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米カリフォルニア州ストックトン市のベーシックインカム社会実験、中間報告

ニューズウィーク日本版の3月8日配信記事に、米国カリフォルニア州ストックトン市で行われたベーシックインカムの実験に関する以下のレポートがありました。

米国初のベーシックインカム実験に関する結果報告書が発表、その成果は……
その概要を同記事を参考にして紹介します。

米カリフォルニア州ストックトン市におけるベーシックインカム社会実験の概要


ストックトン市は、米カリフォルニア州北部に位置する人口31万人超の都市
・18歳以上の同市在住者で、世帯収入が中央値の4万6033ドル(約497万円)以下の市民から受給者125人を無作為に抽出。
・2019年2月から、デビットカードを通じて毎月500ドル(約5万4000円)を24ヶ月間支給し、使途を追跡
・その内訳は、女性69%、平均年齢45歳、子どもがいる世帯48%
・その資金は、フェイスブックの共同創業者クリス・ヒューズ氏らの個人寄付によってまかなわれた

以上の条件で実施された社会実験ですが、今回の分析報告は、2年間の支給期間のうちの初めの1年間を終えての中間報告であることを、理解しておく必要があります。

ストックトン市

社会実験1年目の結果概要:同予備調査結果報告書より

先月2月で2年間にわたっての給付は終わっています。
今回公開された<予備調査結果報告書>は、2019年2月から2020年2月までの初年度のデータについてのみです。
下に貼付した動画で、大雑把な報告が見られますが、その画面に主だった結果を列記したものがありました。

若干の意訳でもありますが、こんな感じかと思います。
適訳が他にあるかと思いますが、ご容赦ください。

1)不安やうつ症状が低下した
2)概ね生活状況が改善・向上した
3)急な出費が必要になったときに以前より容易に対応できた
4)受給者のフルタイム雇用増加率が、非受給者の2倍以上になった


Newsweek日本版の記事を参考に、以下少し具体的な分析をピックアップしました。

4)の具体的な数字は、受給者におけるフルタイム労働者の割合が2019年2月時点の28%から1年後には40%まで12%増加したのに対して、非受給者の方の割合は5%増の37%にとどまった。

その理由として、毎月500ドルの追加収入を得ることで、よりよい給与を求めてパートタイムの仕事からフルタイムの仕事へと転職に向けた活動がしやすくなったことや、失業中、交通費など、求職活動に必要な資金にBIを充てることで可能になったとされている。

2)3)については、借金の清算に利用した者の増加、不意の出費を貯金で賄う者も倍増。
一定の収入が毎月得られることで、受給者の経済状況がより安定したことがうかがえる。

4)については、ケスラーの心理的苦痛測定指標(K-10)の平均値が、実験開始当初の「軽度のメンタルヘルス障害」から1年後には「精神的に健康」へと改善していることを挙げています。

まあ、ここまでの内容は、ほぼ想定された内容と言えます。
私が受給する立場であれば、2年間で得られる給付金の総額や、経過中における累計額を計算し、どの時点でどんな出費が必要か、どの時期に何を購入するかなどを事前に計画を立てるかと思います。

BI給付時の所得・仕事が安定的か、不安定かなどの状況によって、利用行動パターンは異なりますが、2年すれば給付が終了するので、それをしっかり意識した上での利用行動になるのは当然のことでしょう。

要するに、精神的、経済的に、実験BIは、概ね良い結果を導き出すに違いないでしょう。
2年後の結果も、よほどの経済変動や地政学的な紛争などが起きない限りは、BIを導入することが望ましいということになるに違いありません。

毎月500ドルの使い途分析結果に注目を

ところで、当社会実験の経過報告で、私が最も注目しているのが、デビットカードで支給された毎月500ドルのBIが、どのように使われたか、その内容とその分析です。

当然英文でまとめられている<予備調査結果報告書>の中に、以下のデータがありました。


支給開始から、1年間、毎月、どの様に利用されているか、出費項目別にその構成比を示したデータです。
食費が最も多く約4割を占め、他では日用品などに多く利用されているのは当然ですが、同記事では、タバコや酒類の購入に使われたのは1%未満であったことを強調しています。

ここまでのデータを、示したBIの社会実験は、今までのところないのではと思います。
それが可能なのは、デビットカードに振り込み、そのカードを用いて利用する方式ゆえです。
現金給付では、それは不可能です。

ご存知かと思いますが、私が提案しているベーシック・ペンションは、使途も利用期間も限定されており、個人番号で日本銀行に開設された口座に振り込まれるデジタル通貨です。
利用可能な店舗も事前申請により認可登録されるシステムであり、ブロックチェーン技術を用い、発行年も記録されている通貨であるため、このデータの類はもちろん、多様な購買履歴が蓄積され、一定の枠内で公開することとしています。

どのようにベーシックペンションが利用されているか追跡することで、どの業種や商品・サービスが、どの地域で、年齢別にどのように利用されているか分析できます。
そのデータにより、どの業種やどの地域の経済をどのように活性化すればよいか、自給自足国内経済を円滑に循環させるためにどのようにJPBC(ベーシック・ペンション通貨)を活用できるようにすればよいか。
国内経済や市民の生活の安定・充実のために、有効な社会経済対策を打つことができるのです。

一部の方々は、紐付けされることは、国に自由を奪われること、個人情報が筒抜けになりプライバシーが無くなると、デジタル通貨システムであるBPに反対します。
紐付けされるのは、このBPだけであり、しかも、生活基礎年金というすべての国民に共通な、衣食住や医療・介護・教育・保育などの公的サービスへの利用を想定していることへの理解・認識が、権利意識にばかり向けられて、忘れ去られているのです。

BP以外の所得は、多くに人にとって当然あるわけで、そちらは当然どう使おうと自由なのです。
この件については、別の機会に取り上げることにして、今回はここまでとしましょう。

いずれにしても、ストックトン市の社会実験の1年間のまとめが、<予備調査結果報告書>として自由に見ることができることに大きな意味・意義があります。
来年の 今頃までには、2年間の総括報告も発表されているでしょうから、関心をもって待ちたいと思います.。

米国で約40の市長が「所得保障制度のための市長連合(MGI)」を結成


なお、Newsweek日本版記事
米国初のベーシックインカム実験に関する結果報告書が発表、その成果は……
において、こうした実験や、コロナ禍を受けて、米国では、ユニバーサルベーシックインカム(UBI:基礎所得保障)の導入を推進する動きが活発になっているとし、昨年2020年6月、UBI推進を目的とした「所得保障制度のための市長連合」MGIを結成し、約40の市がこれに参加していることも記しています。
⇒ MGI  Mayors for a Guaranteed Income (mayorsforagi.org)

加えて、ベーシックインカムの導入を主張していることで知られている昨年の米大統領選に民主党から出馬のアンドリュー・ヤンが、2021年6月のニューヨーク市長選へBI導入を政策に掲げ、出馬を表明しており、注目を集めていることも同記事に添えられています。

この事情と、BI社会実験の結果告を報じる動画を以下に添付しました。
先述の結果報告書と併せて、参考にして頂ければと思います。

ベーシックインカム実証実験事例紹介記事

カナダオンタリオ州ミンカム等ベーシックインカム、実験導入事例紹介-1(2021/3/6)
BI実験と効果誘導に必要な認識:ベーシックインカム、実験導入事例紹介-2(2021/3/7)
メディア美学者武邑光裕氏によるドイツの無条件ベーシックインカムUBI事情-1(2021/3/8)
ドイツでUBI実証実験、2021年6月開始:武邑光裕氏によるドイツUBI事情-2(2021/3/9)

<ベーシック・ペンションをご理解頂くために最低限お読み頂きたい3つの記事>

⇒ 日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
⇒ 生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)
⇒ ベーシック・ペンションの年間給付額203兆1200億円:インフレリスク対策検討へ(2021/4/11)

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