高度化やタダであることからの無駄遣いなどで、想定外に高額化・増額化する医療費を想定すると、自ずと財政問題が拡大し、無料・無償サービスを維持することは不可能になるでしょう。
またベーシックサービスは必要な人が必要な時に、必要なだけ無償で平等に利用できると言いますが、利用するサービスの質と量は個人ごとに違いがあり、決して平等ではありません。

図らずも、ベーシックサービスを
分断をつくらないために、全員に等しくサービスを提供するという発想で、「弱者の明確化」とは方向性が異なる」と理解していることで、本質的に党の方針・方向性となじまないことを示しているのですから。

いずれにしても、ベーシックサービスを検討するにあたっては、厳しく、その財源問題と関連する社会保障制度、労働政策・制度、そして諸税など、すべて関連させて、総合的かつ個別要件毎に必要な制度・法等の改定が必要であることを申し添えたいと思います。
公明党の提案も、是非その問題点について十分検討と考察を加えてのものであった欲しいと思います。
その疑問・視点を持てば、ベーシックサービスの弱点・問題点は十分分かるのではないかとも。

もし同党の方がこの記事を目にされましたら、是非、前述の各記事を御覧頂きたいと思います。

<ベーシック・ペンションをご理解頂くために最低限お読み頂きたい3つの記事>

⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
⇒ ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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