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20,21世紀の思想・行動・動向

各国の緑の党が主張するベーシックインカムの背景と今後への期待

当サイトで頻繁に利用・引用させて頂いている山森亮氏著『ベーシック・インカム入門』(2009/2/20刊)の<第6章<南>・<緑>・プレカティ ーベーシック・インカム運動の現在>を参考に、先日
ベーシック・インカム世界ネットワークの位置付け(2021/3/22)
を投稿しました。
今回は、その次の項に取り上げられた、<第2項 <緑>のベーシック・インカム>を参考に構成するものです。

環境政党・緑の党が、なぜベーシックインカムか

現在の社会保障制度が完全雇用を前提としているため、経済成長とういう発想から手を切ることはできない、と山森氏は指摘します。
これは取りも直さず、ベーシックインカムについても、昨年来のコロナ禍もあって、経済対策目的でと第一義的に語られることと通じています。

となると、完全雇用を前提としないベーシックインカムならエコロジスト、そして環境政党である緑の党がBIを主張することにも合理性があることに。
ややこじつけ的なのですが。

(参考)
福祉国家論とベーシックインカム:福祉国家から基本的人権社会保障国家へ(2021/2/27)
 ウェルフェアでもなく、ワークフェアでもなく、ヒューマンフェアとしてのベーシック・ペンション(2021/3/14)

各国の緑の党のベーシックインカム主張の主な課題・視点


しかし山森氏はそれ以外の側面を指摘します。
以下に各国の緑の党が党綱領などでベーシックインカムを主張する主な視点を列記します。

カナダ:障害者政策
アメリカ:女性の權利、貧困撲滅及び経済全般
ニュージーランド:主に女性政策
ドイツ:女性党員中心の議論として
フランス:失業、ワークシェアリング、正規雇用から非正規雇用へという雇用環境の変化との関連で
フィンランド:フランスと同様
イングランド&ウェールズ:貧困の罠の解消、福祉受給者の尊厳の回復

このように、緑の党がベーシック・インカムを推進する大きな理由は、女性の權利など社会運動の展開と歩調を合わせてきているわけです。

現在の緑の党の性格・本質を理解する

そして、

緑の党=環境保護政党という理解ではなく、緑の党=環境、ジェンダー、平等、福祉受給者やマイノリティの權利など「1968年的」価値に基づく政党と理解することで、緑の党とベーシックインカムの歴史的な関連を理解すべき。

と同氏は提起します。

「1968年的」と言うのは、1968年パリ5月革命が一つの象徴ですし、先に投稿した記事
1968年凶弾に倒れたキング牧師を動かしたアメリカ福祉権運動とベーシックインカム(2021/3/17)
にある、キング牧師が凶弾に倒れたのも1968年。
ちょうどそうした社会運動が各国で起き、それらの活動が欧米の政治的事象、政治活動へと引き継がれ、1970年以降の各国での緑の党の結成に至るとしています。
そしてその背景からも緑の党の中心を担っているのが「女性」であることも理解できるところです。

⇒ グローバル緑の党ホームページ  Home – Global Greens

https://globalgreens.org/

今後の緑の党への期待


現代及び現在、各国のベーシックインカムの導入・実現を目標として行われている活動において、緑の党が一つの軸になっていることは明らかですが、まだまだ政治的位置においては、十分な勢力を持つまでには至っていません。
各国で社会的実験が種々行われてきていますが、そこで緑の党がどこまで主導権を持ち得ているかについても、未だしの感が強いですね。

そろそろドイツでは、メルケル首相の退任決定後のキリスト教民主同盟(CDU)の弱体化と歩調を合わせるかのようにドイツ緑の党が統制を拡大しつつあることが報じられています。
(参考)
⇒ ドイツ、「メルケル後」情勢混沌 与党窮地、勢いづく緑の党

しかし、多党化が政治体制の不安定化につながる典型を、ヨーロッパ各国の民主主義政治で見る通り、緑の党が政権政党となる道のりはまだまだ、と私は感じています。
連立を組むことは十分あり得ますが。

ただ、こうした女性が中心として活動する政党が社会的に認知され、持続性をもつことだけでも、日本の政治シーンとの大きな違いを感じるとともに、何か大きなきっかけが起きないか、起こせないかという期待をもたせてくれるとも感じています。

とは言っても、日本の社会的状況を考えると、上記の各国の1960年代の緑の党のベーシックインカム主張の背景・目的のすべての項目・内容が、わが国の現状にそのまま該当することに愕然とします。
だからこそ、日本独自のベーシックインカム、ネーシック・ペンション生活基礎年金の必要性を強く提案したいのです。


日本の緑の党の現状とベーシックインカム政策

ここまで来て日本の緑の党について触れずに終わるのはまずいですね。
山森氏の前掲書が出版されたのは2009年。
日本の緑の党グリーンズジャパンが設立されたのが、東日本大震災を契機としての2012年7月。
当然その書に日本の緑の党が出てくるはずがありません。

一応、日本の緑の党が、ベーシックインカムについて政策として掲げている部分のみ、以下に抽出しておきます。

【4】 公正な負担によって、すべての人の生存権を保障する
(1)  生存権を保障する最低所得保障制度と公正な税制、持続可能な財政体系を実現する

  1. 所得を得ることと労働とを切り離し、「生きていることそのもの」への給付として、全ての個人に最低限の生活保障のためのベーシックインカム導入を進める。制度導入にあたっては、公正税制を含む税体系の再構築、現物・現金給付の適切な組み合わせとその充実によって社会保障を拡充する
  2. 当面は、年金制度を抜本的に改革し、同時に給付付き税額控除の導入と生活保護の改善・捕捉率の向上貧困をなくす
  3. 世代間の給付と負担の大きな不公平を、低所得の高齢者の負担増にならない方法によって、縮小する。年金所得への所得税を強化する。基礎年金部分への一律の税金投入をやめる。富裕な資産保有者に対する相続税の抜本的な強化など資産課税を強化する
  4. リニア新幹線や整備新幹線の建設など不要な公共事業の中止、天下りの根絶、公務員の給与体系の改革、軍事費の大幅削減によって、ムダな財政支出を減らす
  5. 特別会計については必要性・公正性などの観点から抜本的に見直し、整理・縮小や透明化と一般会計への組み入れを進める
  6. 最高税率の引き上げと段階刻みの増加等により所得税の累進性を高め、相続税・金融課税、環境税など富裕層と企業への課税を強化し、所得再分配の効果を高める
  7. 法人税は引き下げず、政策減税(租税特別措置など)は大企業向けを中心に大幅に圧縮する。企業の内部留保が適切に人件費などに振り向けられるよう、税制度を整備する。タックス・ヘイブンの子会社に移転した利益に対する課税を強化し、グローバル企業による大規模な税金逃れを禁じる
  8. 環境負荷を軽減しつつ雇用や暮らしを改善するための環境税制改革を進める
  9. 不公正な税体系が解消されないままの消費税率のこれ以上の引き上げは停止する。消費増税の議論は、給付付き税額控除の導入による逆進性解消、中小零細企業の負担軽減、財政全体の改革、社会保障の充実などを前提とする
  10. 国から地方への財源移譲を進め、地方自治体が住民参加によって住民のニーズに応じたサービスを提供する

(2)  誰もがいつでもどこでも安心して自分らしく生き続けられる支えあいの仕組みの構築に向け、共助と公共サービスの連携を進める

  1. 人間は病気をするという認識の上に立ち、投薬や検査など、病気を治すことのみを重視する現在の診療報酬体系などの医療制度を改革し、自然治癒力を基礎にする。カウンセリングなどの相談体制を改革するなども含め、病気になった人が自分で納得して選択できる制度にする
  2. 医療保険制度を一元化し、救急医療や産科・小児科の医療従事者を確保するように診療報酬体系を改革する。「混合診療」の全面的解禁に反対し、国民皆保険制度を維持する
  3. 介護報酬を大幅に引き上げ、介護従事者の賃金を全産業平均の水準に引き上げるなど待遇を抜本的に改善して、サービスの供給を増やす。要介護度の低い人への生活支援サービスの切り捨てに反対し、介護保険で保障する。病気になっても介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らす生き続けられることを可能にする地域医療・介護ネットワークを充実させる
  4. 介護保険法で規定する内容は全国規模で統一が必要なもののみに限定し、介護サービスは事業主体である市区町村が地域特性にあった制度設計ができるようにする
  5. 当事者主権の立場に立って、個々人のニーズと生活実態に応じた介助サービスを保障し、障がい者が自分らしく生きることができるようにする
  6. 働き方の多様化と多様な保育サービスで、安心して子どもを生み育てる仕組みをつくる
  7. 低家賃の公営住宅の増大、低所得者への家賃補助などによって、住まいの権利を保障する
  8. 公共交通の維持整備によりミニマムサービスとしてのモビリティ(移動可能性)を確保し交通弱者を少なくする
  9. 社会保障を世帯単位の制度からシングル単位の制度に変える

その他の政策も含め、ベーシックインカムに関係する諸制度の扱いもかなり細かく記されています。
いずれ別の機会に、他の政党のベーシックインカムに対する姿勢・政策なども合わせて、確認する予定です。


グローバル・グリーンズ憲章:日本語訳

なお最後に、日本の緑の党による「グローバル・グリーンズ憲章」の日本語訳をそのまま以下に転載しました。
こちらも後日内容を確認したいと思っています。

前文

この惑星の市民でありグローバル・グリーンズのメンバーでもある私たちは、
地球の生命力や多様性、美に依存し、それらを減らすことなく、むしろ豊かにして次世代に手渡す意識のもとに結集し、
地球の持つ許容量を考えることなく大量に、かつ無駄に自然資源を浪費することによる経済成長の教義に基づいた、極端な環境悪化と著しい種の絶滅を引き起こしている人類の生産と消費の支配的パターンを認識し、
不正義や人種差別、貧困、無知、腐敗、犯罪、暴力、武力紛争、短期間における最大利益の追及が人類全体に引き起こしている苦難を認識し、
先進国による政治的・経済的ゴールの追及が環境と人間の尊厳の劣化を招いていることを受け入れ、
長い世紀に渡る植民地化と搾取が、多くの国と国民を貧困化させ、豊かな国々がこれら貧困化された国々に環境的負荷を負わせていることを理解し、
富者と貧者の格差を縮め、社会的、経済的、政治的、文化的生活におけるあらゆる局面におけるすべての個人の平等な権利に基づく市民権の確立に関与し、
男女間の平等なしには真の民主主義は達成され得ないことを認識し、
人間の尊厳と文化的遺産の価値に関心を寄せ、
先住民の権利と、彼らによる私たち共通の遺産に対する貢献と、全ての社会的少数者や、文化、宗教、経済、生活を抑圧された人びとの権利を認識し、
競争ではなく協力が、栄養のある食事、快適な住処、健康、教育、公正な労働、表現の自由、清浄な大気、飲料可能な水、損なわれていない自然環境といった基本的人権を保証する前提条件であることを確信し、
環境は国々の間に引かれた国境線など飛び越えてしまうことを認識し、
1992年のリオデジャネイロにおける緑の党のグローバル集会における宣言に基礎を置いて、
人びとの態度や価値観、生産様式や生活様式の根本的な変革の必要性を主張し、
新しい千年紀をその変革の開始点とすることを宣言し、

 以下の点において包括的な持続可能性の概念を推進する。すなわち、

  • 特に生物多様性と、生命を持続させる自然のプロセスに注意を払って、地球のエコシステムの統合性を保全し、回復すること
  • 全ての環境的、社会的、経済的プロセスの相互関係性を認識すること
  • 個人の利益と共通の善のバランスを取ること
  • 責任と自由を調和させること
  • 団結した中での多様性を歓迎すること
  • 長期的なゴールと短期的目標を調和させること
  • 将来の世代が、自然から得られる、あるいは文化的な利益を現代の世代と同じように得られる権利を保証すること

より素晴らしい生命共同体や将来世代に対して、私たちの責任を互いに認識し、
世界中の緑の党または政治運動がこれら相互関係にある諸原則を適用し、その履行を支持する世界的パートナーシップを創設することを約束する。

諸原則

グローバル・グリーンズの政策は以下の諸原則の基礎のもとに作られる。すなわち、

1.エコロジカルな知恵

私たちは、人類が自然の世界の一部であることや、人間以外の種を含むあらゆる種類の命の特別な価値に対する尊重を認識する。
私たちは、世界の先住民の人びとの知恵を、その土地と資源の所有者として尊重する。
私たちは、人間社会が地球の環境的資源に依拠していることを認識し、エコシステムの統合性を保障し、生物多様性と生命維持システムを保全しなければならないことを認識する。

すなわち、そのためには

  • 私たちは地球の環境的・資源的制限の内に生きていることを学び、
  • 私たちは動物や地球上の命、そして大地や水、大気、太陽といった自然の要素によって維持されている命そのものを守り、
  • 私たちの知識は制限的なものであることを認識した上で、現在及び将来世代のための資源がふんだんであり続けることを確約するために、注意深く将来への道筋を描くことが要求される。

2.社会的公正

 私たちは、社会的公正の鍵は、ベーシック・ヒューマン・ニーズを無条件に満たすため、またすべての市民が個人的及び社会的発展への完全なる機会を持つことを確約するための、ローカル・グローバル両レベルにおける社会的及び天然の資源の公正な分配にあると主張する。
私たちは、環境的公正のないところに社会的公正はなく、社会的公正のないところに環境的公正はないと宣言する。

すなわち、そのためには

  • 世界レベルでの公正な組織と、国内及び諸国間における拡大する富者と貧者の格差を縮める安定した世界経済、南から北への資源フローのバランス、発展を阻害している貧しい国々の債務の負担軽減
  • 倫理的、社会的、経済的、生態学的要求としての貧困の撲滅
  • 非識字率の抹消
  • ジェンダー、人種、年齢、性別、階級、民族的・国家的起源、性的指向、障がい、富、または健康状態にかかわらず、すべての個人に与えられている平等な権利を基礎とした市民権の新しいビジョン

が求められる。

3.参画型民主主義

  私たちは、すべての市民が自らの意見を表明する権利を持ち、生活に影響を与える環境的、経済的、社会的及び政治的決定過程に直接参加できる民主主義を追求する。そこでは、権力と責任は地域的なコミュニティに集中され、より高い統治機構には基本的な事項だけがゆだねられる。

  すなわち、

  • いかなる決定においても必要なすべての関連情報に対するアクセスを通じた個人のエンパワーメントと、すべての人が参画することを可能にする教育へのアクセス
  • 参加を妨げる富及び権力の不平等の脱構築
  • 市民の活力や自発的行動、コミュニティの責任を後押しするシステムに基づいた、影響を受ける人たちによる適切なレベルにおける直接的決定を可能にする草の根組織の構築
  • あらゆる決定主体への参加を含んだ、政治的生活におけるすべての側面における若年層の関与を教育、促進、支援することを通じた、若い人たちに発言の機会を与える強力なサポート
  • すべての選ばれた代表者が統治における透明性、誠実性及び説明責任性の原則を全うすること
  • すべての選挙システムが透明で民主的であり、それが法律によって強化されていること
  • すべての選挙システムにおいて、すべての成人が平等な一票を持つこと
  • すべての選挙システムが比例代表制に基づき、すべての選挙が厳密に限定された公の資金源によって賄われ、企業・個人献金の完全な透明性が保たれていること
  • すべての市民が多党制の中で自分自身の選択において政党のメンバーとなる権利を持っていること

が求められる。

4.非暴力

 私たちは非暴力に対する関与を宣言し、世界の安全保障の基礎として、平和の文化と国家間、社会内、個人間に平和と協力の文化を求める努力をする。
 私たちは、安全保障が主として軍事的パワーではなく協力、堅実な経済的・社会的発展、環境的安全性、人権の尊重に基づくものだと信じる。

 それはすなわち

  • 軍事的パワーバランスに一義的基礎を置く概念の代わりに、紛争の社会的、経済的、環境的、心理的及び文化的側面にプライオリティを置く世界的安全保障の包括的概念
  • 紛争の予防、マネージメント及び解決を可能とする世界的な安全保障システム
  • 他の文化への理解と尊重や人種差別の撲滅、自由と民主主義の促進と世界的な貧困の撲滅による戦争の原因の除去
  • 核兵器、生物兵器や化学兵器、対人地雷、劣化ウラン兵器の完全かつ決定的な禁止を確約する国際的合意を含んだ全面的かつ完全な武装解除
  • 紛争のマネージメントや平和維持機関としての国連の強化
  • 人権が侵害されている国々への武器輸出に対する厳格な規範の追及

が求められる。


5.持続可能性

 私たちは、生物圏内における人間社会の資源拡張の範囲は限定されていることと、再生可能な資源の持続可能な使用と、責任ある非再生可能資源の使用を通じて生物多様性を維持する必要性を認識する。
 私たちは、持続可能性を達成するために、また地球の限定された資源を現代及び将来世代の必要に応じて供給するために、世界的消費、人口及び資源の不公正性の絶え間なき増加はやめさせ、逆転させなければならないと信じる。

 そのためには、

  • 富者はその消費を制限し、貧者が地球資源の公正な分配を受けられることを確かにすること
  • 過大消費の容量より生活の質に焦点を当てた、富の概念の再定義
  • 少数者の貪欲さではなく、すべての人の必要を満たすための、また将来世代のニーズを満たす能力を危険にさらすことなく、現世代の人のニーズを満たすことを可能にする世界経済の構築
  • 経済的安全保障を確保することと、基礎的教育と医療へのアクセスを提供することによる人口増加要因の解消、男性・女性両方に対する生殖に対するコントロール
  • 持続可能な発展の原則をサポートするための、多国籍企業の役割と責任の再定義
  • 投機的な金融フローに対する課税と規制のメカニズムを適用すること
  • 商品やサービスの市場価格に、その生産及び消費にかかる環境的コストを組み込むことを確約すること
  • よりよい資源とエネルギーの効率化と開発、環境的に持続可能な技術の使用を達成すること
  • 有益で、必要が満たされたコミュニティ建設まで最大限実現可能なレベルでローカルな自給自足を後押しすること
  • 若者文化の重要な役割を認識し、その文化の中での持続可能性の道徳を育むこと

6.多様性の尊重

 私たちは、文化的、言語的、民族的、性的、宗教的及び精神的多様性を、すべての存在に対する個人の責任という文脈の中において尊重する。
 私たちは、個人の尊厳、からだの健康、信仰や精神的幸福がまもられる環境を差別無く享受できる全ての人びとの権利を擁護する。
 私たちは、多文化社会の精神のもと、分断を超えた、尊厳のある、肯定的で責任ある関係性を構築することを推進する。

 これには

  • 土地や自己決定に対する権利を含む、経済的及び文化的な、生存のための基本的手段に対する先住民の人々の権利の認識と、国や世界の文化の共通遺産に対する彼らの貢献に対する認識
  • 差別することなしに民族的少数者が自らの文化、宗教および言語を発展させる権利と、民主主義的プロセスへの完全な法的、社会的及び文化的参加を認めること
  • 性的少数者の認識と彼らの尊重
  • 社会的、経済的、政治的及び文化的生活のすべての局面での女性と男性の平等
  • 私たち緑のビジョンに対する価値ある貢献としての若者文化の重要な関与と、若者たちが表現に対して独自の必要性と方法論を持っていることを認識すること

政治的アクション

1.民主主義

1.0世界の大半の人びとは、腐敗が横行し、人権が侵害され、メディアが検閲されるという非民主主義的な体制の国々に住んでいる。発達した民主主義体制においては、メディアの集中や企業政治献金、人種的、民族的、国籍的及び宗教的コミュニティの構造的排除、代替的なアイデアや新しく小さな政党を差別する選挙制度を通じた明白な腐敗はより小さい。

緑の党は、
1.1 民主主義的で透明な、かつ説明責任を持った政府のために尽力する草の根運動や市民社会運動を、あらゆるレベルで後押しすることやサポートすることに優先順位を置く。
1.2 政治活動のあらゆる局面における若年層の参画を教育し、後押しし、アシストすることを通じて、若年層が声をあげるよう活発にサポートする。
1.3 女性と男性が平等に経済的、政治的、社会的局面において参加できるよう、適切な処置を推進することによって、ジェンダーにおける民主主義を達成できるよう努力する。
1.4 経済開発協力機構(OECD)の国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約をサポートし、未批准国に遅滞なき署名・批准を求める。
1.5 公的な情報や、自由で独立したメディアに対する市民のアクセス権を支持する。
1.6 最低でもラジオやコミュニティベースのインターネットやEメールなど、電子的コミュニケーションや情報テクノロジーへの普遍的アクセスのために尽力する。また、これらの技術に対して可能な限り安価にアクセスできるよう尽力する。
1.7 犯罪と罰の間の均衡を実現し、弁護する権利を確約する公正で世俗的な法体系を支持する。
1.8 選挙への公的資金援助や、すべての献金が完全に透明かつ説明責任を果たせ、直接または間接的な不当な圧力から免れることを支持する。
1.9 特に市民の政治参加の権利が奪われている場合、政府の集団的独占に挑戦する。
1.10  行政、立法、司法システムの分権と、国家と宗教の分離を支持する。
1.11  地方政府の発展と強化を支持する。
1.12  市民権力と持続可能な発展という目標に奉仕するため、国家機関を民主化し、より透明化させる再構築を支持する。
1.13  選挙で選ばれていない集団的利益より、一人一票、一理念という民主主義的原則に基づいた世界的な統治を支持する。

2.公正

2.0 現在の世界の生活水準の格差と機会の不均等さは容認しがたいものである。第三世界の負債は、OECD諸国がGNPのわずか0.31%を供与しているに過ぎないのに対して、3兆7千億USドルにも達している。世界の裕福な20%の人口が世界の収入の83%を得ている一方で、世界の若年層のうちほぼ50%を含む最も貧しい20%はわずか1%の富を分け合っており、2億6千万人の人びとは1日あたり2USドル以下の生活を強いられている。世界の貧困層のうち60%は女性であり、1億3千万人の子どもたちは学校に行けず、8億人の大人は読み書きができず、そのうちの3分の2は女性である。人口増加は減速しているが、世界人口は2000年の61億人から2050年には89億人まで、47%増加すると見られている。HIVや結核のような感染症が深刻な問題となり続けている。

緑の党は、
2.1 発展途上国に対する政府援助を増やすことに尽力し、ローカルなコミュニティと協同することを最優先とした、貧困層の中でも最貧層への直接援助の基金創設を支持する。
2.2 女性の権利、地位、教育及び政治参加の改善に尽力する。
2.3 援助の増加と債務救済を通じて、2015年までに普遍的な高い質の初等教育を達成するという目標に私たち自身が関わる。
2.4 発展途上国、特に最貧国の債務帳消しに尽力し、債務帳消しによる余剰が貧困の削減と環境保全に向かうよう確約するインセンティブを使うことを支持し、全ての影響を受けるコミュニティの参加によって透明性が確保され、説明責任プロセスが確保されるよう尽力する。
2.5 特に低コストで効果的な治療への普遍的なアクセスを許容し、特に教育を通じた経済発展を回復するために二倍の努力が必要とされているアフリカで、HIV-エイズ、結核、マラリアを優先的に含んだ疫病の大流行と戦うアクションに関わる。
2.6 植民地化や移民などによる環境破壊や人間の介入によって起こった強制移住を通じた、自然資源へのアクセスを喪失した人々に対する補償の権利を認識する。
2.7 環境の乱用や、特に先住民コミュニティを含むすべての基本的な生活に対するアクセスを抑制し、排他的所有権と排他的資源利用の間の関係性を見直す。
2.8 全ての男性、女性と子どもたちが、ポルノ、売春や性の売買といった個人に害をなす活動資源なしに経済的安全保障を達成できることを確約するために尽力する。
2.9 先進国においてすら貧困層や周縁層が拡大していることを認識し、私たちの社会内部における機会均等のため及び社会保障の平等な配分のための尽力に関わる。
2.10  現在の金融ネオリベラル資本主義は富者を肥やし、危機を引き起こしがちであると理解する。それは不均衡を拡大させ、貧しい人びとを追い立てる。
2.11  有色人種の人道的、社会的及び環境的権利を擁護し、促進する。


3.気候変動とエネルギー

3.0 気候変動は、世界コミュニティが直面する最も大きな挑戦であるとともに、地球の環境的制限の中でいかに社会的に公正なやり方で私たちが生きるかを考え直す、人道にとって最も大きな機会でもある。緑の党は、産業革命前と比べて1.5度を超えない程度に全球温度上昇を抑えることに尽力する。この気温制限内におさめるためには、2020年より前に世界の温室効果ガスのピークを持ってくる必要がある。

緑の党は
3.1 可能な限り早い段階で大気中のCO2レベルを450ppmに抑えるという目標を採用する。
3.2 世界中で炭素のゼロエミッションへの早急な移行を支持する。
3.3 世界的な炭素税や環境負荷税とリンクさせつつ、多国籍企業の国際的温室効果ガス排出量の報告枠組み確立のために尽力する。
3.4 発展途上国が、特に再生可能エネルギーに強力な焦点を当てつつ、最も効率的で持続可能な、適切な技術へのアクセスを持つことを確約し、行動計画が包括的で世界規模のものとなるよう、これらの国々が気候変動枠組み条約に同意することに強力に尽力する。気候変動における交渉と方策の中核は公正の原則である。
3.5 いかなる形においても原子力の拡散に反対し、早期にこれをなくすよう尽力する。
3.6 新たな化石燃料の採掘と開発のモラトリアムの要求を支持する。
3.7 森林資源が地球のエコシステムの中で最も炭素を吸収する源であり、先住民族にとって死活的であり、多くの動植物を育み、いかなる人類の時間基準とも変換不可能であることに注意を払い、森林破壊と原生林の減少を止めるために尽力する。
3.8 短期的には炭素吸収の方法として、またその他の環境的利益のために、単一種ではなく多様な種の植林を促進する。
3.9 非再生可能エネルギーに対する課税徴収を促進し、エネルギー効率化と再生可能エネルギーのために立ち上げられる基金の利用を支持する。
3.10 持続可能なエネルギー資源利用と、環境にやさしいエネルギー生産の技術開発の研究を支持する。
3.11 エネルギー効率化技術とグリーンエネルギーインフラの、無償もしくは最低限のコストによる国家間もしくは経済体制間の移転を促進する。これは西洋国家による温室効果ガス排出の経済的コストの一つである。


4.生物多様性

4.0 健全なエコシステムは人類生活において本質的に重要だが、自然と社会のあいだの関係を我々は忘れているかのようである。種の絶滅率は、人類誕生以前と比べると100倍から1000倍に上る。比較的平穏に残されている地球の原生林はわずか20%である。漁業資源の80%は既に枯渇したか過剰漁業の危機にさらされている。動植物の生殖域の破壊と種の絶滅は、産業と農業の発展によってもたらされた。それは気候変動や世界的不公正、先住民の文化や生き方の破壊を深刻化させている。アグリビジネスによって推進された農業におけるモノカルチャーや加速する遺伝子組み換え、自然の専売特許化は、疫病に対する脆弱性を急激に増大させながら、農作物や家畜の種の多様性を脅かしている。

緑の党は
4.1 環境破壊的な農業や産業の発展に精力的に反対し、原生の動植物を可能な限り広い自然の生息環境で保護する努力を第一義的に行う。
4.2 森林伐採、化石燃料の採掘、ダム建設、鉱山開発、遺伝子エンジニアリング、単一栽培農業といった環境破壊的活動に対する補助金をやめさせるために尽力する。
4.3 信頼できるラベリングに裏付けされた持続可能性の最も厳密な定義にのみ基づいた、木材のような製品に関する環境にやさしい購買政策を推進する。
4.4 被害にあう先住民や地域のコミュニティの同意のもとに行われる「自然の負荷」スワップの概念を支持する。
4.5 劣化した自然環境の修復と、世界中における現存するもしくは存在した軍事基地及び産業地帯の毒化された土地の浄化を促進する。
4.6 可能な限り現地生産を志向することで、世界中の商品輸送を減らすことは、化石燃料の消費と温室効果ガス排出の削減とともに、「生態系侵略」を減らす利益を得ることができることに留意する。
4.7 あらゆる教育レベルにおいて世界のエコロジーについてのカリキュラムを推進することに尽力する。
4.8 特に企業、民族、国家及び個人の行動の結果の可能性がある環境破壊や生物多様性の喪失について、国際的司法機関を創設することに尽力する。
4.9 生命の特許化及び商品化を受け入れることを拒絶する。


5.持続可能な原則に従ったグローバリゼーション経済の統治

5.0 最も大きな100の経済主体のうち53は企業体である。政府の共謀により、彼らは公益の上で束縛されない経済的活動を展開し、企業の福祉を守りつつ公共の福祉を攻撃し、国家経済を1日あたり3兆USドルものめまぐるしい取引が行われる世界的な金融カジノに従属させる合法的なシステムをつくりあげた。世界的金融危機は、最も貧しい個人、グループ、国家に最も重大なインパクトを与えつつ、全ての経済において不安定さと非安全性を増大させてきた。IMFと世界銀行は、彼らが依拠する前提は世界的に持続可能で公正な経済システムをつくることではないので、この危機に対して解決策となるどころかむしろ危機に貢献してきた。

緑の党は
5.1 水のような生活において本質的に重要なものは公共的に所有されコントロールされるべきであり、文化、食糧への基本的なアクセス、社会的・公衆衛生、教育、無料メディアは国際的市場の合意に基づいた「商品」ではないことを主張する。
5.2 国連環境プログラム(UNEP)、国連開発計画(UNDP)と地球環境ファシリティ(GEF)を、世界的な持続可能な発展を推進するために制裁を課す資金と権限を持ったひとつの組織に統合した世界環境機関の創設を支持する。世界貿易機関(WTO)はこの主体の決定に従う。
5.3 世界銀行とIMFのメンバーシップと決定過程が民主的になるよう、またそのオペレーションが持続可能性、全ての人権及び労働権、環境保護に関する国際的取り決めの原則に従うような本格的な改革を支持する。
5.4 持続可能性を中心的な目標とし、透明で民主的なプロセスに則り、すべての関与するコミュニティの代表が参加するよう、WTOの本格的な改革を支持する。加えて、WTOの排他的な競争から紛争解決制度を取り除く権力を分離させなければならない。早期の交渉ラウンドの持続可能性に関する影響のアセスメントが、あらゆる新しいステップが取られる前に必要である。
5.5 WTOのルールに従った新しい地域的及び半球的貿易と投資に関する合意を取り除き、人びとの福祉と環境的持続可能性を確立する国家的統合プロセスを支持する。
5.6 金融的及び経済的組織または機関が、ローカル、地域、国家及び国際関係といったすべてのレベルにおいてコミュニティを維持する環境的に持続可能なプロジェクトを助長し保護する世界的環境を創設する。
5.7 環境、労働条件、健康が、貿易に関するいかなる国際的ルールより優先されるべきであるという国際的な合意を要求する。
5.8 国際的な投機的通貨取引を制限し、実体経済への投資を後押しし、世界の発展における公正さを促進する基金を創設するためのトービン税もしくは金融取引税及びその他の制度を適用することに尽力する。
5.9 どれだけ緊縮していようとも、企業が操業している国々における特に環境、労働及び社会法に従うよう企業に要求するために尽力する。
5.10 特に国際貿易の規則を定義する重要なキャパシティーを備えたすべての世界的機関が、持続可能な開発の法則を堅く厳守し、完全にこの目的を実現するための文化変容トレーニングプログラムを追求することを確約するために尽力する。
5.11 環境的及び社会的に破壊的な活動をともになくすための補助金をもって、企業の福祉が透明であり、社会福祉と同等のレベルの責任を果たすことを求める。
5.12 経済グローバル化によって引き起こされた社会的排除と戦う方法として、コミュニティに基づいた経済を促進するために市民起業家精神の発展を支持する。


6.人権

6.0 人権と自由の否定は貧困と政治的な力の喪失を伴う。何百万もの人たちが差別、脅迫、恣意的な拘束、暴力や死に苦しんでいる。世界の政府の4分の3は最近3年の間に拷問を行っている。

緑の党は
6.1 世界人権宣言、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(国際人権A規約)、市民的および政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約)、国際人権機構(ILO)規約及びその他の権利と自由を保護する国際的規約を承認する。私たちは、これらの権利が普遍的かつ不可分であり、国家政府はこれらを守る責任があると考える。
6.2 政治的要求如何に関わらず、人権を否定するすべての独裁政治や独裁体制を非難する。
6.3 人権啓発促進のため、また国連人権委員会やその他の条約機構が適切に資源配分されるよう、地域コミュニティと協同する。
6.4 世界人権宣言に対し、健全な自然環境に対する権利と、自然及び文化的な世代を超えた権利を含むよう修正することを要求する。
6.5 自ら適切だとみなす方法による、差別や強制から免れた出産コントロールを含む、女性の自己決定の権利を支持する。女性差別撤廃条約(CEDAW)を支持する。未署名国に対しては遅滞なき署名と批准を要求する。署名国に対してはすべての留保を撤回するよう求める。
6.6 先住民の自己決定、土地への権利、人類的及び環境的に持続可能な技術による彼ら自身の生存のための伝統的狩猟や漁業の権利を支持する。また、先住民の人びとが自らの国際機関を設立し稼働させる動きを支持する。
6.7 先住民の人びとに受け入れられた最低限の保護基準としての、先住民族の権利に関する国連宣言を支持し、先住民の人びとが自らの国際機関を設立し稼働させる動きを支持する。
6.8 拷問に対しては説明責任を負わせることを要求し、その国々やその他のあらゆる場所で、国際刑事裁判所の主導の下に役務を行う国際間パネルの判事によって正義がもたらされるよう運動する。
6.9 拷問、刑罰、伝統的及び宗教的割礼を含む他のあらゆる行動によるあらゆる個人の身体的暴力に反対する。
6.10 世界的に死刑を廃止するよう要求する。
6.11 各国政府に対し、亡命を求めるものに対しては、彼らが国家による暴力の犠牲者か独立系武装グループによる犠牲者かに関わらず、1951年の亡命権に関するジェノバ条約に従って正しく扱われるよう求める。亡命を求めるものたちは公正なプロセスにアクセスでき、不当に拘束されず、基本的人権の侵害や死のリスクへの直面、その他非人道的な取り扱いに苦しむかもしれない国への送還はされない。
6.12 集団的排除の禁止を求める。
6.13 労働者が安全で公正な報酬を得、組合を組織する自由をもつ権利を支持する。
6.14 子どもたちが労働の強制から免れて育つ権利と、小児/学童の労働下限年齢を定めることを支持する。
6.15 ホモセクシャルの非犯罪化を要求し、ゲイやレズビアンの人びとのライフスタイルに対する権利と、ホモセクシャルに対する平等な権利を支持する。
6.16 障がい者が、真の政治参加を含む、平等に生き、働く機会の改善のために尽力する。
6.17 言語的少数者が自らの言語を使用する権利を支持する。


7.食料と水

7.0 数億人もの人が、十分な食糧がないからではなく、土地、水、信用、市場に対するアクセスが不平等なために栄養不足に陥っている。遺伝子組み換え作物(GMOs)は解決策ではない。なぜなら直近の問題は生産ではなく分配だからである。その上、GMOsは環境、独立系小農や消費者、農業災害に対する最も優れた保証である多様性に対して許容し難いリスクを負わせる。水不足は地上システムと伏流水双方から迫り来ている。集水域の森林破壊は地すべりと洪水により壊滅的な被害を与え、砂漠化と地質劣化は急速に広がっている。有機農業の急速な成長だけが唯一の光である。

緑の党は
7.1 基本的な要求(ベーシック・ニーズ)のための正常な水へのアクセスは根源的な権利であると考え、水資源とインフラの私有化に反対する。
7.2 他の社会的補助金の中でもとりわけ水に対する補助金を廃止し、水をより効率的に使えるよう尽力する。
7.3 新鮮な水及び地下水の資源はその質と量が保全され、適切に価格付けがなされ、その資源は枯渇から適切に保護されることを保証するために尽力する。
7.4 貯水地の安定と河川システムの健全性は最重要であると考え、新規の大規模なダムや灌漑プロジェクト、貯水林の森林伐採を含んだ河川の劣化を防ぐために、直接的に影響を受ける人々と協同する。
7.5 土壌の劣化を減少させるため、機構が不確定的な乾燥地帯や半乾燥地帯の地域コミュニティと協同する。
7.6 砂漠化と森林破壊によって激しく影響を受けた国々に関心を寄せ、未だそうでない国々に対して国連砂漠化条約への批准と、この条約が発効するための必要な資源を有効にすることを求める。
7.7 有機農業を支持し、促進する。
7.8 遺伝子組み換え作物の商業的作付の世界的禁止を求める。
7.9 生産、貯蔵及び販売における厳格な規則をもって、食料の安全を保証するために尽力する。
7.10 科学的研究が道徳的に行われ、予防原則に基づいて適用されることを保証するために尽力する。
7.11 すべての難分解性で生物濃縮性の人工化学物質の使用禁止を求め、毒性のある化学物質の環境への放出を停止するために尽力する。
7.12 動物成長ホルモンが禁止され、動物に対する抗生物質の使用を統制する厳格な規則が適用されることを保証するために尽力する。
7.13 生育、輸送、食肉処理過程におけるすべての動物の人道的取り扱いを保証し、動物福祉を保証するために尽力する。
7.14 侵食効果、洪水その他の環境危機が改善され、適切な豊作が適用されることを保証するために尽力する。


8.持続可能な計画

8.0 先進国における消費はいかなる意味においても過剰であり、環境の減少に対して大きな責任を負っている。新興国も消費を増大させており、環境に対する圧力を膨大に加えるだろう。緑の経済への変革――環境のプロセスをまね、モノのリユースとリサイクルでゴミをなくし、生活の質と、商品の消費より関係性を重視する諸活動を強調すること――は、新たな雇用とより公害の少ない産業、よりよい労働環境とより高い生活の質の約束をもたらす。

緑の党は
8.1 進歩を計るのにGDPではなく幸福度で計り、物質的成長と消費に対する環境的限界を認識する。
8.2 開発プロジェクトにより影響を受ける国々の市民たちは、国境に関わらず、その決定過程に参加する権利を持つ。
8.3 いかなる共有の、または/もしくは自然の資源を収奪することで利益を得る者は、正当な利用料の全額を支払うべきであり、さらに利用に伴って生じた別の共有資源への損害に対しても賠償も支払うべきである。
8.4 持続的な都市の成長(スプロール)の農地や自然環境に対するインパクトは限定されるべきであり、究極的には止められるべきであると認識する。
8.5 地方の貧困を伴う都市化のプロセスは減速させられるべきであり、その地方の地形の特徴と環境を保護する適切な地方開発プログラムにとって変わられるべきであると認識する。
8.6 環境的に持続可能なビジネス、住宅建設、輸送手段、ゴミ処理、公園、都市緑化、公共スペースの地域計画を支持する。情報交換とサポートのために、地球上の地方及び地域レベルでグリーンズとの間の関連性を築く。
8.7 限りなく拡大するフリーウェイに反対することで、都市郊外のもととなる乗り物を減らすために尽力する。エネルギー効率の良い乗り物の利用を促進し、公共交通や自転車、徒歩に基づいた土地利用に統合する。自家用車インフラに対して大衆交通の計画と投資を優先させ、車中心開発に偏った税制を廃止する。
8.8 富の公正な再分配のインセンティブを最大化するために税制や公的信用創造、ゴミや公害を避けるインセンティブを供給する環境税を利用して、社会的に責任のある経済的戦略を創造するために尽力する。
8.9 企業とコミュミティが、自然のエコシステムを複製したゴミゼロ経済を目指し、ゴミの減量、再利用、リサイクルをすることを要求する。
8.10 価値を付加する経済活動を通じて、もしくは資源のリサイクル、耐久性のある商品、有機農業、再生可能エネルギーや環境保護を通じて、国々が雇用を創造しやすくするすべての政策を支持する。
8.11 消費者が信頼できる情報に基づいたポジティブな選択ができるようにするため、社会的に責任のある投資と環境市場を促進する。
8.12 伝統の価値観と地方の知識や信仰を認識し、計画やプロジェクトにそれらを入れ込むことを支持する。


9.平和と安全保障

9.0 私たちは、平和とは戦争の不在以上のものだと理解している。平和への努力は、緑の中心テーマであり続けたが、紛争の原因は変化しつつあり、気候変動や水・食糧・資源をめぐる競争の影響が、ますます大きくなっている。戦争と組織犯罪、計画的で大規模な人権侵害の境界はますます不明瞭になっている。2001年以降、「テロとの闘い」が安全保障の名のもとに人権の減衰を引き起こしている。武器取引が、補助金に関するWTOルールの特別免除により助長され(1)、育まれてきた武器貿易は拡大しグローバル化し続けている。地球規模のネットワークとして私たちは、人権と平和のために尽力している地域で活動する組織間のつながりを強化し、興隆しつつある世界的統治の概念と組織を支持し、形作る重要な役割を担っている。

注(1)(訳者注) :WTOは自由貿易を促進するため、各国に国内産業保護のための補助金などを制限しているが、いくつかの例外規定を設けており、兵器産業については「安全保障上の例外」として除外している。これが武器取引を保護・助長しているという指摘である。

緑の党は
9.1 武力紛争の管理と平和維持に向けたグローバルな組織として、国連の役割を強化することを支持する。その上で、紛争予防に失敗するとともに、組織的でかつ大規模な人権侵害及び/もしくは大量虐殺という状況が存在する所では、武力の行使は、それがさらなる人権侵害や苦痛を防ぐための唯一の手段であり、国連からの付託の下で実施されるという条件が満たされる場合、正当化されることを指摘しておく。ただし、個々の国は武力行使を支持しない、もしくは協力しない権利を有する。
9.2 国連安全保障理事会の拒否権の廃止、常任理事国枠の撤廃、理事国数増加に向けて活動し、国連内におけるいわゆる「南の国々」が、より大きな権限を得るようキャンペーンを実施する。
9.3国際刑事裁判所を支援する。戦争犯罪に関して言えば、大規模な集団レイプのような性的特徴を備えた暴力は戦争犯罪とみなされるべきであり、武力紛争期間中の環境犯罪についても同様である。
9.4 武器取引の抜本的削減に向け、軍・産・金融複合体の権力を削減すると共に、武器製造業の透明性を確保し、軍需産業を潤すヤミ補助金(2)をなくすよう努力する。
注(2)(訳者注):注(1)参照。
9.5 武器の国際取引を、長期的には廃絶を目標として、規制・削減(核兵器、生物化学兵器、劣化ウラン兵器および対人地雷の全面禁止を含む)すると共に、武器の国際取引を国連の管理下に置くよう活動する。
9.6現存する各種平和プログラムの強化を支援し、「平和の文化」強化に向けた全側面に対処する新規プログラムを構築する。そのプログラムは、家庭内暴力を含む暴力や、ジェンダー間の相互尊重問題の本質に対する分析を盛り込み、更にあらゆるレベルでの非暴力による紛争解決に向けたトレーニングを支援することになる。
9.7 武力紛争の際に天然資源が十分に保護されるよう、国際的な交戦規定の改定に向け努力する。
9.8 米国の国家ミサイル防衛計画に立ち向かうと共に、宇宙の非軍事化と非核化に向け活動する。


10.世界的に行動する

10.0 グローバル・グリーンズは、共通の目的を共有する多様な文化や背景から独立した組織であり、その目的を達成するために、私たちは地域でと同様に地球規模でも活動しなければならない。

緑の党は
10.1 必要なときにはいつでも世界的な問題に対して共同で行動を起こすことで、グローバル・グリーンズ憲章の適用するために共同で行動する。
10.2 世界中の緑の党や政治運動、若者のネットワークをサポートする。
10.3 以下の要求に応じて、他の緑の党もしくは運動体を手助けする。
   ―選挙監視団を派遣し、選挙が自由で公正であることを保証する一助となる
   ―彼らの母国において緑の党に入党し、投票するよう、投票者に呼びかける
10.4 私たちがより広い社会において求めている民主主義の原則を私たち自身の組織にも適用して実践する
10.5 あらゆるレベルで私たちの組織内部において参画型民主主義のモデルとなるよう行動する
10.6 グローバル・グリーンズのメンバーが助言を受け、教育され、緑の党の世界的位置に影響を与える平等な能力を持つことを保証するため、世界の緑の党の間での協力を促進する。
10.7 政治的権力や機会が全てのメンバーに行き渡るよう、持続可能な発展や草の根民主主義に対する挑戦を受けて立つ発展途上の新しい政治モデルにおいて、透明で分権的な構造を保証する政策を確立することにおいてリーダーシップを発揮するため、緑の党や緑の政治運動を後押しする。
10.8 私たちの理念や価値観と合わない資金源を回避する。
10.9 特に民主主義と人権問題において、独裁、セクト、犯罪組織やそれらに従属した組織との協力を回避する。
10.10 志の近い共同体組織や市民社会組織とのつながりを強化する。私たちは、彼らとともに、環境、社会、人権、民主主義の尊重という成長しつつある意識の一部であり、世界の経済組織を説得しなければならない。
10.11 友好関係、楽観主義と良きユーモアをもって私たちは互いに個人的及び政治的にサポートしあい、その過程において自分自身が楽しむことを忘れないように!


こちらも参考に
⇒ ベーシック・インカム世界ネットワークの位置付け(2021/3/22)
⇒ れいわ新選組のベーシックインカム方針:デフレ脱却給付金という部分的BI(2021/4/4)
⇒ 立憲民主党のベーシックインカム方針:ベーシックサービス志向の本気度と曖昧性に疑問(2021/4/6)

<ベーシック・ペンションをご理解頂くために最低限お読み頂きたい3つの記事>

⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
⇒ ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)



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